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はてなキーワード: 投稿とは

2025-01-06

かつて金融ソルジャーだった

どこかに吐き出し供養したい。その思いで書いている。

かつて自分金融ソルジャーだった。営業ノルマをこなす事だけが使命の金融界の駒だ。

5年で辞めたのでソルジャーと名乗るのも烏滸がましいかもしれない。そんな一兵卒だった。

離職率の高い業界から、同じようにリタイアした仲間はさぞ多いことだろう。

自分が辞めた理由は単純にキツさ故だった。とにかく向いていなかった。

予定のない休日泥酔していないと不安と焦燥に駆られて耐えられなかった。

馬鹿みたいに朝早く出社して夜遅くまでサービス残業するのも、土日のゴルフコンペも、自己研鑽と銘打って資格取得を強制されるのも、縁もゆかりもない配属地も、全てが嫌だった。

でもそんな事は些細な問題で、本当に辛かったことは他にあった。確かにあった。なのに、思い出せない。自分があの会社で何をしていて何が辛かったのか。

辞めて一ヶ月もしない内に会社にまつわる記憶全体にモヤがかかって曖昧になってしまった。

曖昧になり始めた当時、「こんなに早く忘れられるってことは本当は大して辛くなかったのかも」なんてネタにしながら内心では自分のその言葉を強く否定していた。その気持ちは覚えている。

その他に記憶に残っているのは、失踪した新人のことだ。

ある日他支店新人が勤務中に失踪した。

その話を聞いて真っ先に浮かんだのは「死んでないといいけど」で、次に浮かんだのは「取引先の書類持ったまま死んでたら後の処理ヤバそう」だ。周囲から出た言葉もおおむね似たようなものだった。

その感想を何も疑問に思わなかった。何せ人が多いので、誰かが命を断つことは珍しくなかった。

案の定件の新人は亡くなっていた。

社員自死することは一般的ではないことも、抱いた感想が人でなしであることも、転職後にようやく自覚した。

この投稿で何が言いたいというわけじゃない。

金融で働いてる奴は頭がおかしいなんて言うつもりもない。現に知人が同じ業界で立派に勤め続けているが、彼は自分より余程出来た人となりをしていて到底狂ってなどいない。

ただまだらに覚えているものを手放したい一心だ。穴を掘って埋めて墓を建てたかった。

どうか成仏してほしい。

全ての他人失望して生きてる。

仕事関係

どいつもこいつも仕事しねえ。

会社ではなくフリーランサーの集まりからというのもあるが、提示した〆切通りに仕事するやつの方が稀。

言われるまで何もしないし、言ったところでやらないし、やったところでどうせ期待値に到底及ばない物しか出てこねぇ。

からもう期待するのやめて、もう全て先回りして自分でやってる。

フリーランスなのでそんだけ余分に動いたところでなんの金にもならんよ。

でも他人に期待しても何も進まないから諦めて全て自分でやる。期待して待っても結局上がってこないから、始めから諦めて自分でやって方がまし。

友人関係

自己愛承認欲求の塊しかいねぇ。

LINEでは相手に伝える気のない自己中なメッセージ送ってくる奴しかいないし、

SNSにはなんでそんなに他人自分に興味あるって思えるんだろう?って自意識過剰投稿しかない。

誰もお前の人生に興味無いから。構いたくないから。なにも言うな。

配偶者

セックスレス

単位だけどそれに対してなんのフォローケアもしてこない。

黙って何もしないまま40代突入。なぁなぁに子供は諦めルートに持っていかれた。

他のことにおいても、自分不都合なことは黙ってじっと待機して自分問題解決して行こうとしない。

もう期待しても無駄

自分

そうやって他人に誰にも期待せずに、自分のやれること、やるべきこと、やりたいと思えることだけを粛々とやっているけど、

所詮こんな風にしか生きていきようがない自分が一番期待する価値もないのは明らかだ。

死ぬまでをなるべく不快が無く生きていくだけだ…


人生無理ゲーだな。どうしたらいい?たすけて。

2025-01-05

anond:20250105211732

投稿って何が悪いの?

消された増田もたまに復活するし

【極秘】再投稿警察攻略マニュアル

タイトルを変える

検索避けのため。

特徴的な言葉別に言い換えること。

拒否」→「キャンセル

「嬉しい」→「優勝」

タイトル前半を変えること。

「36歳諦めきれない」→「アラフォー諦めきれない」

投稿間隔を開ける

投稿警察は1日中見張っている。

最低でも1日は置くこと。

初動が悪かったら消す

最初10分で伸びなかったら消そう。

証拠を消してしまえば検索できない。

ブクマカには悪いが犠牲になってもらう。

最後

AIに頼ることなかれ。一番星はてのに気をつけよ……。

趣味のない男性が始めた趣味

私は35歳のサラリーマンです。毎朝満員電車に揺られ、昼はデスクワークに追われ、夜は疲れて眠りにつく。休日特に予定はなく、テレビスマホを見て時間をつぶすだけの毎日。友人たちがそれぞれ趣味を楽しんでいるのを見ていると、自分には「何もない」と感じることが多かった。

そんなある日、職場の同僚から「今週末に街の写真展があるんだけど、一緒に行かない?」と誘われました。正直なところ、写真なんて自分には無理だと思い、断ろうとしましたが、同僚の熱心な誘いに押されて参加することにしました。会場に足を運んでみると、さまざまな写真が展示されており、初めて見る視点技法に興味を引かれました。特に、一枚の風景写真に心を打たれました。それは、夕焼けに染まる街並みを切り取ったもので、見るだけで心が落ち着くような気持ちになりました。

帰宅後、ふとスマホ写真撮影について調べ始めました。初めはカメラの使い方や基本的技術について学ぶことからスタートしました。インターネットには多くの情報が溢れており、初心者向けのチュートリアルフォーラムでのアドバイスが参考になりました。徐々に自分でも撮影に挑戦したくなり、週末にはカメラを持って近所の公園や街を歩き回るようになりました。最初スマホカメラで十分だと思っていましたが、本格的なカメラを購入することで、さらに深く写真世界に入り込んでいきました。

写真を撮ることで、日常の中に新たな発見を見つけるようになりました。以前は見過ごしていた風景や、人々の表情、小さな出来事に目を向けることで、生活が豊かになったと感じるようになりました。また、撮った写真SNS投稿することで、同じ趣味を持つ人たちと交流する機会も増え、友人の輪も広がりました。コメントや「いいね」をもらうことで、自分作品に対する自信もついてきました。

さらに、写真を通じて自己表現の楽しさを知り、自分感性視点を大切にするようになりました。風景写真だけでなく、ポートレートストリートフォトにも挑戦するようになり、多様なジャンルに興味を持つようになりました。撮影を続けるうちに技術も向上し、写真展に出品するまでに成長することができました。

ある日、自分の撮った写真をまとめて展示する機会を得ました。友人や同僚、家族が訪れる中、自分作品を誇らしげに見せる姿は、以前の自分とは違っていました。写真を通じて得た経験は、新たな視点価値観をもたらし、人生に彩りを加える大きな要因となりました。展示会では、多くの人々から感想をもらい、さらなる励みとなりました。

趣味を持つことで、ストレス解消やリフレッシュ方法を見つけることができ、心身ともに健康になったと感じています仕事に対する姿勢も変わり、より前向きに取り組むことができるようになりました。趣味写真撮影は、生活に新たな目的と喜びをもたらしてくれました。

かつて「趣味なんて自分にはない」と思っていた私が、趣味を持つことで得た喜びや成長は計り知れないものです。趣味を始めることは、誰にでも新たな可能性を開く扉となり得ます。一歩踏み出す勇気が、人生を豊かにする鍵となるのだと実感しています。今では、写真撮影生活に欠かせない大切な一部となり、これからも新しい挑戦を続けていきたいと思っています

発達障害差別する発達障害

発達障害を自認しながら身近な発達障害者をSNS晒してウケ狙ってる人いるじゃん

Xにもはてブにも、他のSNSにもいる、単発の投稿じゃなくて持ちネタなっちゃってる人

過去検索すると発達障害の兄が~姉が~って数えきれないくらいヒットする人

あれ本人は同じ発達障害からセーフって思ってるかもしれないけど、単なる差別なんだよね

わかりやすく言うと身体障害ならそんな粒度で同じと認定しない

上肢と下肢でも違うし視覚聴覚などそれぞれの苦悩があることが当たり前と考えてるから、同じ身体障害者としての発言は相当慎重に行われている

精神障害者ですら精神障害一般については配慮した物言いが当たり前になってる

なのに発達障害についてはそういう発言を頻繁にする人が目立つのは何故なのか

発達障害の詳しい診断が下っていてDSM-5についても知識がありながら差別発言を繰り返しているのは何故なのか

病状や深刻さが近しいならかろうじて自虐として成り立つ余地もあるかもしれない

でも、自分とは違うことを理解した上で差別発言を繰り返すことまでが自虐であるはずがない

しろ明確に線を引こうとする行為であり、明確な差別といえる

長文創作

まあAIに書かせてるんだろうけど、嘘なら嘘と判らない文章を書いて欲しい物だ。投稿ボタン押す前に見直せば判るだろ。判んねえか~。PC操作してるのがサルだもんな~。

anond:20250105144241

GPT o1の実力を示すには増田投稿できるギリギリサイズ(4000文字程度)が一番相応しいんだよね。

AIでもいい

ただ、もう少し短い文章投稿してほしい

I年間チャンネル登録者数1000人チャレンジしてみた

胸に詰め物をしてお料理する女装アカウント

3ヶ月で10000人突破

時事ニュース取り上げるアカウント

300人

ゲーム投稿するだけのアカウント

25人

おっぱいが強かった。

シマ騒動決定版

今だに女性の弁に乗ってもっと盛ってと言った言わないで攻めたつもりになってる阿呆が多いので解説してやるね。

まず発端の投稿から見ていこうか。

妥協の◯山したんだけど食べ物で遊ばれたから2度と行かねー、最悪、マジで不快

全マシコールでこれはさすがにきしょいよ

「多いけど大丈夫?(ニヤニヤ」のお得意の女は食いきれないだろのツラされてマジでキモかった、他の人のマシコールは普通で私のだけ手でギチギチに押し込んでたのきしょすぎ

