mouse on the keys『tres』で見せた成熟の新たな美学──ハイレゾ版を1週間独占配信
ドラム、そしてピアノ / キボード x 2というトリオ編成で、まさに他に類を見ないサウンドを作り続け、世界的に高い評価を受けているmouse on the keys。ポスト・ハードコア〜ポストロック、さらにはジャズ、エレクトロニクスなどなど、さまざまなサウンドを飲み込み独自の世界観を作り上げたきた。そんな彼らがリリースする3rdアルバム『tres』は、さまざまなゲスト、しかもこれまである意味で彼らが手を出してこなかった驚きのパートをも迎え入れている。さらにはダウンテンポ的なサウンドなど、彼ら自身も新たな演奏の境地も披露している。OTOTOYでは本作を1週間独占でハイレゾ配信。そして、新たなサウンドの境地へとたどり着いた彼らにインタヴューを敢行した。
1週間独占ハイレゾ配信
mouse on the keys / tres (PCM 48kHz/24bit)
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
>>>ハイレゾとは?
【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 2.057円(税込)
【収録曲】
01. Clarity (feat.M'ANAM)
02. One Hundred Twenty
03. Stars Down (feat. Dominique Fils-Aime)
04. Time (feat. Mario Camarena of CHON)
05. Phases
06. Pulse (feat. Dominique Fils-Aime)
07. Golconda
08. The Prophecy (tres version)
09. Dark Lights (tres version)
10. Shapeless Man (feat. Jordan Dreyer of La Dispute)
INTERVIEW : mouse on the keys
世界からも注目を浴びる国内レーベル=mule musiqからのリリースとなった2nd『The Flowers of Romance』から約3年、mouse on the keysの新作『tres』をここにリリースした。そのサウンドをいくつかのことばで表せば、「変化」そして「驚き」である。彼らの真骨頂とも言えるアグレッシヴなドラムとピアノの掛け合い、そしてシンセとのアンサブル、そこに驚きのマリオ・カメレナのギターが乗る「Time」といった楽曲、そしてIDMやエレクトロニカ的なメロウネスを迎え入れた「Phases」、ブリストルのトリップホップを彷彿とさせる『Stars Down』、またチルな雰囲気の緩やかなダウンテンポとなった『Pulse』といった歌もの(もちろん初)などなど、おそらくmouse on the keysのこれまでの作品に親しんできたリスナーほど、その変化に驚くのではないだろうか。もちろん彼らが培ってきたトリオによる音楽的要素=mouse on the keysの音楽性の下に、新たな扉を開けた、そんな作品となっている。
インタヴュー・文 : 河村祐介
写真 : 小原泰広
編集補助 : 平野幸代
反則技もありな“エンターテインメント”
──今回まずは歌詞カードがある=歌があるというのがおそらくこれまでのファンとしてはびっくりすることではないかと思うんですけど。
川﨑 : ですよね。まずは最初に、今回の作品を作る上でひとつあったのが「mouse on the keysなりのエンターテインメントなもの」を作りたかったという感覚があって。これは飽きずに、日常生活で長く聴けるというか、そこから曲によっては、シンプルで、メロディが染み入るものというのがやりたいという部分があったわけです。例えば「Pulse」とかはそういう感覚で作っていて。それは今回のアルバムを作るなかで、メンバーとも共有している感覚です。
──コンセプトというよりも、作るときのムードというか。
川﨑 : そうそう、ムードがあったという感じ。そのなかで、ビートもシンプルに……今回は8ビートやスロウなテンポの曲も多くて、それはそうしたムードから来ていると思う。それは『The Flowers of Romance』では掴みきれなかった要素で。次の作品『Out of Body』では、よりドープな世界を通過し、今回の『tres』で結実できたと思う。この感覚はメンバーで共有していたので、曲のバリエーションが豊富でありながらも統一感のあるアルバムに仕上がりましたね。
──例えば、ミックスなのかそうなのかピアノが若干音として減退している感じはありますよね?
新留 : そこはやっぱり、そのムードというところで、バランスを取っていくとそういう風になったということだと思います。
──あとはドラムとピアノが競い合っているという感覚もちょっと今回はないですよね。本当、そういう意味では“間”みたいなものがひとつ表現にもなっているというか。
清田 : でもたしかにそこの部分でピアノの1音、1音のタッチが変わってくるというのはありましたね。より長い音を弾いたりとかはあったと思うし。
──言ってみればアンビエントなタッチというか
清田 : そうそう。
──初というところで言えば、これまたぼーっとクレジットなどを見る前に聴いていて、mouse on the keysの作品でギターが入ってくるというところでびっくりしたんですけど。今回はアメリカ西海岸の、CHONのギターリスト、マリオが弾いてますね。
川﨑 : 彼らCHONとは、WWWでライヴをやる機会があって。
──でも、本当にこれまでの作品性とか考えると、ギターをやってもらうというのはかなり大きいことじゃないですか?
