■ J1リーグ・第2節 その6開幕戦でヴィッセル神戸と1対1で引き分けたFC東京がアウェーのビッグスワンでアルビレックス新潟と対戦。過去の対戦成績を見ると新潟が5勝3敗と勝ち越している。
FC東京は<4-3-2-1>。GK塩田。DF徳永・茂庭・吉本・長友。MF今野・梶山・エメルソン・羽生・石川。1トップは平山ではなくカボレ。2年目の19歳のDF吉本がプロ2試合目の出場。茂庭とセンターバックを組む。
対する新潟は<4-4-2>。GK北野。DF内田潤・千代反田・永田・松尾。MF千葉・本間・ダヴィ・寺川。2トップでアレサンドロと矢野貴章。開幕戦と同じイレブンが先発した。
■ 一気の展開で・・・試合は、前半6分、新潟のパスミスからMF梶山→MF石川とつなぎ、最後はMFエメルソンが落ち着いて決め先制。さらにそのすぐ後のCKで、ショートコーナーからMF石川が強烈なシュートを放つと、GKが弾いたこぼれ球をFWカボレが追加点。さらに前半11分にも、MF今野が相手DFとGKの連係ミスを突いて無人のゴールに流し込んで3対0とリードを広げる。
後半に入ると、新潟はMF本間やMF千葉が攻撃に関与し始めて、分厚い攻めを展開する。後半12分にDF内田のミドルシュートで1点を返すと、さらに後半13分にもFW矢野がうまいシュートを決めて1点差に迫る。
一気に同点に追いつきたい新潟だったが、その後はFC東京の懸命の守備の前になかなか決定機を作ることができずに、そのまま2対3で敗退。城福新監督はJ1初勝利を飾った。
■ ムービングフットボール後半はやや失速したが、前半のFC東京のサッカーは非常によかった。特に1点目のシーンは目指すサッカーの形が存分に表れたファインゴールだった。激しいプレッシャーでボールを奪うと、MF梶山がボールをキープし、スペースに飛び出たMF石川にパスが渡り、そのMF石川もダイレクトに近い形で決定的なスペースに動き出していたMFエメルソンにラストパスを送りゴールゲット。シンプルな攻撃ではあるが、流れるような見事な展開だった。
「人もボールも動くサッカー」という題目のもと新しいチームを作り上げている段階のFC東京だが、2試合目という早い段階で目指す形が試合で発揮されたのは、内外的にいいアピールになった。
■ ダイナミズムを生み出す羽生の働きFC東京の中盤の人数は5枚で、表記上は、今野・梶山・羽生のトリプルボランチで、石川とエメルソンが1トップ下に構える2シャドーとされているが、試合中は完全に流動的なので、並びは一律ではない。石川は右サイドにいることが多く、梶山は下がり目にいることが多いように感じるが、それ以外はポジションチェンジがめまぐるしい。
そんな中でも、MF羽生の充実ぶりが目に付く。チームに合流してまだリーグ戦は2試合目ではあるが、完全にチームになじんでいて、必要なときに必要なプレーを選択して実行することができるので、すでに新チームでも欠かせない存在となっている。
羽生というと「走れる選手」として高く評価されているが、ここ1・2年は技術的なレベルアップも著しく、今のJ1のレベルであれば、落ち着いてボールをキープしたり、正確にパスを出したりすることができる。
近年は、もともと得意としていた中盤で動き回って相手DFを混乱させる働きに加えて、周りの選手のランニングを生かすだけの技術やアイディアも備えてきているので、相手としては警戒せざる得ない。ただ、羽生ばかりを警戒すると、彼自身が意図的にゲームから消えることで味方を生かすような選択も見せる。非常に奥深い選手である。
■ 効果的なエメルソンの活躍MF羽生とともにMFエメルソンの活躍も光った。開幕戦では左サイドに張り付くことが多く、なかなかボールに触れられずに苦しんだが、この試合では積極的に味方とポジションを交換し、縦横無尽に動いた。
相手のMFダヴィと比べると、フィニッシュにかかる部分で派手なプレーができるタイプの選手ではないが、地味ではあるが確実なプレーができて、味方に有益な結果を導けそうな選手である。
■ 初ゴールのカボレ前半早々に、MF石川のミドルシュートのこぼれ球を押し込んでリーグ戦初ゴールを挙げたFWカボレだが、全体的な動きはまだまだの状態であった。開幕戦で見せたハッとさせるようなプレーは見せられずに、やや不本意な出来だった。
この試合は中盤の選手が素晴らしい活躍を見せたので、カボレが組み立てに参加する必要性が薄かったという側面もあったが、1トップの選手としてはもっと前線で起点となる動きが欲しい。
■ 控えの薄さに不安一方の新潟はいきなりの3失点でプランが狂ってしまった。1点目はともかく、2点目と3点目はもっと集中できていれば防ぐことのできた失点であり、悔いの残るミスであった。
また、後半13分に1点差に迫った後の攻撃に決め手を欠いたことも不安材料である。選手交代も後半33分にMF寺川に代えてMF田中を投入したのみで、リードを許した展開で切れる交代のカードにバリエーションが薄いのが難点といえる。
もともと少数精鋭のメンバー構成であるが、新人選手も多く戦力数の不足が気になる。もちろん、レギュラークラスは十分にJ1でも戦えるだけのメンバーではあるが、その控えメンバーには不安が残る。
■ アレッサンドロへの期待浦和に移籍したFWエジミウソンの代役として期待されるFWアレッサンドロだが2試合でまだゴールはない。FWエジミウソンのように爆発的な身体能力の高さがあるわけではないので、得点を量産するためにはチームの一員として機能することが必須だが、まだフィットはしていない。
ただ、ゴール前に入り込むタイミングであったり、シュートに持ち込むまでの動きには、本格的なストライカーらしい部分を感じる。彼がゴールを量産できるかは、今シーズンの新潟の成績に直結するので、早くチームになじんでほしい。
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