おおよそ同量の立川シマシを食べ切ったことあるけどこれは予め量がわかりきっていた構えがあったため美味しく食べ切れた

今回の◯山に関しては色んな店舗で毎回マシ,マシマシで頼んでいたけど初めてギチパン盛りされて萎えた、あと店主のニヤつき顔がマジ不快

あと手で押し込んでたか普通に不味い

これを見て『女性バカにした!絶対に許さん!』ってなった阿呆男尊女卑!と店のレビュー荒らした事から大事になった訳だけど、とりあえず上記投稿から事実ベースお気持ちベース文句を分けてみようか

妥協の◯山したんだけど食べ物で遊ばれたから2度と行かねー、最悪、マジで不快

お気持ち全開で店が食べ物遊んだと言うのは客観的事実に基づかない不快からの脚色に過ぎない。

・全マシコールでこれはさすがにきしょいよ

全マシに対して多いとの意味だろう、後に言った言わないに発展してるように要はよくあるオーダーミスがこの問題の中心にあるのがわかる。

・「多いけど大丈夫?(ニヤニヤ」のお得意の女は食いきれないだろのツラされてマジでキモかった

完全にお気持ち

接客笑顔なのは普通で、ニヤニヤや〜のツラは思い込み、その上その思い込みキモいと重ねて貶すどうしようもなさ。

この時点で何かで腹の虫の居どころが悪かったか八つ当たりで話を盛った可能性まであるなと感じた。

よく居るよなそう言う困った人。

・他の人のマシコールは普通で私のだけ手でギチギチに押し込んでたのきしょすぎ

手で詰めたのが不快と言う気持ちはわかるが量が量だし、調理で手を使うのは普通よね。

これもオーダーミス故の話に集約される。

・おおよそ同量の立川シマシを食べ切ったことあるけどこれは予め量がわかりきっていた構えがあったため美味しく食べ切れた

思ってたのと違うのがきた事に対する文句。それは一般的な話としてわかる。オーダーミス故の話。

・今回の◯山に関しては色んな店舗で毎回マシ,マシマシで頼んでいたけど初めてギチパン盛りされて萎えた、あと店主のニヤつき顔がマジ不快

オーダーミス故の話。後に店側が出した『もっと盛って』が焦点ではあるだろう。

店主のニヤつき顔は先ほど同様接客笑顔への八つ当たり不快から何もかもがそう見えたんだろう。

・あと手で押し込んでたか普通に不味い

不味かったのが手を使って押し込んだからかどうかは不明だろう。

これだけ店に苛立っていては気持ちだけでも不味くなりそうだ。

ちゃんと読むと最初からオーダーミス問題と、それ故の不快さによる八つ当たりに集約されているのがわかる。

そしてこの八つ当たり部分により店が男尊女卑、女をバカにしたなどとレビューが荒らされた。

しか事実として店がこの女性客をバカにしたような客観的描写は一つもない。

ニヤつき顔なんて接客笑顔で行っていれば普通のことで、無表情で接客したら不快そうな顔で接客しただのそれはそれで脚色されたろう。

そしてさらには後の女性客が削除した釈明を見ると

また、女は食い切れないだろ、と言う認識は実際に私が男性の知人と二郎系に行った際に経験していたり女は二郎を食うなと言うネットスラング存在しているためこう言った発言をしてしまいました。不快になったのは本当です。ただその意図がなかったのでしたら申し訳ありません。

男尊女卑的な描写に関して完全に店が無関係であることがわかる。

女性客が嘘を言ったとは言ってないだろ』とか擁護したつもりの阿呆がいまだに多数見受けられるけど、今回の騒動で一番大きかった焦点はなんだった?

今は後の店の釈明からもっと盛った』の言った言わないで鬼の首取ろうみたいになってるが、お前らがそもそもバズらせたのは店が男尊女卑だと同調たからだろ。

これはその根幹が嘘だったと言う内容だぞ。

まり、数多の女性擁護者がバズらせてレビューを荒らす原因となった女をバカにした描写は全てマシマシに盛られたものだった。

店側の釈明でも女性バカにするような余計なことは一切書かれておらず、過度なバッシングに対して営業上やむを得ないから店側が確認した事実に基づく真摯声明しかない。

そこからこの客が『もっと盛った』を言った言わないの問題に発展してるが、この手の飲食業界でのオーダーミスに男女は関係なく、世間的によくある些細なミスの話であり、周囲の野次馬が言ってないのに言ったって言った!許さない!といちいち取り立てて怒るほどのことなのかと。

じゃあ女性が店側でオーダーを取り違えたような場合でもお前らはネットで挙って嘘つき!と私刑に走るのかと。

この答えはいちいち書くまでもない。全く阿呆らしいよな。

から、引くに引けなくて女性は『もっと盛った』と言ってないだの擁護してる阿呆、それはもうお前がそもそも憤ってた男尊女卑の話の延長線上にはなくて、ただの些細なオーダーミススライドして固執してるだけなんだよ。

女性客が男尊女卑描写が店と無関係な事を言った時点で残った問題は客側か店側かはわからないが『単なるオーダーミス』と、『一方的情報男尊女卑だのと店がバッシングされも荒らされた事実』だけなんだよ。

俺は言いたい事は言い切った。

それでもオーダーミス固執するのか?それとも各々反省して本件を終えるか選べ。

増田投稿して気づいたこ

自分は月1〜2回くらいの頻度で投稿していて、数ヶ月に1回くらい100ブクマを超える程度の増田である

そのようなバズったエントリには、スレッド形式コメント(別エントリ)とはてなブックマークコメントがぶら下がっている。

 

一目見ればすぐにわかると思うが、それぞれのコメントの質はかなり異なる。

前者のコメントでは言い捨てるような冷たいものから最初から喧嘩腰のようなものまでバラエティに富んでいる

後者コメントはそれよりはいささか理知的であるように見える。

 

なお日記を書くためには、はてなアカウント登録必要である

はてなブックマークでキリッとしたコメントを書いている諸氏が、増田感情的口論に参加していることを想像すると微笑ましくなる。

リマインド 脳出血の子供が死んだ増田

元ネタ

https://megalodon.jp/2024-1230-2327-19/https://anond.hatelabo.jp:443/20241230232614

はてブ

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20241230232614

言い訳魚拓発見できず。はてブ概要より引用

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20241230232614 友達のふりをしていましたが、脳出血の文をかいた本人です。 軽い気持ちで書いたもの拡散されてしまい慌てて削除しましたが、それ以前に不謹慎なことを考えずに投稿してしまいました。 削除してしまったため、本人であることを立証するのはできないのですが、この度は大変申し訳ございませんでした。

はてブ

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20241231141436

スマホ時間無駄

 現代社会において、スマートフォン(以下スマホ)は私たち日常生活と切り離せない存在になっている。多くの人が寝起きと同時に画面をチェックし、通勤通学中や食事の合間、さらには就寝前のひとときまで、何気なくスマホを手にしてしまうだろう。しかし、本来スマホは便利さをもたらしてくれるはずのツールのはずが、いつの間にか私たち時間をむしばみ、集中力を削ぎ、あらゆる生産性を低下させる「時間無駄」と化してはいないだろうか。本稿では、スマホがなぜ“時間無駄”と言われるようになったのか、その背景や影響、そしてどう向き合っていくべきかについて考えてみたい。

ーーー

スマホ依存時間浪費の実態

 まず、スマホは多くの人にとって「手軽に暇を潰す手段」として機能している。SNSを眺めたり、ソーシャルゲームに没頭したり、ネット通販サイトをチェックしたり――多種多様アプリ私たちの指先の先に存在し、数秒でアクセスできる。こうした「いつでもどこでも使える」環境が、一見便利そうに思えて実は非常に厄介だ。予定のない短い時間や、気分転換スマホを使うだけならまだしも、いつの間にか長時間そのまま画面に没頭してしまうケースが少なくない。