川﨑 : まぁ、歌もそうだけど、今回は全部やっちゃおうっていうところだよね。
──これまでやっていないことをすべてという感じですか?
川﨑 : ある意味でピアノとドラムで押してたバンドとしては、ギターを入れるというのはご法度じゃないですか?今回のアルバムは冒頭に言ったようにとにかくエンターテインメントを目指していたので「ここでmouse on the keysの作品にギターが入ったらエンターテインメントだな」って思って。プロレスじゃないですけど、反則技をここで出してみようと。
──反則技もひとつのエンターテインメントである、と。例えば反則技をやったら会場が異常に盛り上がるみたいな。
川﨑 : そういうガヤガヤ感もいいなと思ってて。そんなエンターテインメントへの欲求が高まる中、ちょうどCHONと対バンしたわけです。すげーギターうまくてびっくり。彼らかっこいいし、人気もあるし……いっしょにからみたいなと思って…… というそんな感じですね(笑)。いままで、mouse on the keysでは特殊なリズムとか、ポリリズム感のあるものとか、そういったフレーズのズレの面白みを追求して来たと思うんですけど。でも今回は、mouse on the keysの音楽とマリオのギターとを組み合わせることで、いままで交わってなかったジャンルや人間とのズレ自体というか、そういう部分を楽しみたいなと。そういう部分での科学反応が生まれたらいいなと思ってやりましたね。
──結果、mouse on the keysの音がもともとあって、ギターが出てくるというのはどうでしたか?
川﨑 : 最初に聴いたときは吹きそうになりましたね。
新留 : インパクトあってそれこそ爆笑しましたよ。
川﨑 : でもその爆笑感とかビックリする感じが、自分的には求めていた感じの「エンターテインメント感」だと思ったんでうれしいですね。
──でもそんなギターがあろうとも、ヴォーカルがあろうとも、アルバム全体としてはでもまとまって、ちゃんとこれまで通り「mouse on the keysの音」になってますよね。
新留 : そうそう、はじめはギターとかに違和感あるんだけど、ずっと聴いているとね。
川﨑 : でもそもそもがmouse on the keysの場合、初めて曲を聴いた時に、ある種の違和感をおぼえて、聴いて行くうちにハマるって芸風で。だから今回も初めてやったことだけど、その意味では変わってない。この「Time」が面白いのは、変プラス変がポップになるんだというところ(笑)。
──さらにゲストのお話を聞かせていただきたいのですが、1曲目のM’ANAM(マナム)はアイルランドの?
新留 : アイルランドの男性コーラス・グループです。去年のヨーロッパ・ツアーの前に、mouse on the keysのインフォ・アカウントへ直接メールが彼らから来たんですよ。全然知らなかったんですけど、Anunaというグループのメンバーのひとりがmouse on the keysをすごく好きでメールをくれて。なんでも彼らが日本でツアーをした時のフッテージというか映像を発表したいと考えていたらしく、東京とか日本っぽさを出すために、日本の音楽を使いたいということでmouse on the keysの音楽を使っていいか? というメールが来たんです。その時はさすがに相手が何者かわからなかったので丁重に断ったんですけど…… (笑)。
──すごいオファー(笑)。
新留 : でも、それがきっかけでコミュニケーションを取りはじめて。その後、mouse on the keysのヨーロッパ・ツアーのロンドン公演のときに、メールをくれたメンバーがアイルランドからわざわざ来てくれたんですよ。そのときにはじめてちゃんと会って話をしたんですね。それでより関係性が近くなったというか。「いずれなにか一緒にやりたいね」という話もしていて。 Anunaは、いわゆる聖歌隊のような男女混成コーラスのスタイルで、彼らのルーツであるケルトの古代音楽、伝統的なもの、埋もれているようなものを引っ張り出して現代に蘇らせるという活動をしているグループ。もう30年ぐらいやっていて、世界的にヒットした「リバー・ダンス」というミュージカルにも出演していたりとか。
──もしかしたらワールド・ミュージック系ではわりと有名な方かもしれないですね。
新留 : そうですね。グラミー賞をとったケルティック・ウーマンの人達も、Anunaの出身だったりするみたいです。
川﨑 : M’ANAMはAnunaの男性チームとして最近活動を始めたグループなんです。
──そうなんですね。今回の曲もケルトの言葉だったりするんですか?
