■ 2009年のファイナル2009年のナビスコカップのファイナル。
2004年以来2度目のファイナルとなったFC東京はチーム史上、2つ目のタイトルを狙う。システムは<4-2-2-2>。GK権田。DF椋原、ブルーノ・クアドロス、今野、徳永。MF米本、梶山、鈴木達、羽生。FW平山、赤嶺。腰痛のDF長友はベンチスタート。MF石川は怪我で欠場。今シーズン限りでの退団が決定しているベテランのDF藤山がベンチ入り。
対する、は2000年、2007年に次いで3度目のファイナルとなる川崎フロンターレ。あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきた川崎Fは、悲願の初タイトルを目指す。GK川島。DF森、菊地、伊藤、村上。MF横山、谷口、中村憲、レナチーニョ。FW鄭大世、ジュニーニョ。怪我で戦列を離れていたDF寺田がベンチ入り。FW黒津、MF山岸がベンチスタート。
■ FC東京が2対0で勝利試合の立ち上がりはファイナルらしい静かな展開。
徐々に川崎Fがボールを支配し始めた前半20分過ぎに川崎FがMF谷口の飛び出しから決定的なシュートを放つ。さらに、GK権田がセーブしたボールをMF谷口がつないで、ゴール前フリーのFWジュニーニョが狙うがシュートはクロスバーを越えていった。
大ピンチをしのいだFC東京は、前半22分に思わぬ形で先制を挙げる。攻め上がったMF米本がFW平山のパスを受けて思い切ってミドルシュート。これがブレ球の強烈なミドルシュートとなって先制する。ニューヒーロー賞のMF米本のゴールで1点リード。その後はFC東京ペース。川崎Fはリズムを取り戻せないままで前半を終了した。
後半はビハインドの川崎Fが攻め込むが、後半14分にFC東京がカウンター。左サイドを突破したMF鈴木達のクロスをファーサイドのFW平山がヘディングシュート。2点リードを広げる。
2点リードを奪ったFC東京は、DF長友、DF平松、DF佐原とディフェンスに強い選手を次々に投入し、逃げ切りを図る。この城福監督の思い切った選手起用も成功し、最後まで集中を切らさず、GK権田を中心に守り切って完封。2対0で勝利したFC東京が5年ぶり2度目のタイトルを獲得した。
■ MVPは米本拓司FC東京は2対0の完勝で、2度目のナビスコカップを獲得した。
ヒーローとなったのはMF米本。川崎Fに流れが行きかけた時間帯に、一発で試合の流れを引き寄せる値千金の先制ゴールとなった。リプレーを見ると、完全な回転でのシュートであり、GK川島も懸命にセーブしようと試みたが、真正面だたっとしてもはじくのがやっと、というような難しいシュートだった。
MF米本は高校卒のルーキー。18歳の選手がこの舞台に立っている事だけでも凄いが、堂々としたプレーぶりで、大きな舞台でも結果を出せる星の下に生まれていること証明した。デビュー当時から守備的なセンスが抜群だったが、それに加えて。試合を重ねるごとに、攻撃力が備わって来た。
前半からFC東京はMF梶山がボールに触れる機会が少なかったが、逆にMF米本がボールに絡むシーンが多かった。パス捌き、ミドルシュートだけではなく、ドリブルで持ち運ぶ力があるのが魅力である。
■ GK権田修一の成長2008年の正GK塩田を欠く中、今シーズン開幕からフル出場を続けているGK権田。シーズン序盤は危ういプレーも多かったが、シーズン中盤になると正GKにふさわしい風格を備えていった。
この日の後半は、何度も川崎Fがセットプレーのチャンスを獲得したが、ことごとく、GK権田がパンチングで防いだ。思い切りのいい飛び出しでほとんどのボールをきっちりとはじいて、ピンチの芽を摘んでいった。
1989年3月3日生まれで、ロンドン世代のGKの中では経験値は群を抜く。この試合のMVPはMF米本が選ばれたが、GK権田が選ばれてもおかしくなった。
■ 平山のダメ押し弾先制ゴールも大きかったが、2点目のFW平山のダメ押しゴールも大きかった。左サイドを突破したMF鈴木達のクロスもパーフェクトだったが、最高のタイミングで飛びこんだFW平山の動きもパーフェクトで、ヘディングシュートもパーフェクトだった。
