21 平山相太 (FC東京) 1985年6月4日生まれ フォワード
平山のよさはいくつもあるが、一番優れているのは、アバウトなロングボールを相手と競り合って競り勝つだけではなくて、チャンスになりそうな位置に正確にボールを落とすことが出来る点だと思う。ヘラクレスのときはワイドな3トップだったので、落とす位置が限られていたが、FC東京では、周りのサポートがヘラクレス時代よりも期待できるので、より、このストロングポイントが生かされるだろう。
もうひとつ、感心させられるのは、リーチの長い足で自分の周りにゾーンを作って、相手DFを飛び込めない状態にして、自ら、シュートのためのスペースを作ることが出来るところ。この試合でも、2度ほどそういう場面が見られた。もっとコンディションがよくなれば、並のセンターバックでは対処できないだろう。
平山を見るとき注意して欲しいのは、決して、平山を170cmの選手と同じ「ものさし」で計ってはいけないということ。平山は、192cmの大型選手である。170cmの選手と同じようなスピードで走ることは出来ないし、同じだけの運動量は望めないかもしれない。しかしながら、その高さと強さを生かして、170cmの選手には到底できないようなプレーをする。
選手には、それぞれ、特徴があってしかるべきで、何でもこなせるスーパーな選手なんて、世界中探してもほとんどいないのが現状。絶対的な武器がある選手は、その武器を生かせるよう心がけてプレーすべきであって、不得意な分野があっても、当たり前で、少々は目をつぶろう。平山に対して、「スピードがないから」とか、「運動量がないから」とか言って非難する人は、同じように、170cmの選手が相手ディフェンダーとヘディングで競り合って負けたときに、その選手を非難しますか?(2006年9月30日)
0364 2006/09/30 【FC東京×新潟】 怪物のデビュー戦 (生観戦記 #7)
22 長友佑都 (FC東京) 1986年9月12日生まれ サイドバック
チームとしての完成度はまだまだだが、新しく起用された選手はそれぞれに持ち味を発揮した。特に左サイドバックで起用されたDF長友はとてもAマッチ初出場とは思えなかった。
オシムジャパンの頃から同じ傾向はあったが、専門の左アウトサイドの選手がいないこともあって、日本の攻撃は右サイドに偏りがちで、左サイドバックが効果的に攻撃に参加出来ずにいたが、長友が加入で改善された。どちらかというと、この試合では右のDF駒野よりも貢献度は高かった。
前半早々に左サイドを駆け上がってFW大久保の決定的なチャンスを促したシーンのオーバーラップとクロスは見事で、スプリント能力ではコートジボワール相手でも見劣りすることは無かった。
守備面では当たりの強さに珍しく劣勢になるシーンもあったが、デビュー戦としては合格点である。彼の場合は、国際試合の経験に乏しく、アフリカの選手と試合をした経験はほとんどないだろうと思われるので、今度、経験を積んでいければ、大きな戦力になるだろう。(2008年5月25日)
1074 2008/05/25 【日本×コートジボワール】 存在感を示す長友佑都
23 谷澤達也 (ジェフ千葉) 1984年10月3日生まれ 攻撃的MF
決勝ゴールを挙げたのはMF谷澤。MF工藤と同じく、新体制では2試合連続でスタメン出場を果たし、見事に結果を残した。
柏レイソル時代から能力は高く評価されてきたが、なかなかブレークのきっかけがなくポジションをつかめなかったが、今回の移籍とアレックス・ミラー氏の監督就任は大きなチャンスだろう。彼の良さは、ドリブルが単に相手を突破することだけを目的としていない点で、最後のシュートシーンまでイメージ出来ていることだろう。
さらに、もともと定評のあったドリブルやキープに加えて、守備面での成長もうかがえる。長時間プレーするようになったからか、自覚も生まれているようで、守備でもさぼるシーンはほとんどなく、積極的にプレーに関与している。
プレミアスタイルということで、特に中盤の選手は多くの運動量を求められるが、この役割をMF谷澤がうまくこなしていることは、ある意味で驚きである。(2008年5月17日)