 たとえば電車の乗車時間が30分なら、その間ずっとSNSをチェックし続ける人がいる。あるいは自宅にいても、少し退屈に感じた瞬間に無意識のうちにスマホを取り出し、動画マンガアプリを開いて気づけば何十分も経っていた――こうした経験を持つ人は多いだろう。日常に溶け込みやすいという特性があるため、自分生活の中でどれだけの時間スマホに奪われているのかを意識しづらいのだ。実際、スマホ使用時間を記録するアプリなどを使ってみると、自分想像していたよりもはるかに長い時間、画面を見つめていることに気づかされる。こうして私たちは、積み重ねによって膨大な時間無自覚に浪費しているのである

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SNS承認欲求の高まり

 スマホ時間浪費を加速させる大きな要因として、SNS存在は外せない。私たちSNSを通じて友人や知人、さらには面識のない人々とゆるやかに繋がり、互いの近況や意見を手軽に共有することができる。これは確かに便利なコミュニケーション手段であるが、その一方で「ついチェックしてしまう」「誰かからの反応を待ち焦がれる」という心理を生み出しやす特性がある。

 たとえば、自分投稿した写真コメントに「いいね」やリプライが付くのを待つうちに、気がつけば定期的にSNSを開いていることはないだろうか。また、「あの人がどんな近況をアップしているのか気になる」といった衝動が、仕事勉強の途中でもスマホを取り出す行為を引き起こす。SNS承認欲求を刺激しやすく、フォロワー数や「いいね」の数といった数値が自分評価を表すかのように扱われやすい。それゆえに、より多くの反応を得たいがために内容を工夫し、更新頻度を増やし、何度も画面を覗き込む習慣が形成されるのだ。

 こうした行動は、短時間ならば人とのつながりを感じる上で有益かもしれないが、歯止めが効かなくなると貴重な時間をかなり浪費してしまう。さらSNS上でのちょっとした言い争いや、他人の充実した投稿に対する嫉妬など、精神的なストレス要因にも発展しやすい。結果として、心身に負担をかけながら時間を費やす悪循環に陥ることが少なくない。

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マルチタスク集中力の低下

 スマホが引き起こす時間の浪費は、単に遊びやSNSへの没頭だけにとどまらない。スマホは常に「通知」という形で私たちを呼び戻そうとする。メールの着信、SNSリアルタイム更新ゲームイベント通知、ショッピングサイトタイムセール情報……スマホからの通知は絶え間なく押し寄せる。それらを放置しておくと不安になる、あるいは気になって仕方がなくなる人も多いだろう。

 このように、私たちは常にマルチタスク状態に追い込まれる。何か作業をしている最中であっても、スマホが通知を発すれば目を向けずにはいられなくなる。すると、その都度脳は集中と切り替えを強いられ、生産性が下がるだけでなく、作業効率を大きく損ねる。「ちょっと見るだけ」と思っても、その“ちょっと”が重なれば相当な時間を持っていかれるし、再び作業に戻るには思っている以上に時間がかかるものだ。

 最近リモートワークやオンライン授業など、PCタブレットを使う機会が増えている。そこにスマホまで加わると、目の前の作業に集中するのは至難の業だ。スマホが身近にあることで、つねに意識分散されてしまう。結果として、仕事勉強の質が低下し、余計に時間がかかったり、成果が得られにくくなったりする。これは「時間の浪費」と言わずして何だろうか。

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デジタル疲労と心の休まらなさ

 さらに、スマホによる時間浪費は私たちの「心の休まらなさ」をも生み出す。現代情報過多の時代でもある。SNSニュースサイト動画コンテンツブログ……あらゆる情報スマホを通じて簡単に手に入るのは便利だが、それらに四六時中触れていると脳が休まる暇がなくなるのだ。

 デジタルデトックスという言葉が広まったのは、こうした状況に警鐘を鳴らす動きからだ。あえてスマホを触らない時間を作り、自然に触れたりアナログ趣味に没頭したりして脳をリフレッシュさせる。これによって本来集中力想像力を取り戻す効果が期待できる。しかし、スマホは多くの人にとって中毒性が高いデバイスであり、自分意志だけで使用制限するのは簡単なことではない。

 また、眠る直前までSNS動画を見ていると、脳が覚醒状態のまま寝つきにくくなると言われている。疲れているのにベッドに入ってもすぐには眠れず、スマホを見ながらうとうとしてしまい、翌朝の目覚めが悪くなる――という悪循環に陥っている人も多いのではないだろうか。心身の健康にも影響が及ぶとなれば、スマホの過度な利用がもたらす時間的な浪費はもはや軽視できない問題である

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スマホが“時間無駄”と化す背景

 では、なぜこれほどまでにスマホが「時間無駄」になりやすいのか。その背景には、ユーザー心理を巧みに利用するアプリ設計がある。多くのアプリSNSは、「もっと見たい」「もっと遊びたい」と思わせる仕掛けが満載だ。無限スクロール機能、魅力的なサムネイル動画一覧、SNSタイムライン更新ソーシャルゲーム期間限定イベント……いずれもユーザー継続利用を促進するデザインになっている。

 加えて、スマホというデバイス自体が「常に身近にある」という点も、時間浪費を助長する。自宅のパソコンであれば、わざわざ椅子に座りスイッチを入れ起動を待つというプロセスがある。しかし、スマホポケットカバンに入っており、ロックを解除するだけで即座にコンテンツアクセスできる。このハードルの低さが、私たち無意識のうちにスマホへ手を伸ばす原因だと言えるだろう。

 また、人間の脳は「新しい情報」に対して強い報酬を感じる特性がある。スマホを開くたびに新着通知や新しい投稿があり、脳が刺激される。これを何度も繰り返しているうちに、スマホチェックが習慣化し、結果として時間をどんどん奪われてしまうのだ。

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■ “時間無駄から抜け出すために

 スマホを使うこと自体が悪いわけではない。しかし、使い方を誤ればあっという間に大切な時間を奪われ、何も得るものがないまま一日を終えてしまうことになる。では、どうすればスマホによる時間の浪費を防げるのか。

 まず一つに、「使用時間可視化する」ことが挙げられる。スマホには、アプリごとの使用時間を計測してくれる機能が搭載されていたり、サードパーティ製のアプリでも類似機能提供されていたりする。まずは自分がどれだけの時間スマホに費やしているのかを正確に把握することが重要だ。そこに驚きや危機感を覚えれば、使い方を見直すきっかけになる。

 次に、通知の設定を見直す方法効果的だ。SNSメールニュースアプリなどの通知を一括でオフにしてしまうと、スマホが「呼び出し」をかけてくる機会が大幅に減る。必要ものだけを厳選し、本当に優先度の高いアプリ以外の通知は切っておくことで、集中を妨げられる回数を減らせる。

 さらに、使用する場所時間限定する習慣を作るのも有益だ。たとえばベッドのそばスマホを置かない、就寝前の1時間は画面を見ない、あるいは食事中や人と会っているときはバッグの奥底にしまうなど、小さなルールを作って徹底するだけでも大きな違いが生まれる。スマホのものが視界に入らない状況を作ることが、無意識での使用を防ぐ第一歩になる。

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スマホに取り戻されるはずだった時間

 「スマホさえなければ、もっと色々なことができたのに」――そう後悔したことはないだろうか。仕事勉強だけでなく、家族や友人との時間趣味時間運動読書など、自分にとって大切な活動に割くはずだった時間が、いつの間にかスマホに奪われてしまっている。

 もちろん、スマホ提供する娯楽や情報は決して「完全に無駄」とは言い切れない部分もある。人との繋がりを得たり、新しい知識を手に入れたり、リラックスのために有用コンテンツを楽しむこともあるだろう。しかし、問題バランスである自分にとって本当に大切なものを見極め、優先すべき時間を確保した上でスマホ活用するのと、何となく常にスマホに手を伸ばして時間を溶かすのとでは、得られるものがまったく異なる。

 スマホを手放すことで、その時間を別の活動に振り分けることができれば、新しいスキル習得創造的なアイデアの練り上げ、あるいは人間関係の質の向上につながるかもしれない。スマホとの向き合い方を変えるだけで、時間の使い方は驚くほど充実したものへと変化していくのだ。

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デジタル社会とどう折り合いをつけるか

 とはいえ現代社会ではスマホを完全に手放して生活することは難しい。ビジネス学業において、連絡手段情報収集ツールとしてスマホを使わざるを得ない状況も多い。便利な地図アプリや決済アプリなど、スマホがなければ不自由を感じる場面も日常的にあるだろう。

 重要なのはあくまで「スマホは道具」であるという原点に立ち返ることだ。自分必要情報や連絡手段として最低限使い、ほかの余計な時間をできるだけ削る――この意識を持つだけでも、時間を奪われる感覚を大きく減らすことができる。スマホとの付き合い方は、人によって最適なバランスが異なる。仕事で大量のメールチェックが必要な人もいれば、SNS発信がビジネスの一部になっている人もいる。だからこそ、自分に合ったルール制限方法を見つけることが大切だ。

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■ まとめ 〜スマホ支配されない生き方を目指して〜

 スマホは、現代ライフスタイルを大きく変えた革新的発明であり、その恩恵を完全に否定することはできない。しかし一方で、暇つぶしSNSのチェック、そして常に降り注ぐ通知に追われるうちに、気がつけば膨大な時間無駄にしていることも事実である私たちの有限な人生において、一日一日が持つ重みはとても大きい。貴重な時間を何に使うかを考えたとき、必ずしもスマホに費やす必要はないはずだ。

