■ 3戦目の相手は地元の中国代表中国の成都で開催されているPanda Cupの3戦目。初戦はU-19クロアチア代表に5対0で大勝して、2戦目はU-19チェコ代表に2対1で勝利。2連勝で優勝に王手をかけているU-19日本代表が地元のU-19中国代表と対戦した。初戦のクロアチア戦はG大阪のMF堂安が1ゴール2アシスト、2戦目のチェコ戦はプロ注目のFW岩崎が先制ゴールを記録している。FW岩崎に対しては鹿島やG大阪や川崎Fなどが関心を寄せている。
日本は「4-2-2-2」。GK大迫(広島ユース)。DF小島雅(仙台)、DF冨安(福岡)、DF中山雄(柏)、DF柳(FC東京)。MF市丸(G大阪)、MF坂井大(大分)、MF堂安(G大阪)、MF杉森(名古屋)。FW岩崎(京都橘高)、FW岸本(C大阪)。追加招集された広島ユースのGK大迫がスタメンで起用された。GK大迫は1999年生まれなので飛び級での代表入りとなる。DF小島雅が右SB、DF冨安とDF中山雄がCB、DF柳が左SBで起用された。
ベンチスタートになったのはGK小島亨(早稲田大)、DF浦田樹(千葉)、DF大南(磐田)、DF町田(鹿島)、MF坂井大(大分)、MF久保田(鹿島)、MF長沼(広島)、MF高木彰(G大阪)、FW垣田(鹿島)の9名。左SBのDF浦田樹はここまでの2試合で1ゴール2アシストとアピールに成功している。MF久保田は1997年1月1日生まれなのでギリギリで東京世代となる。MF長沼は体調不良のMF三好(川崎F)に代わって追加招集された。
■ 暑さと疲れの影響で攻めきれず・・・。「3連勝でのタイトル獲得」を目指した日本だったがこの日は低調な内容。中1日の3連戦の3戦目となるが疲れと暑さの影響は否めず。日本のスタメンは過去の2試合でともにスタメン出場したGK小島亨とDF大南とDF浦田樹の3人を除くと初戦のクロアチアあるいは2戦目のチェコ戦で出場機会を与えられて好プレーを見せた評価の高い選手を中心にスタメン11人を組んできたがなかなかチャンスを作れない。
同様に中1日の3連戦の3試合目となる中国の選手も動きが重くて中国もあまりチャンスシーンを作れない。この日の日本はFC東京のDF柳を左SBで起用したが不慣れなポジションでプレーすることになったDF柳が攻撃においてブレーキになった。ミスパスが多くてリズムを壊してしまう。前半は0対0で折り返す。思うような展開にならなかった日本は後半開始からMF杉森とDF柳を下げてDF浦田樹とMF長沼を投入する。
後半は立ち上がりから日本ペースで進んでいく。先制ゴールが生まれそうな雰囲気になったがなかなか攻めきれず。それでも後半42分に途中出場したG大阪のFW高木彰のパスを受けた広島のMF長沼が抜け出して無人のゴールに流し込んだが寸前のところで戻ってきた中国の選手にクリアされて先制ゴールとはならず。3戦目はスコアレスドローに終わったが2勝1分けの好成績でU-19日本代表がPanda Cupを制した。
■ 低調な内容だったU-19日本代表いい形で欧州の2チームに勝利したU-19日本代表は最初の2試合で計7ゴールを奪った。最初の2試合は内容もまずまず良かったが最後の中国戦は低調な内容だった。この日は36℃という過酷なコンディションだった。しかも、「グラウンド状態が非常に悪くてボールが走らない。」という日本には良くない環境だった。難しい条件の下での試合となった点は考慮する必要があるがそれでも物足りない出来だった。
召集メンバーを見ると左SBの専門家はDF浦田樹(千葉)のみ。もちろん、DF中山雄(柏)は左SBでもプレーできるが今回の遠征ではCBでプレーした。左SBが不安視された中、この日はDF柳を左SBで起用したが(右SBが基本となる選手なので)左SBでのプレーは厳しかった。右SBで先発出場した初戦のU-19クロアチア戦は縦への推進力を発揮するなど能力の高さを示したが現時点では左SBでプレーするのは難しそうだ。
東京世代の左SBというとすでにトップチームでも出場機会を得ているDF初瀬(G大阪)、左足のキックに定評のあるDF舩木翔(C大阪U-18)などがいるが、現時点では絶対的な存在は見当たらない。右SBも先のとおりで初戦のクロアチア戦のDF柳(FC東京)の出来はまずまず良かったが、2戦目と3戦目で先発の機会を与えられたDF小島雅(仙台)はあまり攻撃的な良さは出せず。右SBも絶対的な存在はいないと言える。
■ U-19日本代表のレギュラー争いはどうなるのか?最後の中国戦は残念な内容だったがそれでも3試合で2勝1分け。7得点/1失点というのは見事である。「守備が安定せずに失点が多い。」というのがU-19日本代表の問題点とされていたので3試合で1失点のみというのは評価できる。この日はDF冨安(福岡)とDF中山雄(柏)がCBコンビを組んだが今大会はDF大南(磐田)やDF町田(鹿島)の出来もまずまず良かった。特に184センチのDF大南の身体能力の高さは魅力がある。
ボランチはキャプテンのMF坂井大(大分)が中心。MF冨安(福岡)、MF久保田(鹿島)、MF市丸(G大阪)あたりもボランチでプレーした。この中で可能性を感じるのはG大阪のMF市丸。基本技術が高くて姿勢がいいのが特徴と言える。プレーメーカータイプのボランチで「ポスト・遠藤保仁」という期待を受けているが元日本代表のMF遠藤は最高のお手本になるだろう。プロ1年目ながらG大阪U-23でも存在感を発揮している。
2列目はMF堂安(G大阪)、MF杉森(名古屋)、MF高木彰(G大阪)、MF長沼(広島)の4人が今大会で起用されたが追加招集されたMF長沼(広島)がインパクトを残した。体調不良のMF三好(川崎F)に代わって追加招集されたがキレのあるドリブルは一見の価値がある。広島ユースというとパスサッカーのイメージが強いが、典型的なドリブラーである。仕掛ける意欲が強くてキレで相手を抜き去ることが出来る選手は最近では珍しい。
フォワードはFW小川航(磐田)、FW岸本(C大阪)、FW岩崎(京都橘高)、FW垣田(鹿島)が起用された。最初の3人はいずれもゴールに絡む活躍が出来たがFW垣田はゴール前では仕事が出来なかった。FW垣田は187センチの長身。サイズはあるが線が細いので当たり負けする場面が多かった。ポストプレーヤー系の選手ではないと思うがU-19日本代表に生き残るためには体を張ったプレーで貢献することが求められる。
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