■ 3戦目の相手はカタールU-19アジア選手権のGLの3戦目。2試合を終えた時点で1勝1分けで勝ち点「4」のU-19日本代表が3戦目でカタールと対戦した。C組の日本は初戦は苦しみながらもイエメンに3対0で勝利したが、2戦目のイラン戦は攻めきれずにスコアレスドロー。試合前の時点で日本とカタールが1勝1分けで、イランは2引き分けで、イエメンは2連敗。日本 vs カタール、イラン vs イエメンの2試合は同時刻キックオフとなる。
日本は「4-2-2-2」。GK小島(早稲田大)。DF藤谷(神戸)、DF冨安(福岡)、DF中山雄(柏)、DF舩木翔(C大阪U-18)。MF市丸(G大阪)、MF坂井大(大分)、MF堂安(G大阪)、MF三好(川崎F)。FW岩崎(京都橘高)、FW小川航(磐田)。右SBのDF藤谷とボランチのMF市丸の2人は今大会初出場となった。右SBは初戦がDF岩田(大分)、2戦目がDF初瀬(G大阪)、3戦目がDF藤谷(神戸)がスタメンで起用されたことになる。
ベンチスタートになったのはGK廣末(青森山田高)、GK若原(京都U-18)、DF岩田(大分)、DF初瀬(G大阪)、DF町田(鹿島)、DF板倉(川崎F)、MF原輝綺(市立船橋高)、MF神谷(湘南)、MF遠藤渓(横浜FM)、MF長沼(広島)、FW岸本(C大阪)、FW中村駿(柏U-18)の12名。2試合連続スタメンだったMF神谷は怪我の影響もあってプレーするのは難しいと伝えられている。MF原輝綺は2試合連続で途中出場を果たしている。
■ 攻守に圧倒してベスト8進出が決定!!!今大会はGLで勝ち点が並んだ場合は得失点差ではなくて当該チーム間の成績が優先される。日本 vs カタールが引き分けで、イラン vs イエメンでイランが勝利すると3チームが1勝2分けで並ぶことになるがこの場合、イエメン戦を除いた戦績が重要になってくる。すでにイランはカタール戦と日本戦が終了しており、2試合で1得点/1失点。日本 vs カタールが0対0の引き分けに終わると日本は2試合で0得点/0失点となる。
カタールは2試合で1得点/1失点となるので総得点の差で日本は3位に転落してGL敗退となる。(イランが順当に勝利すると仮定するならば)絶対に得点を奪わなければいけない状況でキックオフの瞬間を迎えたが、この状況が逆に良かったのか、立ち上がりから仕掛けた日本は前半14分にMF三好の裏へのパスから相手のミスを突いたFW岩崎が決めて幸先よく先制に成功する。FW岩崎は今大会2ゴール目となった。
さらに前半29分にはMF市丸のCKからDF中山雄が頭で合わせて2点目を奪ったかに思えたがオフサイドの判定でゴールは認められず。かなり時間が経過した後にゴールが取り消されたので嫌な流れになったが、前半45分にCKからこぼれてきたボールをMF三好が左足で強烈なミドルシュートを決めて貴重な追加点を奪った。川崎FのMF三好は今大会初ゴールとなった。2対0とリードしてハーフタイムに突入する。
迎えた後半17分に左サイドでFKを獲得するとMF三好がゴール前に上げたボールをFW小川航がヘディングシュート。これはポストに直撃するが跳ね返りをDF冨安が左足で豪快に決めて3点目を挙げる。結局、3対0で日本が勝利。イラン vs イエメンはイランが1対0で勝利したので2勝1分けの日本が首位通過、1勝2分けのイランが2位通過となった。カタールは1勝1敗1分けで3位となってGL敗退が決まった。
■ 内容的には今大会の中で最高カタールは2年前に行われたU-19アジア選手権で初優勝を飾っている。この時の主力選手の多くが今年の1月に行われたU-23アジア選手権のメンバーに選ばれており、この大会も4位と健闘した。惜しくもリオ五輪の切符を勝ち取ることは出来なかったが、優秀な若手が出てきている。2022年のカタールW杯に向けて順調に強化が進んでいることを印象付けたが、一転して今大会はGLで姿を消すことになった。