 もし「スマホなんて時間無駄だ」と感じる瞬間があるなら、それはスマホとの付き合い方を見直す絶好のチャンスだ。アプリ使用時間を把握し、通知設定を厳選し、ルールを決めて不要使用を控える。こうした工夫によって、私たち時間はより有意義活動へと振り向けられるだろう。読書スポーツ、友人や家族との対話創作活動――それらはきっとスマホ依存する生活よりも豊かな体験をもたらしてくれるに違いない。

 デジタル社会に生きる私たちにとって、スマホはこれからも欠かせないツールであり続けるだろう。しかし、「道具を使う」のではなく「道具に使われる」状態に陥ってしまっては、本来大切にすべき時間を失いかねない。スマホ時間無駄になるかどうかは、結局のところ私たち自身意識と行動次第なのだ。もし少しでも「スマホ時間を奪われているかもしれない」と思ったときは、一度立ち止まって考えてみよう――果たして、その時間は本当に自分にとって価値のある使い方だろうか、と。スマホと上手につき合い、自分人生をより豊かにデザインするためにもスマホに費やす時間と向き合うことは決して無駄ではない。むしろ、そこから「本当に大切な時間」のあり方が見えてくるはずである

多頭崩壊に陥っていた家庭から猫を三匹預かってきた話

 私がその「多頭崩壊」に関わるきっかけとなったのは、ある動物保護団体SNSで見かけた一枚の写真でした。そこには、暗い部屋の中で多数の猫たちが身を寄せ合いながら、不安げにこちらを見つめている姿が写っていました。一言に「多頭崩壊」といっても、当事者事情はさまざまです。飼い主自身も苦しみながら、増えすぎてしまった猫の世話を継続できず、助けを求める余裕すらないケースもあれば、元は保護のつもりが徐々に増えてしまい、最終的に身動きが取れなくなったパターンなど、理由は人それぞれです。けれども共通するのは、生活環境が極端に悪化し、猫たちも健康を損ないやすい状況に追い込まれしまうということ。どうしても胸が痛んでしまい、当初は「何か手伝えればいいな」という軽い気持ちでその投稿を読み進めました。

 ところが、具体的な保護の様子や猫たちの状態に関する記述を読むうちに、私は居ても立ってもいられなくなりました。そこには、劣悪な環境感染症に苦しむ猫たちの存在が綴られていたのです。何匹もの猫がいる狭い部屋には空気の流れも悪く、清掃が追いついておらず、糞尿の臭いが充満しているとのことでした。猫たちの中には極端にやせ細っている子もいれば、ストレスから脱毛している子、目やにで両目がふさがってしまっている子もいる。そんな中で、ボランティアスタッフは根気強くケアを続けているが、引き取り先が決まらないと満足な治療ができないケースも多い。とにかく人手と物資それから新しい受け入れ先が必要だ――こうした言葉を目にした瞬間、私の胸中では「何かしなくちゃ」という思いが大きく膨らんでいきました。

 私はすぐに保護団体に連絡を取り、状況を尋ねました。すると、現場には数十匹単位の猫がひしめいているらしく、飼い主である高齢女性限界を迎えているとのことでした。近隣からの苦情も多く、行政の介入も検討されているが、猫たちを全て一気に保護するのは物理的にも資金的にも厳しい状況。しかし一方で、いち早くケアしないと命にかかわる病気を患っている猫も少なくないという話でした。私はまだ猫を飼った経験は浅かったのですが、どうにか力になれないかと思い、「私にも里親としてできることはありますか」と尋ねました。保護団体担当者は少し驚いたようでしたが、心強く思ってくださったようで、「健康状態不安のある猫も多いですが、可能範囲で預かっていただけるなら本当に助かります」とおっしゃいました。

 こうして私は、最終的に三匹の猫を預かることになりました。いずれも生後1~2年ほどと見られる若い猫たちで、内訳は白黒のブチ猫、三毛猫、そして茶トラ猫。それぞれオスかメスかまだはっきりわからない状態でしたが、病院に連れて行って健康状態をチェックし、去勢避妊がまだであれば実施する必要があるとのことでした。保護団体スタッフからは、「栄養失調や目の感染症、皮膚病の疑いがあります特にブチ猫は呼吸器系が弱そうなので、なるべく早く病院に行ってあげてください」とアドバイスをもらいました。預かるにあたっての注意事項や飼育方法をたくさん聞き、不安がないといえば嘘になりますが、それ以上に命を繋いであげたいという気持ちが勝っていました。

 実際に三匹を迎えに行った日、私はその現場の一部始終を目にすることとなりました。かつては猫たちが自由に走り回っていたであろう部屋は、すでに掃除も追いつかず、床にはいくつものトイレ砂やゴミが散らばり、アンモニア臭が立ちこめています。窓は締め切られ、空気は淀んでいました。保護団体スタッフが部屋に入ると、驚いた猫たちがさっと散り散りに逃げていき、段ボールの陰や押入れの奥に身を隠します。あるスタッフが、「今度里親さんが決まった子たちはいる?」と声をかけると、「こっちにいます」とほかのスタッフが三匹をキャリーに移して連れてきました。その子たちは恐る恐るケージから顔を出し、心なしかホッとしたようにも見えましたが、環境の激変に戸惑っているのか震えていました。

 私が引き取る三匹は、一見すると命に直結する深刻な症状はなさそうですが、やせ細っていることが見て取れました。最初のブチ猫は痩せこけて体力が落ちており、くしゃみを繰り返していて呼吸も苦しそうです。続いて受け取った三毛猫は、被毛がパサパサしていて腰のあたりに脱毛箇所があります。皮膚病の疑いがあるので、早めに獣医師の診察を受ける必要がありました。そして最後にやってきた茶トラ猫は、目ヤニで片目がほとんど開かない状態でした。恐怖心からなのか、キャリーに入るとき必死抵抗していて、スタッフの腕に爪を立てていました。そんな様子を見ていると、「連れて帰ってちゃんとお世話してあげなきゃ」という気持ちさらに強くなりました。

 初めて我が家に三匹を連れて帰った夜は、私にとっても、そしてきっと猫たちにとっても長い夜でした。三匹は緊張で固まっており、最初キャリーから出てこようとしません。せめて安心して過ごせるよう、私は静かな一部屋を丸ごと「猫部屋」に整えておき、必要最低限の家具を配置していました。そこにキャリーを置き、ふかふかのタオルや、先住猫が使っていたクッションなどを用意しました。先住猫の匂いが混ざっていると不安が和らぐこともあると聞いていたからです。部屋の隅に食事と水、それから猫砂のトイレを置き、なるべく落ち着いた環境を整えたものの、彼らはそろって隅のほうでじっと様子をうかがっていました。私は部屋の中にしばらく座り込んで「大丈夫だよ」「怖くないよ」と声をかけましたが、三匹が自ら近寄ってくることはありませんでした。

 翌日、まずは一番症状が重そうだったブチ猫を動物病院へ連れて行きました。診断の結果は、呼吸器の感染症の疑いが強く、体力が落ちているため免疫力が低下しているらしいとのことでした。抗生剤免疫力を高めるサプリメントを処方してもらい、しばらくは安静に、十分な栄養補給をするようにと指示を受けました。病院から帰ってきてキャリーを開けると、ブチ猫は疲れたような表情を見せつつも、どこかほっとした様子。やはり医療の力は大きく、診察台で獣医師に静かに撫でられたのが安心できたのでしょうか。その日はゆっくり休ませ、私もできる範囲で声をかけ、必要なら毛布を替えてあげるなど細かい世話をしていました。

 三毛猫と茶トラ猫についても、翌日以降に順番に診察を受けさせました。三毛猫脱毛はやはり皮膚病の一種で、ストレス栄養不足も原因になっているそうです。抗真菌薬の塗り薬や、被毛を補修するフードなどを獣医師から勧められました。茶トラ猫は結膜炎が進んでおり、片目が塞がりかけていたのは膿が溜まっていたからだとわかりました。洗浄と点眼薬使用回復の見込みがあるとのことで、そこまで深刻ではないようでしたが、嫌がる茶トラ猫に目薬を差す作業はなかなか大変です。毎回「シャーッ」と威嚇されながらも、根気強くケアを続けるしかありません。「お世話するのは大変だけれど、ここで諦めたらこの子は一生目が開かないかもしれない」と思うと、不思議責任感が湧いてきました。

 それから数週間、私は三匹を中心とした生活を送りました。正直、先住猫も含めて家の中は猫でいっぱいなので、お互いの存在に慣れるまで気を使う場面も多かったです。先住猫は多少ストレスを感じたのか、最初は「フーッ」と威嚇していましたが、時間をかけて一緒に遊べるようになると、少しずつ打ち解けてきました。新入りの三匹は最初は警戒心が強かったものの、栄養状態改善し、薬の効果調子が上向くにつれ、目に見えて表情が変わっていったのです。最初ご飯を出しても目が合うと固まっていたのに、徐々に「ご飯はまだかな」と言わんばかりに足元にすり寄ってくるようになりました。被毛も少しずつツヤを取り戻し、ブチ猫のくしゃみも一日に何度か程度になり、茶トラ猫の目ヤニもだいぶ落ち着いてきました。

