■ 五輪代表監督に手倉森監督か?2016年にブラジルで開催されるリオ五輪を目指す五輪代表チームの監督にベガルタ仙台の手倉森監督が就任する可能性が高まったと報道されている。本大会まではあと3年あって、W杯が終わった後、五輪代表監督が決まって、五輪代表として活動を始めるのが当たり前になっていたが、いつもよりも動きは早い。「2014年の1月にオマーンで行われるU-22アジア選手権からチームを指揮する可能性もある。」とも伝えられている。
「キャプテン翼に登場する双子の立花兄弟のモデルになった。」と言われている手倉森監督は、2008年に仙台の監督に就任すると、2年目の2009年にJ2優勝を成し遂げて悲願のJ1昇格を果たすと、2011年にはJ1で4位、2012年にはJ1で2位と大躍進させた。現段階では、クラブはオファーがあったことを否定しているので、どうなるかは分からないが、五輪代表監督の人選としては、極めて妥当な選択と言える。
仙台では6年目となるので、Jリーグでは長期政権となるが、一歩一歩、着実に前進して来た。派手なサッカーとは言えないが、「個の力」と「組織力」をうまくミックスさせたチームを作っていて、相手チームのことをきちんと分析して、相手の良さを消すサッカーもできる。若手の起用に関しては、積極的とは言えないが、埋もれていた選手を再生する能力は高くて、バランス感覚に優れた日本人では屈指の指導者と言える。
■ 堅実なチームになるか???リオ五輪代表チームは、1993年1月1日以降に生まれた選手が対象となる。清水のGK櫛引、神戸のDF岩波、湘南のDF遠藤航、川崎FのMF大島、C大阪のMF南野、ヤングボーイズのFW久保らが中心となる見込みで、G大阪のDF西野、新潟のDF川口、横浜FMのMF熊谷アンドリュー、鹿島のDF植田なども期待を集めているが、ロンドン世代とは真逆で、守備的なポジションにタレントが揃っていて、攻撃的なポジションは手薄と言われている。
手倉森監督は「堅守速攻」というスタイルで仙台をJ1でも優勝争いができるチームに育て上げたが、CBにタレントが集まっているリオ世代のメンバーと手倉森監督の資質を考えると、かなり堅実なチームになると予想される。仙台では「4-2-2-2」を用いることが多かったが、今シーズンは「4-1-2-3」にも挑戦しており、どんなシステムを用いて、どういうメンバーを選ぶのか、興味が湧くところである。
また、手倉森監督はキャラクターもいいので、その点はプラスに働くかもしれない。ロンドン世代を率いた関塚監督は口下手なところがあるので、メディア受けはしなかった。発言が大きくクローズアップされることはなくて、誤解を招くような出来事もいくつかあったが、手倉森監督はマスコミ受けするコメントを出すことができる。「コメント力」というのも、代表監督には大事な要素であるが、この点は大丈夫である。
■ 手倉森監督の不安要素監督としての能力においては、全く不安は無い。リオ世代の強みをさらに引き出すことのできる優れた監督だと思うが、不安要素を挙げると、メディアも、代表サポーターも、日本人監督を見下すような傾向にある点である。南アフリカW杯のときの岡田監督は本大会で結果を出すまでは、必要以上に激しいバッシングを浴びており、ロンドン五輪代表の関塚監督も任期中に正当な評価を受けていたとは言い難い。
当然、関塚監督と比較されることになると思うが、個人的には、関塚監督の評価は低すぎると思う。アジア予選は順調に通過して、MF山口螢ら何人かの選手を育てて、本大会では44年ぶりにベスト4に進出するなど、ほとんどの人が期待していた以上の成績を残したが、メディアスターを起用しなかったことが気に入らなかったのか、メディア対応がイマイチだったことが気に入らなかったのか、メディアや代表サポーターには、あまり評価されなかった。
日本人監督を「○○サン」と記述してしまうような人もいるが、カタカナの指導者は必要以上にありがたがって、日本人の指導者は必要以上に貶める空気がある。これはコンプレックスの裏返しだと思っているが、ネームバリューであったり、国籍にとらわれることなく、能力や仕事ぶりで評価されるべきだと思う。しかしながら、まだ、日本サッカー界はそこまで成熟していない。「何なんだ、それは・・・。」と感じる低次元の批判をされることもあるだろう。
なので、日本においては、代表監督、特に、五輪代表監督というのは、ハイリスクでローリターンな役職である。理不尽な批判をされることもあると思うが、能力的には問題ないと思うので、五輪代表の監督にチャレンジするのであれば、積極的に応援したいと思う。(手倉森監督は図太い性格なので、わけのわからない批判は無視して、自分の道を貫くことはできると思うので、大丈夫だとは思うが・・・。)
そして、若年層の代表監督を務めた経験というのは、将来、必ずプラスになると思う。現甲府の城福監督、現松本山雅の反町監督らもそうであるが、若い頃にクラブの監督と代表チームの監督の両方を経験すると、視野が広がって、懐の深さが生まれる。仙台もタイトルを狙える位置まで登りつめたので、「来年も仙台で監督をしてタイトルを狙う。」というのもやりがいのある仕事だと思うが、「リオ五輪代表の監督を務める。」というのも、魅力のある仕事だと思う。
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