■ 「Must winの試合」コパ・アメリカのGLの3戦目。初戦でチリに0対4で大敗した後、2戦目のウルグアイ戦は2対2のドロー。FIFAランキングが8位のウルグアイを相手に健闘した日本は3戦目でエクアドルと対戦した。エクアドルはここまで2連敗。勝ち点「0」にとどまっているが、日本も、エクアドルも、「この試合で勝利したらGL突破」が確定する。どちらにとっても「Must winの試合」。引き分けの場合はともにGL敗退となる。
日本は「4-2-3-1」。GK川島(ストラスブール)。DF岩田(大分)、DF植田直(セルクル・ブルージュ)、DF冨安(シントトロイデン)、DF杉岡(湘南)。MF板倉(フローニンゲン)、MF柴崎岳(ヘタフェ)、MF三好(横浜FM)、MF久保建(FC東京)、MF中島翔(アルドゥハイル)。FW岡崎慎(レスター)。2戦目のウルグアイ戦とほとんど同じスタメンになったがMF久保建がスタメン復帰。MF安部裕がベンチスタートになった。
ベンチスタートになったのはGK大迫(広島)、GK小島亨(大分)、DF立田(清水)、DF原輝綺(鳥栖)、MF中山雄(ズヴォレ)、DF菅大輝(札幌)、MF松本泰(広島)、MF渡辺皓(東京V)、MF伊藤達(ハンブルガーSV)、MF安部裕(鹿島)、FW上田(法政大)、FW前田大(松本山雅)の12名。GK小島亨、DF菅大輝、MF松本泰、MF渡辺皓、MF伊藤達の5人はまだ今大会で出場機会を得られていない。FW前田大は怪我を抱えている。
■ 1対1のドローでGL敗退・・・。どちらにとっても「勝たないといけない試合」だったが前半14分に日本が先制に成功する。スルーパスから抜け出したFW岡崎慎はシュートを打てなかったがキーパーがクリアしたボールを拾ったMF中島翔が決めて先制に成功する。最初は「オフサイドでノーゴール」と判定されたがリプレーを見る限りでは全くオフサイドではなかった。3試合連続スタメンとなるMF中島翔は今大会初ゴールとなった。
理想的な展開になった日本だったが前半34分にクロスからピンチを招くと最後はキーパーのGK川島が弾いたボールをMFメナに押し込まれて失点。1対1の同点に追いつかれた。迎えた後半はどちらかというとエクアドルがペースを握る展開になった。勝ち越しゴールが必要な日本は後半21分にFW岡崎慎に代えてFW上田を投入。すると流れは良くなって、その後、何度かゴール前のチャンスを作った。
後半45分にはMF久保建のスルーパスからFW前田大が抜け出してシュートを放ったがクリーンヒットせず。こぼれ球を拾ったFW上田のシュートも枠を捉えることは出来なかった。その後にもMF久保建のパスからMF中島翔に決定機が訪れたが相手にブロックされてしまう。こぼれ球を押し込んだMF久保建のシュートがネットを揺らしたがオフサイドの判定でゴールとは認められなかった。試合は1対1の引き分けに終わった。
■ 決定力不足は敗退の理由ではない。日本は0勝1敗2分け。勝ち点「2」を獲得した。B組で3位になったパラグアイも同じ0勝1敗2分けだったが、こちらは得失点差が「-1」。日本はチリ戦での大敗が響いて「-4」。あと少しのところで決勝T進出を逃した。準々決勝に進出していたら開催国のブラジルが相手だったのでいい経験になったと思うがブラジル戦は実現せず。開催国のブラジルは準々決勝でパラグアイと対戦することが確定した。
十分に勝てるチャンスがあっただけに勿体ない試合になった。日本もエクアドルも「引き分けではGL敗退」なので後半の半ば以降は打ち合いの展開になった。エクアドルにも2点目のゴールを奪うチャンスはいくつかあったが、日本にも勝ち越しのチャンスはたくさんあった。初戦のチリ戦と同様で「あの場面で日本のシュートが決まっていたら・・・。」と思うシーンはたくさんある。何とも悔やまれる試合になった。
ただ、「決定力不足」を敗退の理由にしてしまうと議論はそこでストップしてしまう。「決定力不足」を敗退の理由に掲げているうちは日本のサッカー界は進歩しないだろう。「決定力不足は日本サッカー界の永遠の課題」と言われるが、例えば、1試合の中で1つの決定機を作って1つの決定機をしっかりとゴールに結びつけて1対0で勝利出来たら「決定力不足は解消された。」と言えるのか?というとそんなわけではない。
決定機がゴールに結びつく確率は30%~40%程度である。よほどの劣勢の展開でない限り、どの試合でも4回程度は決定機を作ることができる。高確率でゴールに結びつけて3点や4点を奪ったらほとんどの試合で勝利できると思うが75%や100%の確率で決定機をゴールに結びつける試合をずっと続けるのは現実的には不可能。野球に例えると「7割5分バッター」や「10割バッター」を求めるような話になる。
■ 新戦力の台頭はポジティブなニュースまた、「世界的なストライカーでも決定機を確実に決められるわけではない。」というのはすぐに分かる話である。2戦目で対戦したウルグアイの2トップは世界屈指になるが、日本戦だけでもFWスアレス&FWカバー二の2トップはたくさん決定機を外している。FWスアレスはPKで1ゴールを決めて、FWカバー二はノーゴールに終わったが、彼らの凄いところは「1試合の中でたくさんの決定機に絡める点」である。
FWスアレスもFWカバー二も「決定機をゴールに結びつける確率」は飛び抜けて高いわけではないと思うが、卓越した技術を駆使して多くのシュートチャンスを自らクリエイトできるのでたくさんのゴールを奪うことが出来る。結局、確率を75%や100%にするのは不可能なので、「決定機の質を上げること」と「決定機の回数を増やすこと」が求められる。これは日本に限った話ではなくて全世界に共通する話である。
あと少しのところで日本はGL突破を逃したが本気モードの南米の国を相手に0勝1敗2分けというのは「健闘した。」と言える。「3連敗で終わる可能性もある。」と考えていたので勝ち点「2」という結果は想像以上である。(中立地での試合ではあったが)ほぼアウェイの環境の中でチリやウルグアイやエクアドルを相手に日本の五輪世代がここまで通用するとは思わなかったので大きなサプライズと言える。
五輪世代は来年の1月にU-23アジア選手権を戦って、その後、本番である東京五輪に挑むことになるが、今回、大きな自信を手に入れることができただろう。もちろん、勝利や決勝T進出という結果を得ていたらもっと大きな自信を手に入れることができたと思うが簡単に達成できるものではない。そして、MF久保建やMF三好やMF板倉やDF岩田など新戦力がタフな試合で力を発揮して頭角を現したのも収穫と言える。
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