 医療的なケアが一段落すると、次は社会性の回復課題になりました。多頭崩壊現場暮らしていた猫たちは、人との関わり方を知らずに成長する場合が多いので、社会化が十分にできていないことがあります特に三匹とも体調不良で怯えていた期間が長かったため、人を怖がりやすい面が見られました。そこで私は、一緒に遊ぶ時間積極的に作るようにしました。いきなり手を伸ばすと驚かせてしまうので、最初はじゃらしやトンネル型のおもちゃなどを使い、猫たちが楽しめる距離感を保ちつつ触れ合いを試みるのです。最初は逃げ腰だった三毛猫が、じゃらしの先につられて少しずつ近づいてきたときの喜びはひとしおでした。近づいてきた瞬間を見逃さずに、「えらいね」「かわいいね」と優しく声をかけると、その声に安心してくれたのか、遊び終わった後も少しだけ私の側にいてくれるようになったのです。

 そして保護からおよそ二か月が経った頃、三匹はすっかり我が家に慣れ、ずいぶんリラックスして過ごせるようになりました。ブチ猫はもう呼吸が苦しそうな様子はなく、今ではおもちゃネズミを追いかけて部屋の中を走り回っています三毛猫脱毛部分は完全に毛が生え揃い、ときどき自分のしっぽを追いかけてはくるくる回って遊んでいます。茶トラ猫は最初のうちは人をひっかくこともありましたが、目の治療で痛みがなくなったのか、今では私が部屋に入ると先に鳴いて寄ってきてくれるようになりました。自分から頭をすり寄せてくれるときなど、あの警戒心の塊だった頃を思い出し、ついじんわりと胸が温かくなります

 今振り返ってみると、三匹を引き取ることに決めた当初は、それこそ手さぐり状態でした。医療費も含めて負担は決して小さくなく、何度も「これでよかったのだろうか」と悩む夜もありました。しかし、彼らが見せてくれる少しずつの変化や成長は私にとってかけがえのない喜びをもたらしてくれました。そして何より、一度は過酷環境の中で押しつぶされそうになった命が、こうして元気に暮らしている。その事実を見守れる幸せは、言葉で言い尽くせないほど大きいと感じています。多頭崩壊問題は決して他人事ではなく、動物を飼うということは終生責任を伴うのだと、改めて強く考えさせられました

 もちろん、三匹を迎えたからといって多頭崩壊問題根本的に解決するわけではありません。一匹でも多くの猫が適正な環境生活できるようにするには、飼い主の意識改革行政支援地域での協力体制など、取り組むべき課題は山積みです。それでも、私にできる範囲で猫たちを救うことはできました。今は三匹との日々に癒やされながらも、あの現場にはまだ引き取り先を待っている猫たちがいるのだという事実を時々思い出し、「もう少し何かできないだろうか」と考えています動物保護団体への寄付ボランティアなど、私一人の力は小さいかもしれませんが、一歩ずつ行動を積み重ねていけば、いつか大きな力になれるかもしれない。そんな希望を抱きながら、今日も三匹に声をかけるのです。「おはよう今日も元気そうだね」――私に向かって返してくれるか細い声が、いつも以上に愛おしく響きます

anond:20250105000526

「一つ聞かせて欲しいの。どうしてここまで私を恨んでるの?」

 その問いに、賢介は声を震わせて答える。

「お前は……いつも俺を見下してた。俺がカラオケに行きたかったのに、陰で“雰囲気が悪くなる”って外したのも知ってるんだよ。俺がどれだけ惨めな気持ちだったか想像したことあるか? お前は何でも手に入ると思ってて、俺みたいなやつの気持ちなんて、分かりもしないだろう……」

 優里子は目を伏せて、唇を噛んだ。

「それは……本当に私が言ったことなの?」

「他のサークルの連中から聞いたんだ。あんたが言ってたって」

「……確かに、覚えてないけど、可能性はあると思う。大学時代の私は“強くなければ生きていけない”と思って、少し尖ってた。あなたを傷つけたことがあるなら、謝る。ごめんなさい」

 意外な言葉だった。勝ち気な彼女が、こんなにも素直に謝罪するとは思っていなかったのだ。賢介は複雑な感情に揺れる。

あなたにとっては、私は“強者”に見えたかもしれない。でもね……私だって必死だった。人に嫌われないように、必要以上に明るく振る舞って、それでも人間関係は思うようにいかなくて、陰で色々言われたり。時々、誰かを傷つけてたかもしれない。でも、こんな形で仕返しされるなんて……」

 優里子言葉は涙混じりだった。彼女上着ポケットからさな紙切れを取り出し、テーブルの上に置く。そこには病院診断書らしきものがあり、適応障害だとか、ストレスによる心身の不調が書かれているようだった。

「もう、これ以上は耐えられないの。あなたのこと、訴えることも考えた。でも、私は……あなた復讐したいわけじゃない。もう、争いそのものが嫌なの」

 そう言って、彼女は深く息をつくと、震える声で続ける。

「だから、ここでちゃんと話がしたかった。私があなたを傷つけたことがあるなら、改めて謝らせてほしい。でも、どうしてもこの噂だけは止めてほしい。私の人生が、壊れてしまう」

 にわかには信じられない光景だった。賢介は自分が抱いていた“強者の女”というイメージが音を立てて崩れ落ちていくのを感じた。傷つき、追い詰められた彼女は、もう“強者”には見えない。むしろ自分よりもはるかに苦しんでいる。

「……俺は、どうすればいいんだ」

 その問いに、優里子はただ「私を解放してほしい」と言った。裁判も、警察沙汰も、本当は避けたい。賢介が自ら噂を否定する形で投稿してくれれば、それでいい。真犯人書き込みをしていたと名乗り出る必要はない。匿名でもいいから、否定する言葉拡散してほしい、と。

 賢介は自分所業を思い返す。あれほどまでに情熱を燃やし、彼女を貶めようとした行為が、一瞬で取り返しのつかない事態を生んでいた。それが今ここで、本人の涙ながらの懇願を受けている。

 ――どうして、こうなってしまったんだろう。

 もともとは、くだらない妬みや劣等感きっかけだった。その感情は確かに強烈だったが、だからといって、ここまで相手を追い詰める権利なんてあるはずがない。

 賢介はゆっくりと立ち上がると、テーブルに深く頭を下げた。言葉は出なかったが、ただ、申し訳なさと罪悪感で胸がいっぱいだった。彼女は何か言おうとしたが、賢介はそれに答えず、カフェを後にした。外の冷たい風が、彼の心を鋭く刺す。

 翌日、賢介は意を決して、裏アカウントに「噂はデマです。根拠はありません」との書き込みを次々に行った。さら複数アカウントを使って、それを拡散する。あれほど緻密に組み上げたフェイクの体系を、自分で壊していく。皮肉行為だったが、もうこれ以上は耐えられなかった。

 書き込みを続けるうちに、どこかで聞いた言葉が頭をよぎる。「誤解や嘘で人が傷つくのは嫌だからさ」と言った小峰の声。そして「私を解放してほしい」と涙ながらに訴えた優里子の声。彼女もまた、必死に生きていただけなのかもしれない。

 デマ自分否定したところで、すべてが元通りになるわけではない。すでに傷ついた心も、奪われた時間も、簡単には戻らない。それでも、賢介は少しでも早く、その“間違い”を正したかった。

 それから数日後。世間の興味は移ろいやすもので、新しいスキャンダル事件が起これば、優里子の噂は次第に人々の記憶から薄れていった。ネット上には「やはりデマだったか」「謝罪もなしに逃げるのか」といった声も上がったが、大多数の人は面倒ごとから手を引き、いつものように新しい話題へ飛びつくだけだった。

 一方で、賢介はあれ以来、アルバイトを掛け持ちして朝から晩まで働き始めた。部屋に引きこもってネットを眺めていると、また同じ過ちを繰り返してしまう気がしたからだ。無心で働くことで、少しでも罪悪感から解放されたいと願った。

 ある日、アルバイト先のコンビニに小峰がやってきた。街中で偶然見かけたようだった。驚く賢介に、小峰はさりげなく声をかける。

「……頑張ってるみたいだな」

 賢介はどう返事をしたらいいかからない。かすかに頭を下げるだけだ。小峰はレジで支払いを済ませると、「そういえば、優里子は少しずつ元気を取り戻してるってさ。入院退院して、今は実家で療養してるらしい」と言った。

「そうか……」

 短く答えた賢介を見て、小峰はさらに続ける。

「また、大学OB会が開かれるんだ。お前がよければ顔を出してくれ。……まあ、すぐには無理だろうけどな」

 小峰が店を出て行ったあと、賢介はしばらく立ち尽くしていた。自分があの場に行けるとは思えない。けれど、その言葉にどこか温かいものを感じたのも事実だった。

 大きな過ちを犯したことは消えない。それでも、そこから先の人生をどう歩むかは自分次第だろう。賢介は店の冷蔵庫を補充しながら、虚空を見つめた。自分弱者だと思い込み、その鬱屈他者へ向けてしまった。その代償は計り知れない。しかし、同じ弱さを抱えたままでも、やり方を変えることはできるはずだ――そう信じたいと思った。

