■ J2の開幕戦J1に続いてJ2も開幕。昨シーズンはプレーオフの決勝まで進んだが、最後の最後に大分のFW林に決勝ゴールを決められて2009年以来のJ1復帰を逃したジェフ千葉は、ホームのフクアリでコンサドーレ札幌と対戦した。札幌は2012年はJ1で戦ったが4勝28敗2分けという成績で1年で降格となった。こちらは財前監督が就任して新しいスタートを切った。
ホームの千葉は「4-2-3-1」。GK岡本。DF高橋峻、竹内、山口智、キム・ヒョヌン。MF兵働、佐藤勇、米倉、谷澤、ジャイール。FWケンペス。ちば銀カップの柏戦はFW谷澤の1トップだったが、C大阪から加入のFWケンペスが1トップで起用されて、MF谷澤がトップ下で、MFナム・スンウはベンチスタートとなった。FWケンペスは昨シーズンは27試合で7ゴールを挙げている。
対するアウェーの札幌は「4-2-2-2」。GK杉山。DFチョ・ソンジン、櫛引、奈良、松本。MF上里、河合、古田、神田。FW内村、テレ。2012年のJユースカップを制覇したときの札幌U-18の中心だったルーキーのMF神田がスタメンに抜擢されて、左サイドハーフに入る。また、左SBも東洋大出身のレフティのDF松本がスタメンで起用された。DF松本も札幌U-18出身で出戻りとなる。
■ 札幌がアウェーで白星試合はホームの千葉がボールを保持する時間が長くてやや優勢で進むが、札幌も悪くない試合の入り方をして、まずまずの戦いを見せる。前半に目立ったのは、ルーキーのMF神田で、左サイドの位置で積極的にボールを受ける動きを見せて、攻撃に絡んでいく。一方の千葉は、左サイドのMFジャイールのところからチャンスを作るが、ゴールは生まれず。0対0で前半を折り返す。
後半になると、札幌の動きが落ちてきて、千葉が攻め込む時間帯が長くなる。ボランチのMF兵働を起点にして攻撃を仕掛けるが、MF谷澤やMF米倉あたりがボールに絡めず、分厚い攻撃は見せられない。劣勢となった札幌だったが、後半途中にMF岡本やFW前田を投入すると盛り返してきて、後半30分あたりから、再びゴール前のシーンを作り始める。
すると後半ロスタイムに相手のボールをカットしてカウンターを仕掛けると、途中出場のベテランのMF砂川の絶妙のラストパスを受けたFW内村が相手のマークを外してから右足で決めて土壇場で先制ゴールを挙げる。結局、試合は1対0でアウェーの札幌が勝利して白星スタートとなった。一方の千葉は、どちらかというと押し気味の展開だったが、決め手を欠いてゴールを奪えなかった。
■ 財前監督は初勝利を挙げる千葉は昇格候補の1つと言われているのが、札幌はオフにレギュラークラスの何人かが抜けたので、戦力が落ちている。ユース出身の18歳や19歳や20歳の選手に頼らざる得ない状況になっているので、「千葉が有利」という見方が一般的だったが、事前の予想を覆す勝利を手にした。経験の少ない選手が多いので、アウェーで千葉に勝利したことで、大きな自信を手に入れたはずである。
今シーズンから財前氏が監督に就任したが、財前監督は現役時代は日産などでプレーした経験を持つ。ただ、どちらかというと、弟の財前宣之氏の方がメジャーで、「財前の兄」と呼ばれることの方が多い。トップチームの監督経験は無くて、それほど名の知られた指導者ではないので、開幕前は不安の声は大きかったが、最高のスタートを切った。
昨年までは、どちらかというロングボールが多くて、パスを回すスタイルではなかったが、財前監督になってから、ボールを大事にすることを意識しているようで、低い位置からボールをつなごうとする意図が感じられた。DF奈良にしても、DF櫛引にしても、フィードのできる選手であり、中盤にも、テクニックのある選手がいるので、こういうスタイルの方が今のチームには合っているように思われる。
■ 積極的なプレーを見せたMF神田高卒ルーキーでいきなりスタメン起用されたMF神田は、立ち上がりから思い切りのいいプレーを見せた。ユースの試合でも目立っていた選手で、年代別の代表にも呼ばれるような選手であるが、ボール扱いが巧みで、いいところにいいタイミングで顔を出すことができる選手である。千葉のプレスの早さに戸惑って、ボールを失うシーンもあったが、デビュー戦としては、まずまずと言える。
決勝ゴールは途中出場のMF砂川のアシストからFW内村がネットを揺らしたが、MF砂川の絶妙のパスが光った。後半41分にMF古田に代わって投入されたので、ピッチに入って間もない時間帯だったが、柔らかいパスを出して、決勝ゴールをお膳立てした。若手中心のメンバー構成になっているが、MF河合あるいはMF砂川といったところは、相変わらずのツボを押さえたプレーを見せた。
メンバーを見ると1.5列目や2列目タイプの層が厚くて、MF古田、MF岡本、MF神田、FW内村、FW前田、MF榊がいるので激戦区と言えるが、弱さを感じるのは、センターフォワードである。この試合は186センチのFWテレが起用されて、まずまずのプレーを見せたが、23歳のFWテレがさらにレベルを上げて、ゴール前で存在感を発揮するようにならないと、得点力不足に苦しむことになるだろう。
とは言っても、予想以上にいいチームに仕上がっており、プレーオフ争いに加わってくることは十分に考えられる。若い選手が多いので、J2で試合経験を積んで、急激に伸びてくる選手が何人か出てくることは確実なので、侮りがたいチームであり、今シーズンのJ2のダークホース的な存在になるかもしれない。2012年は厳しいシーズンとなったが、一転して、期待の膨らむ開幕戦となった。
■ MFジャイールを生かせず・・・一方の千葉は、プレシーズンマッチの柏戦は出来が良かったので、期待は高まっていたが、メンバーを入れ替えたことが裏目に出てしまった。MFジャイールは左サイドで存在感を発揮したが、1トップで起用されたFWケンペスは前線で起点となるプレーはできず、柏戦で活躍したMF谷澤とMF米倉の2人も存在感を示すことはできなかった。
今シーズンの千葉の攻撃陣は、MFジャイールが中心になるのは、間違いないところである。本格派のストライカーかと思ったが、どちらかというと、左サイドでプレーすることを好むタイプで、圧倒的なスピードを持ったスペシャルなタレントである。札幌の方も、MFジャイールに対しては、2人でチェックするようにしていたが、それでも、何とかしてしまうだけのポテンシャルを持っている。
また、味方を使おうとする意識も高くて、アシスト能力も高そうな選手である。CKを蹴ることもあるが、クロスの精度も高くて、二桁ゴールはもちろんのこと、アシストも二桁は楽にクリアしそうな選手に思えるが、この日は、MFジャイールにボールが集まらず、その力を最大限に利用することはできなかった。したがって、宝の持ち腐れになってしまったところはある。
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