■ 第25節J2の第25節。10勝6敗4分けで勝ち点「34」。5位まで順位が上がってきたコンサドーレ札幌が、函館市で京都サンガと対戦。京都は6勝9敗5分けで勝ち点「24」で14位。1年でのJ1復帰は難しい状況になるが、ここ3試合では2勝1分けと負けなし。1つずつ白星を重ねていって、中位グループに入っていきたい。
ホームの札幌は「4-2-3-1」。GK李昊乗。DF上原、櫛引、山下、日高。MF河合、岩沼、近藤、内村、砂川。FWジオゴ。室蘭大谷高校出身でルーキーのDF櫛引はリーグ戦は3試合目のスタメン出場。1993年2月生まれなので「リオ世代」となる。
対する京都は「3-4-3」。GK水谷。DF内野、秋本、森下。MFチョン・ウヨン、駒井、安藤、中山。FW伊藤、久保、宮吉。ルーキーのDF酒井は欠場。高校3年生でU-18日本代表のFW久保はリーグ戦で5ゴールを挙げている。
■ 札幌が逆転勝利試合は序盤からアウェーの京都ペースとなる。左サイドのFW宮吉が起点になって攻め込んで行くと、前半13分に先制ゴールが生まれる。左サイドからFW宮吉がクロスを入れると、中央でFW伊藤がヘディングシュート。これはGK李昊乗がセーブするが、こぼれ球をMF中山が押し込んで京都が先制する。MF中山はリーグ戦は3ゴール目。その後も、京都ペースが続き、札幌を圧倒して前半を折り返す。
しかし、後半開始早々に札幌が同点に追いつく。低い位置でボールを持ったFWジオゴがドリブルで進んで密集地帯をすり抜けると、思い切って左足でシュート。これが豪快に決まって1対1の同点となる。FWジオゴはJリーグ初ゴール。
さらに、後半22分にも、札幌はカウンターでMF砂川のパスを受けたMF近藤が京都サンガのDFを振り切ってGKと1対1になると、落ち着いて決めて2対1と逆転に成功する。MF近藤は今シーズン3ゴール目。結局、2対1で札幌が勝利し4連勝。首位のFC東京との差も「4」となって、いよいよ上位争いに参戦してきた。
■ 札幌は4連勝シーズン序盤は苦しんでいた札幌だったが、ここに来て4連勝で、一気に上位グループに追いついてきた。昇格圏内となる3位の栃木SCとの差は「3」で、4位の千葉とも「2」差になって射程圏内に入った。
ただし、前半は非常に苦労した。前節、ジェフ千葉に4対0で勝利した勢いを持続させたかったが、MF宮澤とMF高木が欠場で、中盤にMF河合を置いて、最終ラインに高卒新人のDF櫛引を起用してきたが、最終ラインや中盤で軽率なミスが多くて、京都に攻め込まれた。たくさんのピンチがあったが、2点目を許さなかったことが勝利につながった。
後半早々にFWジオゴのゴールで追いついたことも大きかった。一度、ボールを奪われそうになったがリカバーして、かなり距離のあるところからシュートを放ったが、予想外にいいコースに飛んで行ってゴールに突き刺さった。このゴールで試合の流れは大きく変わったので、値千金の一発だった。
■ MF近藤祐介が決勝ゴール追いついた後、逆転のゴールを決めたのは、日本代表候補にも選ばれたことのあるMF近藤で、今シーズン3ゴール目。たくさんシュートを放っている割には、ゴール数は伸びていないが、今シーズンは非常にコンディションがよくて、ヴィッセル神戸時代に見せていたような「力強いドリブル」が復活している。
MF近藤を、主にサイドで起用している石崎監督の采配もヒットしていて、J2のサイドバックでは、一人で止めるのは難しいので、札幌にとって、攻撃の武器になっている。プレーにムラがあって、スタミナ面に課題を残すが、ハマったときの突破力はさすがである。
■ 京都は追加点が奪えず前半は、ほぼ完ぺきな試合を見せた京都だったが、後半に2ゴールを奪われて逆転負け。今シーズン、よくあるパターンであるが、攻め込んでいるときに相手を突き放すゴールが奪えず、もつれた後半に失点して勝ち点を取りこぼす展開が続いている。
ようやく大木監督のサッカーも浸透しつつあって、アタッキングサードまではスムーズにボールを運べるようになっているが、最後のところで精度を欠くシーンが多く、もう一段、レベルアップする必要があるだろう。きれいに崩すシーンもあるが、きれいに崩そうとしすぎている傾向もある。試合の流れを読むことの出来るベテランが一人でもいると、落ち着いた試合ができるだろうが、そういう選手はいないので、苦労している。
■ 10代のトップこの敗戦で、京都は、6勝10敗5分けで勝ち点「23」。3位の栃木SCとの差は「17」に広がっているので、昇格は絶望的になっているが、若いタレントが次々に出てきており、チームとしては、明るい未来を感じさせる。
象徴的なのは「10代の3トップ」である。右サイドのFW伊藤は18歳、左サイドのFW宮吉は19歳、中央のFW久保は17歳の高校3年生である。3人とも、サンガの下部組織出身であるが、中盤でドリブラーのMF駒井も含めて、この世代はタレントが集中していて、うまくいくと、近い将来、J1の舞台で、旋風を巻き起こせそうなくらいのポテンシャルを秘めた選手が揃っている。
注目もFW久保は、U-18日本代表の大会から戻ってきたばかりであるが、スタメンで起用されて後半29分までプレーした。前半の決定的なヘディングシュートをクロスバーに当ててしまってゴールに結び付けられなかったのはマイナスであるが、高いテクニックで前線の起点になった。高校生なので、体はできておらず、プロの試合では「力強さ」に欠けているが、正確な技術はプロの試合でも目立っている。
また、プラチナ世代の一人であるFW宮吉も、好プレーを見せた。高校1年生のときにプロデビューし、バイエルンのMF宇佐美やアーセナルのFW宮市といった選手と若年層の代表でプレーし、将来を期待されていたが、ここ最近は怪我もあって苦しんでいて、思うような活躍ができていないが、この試合では、左のウイング気味のポジションでプレーし、正確な技術を披露した。身体能力が特段に優れているタイプではないが、プレーが正確であるところが魅力で、J2で試合経験を積んで、結果を残してほしいところである。
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