1 宇佐美貴史 (ガンバ大阪) 1992年5月6日生まれ 攻撃的MF
今の宇佐美をデフォルメで表現すると、「5分に1回だけボールに触って、10分に1回の割合で決定的な仕事をする選手。」という感じであろう。ボールを持ったときのプレーは、確かに物凄いとしか言いようがないが、肝心の試合に参加している時間帯が少なく、この日も、特に前半は、不十分であった。また、前半と後半でプレーが劇的に変化したように、安定して高レベルのプレーを続けるだけの力は無いようである。
ただ、間違いなく可能性のある選手ではある。これは、断言できる。ボクは、彼については、「将来の日本サッカー界を背負って立つだけの可能性をもつ逸材」というよりは、「将来の日本サッカー界を背負って立ってもらわなければ困るだけの逸材」であると認識する。それだけ、スペシャルな選手であると考える。
確かに、まだ、中学生であり、過剰な期待は禁物であるが、やはり、期待せずにはいられない。彼をワールドクラスのアタッカーに育て上げることは、これからのガンバ大阪と日本サッカーの大きな使命であると思う。
「スターシステム」と呼ばれて、若い選手をことさら持ち上げようとすることは基本的には毛嫌いされているが、問題なのは、持ち上げるだけ持ち上げて、結果が振るわないとスポイルしてしまいがちな姿勢であって、有望な選手を取り上げて期待をかけて見守っていくこと自体は、別に、間違っていない。
教育の現場では、「特別扱い」することは問題視されるが、サッカーにおいては、特別な才能をもった選手に対して、「特別扱い」することは、まったく問題ではないだろう。(2007年8月11日)
0684 2007/08/11 【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記 #14)
2 内田達也 (ガンバ大阪ユース) 1992年2月8日生まれ センターバック
事前に、予備知識があったのは、実は、2人だけで、その1人が、DF内田達也(G大阪Y)である。彼も、U-18の日本クラブユース選手権の決勝戦に出場している選手であり、高校1年生ながら、将来のG大阪を背負って立つDFという評判の選手である。
実際にそのプレーを見て、試合後は、「その評判に偽りなし」という感想を持った。とにかく、USA代表チームが、CBの内田のところを集中的に狙って攻撃しているかのような錯覚を覚えるくらい、クロスボールもクサビのパスも、すべて内田がカットして、USAの攻撃を阻止した。
タイプとしては、ストッパータイプいうよりは、ラインコントロールをしながら、危険なエリアを監視するスイーパータイプなのかもしれない。したがって、同じG大阪ユース出身の宮本恒靖を彷彿とさせた。クレバーさが光った。
しかしながら、彼は、まだ、高校1年生。今は、177cm60Kgという体格だが、仮に、あと5cm身長が伸びたとしたら、空中戦でも、地上戦でも問題なしの、とんでもない、CBになりそうである。それほどのポテンシャルを秘めている。(2007年8月11日)
0684 2007/08/11 【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記 #14)
3 大塚翔平 (ガンバ大阪) 1990年4月11日生まれ フォワード
G大阪の方では、やはりFW大塚翔平。スーパー中学生のMF宇佐美貴史と司令塔役のMF安田晃大という攻撃のタレント2人を欠く中で、前半の出来は平凡だったがで、後半に入ると、さすがに世代別代表のレギュラープレーヤーである、ということを印象付けた。
