■ J2の22クラブのインターセプト数 先日のエントリーで、J1の18クラブのインターセプト数をピックアップしたが、今度は、J2の22クラブのインターセプト数に着目したいと思う。こういった「スタッツ」であったり、「インターセプトというプレー」に関する考え方などは、J1編のときに触れているので、改めて触れることはしないが、選手個人やクラブ全体のパフォーマンスと能力をフラットに評価することができる指標の1つと言えるだろう。
数字はエルゴラッソの「J2リーグ総集編2013」から拝借している。定価は1,100円(税込)なので「やや高額」であるが、シーズンの振り返りだけでなく、様々なデータが記載されている。(別に「J1リーグ総集編」も発行されており、この本はJ2オンリーである。)引退したMF服部(FC岐阜)のインタビュー記事もなかなか興味深いものがあったが、数字やデータを交えて深くサッカーを考えたい人にはおススメできる。
→ 2014/01/14
数字で楽しむJリーグ (インターセプト編) (前編) → 2014/01/15
数字で楽しむJリーグ (インターセプト編) (後編)■ クラブ別の1位は京都サンガまずはクラブ別である。表1は上位11チームを書き出しているが、1位は京都で165回、2位は神戸で164回、3位は北九州で151回、4位は松本山雅で146回、5位は岡山で145回、6位は札幌で144回となっている。J2は計42試合なので、1試合平均は京都が3.93回/試合となる。J1の1位は新潟で4.12回/試合なので新潟よりは下となるが、J1で2位だった広島(=3.74回/試合)よりも上となる。
「ハイ・プレッシャー」で旋風を巻き起こした新潟がJ1でダントツ1位だったのは納得できるが、京都に関しては、新潟ほど激しいプレスをかけていたという印象はない。ただ、2013年のJ2の中でもっともコンパクトなサッカーを志向しているチームであり、チームメイトとの距離が近いので、ボールを失った後も、効率的にプレスをかけてボールを奪い返すシーンが多かったと考えられる。
2位の神戸は何と言ってもボランチのMFエステバンの存在が大きい。新潟にはMFレオ・シルバがいるが、ボール奪取力の極めて高いボランチがいると、周りの選手もインターセプトがしやすくなる。新潟はMFレオ・シルバのインターセプト数よりも、その周りでプレーしたMF田中亜、MF成岡、MF三門の本数の方が多かったが、神戸もMFエステバンの周りでプレーする選手が恩恵を受けていると想像できる。
表1. クラブ別のインターセプト数 (上位11チーム)
| クラブ名 | インターセプト数 |
1 | 京都サンガ | 165 |
2 | ヴィッセル神戸 | 164 |
3 | ギラヴァンツ北九州 | 151 |
4 | 松本山雅 | 146 |
5 | ファジアーノ岡山 | 145 |
6 | コンサドーレ札幌 | 144 |
7 | ジェフ千葉 | 135 |
8 | 徳島ヴォルティス | 131 |
9 | ザスパクサツ群馬 | 130 |
10 | ロアッソ熊本 | 127 |
11 | ガンバ大阪 | 123 |
■ ワーストだったアビスパ福岡一方、表2はインターセプト数の少なかったチームを書き出している。このとおり、リーグ最少だったのは、プシュニク監督率いる福岡で94回。ワースト2位の富山が107回なのでダントツで少ない数字である。福岡というと、FW坂田、FW金森、FW石津などが積極的にプレスをかけて、前からボールを奪いに行くサッカーをしているので、「インターセプト数がワースト」というのはかなり意外である。
ただ、改めて考えてみると、その理由も何となく想像できる。守備だけでなく、攻撃のときもそういう傾向があるが、昨シーズンの福岡のサッカーは効率的ではなかった。豊富な運動量を生かして数的優位を作ることが多かったが、「ボールを持った選手がそのままドリブルをしてミドルシュートで終わるシーン」が目に付くなど、周りにいる味方選手をうまく生かすことができない場面が多かった。
結局、前から積極的にプレスをかけても、後ろとうまく連動できなかったり、ファールで止めたり、ボールを奪い返すまでに至らなかったと考えられる。(※ ファール数はリーグ最多。)無駄の多いサッカーだったが、裏を返すと、味方をうまく動かせる選手が出てきたら、チームが劇的に変わる可能性がある。例えば、札幌のMF河合のような選手がボランチに入ったら、効率的なサッカーができるのではないか。
残念ながら、今オフ、新たに加わった選手の顔ぶれを見ると、そういうタイプは見当たらない。となると、現有戦力の中から、チームメイトを効率的に動かすことができるまでにレベルアップする選手が出てくることが期待されるが、第1候補は大卒2年目となるMF中原である。当然、MF河合とは全然違うタイプであるが、試合の流れを読む能力に優れている。今シーズンの福岡のキーマンと言えるだろう。
FW白崎が残留して、五輪代表のMF中島(東京V)が加わって、今シーズンのJ2で「台風の目」になりそうな富山はリーグワースト2位。「3-1-4-1-1」などを採用して、中盤を厚くして、積極的にプレッシャーをかけるサッカーをしていた割には、ボールを取り返すことができなかったこと分かる。攻撃陣はタレントが揃っているので、特に「中盤の守備力アップ」が躍進できるかどうかのポイントになる。
表2. クラブ別のインターセプト数 (下位11チーム)
| クラブ名 | インターセプト数 |
12 | ガイナーレ鳥取 | 122 |
12 | V・ファーレン長崎 | 122 |
14 | 栃木SC | 121 |
15 | FC岐阜 | 119 |
16 | 東京ヴェルディ | 118 |
17 | 横浜FC | 116 |
18 | モンテディオ山形 | 112 |
19 | 水戸ホーリーホック | 111 |
20 | 愛媛FC | 108 |
21 | カターレ富山 | 107 |
22 | アビスパ福岡 | 94 |
→ 2014/02/06
数字が示すMF深井一希(札幌)の凄さ (後編) に続く。
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