1065 2008/05/17 【千葉×大分】 決勝ゴールの谷澤達也
24 倉田秋 (ガンバ大阪) 1988年11月26日生まれ ボランチ
だが、ポジティブに考えると、こういう状況では、普段、目にすることのできない選手が、試合に出ている姿を観察できる。浦和では左CBに入った堤、G大阪ではMF倉田秋が、公式戦初出場を飾った。
二人とも、現在、カナダで行われているワールドユースの出場資格をもつ選手である。特に、浦和の堤は、昨年の秋のアジア予選では、レギュラーの左サイドバックをつとめていた選手である。結果的に、堤は、G大阪の安田にポジションを奪われた形となったが、ともに、大いなる刺激を受けた状況でのデビューとなった。
中でも、G大阪のMF倉田は、解説の清水秀彦氏と、実況の八塚氏が、試合中に絶賛するほどのデビュー戦となった。ボランチのポジションから、積極的にドリブルで仕掛けて、あわやゴールというスーパーミドル(惜しくもクロスバー!!!)を放ち、さらには、中盤で、高いテクニックと視野の広さで、ゲームメークをこなした。
解説の清水氏は、「攻撃力のある明神」と評していたが、ボクの印象は、「ドリブルのできる佐藤勇人」。とにかく、センスあふれるプレーを披露して、周囲に驚きを与えた。後半はスタミナ切れなのか、ややパフォーマンスが落ちた印象も残ったが、それでも、18歳のデビューとしては、満点だった。(2007年7月7日)
0637 2007/07/07 【ナビスコ:浦和×G大阪】 現れた超新星
25 田中佑昌 (アビスパ福岡) 1986年2月3日生まれ フォワード/攻撃的MF
当然、アレックスとリンコンが攻撃の中心であるが、このチームの攻撃にダイナミズムをもたらすのが、右のウイングに近いポジションでプレーしている田中佑昌である。彼が右サイドを疾走するときの期待感と高揚感は、格別のものがある。
確かに、シュートもクロスも雑な部分が多く、ポジショニングに関しても、右サイドに張り付きすぎの感もあって、改善の余地は多いが、それでも、これだけ、ダイナミックなプレーが出来る選手は、他のJ1・J2のクラブを見回しても、ほとんどいないだろう。
彼には、くれぐれも、持ち味を殺すことなく、着実に進歩していって欲しい。そうすれば、五輪代表入りはもちろん、フル代表入りの可能性も開けてくるだろう。(2007年8月23日)
0702 2007/08/23 【福岡×山形】 躍動する右サイドの田中佑昌
26 梅崎司 (浦和レッズ) 1987年2月23日生まれ 攻撃的MF
浦和はいい形の連携でチャンスを作ったが、2ゴールともにセットプレーからであったが、そのキッカーを務めたのはともにMF梅崎で、1ゴール1アシストという結果を残した。
大分から加入したMF梅崎はポジション争いの激しい浦和の中でまだ定位置を確保できていないが、それでも、出場した試合はかなりのパフォーマンスを見せており、大分時代よりも出場機会は減少しているが、ステップアップの移籍としては失敗だったとは考えられない。
ドリブルの切れや運動量はそのまま維持してるが、大分時代と比べると、セットプレーのキックの精度と威力が比べ物にならないくらい上がっており、新たな武器になっている。大分時代は他に優秀なプレースキッカーがいたためキッカーに指名されること自体が少なかったということも影響しているかもしれないが、見違えるような進化を見せている。(2008年5月18日)
1066 2008/05/18 【浦和×G大阪】 科学融合を生み出すMF梅崎司の活躍
27 増島竜也 (京都サンガ) 1985年4月22日生まれ センターバック/右サイドバック
この試合に限ったことではないが、京都は開幕からDF増嶋のロングスローが大きな武器になっている。相手エリアの深い位置でスローインを得ると、ほとんどCKと同じと同じ効果を持つ。もともと京都には、この試合は出場停止であったが185cmのFW田原や187cmDFシジクレイがいて、高さが1つの武器だが、DF増嶋の鋭く距離の出るロングスローが効果的に働いている。