2006年のアジアユースや2007年のU-17世界大会のときのイメージは、1トップ気味のポジションで前線に張り付いて基点になるようなプレーが多かったが、この試合では、もっと自由に動いて、チャンスメークも行った。当たり前のことだが、代表でのプレーはプレッシャーも大きく、なかなか楽にはプレーすることは出来なくて苦戦も強いられたが、国内の大会であれば、ある程度は、落ち着いて良さ発揮することが出来る。
城福ジャパンにおける印象は、オールラウンドなプレーヤーではあるがやや特出した武器に欠ける選手だという印象をもったが、この試合を見る限り、特別な才能を持った選手であることを感じた。特に、先制点を奪われたあとに、グレードを上げたプレーを見せたことは、この選手をポジティブに感じた要因である。(2007年12月22日)
0877 2007/12/22 【サハラカップ:G大阪ユース×柏U-18】 ファイナルを目指して・・・ (生観戦記 #21)
4 原口元気 (浦和レッズ) 1991年5月9日生まれ フォワード
そのFW田中に代わって途中出場したのが、レッズ期待のスーパープレーヤーであるFW原口元気。1991年5月9日生まれの高校2年生である。この試合は、小学生時代から将来を嘱望されてきたFW原口のトップチームデビュー戦となった。
そのFW原口は1点を追う後半17分から登場。いきなり、左サイドでボールを受けて、素早い加速からDFバヤリッツァをドリブルでかわしてゴールに迫るなど、才能の片りんを見せた。スピード感あふれるドリブルと柔らかいボールタッチを見ると、さすがに大物感を感じずにはいられなかった。
ただ、見せ場といえるのはこのシーンのみで、その後は、なかなかボールに触れられずに終わった。とはいえ、トップチームで出場できたことは大きな経験であり、焦らずに着実に力をつけてほしい。
浦和レッズには、DF闘莉王やDF阿部、FW高原らスター選手が多いが、自前のユース育ちの選手はDF堤くらいで、育成に関しては大きく遅れをとっているのが現状である。世界的にみても、ビッグクラブと呼ばれるクラブは、育成能力にも長けていて、ユースチームからそのクラブのシンボルと呼べる選手が数多く生まれている。
だから、FW原口元気にかかる期待は、並大抵のものではない。大きな期待をプレッシャーに変えてしまうのか。それとも、エネルギーに変えていけるのか?大きな別れ道となる。素材は申し分ない。(2008年5月26日)
1076 2008/05/26 【ナビスコ:名古屋×浦和】 巻佑樹は兄を超えるか?
5 菊池大介 (湘南ベルマーレ) 1991年4月12日生まれ 攻撃的MF
8月に行われたSBSカップの日本代表で高校2年生のMF菊池大介は、この試合は右の攻撃的でプレー。前回(2008年7月27日)のロアッソ熊本戦でJ2最年少記録(17歳3ヶ月15日)となるプロ初ゴールをマークしている同じ熊本が相手だったが、この試合は不発に終わり、後半24分に退いた。
2007年の7月7日に16歳2ヵ月25日でJリーグデビューした逸材MFは、怪我で離脱中のMFアジエルの穴を十二分とは言わないまでも十分には埋めていたが、さすがに同じ相手に同じようにやられるわけにはいかない熊本ディフェンスの意地が優った。
残念ながら、この試合は不発に終わったが、彼の未来が明るいことには変わりはない。シルクのようなボールタッチを生かした流れるようなドリブル突破は絶品で、次回のU-19日本代表の主力となることが期待される。
高校2年生ということで、まだ、常時、試合に参加出来ているわけでは無いが、1試合に2度、3度と輝くようなプレーを見せる。このまま、チームで試合に出続けることができれば、コンスタントに活躍するようになるのは間違いない。(2008年10月19日)
1210 2008/10/19 【湘南×熊本】 菊池大介 17歳 (生観戦記 #13)
6 槙野智章 (サンフレッチェ広島) 1987年5月11日生まれ センターバック
