東京ヴェルディ→ スペイン出身でリーガ・エスパニョーラのセルタなどで実績を積み上げたロティーナ監督を招聘した東京Vは12節を終えた時点で7勝4敗1分け。勝ち点「22」で4位と好位置に付けている。ここに来て一時の勢いはなくなってきたがそれでも首位の横浜FCとの差は「2」のみ。2008年以来となるJ1復帰に向けて好スタートを切った。2節から5試合連続完封勝利。9節を終えた段階ではJ2の首位に立っていた。
12試合で17得点/9失点。失点数はリーグ3位の少なさとなる。東京Vというと伝統的にパスサッカーを好むチームである。下部組織からテクニックのある選手が続々と出てくるので「テクニシャンを中心とした華麗なサッカー」というのが特徴に挙げられるが、今シーズンは堅いサッカーを見せている。バランスを崩して攻撃を仕掛ける場面は少なくて、出来る限り、リスクはかけない。カウンターを食らう機会は少ない。
当然、Jリーグ創生期の黄金期の頃はDFペレイラやDF柱谷など守備的なポジションにもタレントがいたので失点数は少なかったが、近年の東京Vに堅守のイメージはほぼ無い。非常に新鮮と言えるが、シーズンの序盤から分かりやすい結果が出たことでロティーナ監督は仕事がやりやすくなった。G大阪から期限付き移籍のMF内田達がボランチの位置で重要な役割を担っているが、チームへの貢献度は高い。
守備的なポジションの選手はすでに結構な自信を手にしているのでここから大崩れすることは考えにくい。自動昇格あるいはプレーオフ出場を果たすためには「攻撃陣がどこまで頑張れるのか?」が大事になる。幸いにしてここまでは12試合で17得点。21得点の名古屋、20得点の横浜FCに次いでリーグ3位タイの得点数を記録しているが、守備陣と比べると攻撃陣に関してはそこまでの信頼を置くことは出来ない。
人数をかけた分厚い攻撃を見せる機会は少なくて10番のFW高木善のプレイスキックが大きな得点源になっている。また、FWアラン・ピニェイロが12試合で7ゴールと攻撃陣を引っ張っているが、Jリーグで実績のある選手ではない。2016年は25試合で3ゴールと平凡な成績だった。FWアラン・ピニェイロの勢いが止まる可能性があるので「彼が目立たなくなったときに誰がカバーするのか?」は要注目ポイントと言える。
期待したいのは22歳のMF安在である。今シーズンは3バックを採用しているのでWBの位置で起用されているが、とにかく左足のシュートが今シーズンは冴えまくっている。どの試合でも強烈なミドルシュートで相手ゴールを脅かしている。直近の横浜FC戦(H)は(左WBではなくて)右WBでプレーしたが、右サイドにいた方がシュート力は生かしやすい。MF安西とのポジションを入れ替えるのは面白いアイディアである。
町田ゼルビア→ 昇格1年目の2016年は18勝13敗11分けで7位。6位でプレーオフに進んだ町田と全く同じ勝ち点を稼いだ。同期昇格組の山口が派手なサッカーで旋風を巻き起こしたのと比べるとやや地味。扱いは小さかったが、最終的には町田の方が上の順位だった。2012年以来のJ2挑戦だったがほとんどの人の予想を上回る成績を残した。昇格組の町田の躍進というのは2016年のJ2の最大のサプライズの1つに挙げられる。
昇格2年目を迎えたが1年目にサプライズを起こしたチームが相手に研究されて成績を一気に落とすケースは珍しくない。2013年・2014年の長崎(6位→14位)、2015年・2016年の金沢(12位→21位)とJ2では当たり前の出来事になっているが、町田はここまで4勝4敗4分けで勝ち点「16」。まずまずの位置に付けている。エースのFW鈴木孝を怪我で欠いた状態で戦っていることを考えると悪くない成績と言える。
ただし、開幕当初は苦労した。6節を終えた時点では1勝2敗3分け。2勝目が遠かったが、7節の福岡戦(A)は3対1の勝利。退場者が出て10人になった後、FW中島裕が3ゴールを挙げて3対1で勝利。アウェイの地で劇的な勝利を挙げたことで浮上のきっかけを掴むことが出来た。FW中島裕は12試合で4ゴール。攻撃の中心として今シーズンも存在感を発揮している。守備面での貢献度も高くて欠かせない選手である。
オフの補強で選手層を厚くすることができなかったことも絡んで開幕当初は選手層という点が不安要素だったが、開幕後にMF吉田眞(千葉)とDF増田(新潟)をいずれも期限付き移籍で獲得。即戦力として活躍できるポテンシャルの高い中堅世代の選手を獲得できたのは大きかった。ともに出場機会を得ているが、2人の加入によって攻撃的なポジションも守備的なポジションも厚みが増して選手層の薄さは感じられなくなった。
25歳のFW戸島の成長というのもポジティブな要素と言える。191センチと長身でありながら運動量が多くてガムシャラにプレーすることが出来る選手であるが技術は標準以下。昨シーズンまでは荒さが目立ったが、今シーズンは力強さが増してゴール前で存在感を発揮できるようになってきた。J2初ゴールを記録するなど飛躍のシーズンになっている。我慢して使い続けた相馬監督にようやく恩返しすることができた。
一方、新加入のMF吉濱は途中出場が多いが結構な確率でゴールシーンに絡んでいる。攻撃的なポジションの競争は激しくなってきたが、チームの平均年齢は28.97才。これは29.66才の讃岐、29.44才の松本山雅に次いで3番目となる。U-17日本代表にも召集された高校2年生のFW橋村龍ジョセフが注目を集めているが、DF奥山、MF大谷、MF平戸など若手が台頭してチームを活性化することが期待される。
・【J2】 自動昇格争いの展望 (前編) ~中心となるのは横浜FC・湘南・名古屋・松本山雅・福岡か!?~
・【J2】 自動昇格争いの展望 (後編) ~東京ヴェルディ・徳島ヴォルティス・京都サンガなども可能性あり!?~
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