2014/02/01
【J1】 選手交代が最も上手なのはポポヴィッチ監督??? (前編)■ 途中出場で結果を出した平山相太 最後は個人別である。「途中出場でのゴール数」がもっとも多かったのは5ゴールを挙げているFW平山(FC東京)とMFマルシオ・リシャルデス(浦和)の2人で、MF野津田(広島)、FW岡本(新潟)、FW高木俊(清水)、FW金園(磐田)の4名が4ゴールで続いている。目立つのは広島のルーキーのMF野津田で、清水のFW高木俊は23節の鹿島戦(H)で途中出場でハットトリックを記録している。
一方、アシスト数を含めた合計数字でも、5ゴール+2アシストのFW平山とMFマルシオ・リシャルデスがトップに立っている。FW平山は今シーズンは21試合に出場したが、リーグ戦でスタメンはゼロ。合計でも288分の出場時間にとどまっているが、5ゴール+2アシストと切り札として文句なしの成績を残している。初ゴールが23節の鳥栖戦(H)だったので、ラストの11試合で5ゴールと量産した。
MFヴチチェヴィッチ(FC東京)は2013年シーズンも途中出場で3ゴールを挙げている。2012年は途中出場で6ゴールを挙げており、このときほどのインパクトは無かったが、「ジョーカー」という言葉がもっとも似合う選手の1人である。2013年限りでチームを離れることになったが、大きなインパクトを残した頼りになる助っ人だった。途中出場でしっかりと仕事のできる選手というのは価値がある。
表3. 途中出場でゴールに絡んだ回数の多かった選手 (2013年)
順位 | 選手名 | チーム名 | 位置 | 合計 | ゴール | アシスト |
1 | 平山 相太 | F東京 | FW | 7 | 5 | 2 |
1 | Mリシャルデス | 浦和 | MF | 7 | 5 | 2 |
3 | 野津田 岳人 | 広島 | MF | 5 | 4 | 1 |
3 | 岡本 英也 | 新潟 | FW | 5 | 4 | 1 |
5 | 高木 俊幸 | 清水 | FW | 4 | 4 | 0 |
5 | 金園 英学 | 磐田 | FW | 4 | 4 | 0 |
5 | 齋藤 学 | 横浜FM | FW | 4 | 1 | 3 |
8 | 富山 貴光 | 大宮 | FW | 3 | 3 | 0 |
8 | 森島 康仁 | 大分 | FW | 3 | 3 | 0 |
8 | ヴチチェヴィッチ | F東京 | MF | 3 | 3 | 0 |
8 | 石川 直宏 | F東京 | MF | 3 | 2 | 1 |
8 | 村田 和哉 | 清水 | MF | 3 | 1 | 2 |
8 | ヘベルチ | 仙台 | MF | 3 | 1 | 2 |
8 | 田中 順也 | 柏 | FW | 3 | 1 | 2 |
15 | 山崎 亮平 | 磐田 | FW | 2 | 2 | 0 |
15 | ファン ソッコ | 広島 | DF | 2 | 2 | 0 |
15 | ダヴィ | 鹿島 | FW | 2 | 2 | 0 |
15 | 中村 充孝 | 鹿島 | MF | 2 | 2 | 0 |
15 | 矢島 卓郎 | 川崎F | FW | 2 | 2 | 0 |
15 | 李 忠成 | F東京 | FW | 2 | 2 | 0 |
15 | 鈴木 武蔵 | 新潟 | FW | 2 | 2 | 0 |
15 | 梅鉢 貴秀 | 鹿島 | MF | 2 | 2 | 0 |
15 | パトリック | 川崎F | FW | 2 | 2 | 0 |
15 | 関口 訓充 | 浦和 | MF | 2 | 1 | 1 |
15 | 梅崎 司 | 浦和 | MF | 2 | 1 | 1 |
15 | パク ヒョンジン | 広島 | DF | 2 | 1 | 1 |
15 | 野沢 拓也 | 鹿島 | MF | 2 | 1 | 1 |
15 | ペク ソンドン | 磐田 | MF | 2 | 1 | 1 |
15 | 矢野 貴章 | 名古屋 | FW | 2 | 1 | 1 |
15 | 本山 雅志 | 鹿島 | MF | 2 | 0 | 2 |
15 | 古林 将太 | 湘南 | MF | 2 | 0 | 2 |