新留 : アイルランド語ですね。いずれなにかしらやろうと言っていたなかで、今回のアルバムを作っていて。「Clarity」という曲を作っているときに最後のパートを繰り返し聴いていて、まさにここに彼らの聖歌のような歌を入れたら良い感じになるかなと思って。
川﨑 : これもはじめて聴いたとき、やっぱり吹きましたよ(笑) 。美しいですけど、リスナーの方たちに「みなさんどうですか?!」って問題提起している感じもある。
──確かに、アルバムの頭ですもんね。Dominiqueについてはどうですか?
川﨑 : 彼女は、最近僕らが知り合ったSo Inagawa君の紹介で。
──そうなんですね。
川﨑 : 2016年に代官山UNITで行われた〈Montreux Jazz Lab〉というイベントがあって、その時にDominiqueとSo君が共演したらしいですね。
──彼はどうしてmouse on the keysに彼女を紹介したんでしょうか?
川﨑 : So君自体がすごくいいアーティストというかかっこいいアーティストなので、僕らもすごくリスペクトしていて。だから、一緒になにかやろうという話をしていた中で、「そういえば、いいヴォーカルいないかな」と話をした時に彼が「いるよ」と言ってDominiqueを紹介してくれたんです。
──なるほど。
川﨑 : 彼女は、カナダのケベック州では知られた存在なんですけど、世界的にはまだこれからの方で。ただ僕らとしてはSo君が良いと言っているのだったら間違いないなと思って。実際彼女の歌声を聴いて感動して、優しさと渋さが同居してて良いなと。
──「Stars Down」はトリップホップ的な雰囲気のある曲で、そこにヴォーカルを被せてくるというのはバンドとしては本当になかったことですよね。そしてドラムに関しても今までないスタイルのものというか。
川﨑 : 楽曲史上一番遅いんじゃないですかね。
新留 :「Dark Lights」は?… あ、でも同じくらいかな。
清田 : BPMどれくらいでしたっけ? 「Stars Down」は。
川﨑 : 忘れました。やたら遅いと思います。
鍵盤、ドラム、ギターというスタイルがより開発できるかなと
──あとはJordanさんですが、mouse on the keysの流れとしては、ポスト・ハードコアとかポストロックを通過というか、そういう意味ではある意味で一番近い系統なのかなと思うんですけど。彼の起用はなにかあったんでしょうか。
川﨑 : JordanがやっているLa Disputeというバンドから、以前アメリカ・ツアーを一緒に周ってくれという連絡がきたことがあって。でも、その時は実現しなかったんですけど。今回の制作では、とにかく色んなことにチャレンジしたくて、声をかけましたね。それでフロントマンのJordan君がポエトリー・リーディングをしてくれることになりました。
──歌詞に関して共有というか、こういう感じでやってくれということはありましたか?
川﨑 : ないです。自由に。一応歌詞を送ってきて貰って確認はしつつ、まあ大丈夫なんだろうと(笑)。
新留 :「Clarity」は多少雰囲気は言いましたね。こういう感じの曲だよって。これもムードなんですけど(笑)。
──ムードを伝えると。
川﨑 : 崇高な、美しいというか澄んだものみたいな感じです。Dominiqueちゃんに関してはオファーしたら歌詞とメロディが速攻飛んできた(笑)。
新留 : めちゃめちゃ早かった(笑)。
川﨑 : いいねって(笑)。
──So Inagawaさんの見立てがバッチリだったと。
川﨑 : そうですね。歌詞の内容は男女の話なんですけど、それでよかったなって。恋愛とか人との出会いとかって普遍的じゃないですか。スタンダートな曲もみんなそうだから。それをmouse on the keys初の歌ものでやるっていうのいいなあと。
──ないですよね、そういう意味では。
川﨑 : Jordan君の場合はもう少し文学的な感じですよね。ただ、ポリティカルなことではなく日常に関することだったりするので。それもまあいいなって。
──『Out of body』から「Dark Lights」が再録されているのですが、別バージョンを作ってまで入れる理由は何かあったんですか?
川﨑 : 単純にライヴでやったこのヴァージョンが良かったからです(笑)。去年の11月30日に安藤忠雄展の会期中に、安藤忠雄事務所の方からドローイングとか建築物の写真などをお借りして、それをプロジェクションしながらライヴをするというイベントをやったんです。「Dark Lights」を管楽器や元envyのギターの飛田くんを入れてやったら、すごくよくて。「Out of body」に入っている「Dark Lights」ヴァージョンではないライヴ感のあるかっこいいアレンジができたので、これはアルバムに入れたいなということで入れました。
──今回のアルバムのムードを決めるキーになった曲というわけではない?
