■ 唯一の番狂わせ天皇杯ベスト16入りを賭けたジェフ千葉とコンサドーレ札幌の対戦。土曜・日曜に行われたカードでは、全てJ1勢が勝利して、下克上はなかったが、ナビスコカップの影響もあり準備不足の千葉と、J1昇格という目標を失って天皇杯にかけるしかない札幌の対戦は、最も番狂わせが起こりやすいカードかもしれない。
試合は、前半から札幌が意欲的なプレーを見せて、ホームの千葉を慌てさせる。局面局面での1対1でも決して劣勢になることはなく、優勢で前半を終えた。そして、後半21分、左サイドの西谷のピンポイントクロスを相川がヘディングシュートで決めて先制。その後も前がかりになる千葉に対して、カウンターで何度もチャンスを作った。追加点は奪えなかったが、守備陣が千葉の攻撃を無失点に抑えて完封。1対0で勝利し、J2勢では唯一のベスト16入りを決めた。
■ コンスタントな活躍を見せる砂川ナビスコカップを獲得し、ホッと一安心という気分だったのか、千葉はいつものプレーが出来なかった。そして、見事な戦い方を見せた札幌の前に敗れ去った。
札幌には、フッキ・西谷・曽田・加賀ら、個性の強い選手が多く、バラエティにとんだメンバー構成だが、ここで取り上げたいのは、MFの砂川。この選手は、いつも高みで安定したプレーを見せる。この選手を一言で表すと、センスのあるプレーヤーということになる。攻撃のときはいつもいいポジションに入ってきて、シュートチャンスに絡む。もちろん、献身的なプレーも厭わない。若い選手が多い中、J1昇格に向けて、砂川の経験は貴重。チームを牽引する存在である。
■ フッキが1ランク上のプレーヤーになるために・・・注目のFWフッキだが、この日は、いつもJ2で見せている次元のプレーは出来なかった。千葉は、水本(途中から阿部)がフッキにマンマークで対応したが、フッキに自由を与えなかった。対応のうまさに関して言うと、さすがにJ1とJ2は少し違うなといったところか。
監督の柳下監督も語っていたように、フッキがもっと周りをうまく使えるようになれば、もっと怖い選手になるだろう。ドリブルだけでなく、パスセンスも兼ね備えているフッキだけに、もう少し、周りの選手と連携が取れるようになれば、もう1ランク上のプレーヤーになれる。
■ 来シーズンこそは・・・今シーズンの初めに、コンサドーレ札幌をJ2の優勝候補筆頭に挙げたが、その期待は見事に裏切られた。ただ、この試合でも示したように、チームとしての潜在能力は高い。どう考えても、J2で中位にとどまるような戦力ではない。来シーズンこそ、J2を勝ち進んで昇格を果たさなければならない。
来シーズン以降も、柳下監督・フッキ・砂川・加賀といったコアメンバーが全員チームにとどまることが大前提になるが、このチームがもっと成熟されていけば、J1でも中位グループに入れるだけの潜在能力があるチームだと思う。今シーズンは、期待された成果(=J1昇格)を残すことは出来なかったが、方向性は間違っていない。北海道の人には、日本ハムだけでなく、コンサドーレ札幌に対しても、十分なサポートをしてもらいたい。それだけの価値のある、内容のあるサッカーをしている。
■ クルプニコビッチへの違和感敗れた千葉だが、代表選手も多く、夏場以降は超過密な日程だったことも考慮すると、仕方ないという気もする。
ただ、FWハースがいないと、攻撃にアクセントがつけづらく、単調になりがちなのは、シーズンを通して変わらなかった。ハース不在のときは、巻の1トップで、その下に羽生とクルプニコビッチを置くシステムを採用しているが、なかなか、かみ合わない。クルプニコビッチは、いい選手であるが、どうも、千葉のサッカーには合っていないような感じで、違和感を感じる。
理論上は、巻・羽生・クルプニというトリオは、補完性もあっていいトリオだと思うが、思い通りに事が進まない。これもまた、サッカーの面白さといえるのか。
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