「ドリブル数」や「クロス数」が少ない理由と考えられるのは、「ハイレベルなボールも人も動く流れるようなサッカーをベースにしていたので、攻撃のときに1人が無理なプレーを選択する必要性が低かった。」と見るのが正しいだろう。
ただ、どうしても攻撃の流れが停滞するときはある。そうなったとき、膠着状態を打開するのが、DF槙野智章の仕事である。3バックのストッパーが基本ポジションながら、ドリブル数はチーム内トップの「62」。チーム2位のFW佐藤寿人と比べると、倍近い数字である。世界中を探してみても、ストッパーの選手がチーム内でもっとも多くドリブルを仕掛けているクラブは、サンフレッチェ広島以外には無いだろう。
すでに広島はJ1昇格を決めており、来シーズンは、J1の舞台で再び、プレーすることになるが、そのアグレッシブなスタイルを貫くことができれば、きっと、DF槙野智章は日本トップクラスのディフェンダーとなって、多くの興奮をスタジアムにもたらすだろう。(2008年10月27日)
1219 2008/10/27 DF槙野智章が破壊する既成概念と常識
7 石井秀典 (モンテディオ山形) 1985年9月23日生まれ センターバック
DFラインでは、明治大学出身の新人DF石井秀典が2試合ぶりの先発出場。今シーズン13試合目のスタメンとなったが、DFレオナルドと組んで固い守備組織を築いた。
DF石井は市船出身。1985年生まれで、磐田のFWカレンや京都のDF増嶋とは同級生となる。明治大学でも主将として活躍し、昨年の天皇杯でも光るプレーを見せた。即戦力という前評判であったが、その通りの活躍を見せている。
180cmとDFとしては大きくはないが危険なエリアを察知する能力が高く、攻撃でもビルドアップのセンスがあるので、攻撃の起点になることができる。経験を積んでいけば、今後、数年に渡って、山形のDFラインを支える存在となるはずである。(2008年6月28日)
1112 2008/06/28 【湘南×山形】 切り札の宮崎光平
8 ハーフナー・マイク (横浜Fマリノス) 1987年5月20日生まれ フォワード
横浜Fマリノスからレンタル移籍中のFWハーフナー・マイクは今シーズン途中からレギュラーポジションを獲得し、26試合に出場して7ゴール。FW大久保とのツインタワーでまずまずの結果を残した。
横浜FM時代は終盤のパワープレー要因の域を出なかったが、福岡に来てスタメンでプレーするようになって、プレーに余裕と幅が出てきた。以前は、なかなか194cmの高さを生かせないもどかしさを感じさせたが、試合に出続けることで圧倒的な高さが生きる場面を多く作れるようになった。
フィジカル的には成熟していないが、足元は比較的柔軟で、ポストプレーでもリーチの長さが生きる場面も多くなった。まだまだ、素材の段階だが、福岡で経験を積めたことは大きい。(2008年12月14日)
1271 2008/12/14 【福岡×湘南】 布部陽功の最期
9 狩野健太 (横浜Fマリノス) 1986年5月2日生まれ 攻撃的MF
FW狩野は2ゴール1アシストの活躍で、チームの全得点に絡む大活躍を見せた。同ポジションには、ようやく怪我から復帰したMF山瀬功が控えるが、この日のパフォーマンスを見ると、木村監督がMF山瀬功のスタメン復帰に慎重なのもよく分かる。
確かに、MF山瀬功ほどの突破力は無いが、ともすると、1人でやりきってしまうプレーが目立つMF山瀬功に対して、FW狩野の方が、周りを生かすプレーに長けていて、周りとのコンビネーションも優れている。
一瞬で相手を出し抜くプレーや柔らかいラストパスからは、ファンタジスタの香りが漂ってくるが、実のところ、最近の日本サッカー界ではなかなか現れなかったタイプの選手であり、MF梅崎司、MF香川真司、MF金崎夢生といったアタッカータイプの選手とは、一味違った魅力を持つ。マスコミ報道では、セルティックのMF中村俊輔を獲得するのではないかと言われているが、この日のFW狩野のプレーを見れば、それは必要ないのかもしれない。(2008年10月25日)
