■ ついに迎えた決勝戦U-19アジア選手権は決勝戦を迎えた。準決勝でベトナムに3対0で勝利して2006年大会以来となる決勝進出を果たした内山JAPANは初優勝をかけてサウジアラビアと対戦した。サウジアラビアは準決勝でイランと対戦したが何と6対5というサッカーの試合でお目にかかることはほぼ無いスコアの大乱戦を制して決勝進出を果たした。日本は過去に6度も準優勝に輝いているがこの年代でアジア王者になった経験はない。
日本は「4-2-2-2」。GK小島亨(早稲田大)。DF藤谷(神戸)、DF冨安(福岡)、DF中山雄(柏)、DF舩木翔(C大阪U-18)。MF市丸(G大阪)、MF坂井大(大分)、MF堂安(G大阪)、MF三好(川崎F)。FW岩崎(京都橘高)、FW小川航(磐田)。準決勝のベトナム戦はスタメン10人を入れ替えるというサブ組主体のメンバー構成だったが準々決勝のタジキスタン戦のスタメン11人に戻して来た。MF市丸だけが4試合連続スタメンとなる。
ベンチスタートになったのはGK若原(京都U-18)、GK廣末(青森山田高)、DF板倉(川崎F)、DF町田(鹿島)、DF初瀬(G大阪)、DF岩田(大分)、MF原輝綺(市立船橋高)、MF長沼(広島)、MF遠藤渓(横浜FM)、FW岸本(C大阪)、FW中村駿(柏U-18)。ボランチのMF神谷(湘南)は怪我のためすでにチームを離れている。準決勝のベトナム戦で2ゴールを挙げたFW中村駿は1999年生まれの高校2年生で飛び級での選出となる。
■ PK戦を制して初のアジア制覇ここまでの5試合で13得点/0失点で4勝1分けの日本とここまでの5試合で16得点/11失点で3勝2分け(※ 準々決勝のPK戦での勝利は引き分けとカウント。)というサウジアラビアの対戦はいきなり前半2分にサウジアラビアが決定機を作るがポスト直撃で先制ならず。過去5試合とは違って相手に攻め込まれる展開になった日本は危ないシーンを何度か作られたが何とか守り来た。0対0のままでハーフタイムに突入する。
迎えた後半も0対0のままで時計が進んでいくが、後半25分あたりからサウジアラビアがボールを支配して攻め込む時間帯になる。ボールの奪いどころを作れなくなった日本は後半30分にMF市丸に代えてMF原輝綺を投入するが流れは変わらず。全くボールをつなぐことができなくなって苦しい展開になったが相手のシュートミスにも助けられてゴールは許さず。試合は0対0のままで15分ハーフの延長戦に突入する。
延長戦に入ると今度は逆に日本が押し込む展開になる。負傷したMF三好に代わって投入されたMF遠藤渓の突破から何度もチャンスを作る。延長前半9分にはMF遠藤渓のクロスからゴール前でフリーになったFW岩崎が頭で合わせようとするがあと少しのところで届かず。延長戦の後半になるとサウジアラビアが攻め込んだが延長後半9分のFKの場面は守護神のGK小島亨が好セーブを見せて0対0でPK戦に突入する。
1人目のMF坂井大、2人目のMF堂安、3人目のMF遠藤渓、4人目のDF中山雄が確実に決めた先攻の日本に対してサウジアラビアは4人目の選手が枠を大きく外してしまう。「決めれば優勝」となる5人目のキッカーのFW小川航も確実に決めて日本がPK戦を制した。7度目の決勝進出で初めてアジアの頂点に立った日本は2017年5月20日に開幕するU-20W杯(@韓国)にアジア王者として参加することになった。
■ 終わってみると6試合とも完封決勝戦もスコアは0対0だったので終わってみると6試合連続で完封。無失点のままでアジアの頂点に輝くという快挙達成となった。ただし、これまでの5試合と比べるとサウジアラビアとの決勝戦は苦しい展開になった。コンディション的には大半の選手が準決勝は温存された日本の方がはるかに良かったと思うのでその点を踏まえると「力的にはサウジアラビアの方が少し上だった。」と言えるのではないか。
過去5試合はピンチの場面すらほとんどなかったので危なげなく無失点で抑えてきたが決勝戦は結構な数の決定機を作られた。中盤での球際の勝負で負ける場面が多くて課題も見えた決勝戦となったがDF冨安とDF中山雄とGK小島亨の3人を中心とした守備陣が最後まで集中力を維持した。最終的には120分の勝負になったが2トップのFW小川航やFW岩崎の運動量も最後まで極端に落ちることはなかった。
MVPにはMF堂安(G大阪)が選出されたが今大会に関してはとにかく守備的なポジションの選手の頑張りが目立った。個人的にはDF中山雄(柏)が大会MVPに最もふさわしいと思うが、出場した5試合全てでハイパフォーマンスを見せた。守備の局面でミスらしいミスはほぼ無かったと言える。もちろん、持ち味であるビルドアップの部分での貢献度も高かったが、空中戦の強さと対応力の高さがとにかく目立った。
準決勝のベトナム戦でスタメン起用されたDF町田(鹿島)やDF板倉(川崎F)も含めたCBの選手の個人能力の高さが目立つ大会になったがDF藤谷(神戸)ならびにDF舩木翔(C大阪U-18)が主に起用されたSBの選手の守備力の高さも目立った。闇雲に攻撃に参加することはなかったので簡単には自分の持ち場を離れなかったことも関係しているがともにSBとしては高さがあるのでハイボールを跳ね返す能力も相当に高かった。
■ アジア王者としてU-20W杯へ・・・。無失点で大会を終えることになったことは特に守備的なポジションの選手には大きな自信になったと思うが、攻撃的なポジションの選手も6試合で合計13ゴールを奪っているので個々に能力の高さを見せた。左右のサイドハーフの選手は控えのMF長沼(広島)やMF遠藤渓(横浜FM)も含めて個人で突破できる選手がメンバーに選ばれていたこともあってサイドハーフの選手の頑張りから決定機が生まれる場面が多かった。
大会のMVPに輝いたMF堂安は大会を通して考えると良さをフルに発揮できたとは言えない。持っているポテンシャルを考えると「もっとやれる選手」だと思うがAFCの人が日本代表の試合を観てもっとも強いインパクトを受けたのがMF堂安だったのだろう。自身のゴールは準々決勝のタジキスタン戦の1点のみだったが、U-19アジア選手権で最も大事な試合となる準々決勝で力を発揮した点はさすがだったと言える。
約半年後にはU-20W杯が待っているが欧州はフランス・イタリア・ポルトガル・ドイツ・イングランドの5チームが本大会出場を決めている。サッカー大国と呼ばれる国と対戦する可能性が高いがU-20W杯の本大会において過去のU-20日本代表は好成績を残している。本大会に8回出場してGLで敗退したのは自国開催だった1979年と谷間の世代と言われた2001年大会の2回だけ。75%の確率でGLを突破している。
同じようにアジアを制して世界に挑戦にしたリオ五輪のときの手倉森JAPANはアジア予選のときと本大会ではサッカースタイル自体が大きく変わったが、今の日本サッカー界の立ち位置を考えると「対アジア」と「対世界」ではスタイルを変えざる得ない。「対アジア」で必要とされる選手と「対世界」で必要とされる選手は異なるので今回のメンバーには選ばれなかった選手にも当然のことながらチャンスはある。
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