泥沼から抜け出したコンサドーレ札幌と、完全に泥沼に入り込んでいまだ出口の見えない東京ヴェルディの試合は、4対0という一方的な試合展開で、コンサドーレが勝利した。
ヴェルディとコンサドーレを比較すると、まず、攻守のダイナミズムが違う。ヴェルディのサッカーは、ジーコジャパンのサッカーと似ている。テクニックのある選手を中盤にそろえて、ボールを大切にして崩すサッカーであり、いわゆるヴェルディ伝統のポゼッションサッカーである。でも、残念ながら、ヴェルディには、中田も中村も小笠原もいないため、攻撃のリズムが一定で、変化に乏しいサッカーである。明らかに、最も得点の可能性を感じるのは、FW平本がバジーリオとのコンビで抜け出そうとしたときである。ラモス監督が、ヴェルディの伝統を守りたい気持ちは分からないでもないが、この中盤とこの前線で、かつてのサッカーを要求するのは無理がある。
反対にコンサドーレは、選手の個性がうまくミックスされた、主体的なサッカーをしている。最も目立つのは、もちろん、FWフッキ。まだ19歳のこのレフティは、今のJリーガー(J1、J2含めて)のなかで最も、お金を払ってでもスタジアムでみるべき価値のある選手だろう。荒削りではあるが、ペナルティエリア近辺で、自分の間でボールをもったときは、必ずシュートチャンスを作り出すことが出来る。
フッキをサポートする選手も、個性的な選手が多いが、なかでも、トップ下の砂川の安定感溢れるプレーぶりは特記すべきである。ドリブル、パス、シュートで特出した武器はないが、全てが高レベルで、さらに、攻撃のときのポジショニングも抜群。クレバーさを感じる、奥の深い選手だ。
3バックの人材も、高さと強さの曽田、スピードの加賀、得点力のある池内と、魅力的なメンバー。特に、3バックの右サイドから、抜群のスピードでオーバーラップを仕掛ける加賀のプレーは、想定外の驚きで新鮮。
低迷打破のために、ヴェルディは、シーズン途中に、海本幸治郎と石川竜也という実力者を獲得し、さらには、川崎フロンターレからMFマルクスを強奪。マルクスがトップ下に入れば、もしかしたら、マルクスの才能だけで攻撃がスムーズに運ぶようになるかもしれないが、それでは、根本的な解決にならない。
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