川﨑 : 個人的にはスロウでシンプルでメロディが染み入る感じのものをアルバムで揃えられたらいいなというのがあって、それで「Dark Lights」はライヴでやったときにその感じがあったというのはありますね。管楽器のアレンジ、ギターのアレンジまたピアノのアレンジも変わってくるし、ドラムも変わってきてすごく飽きないで、最後まで長く聴ける曲だなと。僕なんかは聴きながら泣きそうになる感じですね。
──前作の『The Flowers of Romance』で捕まえきれなかったムードみたいなものが今作に流れ込んできて具体的に音になったとおっしゃってましたが、今回、バンドの中で共有していたムードが具体的な作品として出来て、次にやりたいものですでに見つけたものというのはあったんでしょうか。
川﨑 : ギターの曲を増やそうかなと。
──おお(笑)。
川﨑 : 他の2人には言ってないですけどね(笑)。
新留 : 今初めて聞きました(笑)。
川﨑 : 一応トメさん(新留)ギタリストなので。今回のマリオ君の曲も彼が弾くんですよ。この流れで彼がギターを弾くという引き出しが増えれば、鍵盤、ドラム、ギターというスタイルがより開発できるかなと。
──なるほど。
川﨑 : ひとつは、これまで2年間くらい海外ツアーをしてきた中で、イギリスのブライトンとかロンドンで対バンしたバンド達の影響がありますね。具体的にいうとStrobesとかTHREE TRAPPED TIGERSとか。僕の見解だと、ギター、シンセ、ドラムをミックスした個性的で新しいバンドがイギリスで散見されて。LUOやThe Physics House Bandなんかもかっこいいですね。ある種ポストロック、マスロックのさらなる進化系と言って良いかもしれない。ポストロック、マスロックにテクノ、ハウス、ジャズ、フュージョンが見事にミックスされていて。そこに僕らもポンッと入っているので。これはもう同時代性だなと。これ言ったらみんなやり始めると思うんですけどね、これから(笑)。
──じゃあ、全部伏せ字にしときましょうか(笑)
川﨑 : そうですね(笑)。まあ実際現地にいって観ている人は少ないから言葉で説明したり、Youtubeで見ただけでは伝わらないと思いますけどね。mouse on the keysもこれからギターとシンセとピアノとドラムがミックスされた曲をいっぱい作れそうだし、そうしたら魅力的だと思いますね。そうなるとライヴでは、みんなソロとれるし3人がより際立つかなと。
余裕というか隙間もあるし、雰囲気を重視できるようになってきた
──なるほど。おふたりは最後作り終えてみてどうでしたか?川﨑さんの考えはバンドの形として一つあると思うのですが、プレイヤーとして今後やってみたいことや再発見したことは何かありましたか?
新留 : これでより今後に向けての何でもあり感が出てきて、どんどん制限を取り払ってる感じがあっていいんじゃないかなと。個人的には、今回に限らずやっぱり曲を作り終えると絶対課題もあるし…… 次はこうしたいなあというのも自然とありますね。
清田 : 僕は爽やかだなと思える曲が次はもっと作りたいですね(笑)。今作は僕的には気持ちがいいと感じたところではありますね。聴いてても嫌な気持ちにならないというか。そういう意味では音楽っていいなって感じました(笑)。
川﨑 : 今回でmouse on the keysはもっと行っていいんだって思いましたね。
──ビートなどを全て取っ払って曲の雰囲気として言うならば、前作がテクノやエレクトロニカな感じだとすると、今作はハウスみたいな感覚があるかなと。
新留 : コード進行とか、これ爽やかすぎるだろって(笑)。でも自分で作っている時も、何度も何度も繰り返し聴いては色々と考えて、と作り込んでいくうちに、やっぱりこれもありなんじゃないかというところに到達したので、やってみようと。そういう雰囲気にもなっていたので今作では踏み込もうという感じでできた作品ですね。
川﨑 : でもこの感じは、12年間とか、その前のバンドも含め20年とかやっていないと出来ないと思いますよ。
──ある種円熟した自分達のスタイルがまたひとつできたということでしょうか?