準決勝の名古屋戦の第1戦の先制ゴール、2戦目もトータルスコアで引き離すダメ押しのゴール、準決勝の清水戦の第2戦は決勝ゴール。決勝トーナメントに入って4試合で3ゴール。この決勝も1ゴール1アシスト。ナビスコカップMVPは決勝戦の結果だけで選ばれるのでMF米本に譲ったが、ナビスコカップをトータルで見ると、Fw平山がMVPでもおかしくなかった。
シーズン途中にFWカボレが抜けてフォワードの軸になって、プレッシャーのかかる立場になったが、決勝戦の舞台には大きく飛躍したFW平山の姿があった。
■ ほぼ日本人だけでつかんだタイトルFC東京はシーズン途中にFWカボレがカタールに移籍。DFブルーノ・クアドロスを除くと、他の10人は全て日本人選手。DFブルーノ・クアドロスも絶対的な存在ではなく、格となる部分は全て日本人選手が担っている。この状態で勝ち取ったタイトルに大きな意味がある。
外国人がいて悪いわけではなく、上手く能力の高い外国人を組み合わせて、どのようにチームを作るのは1つの見せ場ではあるが、スペシャルな外国人がいると、やはり日本人選手は育ちにくくなってしまう。助っ人であれば問題無いが、チームの軸になってしまうと、若手の育成にはつながらない。
そこら辺はバランス感覚が必要であるが、FC東京の場合は、FWカボレの穴を補強できなかったという事情もあったにせよ、城福監督はFW平山、MF梶山、DF今野、GK権田をセンターラインの軸とし、若い日本人の力で勝ち取ったタイトル。これは非常に価値がある。
■ ジュニーニョの逸機川崎Fは前半のFWジュニーニョが決定機を逸したのが響いた。この直後にMF米本に先制ゴールを許して、試合の流れはFC東京に移っていった。
大事な舞台になればなるほど、先制ゴールの持つ意味合いが大きくなる。一発勝負の舞台になると、少ないチャンスを決め切れるかどうかで、変わってくる。ビッグチャンスを逃したFWジュニーニョや何度か惜しいシュートを放ったFW鄭大世のストライカーとしての能力に疑いの余地はないが、何故か、大きな舞台になると決められる選手と決められない選手に明暗が分かれてくる。これは不思議である。
■ 遅かった選手交代後半14分にFW平山にゴールを許して2点ビハインドとなった川崎F。しかし、最初に交代カードを切ったのは後半25分。DF村上に代えてMF田坂を投入したが、やや関塚監督の動くタイミングは遅すぎたように思う。
FC東京のカウンターで危険な場面にさらされるシーンもあったが、基本的には、川崎Fが攻め込む時間帯であり、ベンチにはFW黒津やMF山岸も残っていた。守備的なボランチであるMF横山を外して攻撃的なカードを使ったり、MF横山を下げて3バックに変更するなど、幾つか策はあったはずであるが、そのままの状態でプレーを続けて、事態は膠着してしまった。
■ またしても初タイトルは持ち越しまたしても決勝で敗れた川崎Fは、これでナビスコの準優勝は3度目となった。ますます、初タイトルへのプレッシャーが重くかかる状態になってしまったが、1つタイトルを取れれば、あとは、意外とすんなりと行くはずなので、いかにして最初のタイトルを取るかである。
現時点で可能性が高いのは、言うまでもなく、リーグ戦のタイトル。残り4試合で勝ち点差「1」ながら首位に立っている。90分勝負の一発勝負の舞台では、またプレッシャーがかかってしまうので、今年のリーグ戦を制して、嫌な雰囲気を振り払いたいところ。
これまでのACLやナビスコでの戦いを見ていると、若干、FWジュニーニョは勝負弱い感じはあるが、他の選手は、大舞台になったとしても委縮するような選手ではないと思う。1つタイトルを取ることが出来ると、その後のチームの成長力が変わってくるという。何としてもリーグ戦を取りたい。取らなければならない。
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