1216 2008/10/25 【柏×横浜FM】 新ファンタジスタ・狩野健太
10 水沼宏太 (横浜Fマリノス) 1990年2月22日生まれ 攻撃的MF
日本代表の選手の中で光った選手を挙げると、まずMF水沼の名前が挙げられる。右サイドハーフのポジションで攻守に渡って高い貢献を見せて、なおかつ2ゴールと結果も残した。
FW柿谷とともに2007年のU-17代表の主力であったMF水沼は、FW柿谷ほどのテクニックは無いが、そのプレーの実効性ではFW柿谷ら同年代の選手を凌駕する。中盤の層の薄くない横浜FM所属にもかかわらず、リーグ戦で8試合に起用されており、18歳にして戦力の1人になっている。
派手なプレースタイルでは無いため見過ごされがちだが、この年代にして、これだけ成熟したプレーができる選手は珍しい。チームの中心として働くタイプの選手では無いが、このクラスのバイプレーヤーがいるチームは、それだけで強みになる。
こういうタイプの選手は、試合に使われれば使われるほど力を発揮するタイプであり、高いレベルに加わっても十分に順応できるだろう。来シーズン以降、横浜FMでどれだけ出場機会が得られるかは分からないが、トップチームでも起用すれば、それだけの結果を残すのではないか。(2008年11月1日)
1223 2008/11/01 【U-19日本×U-19イエメン】 大人びたプレーを見せる水沼宏太
11 柴崎晃誠 (東京ヴェルディ) 1984年8月28日生まれ ボランチ/攻撃的MF
後半は千葉のMF工藤浩平に中盤を支配されることになったが、前半は東京ヴェルディのMF柴崎晃誠がオーガナイザーとして素晴らしい働きを見せた。1ボランチのMF那須大亮をサポートすべく中盤の右サイドに入ったMF柴崎晃誠は、正確なダイレクトパスとキープ力で巧みに中盤を構成した。
東京ヴェルディというと、ベテランとブラジル人選手の組み合わせで主力が構成されており、若手選手になかなか出番が回ってこないことが多いが、1984年生まれのMF柴崎晃誠は新時代のチームの軸になりうる。(2008年10月20日)
1211 2008/10/20 【千葉×東京V】 巻誠一郎という男 (生観戦記 #14)
12 巻佑樹 (名古屋グランパス) 1984年6月26日生まれ フォワード
特に、出色の出来だったのが、大卒2年目のFW巻佑樹。どうしてもFWヨンセンがいると出番がなかなか回ってこず、今シーズンもリーグ戦では3試合しか出場機会が巡って来ていないが、FWヨンセンの離脱中に先発フル出場し、1ゴール1アシストで、計3ゴールに絡む大活躍を見せた。
圧巻はチーム3点目のゴールとなったボレーシュートで、左サイドからイージーではないクロスが上がってきたが、思い切ってシュートを狙うと、強烈にネットを揺らした。
ゴールシーン以外でも、柔らかいボールタッチで前線でしっかりとボールをキープし、味方の攻撃参加を促した。兄は言わずと知れた日本代表FW巻誠一郎であるが、弟も無骨なタイプかと思いきや、もっと繊細で、ターゲットマンとしての才能は優るとも劣らないものを持つ。
際立つのはボールを受けた瞬間には、既にいくつもの次のアイディアを備えており、イマジネーションも豊かである。4点目のFW津田のゴールにつながったプレーは、彼のポストプレーヤーとしての秀でた才能の一端を示している。もちろん、浦和のDFは日本代表組が欠けており、出来すぎの感もあるが、とにかく、FWヨンセンのバックアッパーとしては、十分すぎるほどの能力を持つということを示した。(2008年05月26日)
1076 2008/05/26 【ナビスコ:名古屋×浦和】 巻佑樹は兄を超えるか?