川﨑 : 余裕というか隙間もあるし、雰囲気を重視できるようになってきたというか。
──テクニカルという意味ではどんどん増してきている部分はあるのですが、そこだけに頼らず音楽の表現というものを全体として見られるようになった部分があるんですね。
川﨑 : 正直ドラムが8ビートになって「あ、これ楽だな」とは思いました(笑)。
全員 : アハハハ(笑)。
──それは体力的なものもですか?(笑)
川﨑 : レコーディングも「Stars Down」や「Pulse」はほぼ2テイクで終わったんですよ。「もう終わり〜」とかいって(笑)。そんな自分に酔いしれつつ。レコーディングの時にキヨ(清田)が言ったんですけど、逆にピアノに関して、ドラムのバスドラからスネアまでの隙間が長〜くあるので、その間をどう埋めていいかがすごく難しいと。だから、これライヴは逆に難しいんじゃないかなって。
清田 : 難しくなったと思います。
──間の取り方というか。
川﨑 : そうそう。こういう表現は、ある程度熟練していかないと出来ない技なのかなって。歳を取らないとそこに良さを見出せないんじゃないかな。キヨとしてはすこし戸惑ったと思うんですよね。
──戸惑いました?
清田 : そうですね。最初のデモよりも録ったテンポがさらに遅くなってたから、ある程度練習してた時よりももっと遅くなってて(笑)。
川﨑 : それは俺が悪いんですよ(笑)。
清田 : そこですこし難しさを感じましたね。
──なるほど。
川﨑 : 若いうちは細かさとか早い演奏に行く傾向があると思う。だけど、今回のアルバムでは、だんだんBPMを落とそう落とそうとしていて。「もっと遅くいけんじゃね?」みたいな(笑)。そして「Stars Down」はある意味スラッジだったり、ブリストルの感じになった。
もう少し音の波として演奏できれば、そこに漂うことはできるかなと
──根本から変わったのかなと聴いていて思ったんですが。
川﨑 : でも、僕らとしてはツアーしたり、ずっと共にやってきてここにたどり着いたというところがあって。だから、音源がポンポンと出ると、その音源の地点でしか見えないので、その間が空白に思えるじゃないですか。だから、すごく突然に根本から変わったように見えるのかなと。でも前作からツアーなんかも経験した感覚としては、それぞれの共有している感覚を変化させて、僕らとしては自然にこれたかなって。
──遅くなるというところで、ライヴとかで過去の曲を演奏するのに変わってくる可能性はありますか? さっきのアレンジのような。
川﨑 : あるでしょうね。でも古い曲と演奏されることは想定はしていたんですよね。既存曲と混ぜていい感じにしたいなと思って作ったので。だから、ライヴに組み込んで完成されてきた時にすごく良さが出ると思います。やる方も楽しくなってくるし。今までだとすごくハードルのある曲が多くて、アスリート的にならざるを得なかったんですけど、もう少し音の波として演奏できれば、そこに漂うことはできるかなと思うんですよね。そこを期待しつつ、既存曲の繋ぎ方というかライヴのストーリーをどう組むかっていうところはやってみないとって感じですね、これから。
──アルバムのタイトル『tres』はまさにシンプルに?
川﨑 : そうですね。3枚目なので。3人だし。
──じゃあ4枚目は4人に増やさなきゃいけないですね(笑)。
全員 : (笑)。
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【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 2.057円(税込)
【配信ページ】
https://ototoy.jp/_/default/p/104120
LIVE INFORMATION
mouse on the keys “tres Japan Tour 2018”
2018年6月15日(金)
@代官山UNIT
2018年6月22日(金)
@大阪SHANGRI-LA
2018年6月29日 (金)
@名古屋 IKESHITA CLUB UPSET
チケットなどの詳細はアーティスト公式ページへ
http://mouseonthekeys.net
ARCTANGENT
2018年8月16日-18日にブリストルで開かれるフェスに出演
出演 : Glassjaw, Shellac, And So I Watch You From Afar, La Dispute, Arcane Roots, Alcest, Giraffes? Giraffes!, Jamie Lenman, Pianos Become The Teeth, Pelican, Tangled Hair, Delta Sleep and many more…
mouse on the keysは18日(土)に出演の模様
詳細はフェス公式ページへ
http://http://www.arctangent.co.uk/
PROFILE
mouse on the keys profile
川﨑昭(Drums)、新留大介(Piano/Keyboard)、清田敦(Piano/Keyboard) による、トリオ編成のインストゥルメンタル・バンド。ポストハードコア、テクノ、現代音楽などをミックスしたサウンドと、ミニマルで幾何学的抽象を思わせる映像演出によるライヴ・パフォーマンスは、国内のみにとどまらず海外でも多大な反響を呼んでいる。これまで北米・南米・ヨーロッパ・アジアの各国を精力的にツアーし、2016~2017 年にかけての北米ツアーではロサンゼルス・シアトル・フィラデルフィアなどの都市でソールドアウトを記録し大盛況となった。代表作にEP『Sezession』などがある。
>>mouse on the keys アーティスト・ページ