 その後、日々は淡々と続いていく。世間が騒ぐ“炎上”も、ゴシップ記事も、いつかは消えていく。だが人が受けた傷は簡単には消えない。賢介の心にも、彼が傷つけた人の心にも。その事実を重く抱えながら、いつか本当の意味自分人生を取り戻すために、今日も彼はコンビニ制服を身につけ、レジに立つ。

 ――弱者男性が強者女性復讐する物語は、こうして終わる。だが、この結末は勝利でもなく、敗北でもない。両者ともに傷つき、互いに心に刻まれた痛みを抱えたまま、人生を続けるのだ。復讐の炎は、燃え上がればすべてを焼き尽くす。そこに残るのは、虚無と後悔だけ。それでも、人はどこかで間違いに気づきわずかながら歩み出すことができる。弱いままでいい。大切なのは、その弱さを他者破壊に振り向けるのではなく、先へ進む力に変えていくことなのだから

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約6000文字前後(改行や記号を含む)で作成していますが、環境によって多少の差異が生じることがあります

弱者男性強者女性復讐した話

 千切れかかった薄曇りの空の下、木造の古いアパートの部屋で、川端賢介(かわばた・けんすけ)は頭を抱えていた。狭い部屋の隅には紙くずが散らばり、机の上にはペットボトルカップ麺の空容器が乱雑に転がっている。アルバイトシフトを週に四回こなすだけでも精一杯で、残りの日は家に引きこもって何もしない。部屋のカーテンは閉め切られ、部屋の中はやや薄暗い。壁の向こうからは近所の子供が走り回る音や、誰かがテレビ大音量でつけている様子が聞こえてくる。その些細な音ですら、賢介には自分存在嘲笑する響きに思えてくる。

 かつては夢があった。大学に入った当初は、弁護士になりたいと思ったのだ。しか理想現実ギャップにすぐ打ちのめされ、受験勉強中途半端なまま途中退学。就職活動もうまく行かず、今のアルバイト暮らしをしている。自分が「社会落ちこぼれ」になってしまたことは認めざるを得ない。一方で、大学時代に同じサークル出会った女性がいる。彼女の名は比嘉優里子(ひが・ゆりこ)。彼女サークルの中でもリーダー存在で、いつも自信に満ち溢れ、まるで何でも手に入れることができるかのようなオーラを放っていた。

 優里子は、その明るい性格と優れたコミュニケーション能力武器に、大企業総合職入社し、今や順調にキャリアを積んでいるらしい。SNSを覗くと、華やかなパーティーに参加したり、出張海外を飛び回ったりしている写真がいくつも投稿されている。彼女の姿を見るたびに、賢介は胸の奥に黒い感情が渦巻くのを感じていた。「なんで俺ばかり……」という思いが、日に日に大きくなっていく。かつてサークルでほんの少し仲良くなった時期があったため、彼女成功が余計に妬ましく思えた。

 そんな折、ひょんなことから賢介は、SNS投稿された優里子写真を見て、あることを思い出した。大学2年の頃、サークル新人歓迎会二次会カラオケにみんなが行くときに、なぜか自分けが「ごめんね、席もう埋まっちゃったみたい」と断られたことがあった。当時は「仕方ないか」と思っていたが、あのとき中心になっていたのが優里子だった。後日、別のメンバーから「あのとき、優里子が“あの人いると空気が重くなるから外していい?”って言ってたよ」と、笑い話のように聞かされた。そのときは、ただ恥ずかしさと悔しさで頭が真っ白になり、「そうなんだ」と笑って流すしかなかった。その記憶が、今になって鮮明に蘇る。

 ――彼女は、陰で人を見下すようなタイプだ。

 ――人の心を踏みにじり、自分快楽や満足のためだけに周囲を利用している。

 ――だけど表面上は、誰にでも優しく礼儀正しく接する。だから多くの人が騙される。

 自分もその一人だったのかもしれない。無邪気に笑う彼女の姿が、いつの間にか脳裏で黒く塗り替えられていく。嫌悪感と羨望、そして劣等感が入り混じったやるせない感情。それが「復讐」という形で凝縮されていくまで、そう時間はかからなかった。

 その日もいつものようにアルバイトシフトを終え、コンビニで半額弁当缶チューハイを買って帰宅した賢介は、スマートフォンの画面に映る優里子SNSを眺めながらひとり考え込んでいた。

「どうやって復讐すればいい……?」

 彼女危害を加えるなど現実的には難しいし、そもそも暴力を振るう勇気すらない。だが、何らかの方法で“彼女から大切なものを奪う”ことができないか彼女に対して「仕返し」をする手段はないだろうか。

 そのとき、ある記事が目に入った。ある企業SNS炎上に関するニュースだった。社員プライベート発言が切り取られ、誹謗中傷が集中して、当事者退職に追い込まれたという事件SNSを使えば、世論簡単操作できる。もし優里子スキャンダルを世に広めることができれば……と、賢介は思いついた。

 しかし、彼女スキャンダルなど何も知らない。そもそも本当に「悪いこと」をしている保証もない。しかし、賢介にはひとつだけ心当たりがあった。大学3年の頃、仲の良かった友人から、あの優里子ゼミ教授不倫関係にあるらしいという噂を聞いたのだ。証拠もない、ただの噂話だった。だがもしそれを“事実”としてでっちあげることができたら……。

 その日は深夜まで、賢介はインターネット上での炎上事例やフェイクニュースSNS拡散手法などを徹底的に調べ上げた。何度も缶チューハイを口に運びながら、脳内で“彼女社会的に抹殺する”シナリオを組み立てていく。いつしか空が白み始め、鳥のさえずりが聞こえるころになってようやく、賢介は“準備”を整える決心をした。

 翌週、賢介はまず複数SNSアカウント作成した。男でも女でもない、あるいはビジネスマンを装ったり、女性OLを装ったり、学生を装ったりと、プロフィールを細かく設定した。次に、大学時代のサークルゼミの仲間をフォローし、タイムラインに溶け込めるように少しずつ発言を増やしていった。彼らがシェアしている記事に対してコメントを残したり、ニュース流行りのトピック無難意見を書き込んだり。

 一方で、別のSNSでは大学の裏アカウントを探し回った。そこには学生時代のうわさ話や、卒業後の同窓会の噂などが色々と書き込まれていた。優里子フルネーム検索すれば、過去に撮られた写真些細な情報が断片的に出てくる。その断片を拾い集め、賢介は少しずつ“フェイクの積み木”を組み上げていった。

 そしてタイミングを見計らって、複数アカウントから「あの優里子って、大学時代に教授不倫して単位もらってたって噂あったの知ってる?」と囁くように書き込み始めた。直接的な断定は避け、「らしいよ」「誰かが言ってた」「本当かは知らないけど」という曖昧言い回しで、火種をポツリポツリと落としていく。最初は誰も相手にしなかったが、何度か同じような書き込みが異なるアカウントから行われるうちに、少しずつ噂が広がり始めた。

 さらに、賢介は裏アカウントを使って、まるで「元ゼミ生」を名乗る人物が優里子教授の決定的な写真を持っているかのようにほのめかした。もちろん実際にはそんな写真など存在しない。しか曖昧文章で「以前、優里子さんが教授ふたりで深夜に研究室を出てきたところを見た」という“目撃情報”を投稿したり、他のアカウントから「そういえば卒業旅行キャンセルしてたのは、教授旅行に行ったとか?」とコメントをつけたりして、複数証言があるように見せかけるのだ。

 噂というのは恐ろしいもので、火種を絶やさない限り、どこかで燃え広がる。次第に、フォローの数が少ない裏アカウントでも、その書き込みを目にした人がリツイートスクリーンショット拡散していく。やがては大学OBOGグループにも届き、少しずつ「あの優秀な比嘉優里子が、実は……?」という疑惑が生まれていった。

 数週間後、賢介は満足感に浸りながら、アパートの部屋でSNSタイムラインを追っていた。匿名掲示板でも「比嘉優里子不倫単位を取った最低女」というスレッドが立ち、心ない言葉が書き連ねられている。その勢いはとどまるところを知らず、“噂が噂を呼ぶ”状態が加速していた。

「ざまあみろ……」

 内心でほくそ笑んだ。かつてパーティーでもSNS上でも脚光を浴びていた彼女が、今や不名誉な噂の的になっている。それは賢介にとって、大学時代に味わった屈辱を晴らすささやかな“仕返し”だった。優里子正義感あふれる投稿に、「説得力ゼロ」「偽善者」「自分のことは棚に上げて」などとコメントがつく様を見て、賢介は自分が強くなったような錯覚を覚える。

 しかし、いくら噂が拡散しても、実害がなければ彼女は痛くも痒くもないだろう。気の強い彼女なら、「そんなデマに動じないわ」と宣言し、むしろ毅然反論するかもしれない。実際、優里子SNSアカウントはしばらく更新が止まっていたが、新しい投稿が上がったときには、たくさんの応援コメントも寄せられていた。結局、噂に踊らされず彼女を信じるファンも多かったのだ。

「このままじゃ、まだ足りない……」

 賢介は次なる一手を考え始める。実害――たとえば、会社での信用や顧客との関係に亀裂が入るように仕向ければ、彼女キャリアは深刻な痛手を負うだろう。そこまでやるのかと自問しながらも、頭の中には「どうせやるなら徹底的に」という声が沸き上がっていた。