13 松浦拓弥 (ジュビロ磐田) 1988年12月21日生まれ 攻撃的MF
ヒーローは2ゴールを挙げたMF松浦。ドリブルがキレキレでゴール前で2つの大きな仕事をして見せた。圧巻だったのは2点目のドリブルシュートで、ほとんどサポートの無い状況にも関わらず、相手3人のマークをものともせず、ゴールに突進した。運動量やスピードもあって、今後が非常に面白い存在といえる。
入替戦で磐田が挙げた3ゴール全てを挙げたMF松浦はまだ19歳。ただ、1988年12月生まれということで、残念ながらギリギリでロンドン世代には当たらない。(2008年12月13日)
1270 2008/12/13 【入替戦:磐田×仙台】 踏みとどまった常勝軍団
14 小川佳純 (名古屋グランパス) 1984年8月25日生まれ 攻撃的MF
試合を決める2アシストの活躍を見せたのがMF小川佳純。前半32分のFWヨンセンのゴールは完全にMF小川の個人技が生み出したファインゴールだった。FWヨンセンのポジション取りも見事だったが、それ以上に横浜FMのMF田中をテクニックでかわしてタッチライン際まで切り込んだ技術が光った。
彼には特別に優れた技術や身体能力があるわけではないが、意外性があって、誰にも予想のできないようなスーパープレーを見せることがある。この大胆さが魅力であって、計算の出来る選手ではないが、チームに爆発力を与えることが出来る。
昨シーズンは、その積極的な姿勢がチームのリズムを壊す危険性も備えていたが、新しい監督となって開幕からチームが好スタートを切ったこともあって、積極性がいい方向に流れている。(2008年4月6日)
1007 2008/04/06 【名古屋×横浜FM】 破竹の4連勝
15 藤田祥史 (大宮アルディージャ) 1983年4月13日生まれ フォワード
先制ゴールのFW藤田はこれでリーグ戦11試合で6ゴール。昨シーズン終盤の怪我の影響もあってスタメンに復帰したのが第8節以降とかなり出遅れたが、以後はハイペースでゴールを量産している。昨シーズンは日本人最多の24ゴールをマークしたが、今シーズンはそれを上回る可能性もある。
ストライカーとして完全に開花したFW藤田だが、運動量も豊富で、献身的なスタイルは相変わらず。4点目のFW石田のゴールも、FW藤田の頑張りがゴールに結びついた。
185cmという高さに加えて、左利きという利点を持ち、さらには献身的プレーも厭わないターゲットマンタイプと来れば、昨シーズンからの実績を考えて、当然、日本代表に推す声が上がったとしても不思議ではない。ポストプレーに関してはまだまだ向上の余地はあるが、もっとも層の薄い手薄なポジションであり、試すべき価値のある選手だろう。(2008年5月29日)
1078 2008/05/29 【徳島×鳥栖】 藤田祥史の日本代表入りの可能性
16 河原和寿 (栃木SC) 1987年1月29日生まれ フォワード
敗れた新潟だが、途中出場のFW河原のプレーには驚かされた。U20日本代表の中心選手である河原に対しては、「オールラウンドに何でもこなす万能選手だが、それほどのポテンシャル(将来性)は感じない。」という評価を下していたが、その考えは、完全に誤りだったと認識するほかない。
ゴールに向かう積極性が格段に向上し、自ら仕掛けていってシュートを放つシーンが10分あまりの出場時間の中で3度。その全てが、可能性を感じさせるプレーだった。セカンドストライカータイプの選手が不足している五輪代表への抜擢も検討すべきではないかと考える。(2007年3月18日)
0533 2007/03/18 【名古屋×新潟】 ヨンセンという武器
17 水野晃樹 (セルティック) 1985年9月6日生まれ 右サイドハーフ
この試合でも、1得点1アシストを挙げた水野。今シーズンの水野は、昨シーズンまでの水野とは一味違っている。
もともと、高い素質をもっていたものの、能力の生かし方を十分に心得ておらず、からまわる試合や消えてしまう試合も多かった。しかし、今シーズンは、五輪代表での試合も含めて、高いレベルで安定したプレーを見せている。
