■ 第9節J1の第9節。1勝3敗4分けで勝ち点「7」のサガン鳥栖と、4勝4敗0分けで勝ち点「12」のFC東京がベストアメニティスタジアムで対戦した。8節を終了した時点で、鳥栖は13位で、FC東京は6位。鳥栖は3節で川崎Fに5対4で勝利したが、4節以降、5試合勝利なしと苦しんでいる。一方のFC東京も開幕2連勝のあと4連敗と嫌な流れになったが、7節は名古屋、8節は川崎Fに勝利してイーブンの成績に戻した。
ホームの鳥栖は「4-2-3-1」。GK赤星。DF丹羽、呂成海、坂井、金民友。MF藤田直、末吉、岡田、池田、野田。FW豊田。エースのFW豊田は8試合で6ゴールを挙げているが、ここ4試合ゴールから遠ざかっている。MF水沼とMF高橋義はベンチスタートで、MF岡田とMF末吉がスタメンで起用された。ともに2試合連続スタメンとなる。MF早坂、FWロニらがベンチスタートとなった。
対するアウェーのFC東京は「4-2-3-1」。GK権田。DF徳永、加賀、森重、太田。MF米本、高橋秀、ルーカス、東、長谷川アーリアジャスール。FW渡邉千。1トップのレギュラーで起用されているFW渡邉千は8試合で5ゴールを決めている。鳥栖を得意にしていて、2012年の12節の対戦では途中出場でハットトリックをマークして、さらに今年2月のプレシーズンマッチでも決勝ゴールを決めている。
■ FC東京が逃げ切る試合は前半23分にアウェーのFC東京が先制する。左サイドでFKを獲得して、MF長谷川アーリアジャスールがゴール前ではなくてマイナス方向にグラウンダーのボールを入れると、待っていたMF東が右足でミドルシュートを決めてFC東京が先制する。MF東は2試合連続ゴールとなった。その後、鳥栖もFW豊田が決定機を迎えるが決められず。前半は1対0でアウェーのFC東京がリードして折り返す。
1点リードのFC東京は後半1分にMF東の浮き球のパスからFW渡邉千が裏に抜け出すと、飛び出してきたキーパーもかわして2点目のゴールを挙げると、さらに、後半4分にもキーパーのGK権田のロングキックを受けたFW渡邉千がGK赤星の頭の上を超える鮮やかなループシュートを決めて3点目を挙げる。鳥栖キラーのFW渡邉千は今シーズン7ゴール目で、GK権田にはアシストが記録された。
しかし、鳥栖は後半32分にFW豊田のPKで1点を返すと、さらに後半ロスタイムにもFW豊田のパスから途中出場のMF水沼が決めて1点差に迫る。ホームチームの猛烈な追い上げにスタジアムはヒートアップしたが、追いつくための時間は残されておらず。結局、試合は3対2でアウェーのFC東京が逃げ切って3連勝を飾った。一方の鳥栖は6試合勝利なしとなった。
■ 6試合未勝利と苦しむ鳥栖今シーズン最高の14,024人の大観衆を集めた昇格2年目の両チームの激突は熱い試合となった。3月16日を最後にリーグ戦の勝利から遠ざかっている鳥栖はなかなか結果が出ていないが、それでもどん底の時期は脱しているようで、勝ち点を獲れるチャンスはあった。決定機の数は同じくらいで、試合内容は悪くなかったが、後半1分と後半4分にあっさりと失点を喫したことが響いた。
鳥栖は2012年は34試合で39失点と堅守を見せたが、今シーズンは失点数が増えており、8節を終了した時点で、リーグワースト3位タイとなる16失点を喫している。メンバーが大きく変わっているわけではないが、DFキム・クナンが新潟に移籍したこともあって、軸になれる選手がおらず、毎試合のようにCBのスタメンが変わるような状態で、最終ラインが落ち着かない。
1失点目はゴール前が混戦になっていて、おそらくGK赤星はブラインドになっていたと思うので、アンラッキーだったが、2失点目と3失点目は最終ラインの連携が悪くて、一本のパスであっさりと決定機を作られてしまった。もともと、個人能力で守るチームではなくて、組織的に守るチームであるが、歯車が狂っており、簡単に失点するケースが目立っている。
一方の攻撃陣は、キーマンのMF藤田直やエースのFW豊田にボールが集まってきてチャンスは作ったが、この試合では、FW豊田がややブレーキで、決定機に決められなかった。ゴール前の空中戦ではFW豊田が優るシーンが多くて、クロスの質も悪くなかったので、サイド攻撃は有効だったが、決まっていてもおかしくないシーンでゴールを奪うことは出来なかった。
これでリーグ戦は6試合勝利なしとなったが、今が踏ん張りどころである。とにかく、守備を安定させることが重要になるが、チーム全体でハードワークが出来ていないかというと、そういうわけでもない。したがって、どこを、どのように修正すれば、昨年のクオリティーに到達するのか、即答するのは難しい。なので、ここから尹晶煥監督がどういう手を打ってくるのか、注目したいところである。
■ ゴールを量産するFW渡邉千真一方のFC東京は最後はヒヤヒヤの展開になったが、何とか逃げ切って3連勝となった。今シーズンは、2連勝→4連敗→3連勝ということで、連勝と連敗が交互に来ているが、連敗中もサッカーの内容自体は悪くなかった。「勝負弱さ」が出てしまったが、披露しているサッカーは魅力的で、駒も揃っているので、暫定5位とふさわしい順位まで上がってきた。
FC東京のように「いいサッカーをして観客を楽しませようとするチーム」にありがちであるが、結果が出ているときは、ボールも回って、勢いも加速するが、一度、結果が出なくなると、選手が自信を失って、本来のサッカーが出来なくなって、さらに結果がでなくなるという悪循環にはまっていく。ポポヴィッチ監督になって2年目となるが、好不調の差が激しいのは、サッカースタイルと無関係ではない。
2ゴールを挙げたFW渡邉千は、これで9試合で7ゴールとなった。このチームは、中盤にパス出しのできる選手が揃っていて、さらには、1トップを採用しているので、フォワードにボールが集まってくる。よって、フォワードの選手にとっては、天国のような恵まれた環境でプレーすることができるので、自然とゴール数も伸びてくるが、そういうことを考慮しても、9試合で7ゴールという成績は立派である。
FW渡邉千はいろいろな形でゴールを決めることができるのが魅力である。1点目は裏に抜けてキーパーもかわして決めたゴールで、2点目はループシュートだったが、それなりにスピードもあって、ヘディングも強くて、ミドルシュートも強烈で、ワンタッチで決めるゴールも得意としているので、得点のバリエーションが豊富で、オールラウンドなストライカーである。
そして、ある程度のサイズがあって、運動量が多くて、パス出しもできて、守備もサボらない。したがって、フォワードという括りで考えても「万能型」と言える。横浜FM時代もたくさんのゴールを決めているが、どちらかというとのんびりした性格で、気迫が伝わって来ないときもあったが、FW李忠成という強力なライバルが加入したことがいい刺激になっているのだろう。いいシーズンを送っている。
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