 それからというもの、賢介は優里子会社名を調べ上げ、その会社名前とともに「以前、不倫スキャンダルが噂されていた社員がいる」という書き込みを、ビジネスSNS就職活動系の掲示板に投下した。もちろん優里子名前は直接出さない。あくまで「ヒント」をばらまき、興味を持った人たちが「調べてみよう」と思うように誘導する。

 さらに巧妙なのは、賢介がわざと別の人物示唆するようなフェイ情報も織り交ぜたことだった。「〇〇商事女性社員でM・Hという人だ」など、デタラメ名前をいくつか挙げる。その後になって「あれは誤情報らしい。本当は比嘉優里子という社員」という流れを作ることで、最初にあった偽情報が訂正される形になり、逆に“本当の情報”だという信頼感を高めるのだ。

 噂はSNSからまとめサイトへ、まとめサイトから大手ニュース風の匿名ブログへと伝播していく。その過程で誇張や憶測が混ざり、いつの間にか「社内不倫で昇進している」「上層部を篭絡した悪女」などと書き立てられていた。もはや当初の大学教授との噂すら混線し、「彼女は昔から男を利用してのし上がってきた」という筋書きまで付け足されている。

 賢介はその様子を見届けながら、もはや半ば狂喜に近い感情を抱いていた。自分言葉が誰かを巻き込み、誰かがそれを信じ、さらに多くの人に伝えている。“弱者”だった自分が、こうして“強者”に打撃を与えられるという実感。それが彼の孤独な心を満たす唯一の悦びになっていた。

 やがて、SNS上では優里子を名指しする投稿が急激に増え始める。誹謗中傷コメントが飛び交い、会社にも問い合わせが相次ぐようになったらしい。それを示すように、優里子個人アカウントには「会社電話したけど?」「逃げんなよ」「暴露してやるからな」といった執拗メッセージが送りつけられていた。賢介は「ここまで来たか」と、どこか他人事のように画面を見つめる。

 するとある日、優里子SNSアカウントが非公開になった。続いて、彼女の友人たちが「優里子精神的に追い詰められてるらしい」「病院に行った方がいいかもしれない」と心配する投稿をしているのを発見した。ここで初めて、賢介は自分がやっていることの重大さを痛感した。もはや噂を広めるとかいレベルではなく、ひとりの人生破壊する行為に手を染めているのだ、と。

 しかし同時に、賢介の心の奥には「彼女が苦しんでいる」という事実への暗い快感が芽生えていた。「俺があの強気彼女を追い詰めているんだ」という優越感が、胸の中をぐつぐつと煮え立たせる。

 ――俺にだって、これくらいの力があるんだ。

 ――ずっと惨めだったけど、今は違う。俺の言葉ひとつで、あいつは奈落に落ちていくんだ。

 ある晩、賢介がいつものようにネットの反応をチェックしていると、見覚えのある名前を見つけた。大学時代に同じサークルだった友人・小峰だ。小峰はSNS上で「これはさすがに酷い。優里子に直接連絡を取って確認したけど、全部事実無根らしい。彼女名誉毀損で訴えることを検討している」とコメントしていた。

 名誉毀損――訴えられたらどうなるのだろうか。賢介の背筋に冷たいものが走る。自分がやってきたことは当然、罪に問われる可能性がある。しかし同時に、「誰がやったか特定できるはずがない」という妙な自信もあった。複数アカウントを使い分け、匿名投稿してきたのだ。しかも、あくまで「らしいよ」とか「噂だよ」と書いたにすぎない。そこまで簡単には追跡できないだろう、と。

 しかし、万が一ということもある。さらに、優里子法的手段に出るとなれば、彼女上司会社も本気で調査に乗り出すかもしれない。「疑わしきアカウント」に対して情報開示請求がなされれば、IPアドレスから身元が割り出されることもありうる。

 賢介は不安に駆られながらも、嘘だろう、そんなの上手くやり過ごせる――と自分に言い聞かせた。だが、なぜかスマートフォンを握る手が震えた。こんな気持ちは初めてだった。いつもならアルコール摂取すれば薄れる不安が、今回ばかりは煽られて大きくなるばかりだ。

 数日後、小峰から「久しぶりに話したいことがある」というメッセージが来た。学生時代はそこそこ仲が良かったが、卒業後はほとんど交流がなかった相手だ。どうやら、賢介が今どこで何をしているかは、小峰のほうも把握していないらしい。

 「このタイミングで俺に連絡してくるってことは、もしかして……」

 不安と警戒を抱えつつも、賢介は小峰の誘いに応じ、駅前喫茶店で会うことにした。平日の昼間だったため、人影はまばらだった。カフェの奥の席につき、ぎこちない様子で向かい合う二人。

 小峰は当初、大学時代の思い出話をするふりをしながら、少しずつ近況に話を移していった。どうやら彼は一般企業で働きながら、サークルOB会などを取りまとめる役をしているらしい。しばらく雑談が続いた後、小峰は急に真顔になって切り出した。

「優里子の件、知ってるか?」

「……ああ、SNSで色々言われてるみたいだな」

「正直、今までもちょっとした誹謗中傷なんかはあったけど、今回のはあまりにも悪質なんだ。で、優里子精神的に参ってる。裁判視野に入れて動き始めてるんだよ」

 そう言いながら、小峰はじっと賢介の目を見つめる。まるで「お前がやってることだろう?」と問い詰めるように。だが小峰はそれ以上は何も言わず、ただ「何か心当たりはないか?」と探るように続けた。

 賢介は動揺を抑えつつ、わざと素っ気なく答えた。

「いや、俺は知らないな。そもそも里子に昔からいい感情ないし、SNSほとんど見てないし……。そんな嫌がらせみたいなこと、わざわざやる動機もないよ」

 自分で言っていて、嘘臭さを感じた。しかし、小峰はそれ以上深追いしなかった。ただ、「そうか、もし知ってることがあったら教えてほしい。俺は、誤解や嘘で人が傷つくのは嫌だからさ」と言って、曖昧に微笑んだだけだった。

 小峰と別れたあと、賢介は駅前のコンコースをぶらぶらと歩きながら、頭の中で考えを巡らせる。小峰がわざわざ自分接触してきたのは、やはり“犯人”を探っているからではないかしかし決定的な証拠がなければ、自分を追及することはできないだろう。そう思う一方で、不安は拭えない。

「このまま、俺は逃げられるんだろうか……」

 後ろめたさと、復讐を達成するために奔走してきた興奮が入り混じり、心が不安定になっていく。

 結局、賢介はその夜からパソコンを開いても、優里子関連の情報収集や書き込みをする気が起きなかった。代わりにアルバイトを休んで酒量が増え、明け方まで起きては昼間に寝るという、ますます健康生活に陥っていく。何もかもが嫌になった。自分でも止められないままここまで来てしまったが、“復讐”という言葉は、もはや虚ろに響くだけだった。

 するとある日、いつもどおりアパートの狭い部屋にこもって缶ビールをあおっていると、スマートフォンが鳴った。画面には「小峰」の文字。嫌な予感がしたが、出ないわけにもいかない。

もしもし……」

「俺だ。突然で悪いんだけど、優里子入院した。心が限界だったらしい。……正直、原因を作った奴が許せない」

 小峰の声は怒りで震えていた。賢介は何も言えずに黙り込む。

「でな、俺はこのままじゃ黙ってられないと思うんだ。警察相談して、サイバー犯罪対策なんかも含めて捜査を依頼しようって話が出てる。会社も動いてるらしいから、情報開示請求なんかも時間問題だろう」

 脳がぐらぐら揺れるような感覚とともに、賢介は息が詰まりそうになった。ついに、もう逃げられなくなる。そう思った瞬間、彼は全身の力が抜けて床にへたり込んだ。

「……そうか」

 それだけ呟くと、小峰は最後に低い声で「もし、何か知ってるなら、今のうちにやめておけ」とだけ言って電話を切った。

 やめておけ――もう、やり続けること自体が無理だ。もはや罪悪感が勝っていて、賢介はこれ以上フェイクを撒くこともできなかった。だが、今さら何をどうすればいい? 彼女に直接謝って許しを乞う? そんなことをしても彼女ますます憎むだけだろう。

 翌朝、賢介は警察からではなく、思いがけない相手から連絡を受けた。なんと、優里子本人からメッセージだった。非公開になっていたSNSアカウントから、突然「直接会って話したい」という短文が送られてきたのである

「……どういうことだ……?」

 半信半疑のまま、賢介は指定された場所――大学近くの駅前カフェへ向かった。指定された時刻は夜の8時過ぎ。混雑する時間帯を外したのか、店内には数組の客しかいない。

 席に着いてしばらくすると、店の入口から見覚えのある女性が姿を現した。比嘉優里子――かつてのサークル仲間で、今や“噂”の被害者。その顔には明らかに疲労の色がにじみ、かつての凛とした雰囲気は薄れていた。

「……久しぶり」

 少しかすれた声で言う。賢介はどう反応すればいいかからず、黙って会釈した。二人がテーブルを挟んで向かい合う。彼女沈黙を破るようにゆっくりと口を開いた。

「私も気づいてた。あの噂、あなたがやってるんじゃないかって」

「……どうして」

大学とき、あまりしたことはなかったけど、あなたが私に抱いてた感情は分かってた。私のことをよく思ってなかったのは感じてた。今になって急にこんな悪質な噂が広がって、あのサークル関係の裏アカ書き込みを見ると、文章の癖とか表現が、なんとなくあなたに似てる気がして……。確信まではいかないけど、ね」

 賢介は言葉を失った。彼女がここまで鋭く察していたとは思わなかった。冷静に考えれば、自分しか知らないような細かいエピソードが混ざっていたのだから、勘づかれても不思議ではない。

「……申し訳ない」

 それ以外、言葉が出てこない。どんな理屈通用しない。ただ自分が虚勢を張り、彼女を傷つけようと目論んだ事実は消えないのだから

「一つ聞かせて欲しいの。どうしてここま

2025-01-04

カースト底辺なので結婚できなかった。

2年前に別れた元彼結婚した。

共通の友人に根掘り葉掘り聞いて、結婚式の写真も見せてもらった。新婦の両親は品の良さそうな家族。お互いの実家を行き来してて両家仲良さそうと聞いて大泣きしている。とても悲しい。人は同じもしくは近いカーストの人としか結ばれないのか?