この日は、対面した横浜FCの中島崇典が守備に難がある選手(※ 中島は、攻撃面は素晴らしい左足のキックを持っている。非常に、見所の多い選手である。)だったこともあり、完全に右サイドを支配した。この試合で水野が挙げたクロスは、いったい何本だったのか、数えるのに苦労するほどだった。(2007年4月8日)
0557 2007/04/08 【千葉×横浜FC】 階段を駆け上がる水野
18 扇原貴宏 (セレッソ大阪ユース) 1991年10月5日生まれ 左サイドバック
C大阪は高校2年生でチームキャプテンのDF扇原貴宏がスタメンに復帰。U-17日本代表でもプレーするDF扇原は181cmの長身レフティ。U-16日本代表時代には日本代表の背番号10を背負う攻撃的MFだったが、ポジションが下がって、C大阪U-18でのポジションは左サイドバック。
前半31分のMF山口の先制ゴールは、彼の正確な左足のロングフィードから生まれたゴールであり、DF扇原のようなスキルフルでかつ大型のサイドバックは日本では非常に珍しい。このタイプの選手がディフェンスラインにいることで、ボール回しは安定し、相手にプレスをかけられても、簡単に前に蹴り出す必要はなくなる。
やや線の細さは気になるが、現在、高校2年生。再来シーズンのトップチームへの昇格は間違いないところであり、もう1年、ユースで経験を積めば、最終ラインの選手としての経験値も増すだろう。この日は、何人もの逸材がピッチ上で躍動したが、最も希少価値が高いタイプの選手である。(2009年1月10日)
1299 2009/01/10 【G大阪Y×C大阪U-18】 逸材たちの競演
19 乾貴士 (セレッソ大阪) 1989年3月17日生まれ 攻撃的MF
C大阪は1トップ下で起用されたMF乾とMF香川の同級生コンビがともに2ゴール1アシストの活躍。この二人のコンビネーションは抜群で、随所でイメージがシンクロし、ビッグチャンスを作った。
6月17日に横浜Fマリノスからレンタルで加入したMF乾は、これで24節から15試合連続スタメンを果たし、その間、5ゴール4アシストの活躍を見せている。2007年に横浜FMに加入して以降、なかなか出場機会に恵まれずに苦しんできたが、ようやく、レンタル先で才能が花開いた。
加入当初は、オープンな展開でしか攻撃的な良さを発揮できず、消えてしまう試合も少なくなかったが、試合を重ねるごとに改善されていって、好不調の波も少なくなってきた。
様々な見方ができるが、おそらく、横浜FM在籍のままであったならば、この時期に、これだけの活躍は出来なかっただろう。もちろん、レベルが一段下のJ2リーグに移籍したという理由もあるが、MF山瀬功、MFロペス、MF狩野ら同ポジションにタレントのいるチームでは、これだけ、継続して試合に出場し続けることは困難であり、早急に結果を求められる状態が、彼のドリブルのセンスやひらめきを封印した。(2008年10月23日)
1214 2008/10/23 【鳥栖×C大阪】 成長を続ける乾貴士と香川真司
20 香川真司 (セレッソ大阪) 1989年3月17日生まれ 攻撃的MF
特に目立つのは、左の攻撃的MF香川である。とにかく、ドリブルの切れ味は、尋常ではない。フィジカル的に恵まれているわけでもなくて、特別にスピードに優れているわけではないが、相手DFと1対1になれば、ほとんどの場合で、局面を打開できる。
脅威なのは、左サイドから、縦に抜けてクロスを上げることも出来るし、中央に切れ込んで自らシュートも打てる点である。DFとしては、ファールで止めるしか策がなかった。
この選手は、まだ18歳であり、飛び級でU20の世界大会(カナダ大会)に出場したが、2012年のロンドン五輪の代表チームの出場資格も持っている。
これまで、日本にも、多くのドリブラーが誕生したが、いずれも、攻撃能力に特化したタイプの選手であり、守備に難点があったり、運動量が乏しかったり、状況判断能力に問題があったりしたものだが、香川に関しては、そういう欠点がまったく見当たらない。したがって、まったく新しいタイプのドリブラーといえる。
同じ、U20代表だった、MF梅崎やMF柏木が、すでにA代表に選出された経験を持つということを考えると、香川も、早い段階で、A代表に呼ばれたとしても、まったく不思議ではない。脅威の18歳である。(2007年9月9日)
0726 2007/09/09 【福岡×C大阪】 新しいタイプのドリブラー