ロングスローは開幕当初から大きな武器になっており相手チームは警戒はしているもの、なかなかしっかりと対策を立てて防ぎきれているチームは無い。これほどロングスローを効果的に活用しているチームは、Jリーグの歴史を振り返ってみてもほとんどなく、新しい戦略である。(2008年5月3日)
1044 2008/05/03 【京都×札幌】 増嶋竜也のロングスロー
28 新居辰基 (ジェフ千葉) 1983年12月22日生まれ フォワード
驚かされたのが、試合前からサポーターのFW新居への期待度が半端ではなかったことである。選手紹介のときに最も大きな歓声が上がったのもFW新居が紹介されたときであり、怪我からようやく帰ったきたからいう理由はあっても、「悪いチーム状況をなんとかして変えてほしい。」というサポーターの熱い思いが伝わってきた。
考えてみると、昨シーズンのFW新居の成績は25試合で5ゴール。悪くない成績ではあるが、1億円ともいわれる移籍金を叩いて獲得した新ストライカーとしては十分なものではなかった。ただ、成績には残らない部分でサポーターに期待を持たせるプレーを続けたからなのだろう。サポーターはFW新居に期待をかけて、FW新居は復帰戦でその期待にこたえた。
サッカーでは、幾多の問題を抱えているチームであっても、ストライカーのゴールが全ての問題を解決してくれるときがある。(2008年4月13日)
1015 2008/04/13 【千葉×大宮】 きっと新居辰基が救世主になる!!! (生観戦記 #4)
29 長谷川悠 (モンテディオ山形) 1987年7月5日生まれ フォワード
7節以降はすべてスタメンでフル出場しチームトップの5ゴールを挙げているFW長谷川は、この試合でも大器の片りんを見せた。21歳ながら、柏→岐阜→柏→福岡→山形といくつものチームを渡り歩いてきた選手だが、山形に移籍して1年目で、エースストライカーの地位を確保しつつある。
誤解されがちだが、ここ最近の185cm overの日本人ストライカーの特徴と言えるのが、比較的、どの選手も足元のプレーがうまいということである。ただ一方で、線の細い選手が多く、空中戦では身長の割に強くなく、周囲の期待と自分の持ち味とがアンバランスな選手が多かったが、FW長谷川は足元も柔軟で、なおかつ競り合いにも強い。
テクニックがあって、しかもフィジカル面にも優れているので、当然、キープ力もある。よって、前線で起点となれる。文字通り、チーム内で大きな存在となっている。
1105 2008/06/22 【甲府×山形】 右サイドバックのレフティDF輪湖直樹
30 柏木陽介 (サンフレッチェ広島) 1987年12月15日生まれ 攻撃的MF
この試合でも決定的な仕事をしたのは、MF柏木。1ゴール1アシストの活躍でチームの勝利に大貢献した。シーズン中は、FWウェズレイに遠慮をしてプレーしているような感じもあったが、FWウェズレイはすでに帰国しており、FWウェズレイがいなくなったことでより自由にプレーすることが出来るようになった。
U-20やU-22の一員として、多くの国際試合を経験したからか、判断の早さが際立つ。トップ下の位置でクリエイティブでかつ決定的な仕事も出来るようになってきており、神戸・柏・京都・浦和といったチームへの移籍話も伝わってくるが、どのチームでも主軸として活躍できるだろうし、高額な移籍金を払っても獲得するだけの価値はあるだろう。
もちろん、広島残留の可能性も低くはない。厳しいJ2の戦いで、1年間、揉まれてチームをJ1に導くことが出来たとしたら、素晴らしい財産になるだろう。(2007年12月23日)
0878 2007/12/23 【天皇杯:FC東京×広島】 輝きを放つ柏木陽介
31 高萩洋次郎 (サンフレッチェ広島) 1986年8月2日生まれ 攻撃的MF
今シーズンの広島を語る上で忘れてならないのが、MF高萩洋次郎の成長である。高校2年生のときからトップチームでプレーし、将来を嘱望されてきたMF高萩は、2004年のアジアユースにもレギュラー格としてプレーしたが、その後は伸び悩み、2005年のワールドユース出場はならなかった。
2006年冬のアジア大会では、北京五輪を目指す反町ジャパンの一員としてカタールで戦ったが、思うような結果は残せず、その後は代表からも外れていたが、今シーズンは大ブレーク。ここまで7ゴールをマークしている。
