■ 川崎Fへの電撃復帰は確実2013年から3年連続でJ1の得点王に輝いたFW大久保(FC東京)は昨オフに新しい挑戦の場を求めて川崎FからFC東京に電撃移籍した。近隣のライバルクラブへの移籍になるので大きな決断と言えたが新天地のFC東京では28試合で8ゴールのみ。持ち前の熱いプレーでFC東京を根本から変えることが期待されたが不本意なシーズンになった。1億2,000万円とも言われる高額な年俸に見合った働きは出来なかった。
FC東京とは複数年契約を結んでいたので「残留が既定路線」と思われていたが12月上旬に古巣の川崎FとC大阪、高校時代を過ごした思い出の地で活動する長崎の3チームが興味を示していると報じられた。移籍金が発生することもあってこの時点では「信憑性は低い。」と思われていたが「古巣の川崎Fへの復帰に大筋で合意した。」と報じられた。4つのメディアが一斉に報じたので移籍は確実と考えられる。
新年俸は6,000万円だと言われている。50%減と報じられているので条件は良くない。FC東京に残っていたら(おそらくは)1億2,000万円という年俸は保証されるので「大幅なダウン額」を受け入れた上での古巣復帰となる。ここまでのところ、川崎Fは目立った補強の話が出ていなかったが突如としてビッグニュースが飛び込んできた。移籍金を支払っての再獲得なので川崎Fにとっても大きな決断と言えるだろう。
■ 賛否両論あるだろう1年での出戻り川崎Fとしても再獲得は一種の賭けと言える。チームケミストリーを乱すとは思えないがこの1年間でMF中村憲ならびにFW小林悠の2人を中心に新しい川崎Fが出来つつあった。初タイトルという結果も残している。いい意味でも悪い意味でもFW大久保という選手は極めて影響力の強い選手なのでチームはまた大きく変わるだろう。チームがうまく生まれ変わったタイミングでの再獲得に関しては賛否両論あるだろう。
もちろん、FC東京のサポーターにとっては不快な移籍話である。今シーズンは8ゴールのみと期待に応える働きは出来なかったが、約1年前、大きな期待を背に川崎FからFC東京にやってきた選手である。期待させるだけさせておいてわずか1年での帰還となるとFW大久保に対する不信感を抱くサポーターは多いはず。どの試合も多摩川クラシコは相当に盛り上がるが2018年はさらにヒートアップするだろう。
「期待ハズレだったので年俸面のクラブの負担がなくなることは逆に好ましい話である。」、「(その上で)約数千万円の移籍金も手に入れることが出来る。」とドライに考えるのはなかなか難しい。川崎Fへの復帰の理由に関してははっきりした情報は流れていないがどちらかというと「FW大久保にソッポを向かれた。」という印象になる。補強の目玉だった選手がわずか1年で流出するというのは普通のことではない。
■ 決して楽な方の道ではない出戻りFC東京の大部分のサポーターは「いったい、何をしに(FC東京に)来たんだ。」という怒りの気持ちが大きいと思うが、一方の川崎Fのサポーターの心境も複雑だと想像できる。もちろん、諸手を上げて復帰を歓迎する人もいるだろうし、モヤモヤした感情はあるが戻ってくる以上は応援するという人もいるだろうし、新しい体制でうまくいき始めた中で時計を逆戻りさせる動きに強い拒否感を示す人もいるだろう。
FW杉本健(C大阪→川崎F→C大阪)、MF堀米勇(甲府→京都→甲府)、GK秋元(湘南→FC東京→湘南)、GK村山(松本山雅→湘南→松本山雅)など近年のJリーグは出戻り移籍が増えているが、やはり、FW大久保クラスの選手の出戻りは珍しい。わずか1年前に大きなことを言って川崎Fを飛び出した選手なので「1年での川崎Fへの復帰」に関しては、当然のことながら、ネガティブに感じるところもある。
このタイミングでの川崎Fへの復帰は「困難なことに直面してあっさりと逃げ出した。」という風に捉えることもできる。FW大久保という選手は困難な状況に直面することをむしろ好むタイプの性格に思えたので個人的にはこの決断はかなり意外に感じるが、その一方で、35才のFW大久保にプロ選手として残された時間は非常に短い。スパッと諦めて次の道に進むのもプロ選手として決して間違った選択ではない。
出戻りを選択した選手は批判の対象になることが多い。海外のクラブからの(短いスパンでの)出戻りになるとさらに大きな批判を浴びるが「楽な道を選んだ。」と批判するのはあまり適切ではないように感じる。過去を振り返ってみても出戻りの選手は移籍元ならびに移籍先の両方のサポーターから大きな批判を浴びる。むしろ、古巣に戻ってこなかった場合よりも困難な道を歩まざる得ないケースの方が圧倒的に多い。
率直に言うと今回のFW大久保の選択は「かっこいい選択」ではない。ハッキリ言うと「かっこ悪い選択」になるが「楽な道を選んだ。」と思わない。どちらかというと「困難な道を選択した。」と言える。いずれにしても例年以上に、もっと言うと、FC東京で過ごした2017年以上に「結果」が求められるシーズンになる。初タイトルを獲得した川崎FがFW大久保の加入でどのように変わるのか?は興味深い。
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