15 | 山中 亮輔 | 柏 | MF | 2 | 0 | 2 |
■ ポポヴィッチ監督になってどう変わるか? (前編)で触れたとおり、FC東京は途中出場の選手がゴールに絡む回数が非常に多かったが、だからと言って、「ポポヴィッチ監督の選手交代が上手である。」と言い切ることはできない。「FW平山、MFヴチチェヴィッチなど、優秀なカードを持っていただけ。」という見方もできる。結局のところ、何とでも表現できるところが、試合中の選手交代を語るときの難しいところである。
また、ここでは「ゴール数とアシスト数」だけに着目しているが、(同点やビハインドのときに)攻撃的なカードを切るのは上手だけれども、(リードしている終盤に)守備的なカードを切るのは得意ではないという人もいる。特に、守備固めのメンバーチェンジというのは、なかなか数字で是非を評価することもできなくて、成功した場合は何も語られないが、失敗すると必要以上にバッシングされる傾向にある。
ポポヴィッチ監督は2013年限りでFC東京の監督を退いてC大阪の監督に就任したが、C大阪は「2ゴール+2アシスト」という成績で途中出場の選手がゴールに絡むことは少なかった。FWエジノとMF枝村が各1ゴール、MF扇原とFW杉本が各1アシストだったが、期待されたMF楠神はゴールに絡むことはできなくて、交代選手の活躍度の低さがリーグ3位タイの引き分け数(=11引き分け)につながったところもある。
したがって、この点はチームの弱点だったが、FWフォルラン、MFミッチ・ニコルス、MF長谷川アーリアジャスールなどが加入して、攻撃的なポジションの層は分厚くなった。FW杉本、FW永井龍、MFミッチ・ニコルス(or MF南野)、MF楠神などが控えに回ることが予想されるが、FC東京時代に見せた「冴え」を発揮できれば、引き分けムードの試合を勝利に持っていく回数が増えるかもしれない。
ただ、FC東京に対して「途中出場の選手が活躍していたイメージはあまりない。」という人もいるだろう。その理由として、「印象に残りやすいゴール」が少なかった点が挙げられる。トータルで14ゴールを挙げているが、先制ゴールや同点ゴールや逆転ゴールや勝ち越しゴールといった「殊勲ゴール」は3つだけ。(大量リードしているときの)駄目押しゴールや(大量リードされているときの)追撃弾が多かった。
とは言っても、2013年のC大阪は殊勲ゴール自体が「ゼロ」だったので、それよりは優れている。2013年のFC東京ほど交代カードが充実しているわけではないが、FW杉本、FW永井龍など伸びシロのある選手がいて、交代カードに関しては、質も、量も、J1の中では上位クラスとなった。クルピ監督は「そこまで選手交代が上手な監督ではなかった。」という印象であるが、ポポヴィッチ監督になってどう変わるか。
表4.途中出場の選手の殊勲ゴールの数 (チーム別)
| クラブ名 | ゴール | アシスト |
合計 | 殊勲ゴール | それ以外 |
1 | 清水 | 7 | 4 | 3 | 3 |
1 | 新潟 | 7 | 4 | 3 | 4 |
3 | FC東京 | 14 | 3 | 11 | 3 |
3 | 磐田 | 8 | 3 | 5 | 4 |
3 | 鹿島 | 8 | 3 | 5 | 4 |
3 | 広島 | 7 | 3 | 4 | 4 |
3 | 名古屋 | 4 | 3 | 1 | 2 |
3 | 横浜FM | 3 | 3 | 0 | 4 |
9 | 浦和 | 8 | 2 | 6 | 4 |
9 | 川崎F | 4 | 2 | 2 | 1 |
9 | 大宮 | 3 | 2 | 1 | 0 |
12 | 大分 | 4 | 1 | 3 | 0 |
12 | 鳥栖 | 3 | 1 | 2 | 0 |
12 | 柏 | 2 | 1 | 1 | 5 |
12 | 仙台 | 2 | 1 | 1 | 4 |
12 | 湘南 | 1 | 1 | 0 | 2 |
17 | C大阪 | 2 | 0 | 2 | 2 |
17 | 甲府 | 0 | 0 | 0 | 3 |
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