本来はボランチの選手で、長身でスケールを感じさせるパスでゲームを組み立てる選手であったが、2006年に愛媛FCでプレーした頃から運動量が増えて、以前とはタイプがやや異なってきている。さらに、今シーズンは、オン・ザ・ボールの質も上がって、相手チームとしてはマークしにくい、つかみにくいアタッカーとなった。(2008年7月14日)
1136 2008/07/14 【広島×岐阜】 14年ぶりのビッグアーチ (生観戦記 #8)
32 大前元紀 (清水エスパルス) 1989年12月10日生まれ フォワード
流経大柏のFW大前は4ゴールと爆発。左サイドからのミドルシュート、ヘディングシュート、クロスからのダイレクトシュート、ロングシュートと、いずれもが異なるパターンで4つのゴールを生み出した。ここまでの3試合でPKの1ゴールのみと不発だった大前が、ようやく本領を発揮した。
166cmと小柄ではあるが、ドリブルのキレと得点感覚の鋭さを併せ持つスタイルは、「メッシ」というよりは、「大久保嘉人」のようである。国見高校時代の大久保ほど身体的なパワーはないかもしれないが、自らゴールを奪うだけでなく、パスで周り生かすこともできるし、前線で動いて守備にも貢献できる。
FW大前は、卒業後、清水エスパルスへの入団が決まっている。清水はFW宰溱が退団し、FW矢島、FW岡崎、FW西沢が控えるが、層は決して厚くはない。今後、新外国人ストライカーの獲得の可能性は高いだろうが、1年目からチャンスが無いわけではないだろう。もちろん、出場機会を得るのは簡単ではないだろうが、清水は、MF枝村、FW矢島、FW岡崎、MF藤本、MF兵働ら若手育成には定評のあるチームであり、いいチームに入ったといえるだろう。(2008年1月6日)
0890 2008/01/06 【高校サッカー:流経大柏×津工業】 和製メッシ・大前元紀
33 荒田智之 (水戸ホーリーホック) 1985年10月3日生まれ フォワード
水戸は試合内容でいうと、明らかにC大阪を上回った。C大阪は決定機と呼べるものは5回程度しかなかったが、水戸は7・8回の決定機を作った。相手GKの奮闘もあってノーゴールに終わったが、得点力アップの兆しが見えたことは収穫である。
特に期待できるのはFW荒田。背番号「9」を背負う期待の新人ストライカーは、少なくとも5度の決定機をつかんだ。いずれもゴールにつなげることはできなかったが、チャンスの場面でゴール前にポジション取りができる点と、シュートまでもっていくことができる点は、高く評価できる。
彼が、今後、どの程度の結果を残すことができるかは分からないが、ストライカーらしいストライカーを手に入れたことで、水戸の今シーズンは期待を持たせるものになった。(2008年3月9日)
0969 2008/03/09 【水戸×C大阪】 大きな可能性を秘める18歳のふたり
34 萬代宏樹 (ジュビロ磐田) 1986年2月19日生まれ フォワード
仙台は、前節の鳥栖戦に続いて、FW萬代の決勝ゴールで1対0の勝利。第1クールから、順調にゴールを重ねていた五輪代表候補のFW萬代だが、徐々に調子を落とし、ずっとスタメンから外れており、チームの期待に応えられなかったが、ここにきて、2試合連続で、大きな仕事をした。
萬代の代わりにスタメンで出場していた、FW中島とFW関口は、ともに、スピードと運動量に持ち味のある選手で、前線を活性化させるには十分であるが、中島は、シーズン通算では10ゴールをマークしているが、ここ18試合では1ゴールのみ。関口も、ここまで1ゴールのみ。フィニッシャーとしては十分ではない。
この試合の決勝ゴールを見れば分かるように、ストライカーとしての萬代の能力は、非常に高いものがある。中島や関口にはない、高さという武器があるだけに、萬代がコンスタントに試合に出場して、ゴールを重ねていければ、面白い。(2007年9月17日)
0736 2007/09/17 【札幌×仙台】 萬代復活
35 吉田麻也 (名古屋グランパス) 1988年8月24日生まれ センターバック
4バックの中央に入ったのは19歳のDF吉田麻也と新外国人のDFバヤリッツァだったが、この2人は、今年の名古屋の目玉といえる。
