■ ラトビア戦の目的W杯出場に王手をかけているザックジャパンは、2月6日にホームズスタジアムでラトビア代表と対戦して、3対0で勝利した。「久々に集まって試合をすること」と「勝って勢いをつけること」が、今回の試合の大きな目的で、さらには、「戦力の底上げ」というのも期待されたが、MF乾が途中出場で存在感を発揮し、MF大津もデビューを飾った。まずまずの成果を得たと言える。
アジア予選で順調に勝ち点を積み上げているため、代表優先の無理な日程を組まずに済んでいるところも、Jリーグのクラブにとっては、ありがたいことである。今年も、Jリーグのオフやキャンプの期間に代表チームが活動することは、わずか数日だけだったが、仮に、アジア最終予選で苦戦していて、次のヨルダン戦が「絶対に勝たなければならない試合」だったならば、Jリーグのクラブにお願いして、長期合宿を組む必要も出てくる。
考えてみると、三次予選のときも、あっさりと通過したので、2012年の2月末に行われたウズベキスタン戦は消化試合となった。そのため、昨年も、オフやキャンプの期間に集まることは、ほとんどなかった。切羽詰まった状況に追い込まれておらず、2年連続で1月や2月の時期に無理なスケジュールを組まずに済んでいることも、見逃せないところである。
代表チームとクラブチームというのは、持ちつ、持たれつの関係にあるが、ここまでのところ、クラブ側に無理を言って、選手を集めるという事態に陥ったことは無い。これは、「貸しを作っている状態」とも言えるので、本当に困ったときは、Jリーグのクラブも、代表チームに協力してくれるだろう。今のところ、日本代表とJリーグのクラブとの関係は、良好と言える。
■ 苦戦する韓国代表対照的にアジア最終予選で苦しんでいるのは、韓国代表である。1試合消化は少ないが、現在、首位のウズベキスタンに次ぐグループ2位にとどまっており、3位のイラン、4位のカタールとは、勝ち点「7」で並んでいる。もちろん、残り4試合のうち、ホームゲームが3試合あるので、もっとも有利な立場にあるのは、間違いないが、カタールも、ウズベキスタンも、イランも、簡単な相手ではない。
韓国代表は、南アフリカW杯では、日本と同じくベスト16に進出したが、その後は苦労している。W杯の後、趙広来監督が就任したが、アジアカップの準決勝で日本に敗れて3位に終わると、さらに、2011年8月に札幌ドームで行われた日韓戦は0対3で完敗。これが大きな批判を浴びて、結局、W杯の三次予選で格下のレバノンに敗れると、2011年の12月に電撃的に解任されて、崔康熙監督が就任した。
しかしながら、状況はあまり変わらず、アジア最終予選は2勝1敗1分けで、W杯出場に黄色信号が灯りつつある。理解に苦しむのは、後任の崔康熙監督もアジア最終予選の終了後に代表監督を退くことが決まっていて、仮にアジア予選を突破しても、本大会の指揮を執ることは無いということである。いろいろな事情があると思うが、レアなケースであり、本国でも求心力の低下が問題視されているという。
■ 対照的なマッチメイクこのように、対照的な日韓両国の代表チームであるが、マッチメイクも対照的だった。日本とラトビアの試合が行われた2月6日は、世界各地で親善試合が行われたが、韓国代表は中立地のロンドンでクロアチア代表と対戦して、0対4で敗れた。クロアチアは力のあるチームなので、結果やスコアに驚きはないが、このタイミングでクロアチアと対戦するメリットを全く感じないので、マッチメイクの仕方に驚いた。
もちろん、強豪チームと対戦するのは、悪くは無い。むしろ、積極的にすべきである。そして、中立地で開催することは、韓国代表も欧州組が増えているので、いい選択と言えるだろう。ただ、韓国代表の場合、先のとおり、アジア最終予選で苦戦しており、力試しをしている暇はない。代表の士気を高めるようなマッチメイクをすべきだったが、最悪の結果となった。
かつては、日本でも、状況を考慮せず、「アウェーゲームを増やすべき。」、「国内の親善試合では意味が無い。」という主張が繰り返された時期があったが、最近は、そういう主張も少なくなった。15年前のTVゲームならいざ知らず、『アウェー戦をやればやるだけ、経験値がたまってレベルアップするというわけではない。』ということを、サッカーファンも理解してきた。
ちょっと考えれば分かることであるが、2013年の最初の試合で、MF本田圭、FW前田、MF遠藤、DF今野など、開幕前のキャンプ期間中の選手が何人もいる中で、強豪チームと対戦しても、あまり収穫は得られない。また、日本サッカー協会も無限にお金を持っているわけではないので、国内で試合を行って収入を得るというのも大事なことで、原さんになってからのマッチメイキングは的確で評価できる。
韓国代表の方に話を戻すと、中立地でクロアチアに勝つことができれば、自信を回復することができたと思うが、0対4という敗戦で、しかも、国際試合は3連敗となった。こうなると、崔康熙監督に対する批判の声が高まるのは、確実である。韓国代表も、国内あるいはJリーグでプレーしている選手が何人もいるので、コンディション面では、日本と同じくらいだと思うが、このタイミングでシーズン真っ只中の選手がほとんどのクロアチアと対戦するのは、ギャンブルである。
「中立地でクロアチアと対戦する。」と聞くと、頑張っているようにも聞こえるが、実際には、セオリーから外れたマッチメイキングであり、無謀とも思える。親善試合には、両国(特に、両国のサッカー協会)の友好を深めるという意味もあるので、それ以外のことでプラス要素があったならば、「収穫がゼロ」とは言えないが、部外者ながら、監督や選手が気の毒に感じるマッチメイキングと言える。
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