この気持ちと経緯をどこに吐き出したらいいかからいから、ここに書かせて欲しい。というか年末年始実家に帰ってフラッシュバックしてきたので再々投稿している。

彼と私は大学2回生の頃から25歳まで付き合っていた。

私は地方出身で進学で京都に来ており、彼は京都出身の男だった。

付き合いは本当に順調で、私は彼の実家にもよく顔を出していた。注文住宅の一軒家、ペットの犬、何より優しく働きものの彼の両親と妹が大好きだった。

結婚意識し始めた25歳の春。彼が四国の私の実家に来たいと言った。私の実家は貧しいこと、フル奨学金で進学した事は事前に伝えていた。再度「うちの実家本当に貧乏から、驚かないでね」と伝えた。彼は「大丈夫だよ」と笑っていた。

到着した実家は古びたトタン貼りの長屋タイプ貧乏平屋で、申し訳程度に片した物が散乱している部屋にアルコール中毒気味の痩せこけたパチンコ狂の父親プリン頭のだらしなく太ったパチンコ狂の母親祖母分不相応な吠えまくるチワワがいた。生計祖母年金と両親のたまの労働借金と私の仕送りで立てている事は内緒だ。彼はそつなく私とお付き合いしているという挨拶をこなしてくれた。彼の仕事と彼の実家の事をそれとなく聞きお金匂いに目を光らせる両親が憎かった。

それからしばらくは今まで通りのお付き合いが続いたが彼の実家の定期イベントバーベキューに呼ばれる事はなく、なんとなく疎遠になっていき、私の実家に彼が来た3ヶ月後に、彼の浮気自白&強引な別れ話で交際は終わった。

当時も今も浮気の件は嘘で、私の実家ドン引きたから別れたのだと思ってる。逆の立場でもそう思う。彼と私とで貧乏解像度が違うのだ。

関西に来てから、友人達実家に行くことが何度かあった。みんな「貧乏育ちだよ〜」と言っているが全然違う。経済観念が近いから仲良く出来ていたが、向こうはしっかりと躾けられたお嬢さんガチ貧困は私のみ。

彼にも友人にも私の貧困は見えていないのだ。実際見たとしても彼のように何も言わず、私に何も言わせず去っていく。

めちゃくちゃ勉強を頑張って就活を頑張って、仕事も頑張って、稼いだお金奨学金の返済と仕送りに消えていく。

そういや、同じように仕送り愚痴を言ってた友人。当時は同じ悩みを持つ仲間がいて嬉しかった。お互い支え合って仕送りしてたよね。彼女結婚した時に、そのお金がそのまま毎月貯められてた通帳をもらってたなあ(結婚式のスピーチで言ってた。みんな号泣してた)普通にお祝いももらった上で。羨ましい。羨ましすぎて吐きそう。私の苦しみまで、彼女の喜びの養分になっているようだ。

これ以上の恨み辛みとやるせなさはあるが、ダークサイドに落ちそうなのでこの辺で吐き出しやめよう。

【極秘】再投稿警察攻略マニュアル

タイトルを変える

検索避けのため。

特徴的な言葉別に言い換えること。

拒否」→「キャンセル

「嬉しい」→「優勝」

タイトル前半を変えること。

「36歳諦めきれない」→「アラフォー諦めきれない」

投稿間隔を開ける

投稿警察は1日中見張っている。

最低でも1日は置くこと。

初動が悪かったら消す

最初10分で伸びなかったら消そう。

証拠を消してしまえば検索できない。

ブクマカには悪いが犠牲になってもらう。

最後

AIに頼ることなかれ。一番星はてのに気をつけよ……。

Ogura.H

@dli_coipchirt

この投稿をしておいて私をブロックするの、気が小さいにもほどがありますね。

いそぢん💉💉💉💉💉

@isodin_sf5

この小倉秀夫という弁護士は本当に弁護士だったのでせうか?今でも疑問に思ってる🤔😂

引用

Tuba56@法律素人

@Tuba56

2011年4月16日

返信先: @Hideo_Oguraさん

小倉さんは自分が是と認める目的のためなら積極的法律の裏をかくのを勧めるんですね? RT @hideo_ogura: ねじれが逆だったとき民主党はやっていたでしょ?RT @isodin_sf5: そもそも衆院で否決もされずほったらかしになってる法案参院に持って行けるんですか?

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午前9:03 · 2025年1月4日

300件の表示

桜庭 恭一

@SKRBKY1

11時間

弁護士詐称するのは立派な犯罪なので、余程の馬鹿でもない限りはやらないと思いますが、どうなんでしょうね。

いそぢん💉💉💉💉💉

@isodin_sf5

11時間

今となっては調べようも無いですしねぇ😂同姓同名垢がゾロゾロ出て来るし🤣

最近運が悪すぎる

運悪すぎて人生嫌になってきたからここで吐かせてくれ。

 

 ・虫垂炎で緊急入院、手術

 ・緊急入院のせいで前々から楽しみにしていたアーティストライブを断念

 ・誕生日風邪をひく

 ・彼氏がEDになる

 ・1年前から予定していた手術(前記とは別)が諸事情により中止。延期になるも1年以上予約待ちで絶望

 ・デートで乗った手漕ぎボートオールが池の真ん中で真っ二つに折れる

 ・新年早々有名な神社祈祷してもらった御神酒の瓶が割れてお札とか全部だめになった ←New

 

ライブ半年上前に奮発して2万円ぐらいするチケットを買ってウッキウキで準備しており、また高齢アーティストのため来日するのもこれが最後っぽかったので本当に残念。

チケットもったいないので暇そうな友人に譲って観てきてもらった。

彼氏がEDになったのは少し前にここに投稿している。

予定していた手術の中断・延期が一番ツラく、今もこのことで毎日落ち込んでおり立ち直れていない。

手術の準備に2年かけ、やっとゴーサインが出たと思ったら1年の順番待ち。待ちに待ってようやくこの日が来た!と思ったら手術当日にアナフィラキシーショックを起こして死にかけた。

手術台の上でふと目が覚めて、「手術できませんでした」と言われた時のあの瞬間がトラウマ

仕切り直しで次回の手術を予約するもまたまた順番待ちで1年以上先になると言われた。病院ルールで優先はできないそうだ。

後遺症は無かったものの、原因究明するのに色んな病院たらいまわしにされたり医者説明対応が不十分だったりと、体も精神ボロボロ疲れた

社会人なので仕事の予定調整はもちろん、病院通いのせいで大事に取っておいた有給休暇の日数がみるみる減っていくのもツライ。もちろんお金も。

心に余裕がないので、数少ない友達との連絡もここ数か月とってない。

そんで今年こそは何もありませんように・・!と張り切って神様にお願いしてみたのだが、帰りに寄った駅ビルトイレ神社からもらった紙袋を落としてしまった。

落としたと言っても自分の脛ぐらいの高さからで、垂直に落としたので大丈夫だろうと思ったら箱に入った御神酒清酒?)の瓶が割れたらしく、みるみるうちにすべてが酒浸しになってしまった。

もう泣く元気もなくてフラフラの足取りで帰宅あんまり信じてないけど、こんなことばかり続くとなんか憑いてるんじゃないかと思ってしまう。

今年はもう何もせず、ひっそりと息をひそめるように生きるしかない。

anond:20250103215850

前に似たようなことを言って、部下をバッシングして退職に追い込んだ同期がおってな。

ワイからみてもその部下は仕事できない奴に見えたから、かかわらないようにしてたんや。

その部下は程なくして移動になったんやけど、移動先で急にパフォーマンスがよくなってな。

一方の同期には別の新人が付いたんやけど、こいつも使えないと、ガンガンに追い込んでいったのよ。

今では同期のほうが腫物扱いになっていて、上司も同期に新人をつかせることがなくなった。

この投稿の○○君がどうかはわからんけど、こういうこともあるから、使えない部下を持つ人は一度立ち止まって考えた方がええで。

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