186cmの吉田と185cmのバヤリッツァのコンビは、空中戦の強さは抜群でフィードも安定していて、申し分のないコンビネーションを見せた。吉田はプロ2年目の19歳だが、昨シーズンのプレーと比べると、随分と洗練されており、飛躍を予感させる。
バヤリッツァも前評判通り、オールマイティーな力を見せた。特に、この試合ではビッグチャンスに結びつかなかったが、相手ボールをインターセプトするやいなや、一気にスピードアップして前線まで駆け上がって攻撃に参加しようとしたシーンが2度ほどあって、これは迫力満点だった。噂どおり、単なるディフェンダーではないようだ。(2008年2月25日)
0953 2008/02/25 【PSM:岐阜×名古屋】 ブレークを予感させる吉田麻也
36 柿谷曜一朗 (セレッソ大阪) 1990年1月3日生まれ フォワード/攻撃的MF
一方、MF香川の1学年下に当たるMF柿谷曜一朗は、この試合を含めて7試合連続で先発出場。高校2年生のときにリーグ戦デビューを果たしているが、年齢的にいうと今年の高卒ルーキーと同学年であり、常時、試合に出場していることは評価できる。
ただ、プレーには相当にムラがあって、守備面での貢献も多くなく、現状では、使い勝手のいい選手ではない。ボールタッチが繊細で、時折、センスあふれるプレーを見せるが、なかなかゴールに直結するプレーが出来ず、安易にドリブルで仕掛けてボールを失うケースも少なくない。
C大阪の攻撃的なポジションは、FWカレカ、FW森島康仁、MF濱田武、MF酒本らも控えていて、層は薄くない。したがって、なかなか結果の出せないMF柿谷を外すという選択肢も考えられるが、それでも、クルピ監督は、辛抱強く我慢してMF柿谷を起用し続けている。
そのクルピ監督は試合後に、MF香川とMF柿谷の現在と未来について、以下のように語っている。2人ともにいい監督に巡り合ったことは間違いない。(2008年6月15日)
1095 2008/06/15 【C大阪×甲府】 香川真司と柿谷曜一朗の未来
37 喜山康平 (ファジアーノ岡山) 1988年2月22日生まれ フォワード
中でも、もっとも印象的だったのは、FW喜山康平。2007年途中、東京ヴェルディからレンタルで獲得した20歳のフォワードである。
各年代で日本代表歴のあるFW喜山は179cmのレフティ。JFLのガイドブックを見ると、2007年の中国リーグでは、14試合で24得点16アシストという結果で、得点王とアシスト王をダブル受賞している。いずれもリーグ新記録で、尋常でない成績を残している。
ただ、この試合のプレーを見る限り、その成績も納得である。
前半15分過ぎに、サイドからの難しいクロスをトラップしてそのままクロスバー直撃の強烈なシュートを放ったが、この一連のプレーは、スタジアム中の全ての人がどよめいた超スーパープレーであった。このプレーを見れただけでも、この試合に足を運んだ価値があったとさえいえる。
正確な技術、アイディアのパス、左足の重く正確なシュートを見ると、かつてのレフティーモンスター小倉隆史を連想せずにはいられなかった。運動量や守備力といった面でも大きな問題は無く、いずれ東京ヴェルディに復帰するはずだが、J1でも十分な戦力となるだろう。(2008年8月4日)
1158 2008/08/04 【JFL:ファジアーノ岡山×ガイナーレ鳥取】 ファジアーノが羽ばたくとき (生観戦記 #10)
38 大竹洋平 (FC東京) 1989年5月2日生まれ 攻撃的MF
また、FC東京は18歳のMF大竹洋平がリーグ戦で初スタメン。MF石川が怪我のため右の攻撃的MFに入ったが、堂々としたプレーで大きな可能性を感じさせた。
165cmで左利きのアタッカーということで、「FC東京のメッシ」という異名をもつ大竹だが、この試合はメッシばりのドリブル突破ではなく、むしろキック精度の高さでチームに貢献した。セットプレーのシーンではほとんどでキッカーを任されていたが、いずれも精度の高い左足のキックを見せた。前半終了間際にはFW赤嶺のゴールをアシストし、さらに後半半ばには直接FKであわや初ゴールという場面を作った。
