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【J2】クラブ史上初のJ1昇格のチャンスが出て来たファジアーノ岡山 | | |　

■　残りは10試合

J2は32節が終了した。長丁場のJ2のリーグ戦も終盤戦に差し掛かってきたがまだ10試合ある。一時は完全に独走態勢に入った柏がここ3試合は0勝1敗2分けとやや失速中。再浮上して来た2位の山形との差が「6」、負けなしが続く3位の横浜FCとの差が「7」まで縮まった。よほどのことがない限りは柏がJ2優勝&J1昇格を決めるとは思うが、先のとおり、まだ10試合も残っていることを考えると安心はできない。

優勝争いも一波乱ありそうな雰囲気になってきたが最も注目が集まるのは2位争いだろう。昨シーズンは東京Vがプレーオフで大宮と横浜FCをともにアウェイで撃破しながら参入決定戦で磐田に敗れて11年ぶりのJ1昇格を逃したことからも分かる通り、プレーオフ制度の改悪によってJ2のクラブがプレーオフを勝ち上がってJ1に昇格するのはかなり難しくなった。最後にJ1のクラブのホームで勝たないといけないのはツライ。

従来のレギュレーションのときは3位でプレーオフに進んだ場合でもそれなりの確率でJ1に昇格することが出来たが改悪によって「プレーオフを勝ち上がってJ1に昇格する。」というのは相当に難しくなった。このあたりのことを考えると2位と3位の差はとてつもなく大きい。本気でJ1昇格を目指しているチームは「3位でプレーオフ出場」となっても全く満足は出来ない。何としてでも2位の椅子を目指さないといけない。

■　初のJ1昇格のチャンス

「上位チームのほとんどがプレーオフ出場ではなくて自動昇格を狙うようになった。」というのはプレーオフ制度の改悪がもたらした数少ないプラス要素になるが勝ち点「57」で2位の山形から勝ち点「52」で7位の岡山までが「5差」になる。さらに勝ち点「50」で8位の甲府と同じく勝ち点「50」で9位の徳島も2位の山形との差が「7」であることを考えると十分にチャンスはあると言える。稀に見る大混戦になっている。

注目したいのは7位の岡山になる。有馬監督になって1年目になるが今シーズンは7位・8位・9位・10位あたりに位置することが多かった。プレーオフ圏内となる6位に浮上した時期もあったがプレーオフ圏外がほとんどである。「上位争いの中心に位置する。」というわけではないが地道に勝ち点を積み上げて最低限のラインをキープし続けている。J2に昇格して11年目になるがJ1初昇格のチャンスを迎えている。

これまでのクラブの歴史の中で「最もJ1に近づいたシーズン」は2016年になる。元・日本代表のDF岩政や司令塔のMF矢島慎を中心に手堅いサッカーを見せてプレーオフの決勝まで進んだがC大阪に敗れてJ1初昇格を逃した。2018年は右肩下がりのシーズンになって最終的には15位。2011年以降ではクラブ史上最低の順位に終わったが監督交代やシステム変更などが実を結んで大きなチャンスを迎えている。

■　攻撃陣を引っ張る2枚看板

2016年に主力を担った選手の多くはすでにチームを去っており、メンバーは大きく変わったが、今シーズンはFWイ・ヨンジェとMF仲間の2枚看板が攻撃陣をリードしている。FWイ・ヨンジェは32試合で18ゴール3アシスト、MF仲間は32試合で12ゴール5アシスト。ともにJ2で年間ベストイレブン級の活躍を見せている。どちらもJ2で自身初となる2桁ゴールをクリアしており、キャリア最高のシーズンになっている。

一方の守備陣はC大阪から加入したベテランのDF田中裕が守備の要として活躍中。正キーパーのGK一森の活躍も目立っている。夏の移籍市場で獲得したDF増谷はFC琉球時代はCBの位置でプレーする機会が多かったが岡山では右SBで起用されており、新しい武器になっている。左SBのDF廣木も加入1年目になるので守備的なポジションの選手はDF田中裕、DF増谷、DF廣木と加入して1年目の選手が多くなる。

最終ラインの顔ぶれも大きく変わっているがここに来て3連勝。3試合で勝ち点「9」を獲得できたのは大きかった。岡山は得失点差が上位8チームの中ではワーストとなる「+2」なので得失点差の勝負になると分が悪い。今後は得失点差を稼ぐことも重要になってくるが、当然、一番大事なのは勝ち点「3」を積み上げていくことになる。とりあえずとして連勝が続いているので、出来る限り、この勢いを持続させたい。

■　下位との対戦が多いのはポジティブな要素

J2は「J1を経験しているクラブ」が増えてきたが、今、上位争いに絡んでいるチームの中でJ1を経験していないのは水戸と岡山と金沢の3チームになる。2度目の昇格や3度目の昇格でも達成できたときの選手やサポーターの嬉しさはかなりのレベルだと思うが、やはり、J1未経験のクラブが初めてJ1に昇格できたときの喜びは別格である。「初昇格を目指している最中のチーム」はとんでもないパワーを持つことがある。

今後、J1昇格の可能性が高まってきたらさらにパワーは大きくなると思うが、岡山にとってポジティブに考えたられるのは日程になる。残りは10試合になったが33節が福岡戦(A)、34節が千葉戦(H)、38節が栃木SC戦(H)、39節が鹿児島戦(A)。直近の試合は最下位のFC岐阜とのホーム戦だったが、福岡は18位、千葉は17位、栃木SCは21位、鹿児島は20位。岡山は下位に沈んでいるチームとの対戦を多く残している。

もちろん、下位チームには「J2残留」という大きな目標がある。簡単な相手ではないが戦力的には岡山の方が上になる。上位陣との試合よりは勝ち点「3」を獲得しやすい。今の時点では7位なので「昇格争いの中で大きな存在感を発揮している。」というわけではないが離されることなく上位争いに参加し続けている岡山の存在は不気味である。取りこぼしを最小限に抑えて41節の横浜FC戦(H)を迎えたい。