■ 第13節J1の第13節。6勝2敗4分けで勝ち点「22」の鹿島アントラーズと、6勝5敗1分けで勝ち点「19」のFC東京がカシマスタジアムで対戦した。鹿島は4位で、FC東京は7位とともに上位に付けている。J1は首位の大宮が勝ち点「29」で、2位の横浜FMが勝ち点「24」で、3位の浦和が勝ち点「23」で続いている。
ホームの鹿島は「4-2-2-2」。GK曽ヶ端。DF青木剛、岩政、昌子、中田浩。MF柴崎、小笠原、遠藤、野沢。FW大迫、ダヴィ。右SBのDF西が出場停止のため、DF青木剛が右サイドに回って、高卒3年目のDF昌子がスタメンに抜擢された。今シーズン初スタメンとなる。FW大迫は4ゴール、FWダヴィは5ゴールを決めている。
対するアウェーのFC東京は「4-2-2-2」。GK権田。DF徳永、チャン・ヒョンス、森重、太田。MF米本、高橋秀、ルーカス、東。FW渡邉千、李忠成。怪我をしているMF長谷川は欠場で、FW李忠成がスタメンとなった。FW李忠成は12試合で3ゴールを挙げている。FW渡邉千は12試合で8ゴールをマークしている。
■ 鹿島が鮮やかな逆転勝利!!!試合の前半はアウェーのFC東京ペースとなる。まず前半7分に相手のクリアボールがFW李忠成に当たっていい具合にゴール前にこぼれると、素早く反応したFW李忠成が決めて先制に成功する。FW李忠成は今シーズン4ゴール目となった。さらに前半44分にも流れるようなパスワークからFW渡邉千がミドルシュートを決めて2対0とリードして前半を折り返す。
後半は一転してホームの鹿島ペースとなる。後半2分にFWダヴィのスルーパスを受けたFW大迫が決めて1点を返すと、後半11分にもペナルティエリア内に侵入したMF遠藤のクロスがゴール前にいたFC東京のDFチャン・ヒョンスの体に当たってオウンゴール。あっという間に鹿島が2対2の同点に追い付く。
流れを変えたいFC東京は後半20分にMF田邉を投入するが、直後にMF田邉がゴール前でボールを失うと、そのままFW大迫に決められて3対2と鹿島が逆転に成功する。FW大迫は今シーズン6ゴール目となった。結局、0対2から3ゴールを奪った鹿島が逆転で勝利して、今シーズン7勝目を飾った。一方のFC東京は6勝6敗1分けとなった。
■ 代役として起用された昌子源鹿島は右SBのDF西が出場停止のため、誰を起用するのかが注目を集めた。右SBをメインポジションとしている選手で、実績があるのはDF西ぐらいなので、セレーゾ監督も悩んだと思うが、結局、DF青木剛を右SBに持ってきて、DF昌子をCBで起用した。CBはDF山村やDF植田もいるので、期待の高さがうかがえるが、DF昌子はいいプレーはできなかった。
今シーズンもDF青木剛とDF岩政の2人がCBのレギュラーで、問題なく機能している。こういうときは、右SBに空きが出たからといって、CBの組み合わせを代えるようなことをしないのがセオリーであるが、今回、セレーゾ監督は思い切った起用を行った。非常に興味深い起用方法であり、面白いやり方だと思うが、成功はしなかった。
ただ、若い選手のミスを跳ね除けて、逆転まで持っていったことは、意味がある。90年代の鹿島は日本人の若手が次々に出てきて、日本代表クラスに育っていったが、ブラジル人を中心とした経験豊富な選手が若手選手の試合中のミスをカバーするという若手が育ちやすい土壌が出来ていたが、この日の一致団結ぶりは、強かったときの鹿島を思い出させた。
■ MF柴崎とMF小笠原2ゴールを挙げたFW大迫の活躍が光ったも、後半はボランチのMF柴崎が積極的にプレーして、何度もチャンスに絡んだ。ゴールやアシストは無かったが、惜しいシーンはいくつかあって、タイミングのいい攻撃参加で攻撃に厚みを加えることに成功した。この試合に関しては、20歳のMF柴崎が追撃のキーマンになったと言える。
今シーズンのMF柴崎はプレーの質を上げてきている。MF小笠原とボランチを組むケースがほとんどであるが、昨年までは、MF小笠原をサポートする立場で、受動的なプレーが多くて、「その能力をフルに発揮できていない。」という印象もあったが、今シーズンは、2人の関係が変化してきて、MF柴崎が主導権を握っている時間帯も増えている。
MF小笠原はまだまだ元気でレギュラーを死守しているが、全盛期と比べると落ちてきている。よって、「若手を手助けしながら決定的な仕事をする。」というのは難しくなっていて、「自分のプレーだけ精一杯」という感じになって来た。なので、MF柴崎がサポート役に回った方が、チームとしてはうまく回ると思うが、それが彼のメインの仕事になるのはもったいない。
この日の後半は、2点ビハインドだったこともあって、MF柴崎がかなり積極的にプレーしたが、たくさんボールに触って、ゴール前に出て行ったときに良さが出てくる選手なので、2人の関係というのは、この日の後半のような関係がベターで、MF柴崎がここからさらに成長して、ベテランのMF小笠原の負担を減らしていくことも期待される。
■ 田邉草民のミス一方のFC東京は、前半は非常にいいサッカーを見せて鹿島を圧倒したが、後半2分にFW大迫にゴールを許したことで、チームが浮足立って、後半は全く自分たちのサッカーが出来なかった。1対2のスコアのとき、あるいは、2対2のスコアのときに、ポポヴィッチ監督が適切な交代を行っていれば、違った結果になったと思うが、流れを食い止めることは出来なかった。
後半20分にFW李忠成に代えてMF田邉を投入したが、直後のプレーでMF田邉がゴール前でFW大迫にボールを奪われて逆転ゴールを許した。FW大迫の前線からの守備も良かったが、MF田邉は試合に入る準備ができておらず、判断が遅れてしまった。パワープレーを行うために後半43分にMF田邉はベンチに下げられてしまったが、忘れられない試合となった。
7勝5敗1分けで中断期間に入るのか、6勝6敗1分けで中断期間に入るのか、全く違うので、FC東京にとっては、悔いの残る試合となったが、FW渡邉千とFW李忠成は結果を残した。これでFW渡邉千が9ゴール目で、FW李忠成が4ゴール目となったが、FW李忠成も少ない出場機会の中でしっかりと結果を残しているのはさすがである。
不思議なのは、2人を同時に起用するとチームとしてあまり結果が出ていないことで、ともにオールマイティーなフォワードで、味方を生かすプレーもできるので、相性自体は悪くないと思うが、「4-2-2-2」のような布陣を採用したときは、あまりいい結果が出ていない。1トップと2トップを併用できると幅が広がってくるが、現状は、1トップがベターと考えられる。
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