ボールを持ちすぎて相手DFに囲まれたり、無理に突破を仕掛けてボールを奪われるシーンはほとんどなく、18歳のリーグ戦のスタメンデビュー戦としては、申し分ない出来だった。テクニックはもちろん、判断力の高さが際立った。
ここ数年のFC東京は、FW平山を筆頭に高さのある選手が集まっていて、ゴール前のプレーは非常に迫力があるが、一方で、セットプレーのキッカーが不足しており、なかなか精度の高いボールを供給できないもどかしさがあった。ただ、この問題も、MF大竹の左足が解決するかもしれない。
キックの精度というのは、ある程度は生まれ持った才能であって、どんなに努力を重ねても、一定のところで限界が見えてくる。そういう意味では、大竹の存在は貴重であり、今後、味スタに多くの歓喜をもたらすだろう。
1000 2008/04/01 【FC東京×京都】 FC東京のニュースター候補生
39 大迫勇也 (鹿島アントラーズ) 1990年5月18日生まれ フォワード
ただ、逆に、182cmの長身が十分には生かされていないという感じもする。リーチの長さを生かしたキープのシーンでは長身が活かされているが、それ以外では、なかなか体格を生かしたスケールの大きなプレーが見られない。
仮説として、2トップの相棒のFW野村がガツガツ行くタイプで相手ディフェンスとバトルしてくれるので、そのダーティーな仕事はFW野村に任せており、実際には、必要とあらば肉弾戦もOKというタイプなのかもしれないが、プロでセンターフォワードを務めるには、まだ弱さを感じる。高さを生かしたヘディングシュートもそれほど多くなく、未知の部分も多い。
あえて似たタイプの日本人選手を挙げると、デビュー当時の磐田のFW前田遼一か。下がってボールを受けた後に見せるパスセンスや柔らかいボールタッチは体格も同じくらいで、FW前田を連想させる。
FW前田の場合は、その後、ややひ弱だったイメージを覆して、体が出来るに従って空中戦でも強さを発揮するようになったが、FW大迫勇の場合も、どういうタイプの選手に育つのか、まだ分からない部分はある。もちろん、1.5列目的なポジションで開花する可能性もあるだろう。
卒業後は鹿島入りが内定しているが、FWマルキーニョス、FW興梠、FW田代、FW佐々木がいる鹿島のフォワードで出番をつかむのは容易では無いだろう。ただ、今大会の活躍で注目度は飛躍的に上がっており、プロ1年目から大きな注目を集めることになる。これは、プロ生活を始める上で、彼のアドバンテージになるだろう。(2009年1月11日)
1301 2009/01/11 【鹿児島城西×前橋育英】 ストライカー大迫勇也
40 森本貴幸 (カターニャ) 1988年5月7日生まれ フォワード
勝ち点にはつながらなかったが、同点ゴールを挙げたFW森本は今シーズン3ゴール目。先日のローマ戦続いて、セリエAの強豪クラブからゴールを奪った。シュート自体は簡単なものであったが、きちんとゴール前につめていた姿勢は評価できる。ボールがこぼれた瞬間に素早くゴール前に走り込んだ感覚は見事であった。
ここ最近になって、カターニャでもFW森本の出場機会は多くなっているが、そのパフォーマンスを見れば十分に納得出来る。結果的にゴールにつながらなかったとしても、常にゴール前で相手DFと格闘し、あわよくばのシーンを狙っている。
以前の森本は、時折、素晴らしいプレーを見せるが、継続性に乏しく、潜在能力を完全には活かせていないもどかしさがあって幼さを感じさせる面があったが、この試合にピッチに立っていたのは、開花間近の大人のストライカーのそれであった。
この日は、イタリア代表のDFレグロッタッリェとマッチアップするケースが多かったが、全く引けを取らなかった。シュート数はゴールシーンを含めて5本。前半に裏に向け出してGKと1対1になったシーンや前半終了間際にゴール前で相手を背負った状態でボールを受けてから反転して放った強烈なシュートなど、きわどいシュートは多かった。この試合で、ユべントスに対して、もっとも脅威を与えた存在であったことは間違いない。(2009年2月12日)
1333 2009/02/12 【カターニャ×ユべントス】 森本貴幸の日本代表入りの可能性