初出場を目指すロシアW杯のアジア最終予選もここまで1勝3敗と思うような結果を出せておらず、U-23アジア選手権も健闘はしたもののリオ行きは果たせず。U-19世代もW杯出場を逃したのでここに来てプラン通りに事が進んでいない。カタールの場合、日本と比べても「世界の舞台での経験値」が不足しているので6年後に迫った自国開催のカタールW杯での活躍に暗雲が立ち込めてきた。
「前回大会を制している点」と「U-23アジア選手権の印象」の2つからもっと歯ごたえのあるチームかと思っていたので、正直なところ、拍子抜けする試合になったが、諸々の相手の事情を考慮してもこの日の日本の出来はかなり良かった。過去2試合はアグレッシブさが不足していて、モヤモヤする試合になっていたが、『ノーゴールに終わると敗退の可能性が高くなる。』という点がプラスに作用したように感じる。
立ち上がりから攻め込んだが前半14分のFW岩崎の先制ゴールで楽になった。この日は初スタメンのFW岩崎とエースのFW小川航の2トップだったが、2人の関係性は良かった。2人だけでチャンスを作る場面もあったが、先制ゴールの場面は両者とも諦めることなくプレーを続けた点が相手のミスを誘発した。MF三好の裏のスペースに出した嫌らしいパスも効果的で、FW小川航のチェイスも非常に良かった。
怪我のMF神谷に代わってスタメンで出場したMF市丸のプレーも良かった。DF中山雄のゴールは取り消しになったのでアシストは幻となったが、過去2試合ではほとんど見られなかった「ボランチからの縦パス」を何本か通した。縦パスによって攻撃のスイッチが入ることが多かった。さらにはプレッシャーをかけられたときも慌てることなく落ち着いてプレーできるので中盤の底で時間を作れるのも魅力と言える。
■ 運命の準々決勝の相手はオーストラリアか?前半29分のDF中山雄のゴールが認められなかったシーンの一連の審判団の対応に関してはクエスチョンマークが付く。リプレーを見ると確かにゴール前にいたMF堂安が頭で合わせようとしていることが確認できるので「プレーに関与した。」と判断されるのは仕方がないと思うが、『MF堂安がオフサイドポジションにいてプレーに関与したこと』はすぐに分かることなのですぐにノーゴールということを示すべきだった。
かなりの時間が経過して2対0からプレーを再開しようと両チームの選手が準備をしていたときに主審と副審が話し合いの場を設けてノーゴールと言い出すのは適切ではない。「2対0になってかなり有利な状況になった。」と選手は感じたと思うので、すぐに気持ちを切り替えるのは難しかった。プレー再開直後にカタールに決定機を作られたが、この場面は日本にとってもっと危ないシーンだったと言える。
嫌な流れになりかけたが、前半45分のMF三好の素晴らしいミドルシュートが払拭した。こぼれ球を拾って豪快に左足を振り抜いたがあまりにも強烈でスピードがあったのでキーパーは全く反応できなかった。MF三好は1点目のFW岩崎のゴールと3点目のDF冨安のゴールにも絡んでいるので全3ゴールに絡む活躍だった。過去2試合は本来のプレーが出来ずに苦しんだが3戦目にしてようやく真価を発揮した。
「内山JAPANの最終戦になる可能性がある試合」で3つのゴールに絡めたのは評価できるが、個人として力を出し切れているとは言い難いところもある。所属する川崎Fのサッカーは味方選手が近くにいることが多いのでMF三好のような選手にとってはやりやすい環境だと思うが、U-19日本代表は選手間の距離が遠い。彼の良さを出しにくいサッカーになっているが、左足のキックはやはり大きな武器となる。
大事な準々決勝は10月24日(月)に行われるが、相手はオーストラリアかタジキスタンのどちらかとなる。ともに1勝1敗で勝ち点「3」を獲得しているが、3戦目で両者が直接対決する。オーストラリアが勝利すると準々決勝の相手はオーストラリアとなるが、それ以外だとタジキスタンが相手となる。やはり、オーストラリアが上がってくる可能性が高いと思うが、最近は4大会連続でベスト8で敗れている。鬼門を突破したい。
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