◆ 西野監督の退任が決定。後任は小倉氏か。西野監督になって2年目となる名古屋は昨オフにFWノヴァコヴィッチを獲得。2014年は残留争いに巻き込まれた時期もあったがラスト15試合は8勝2敗5分け。上り調子でシーズンを締めくくったこともあって「上位候補の1つ」と言われていた。期待度はかなり高かったが、結局、33試合を終えた時点で13勝13敗7分けで9位。33試合で44得点/47失点と得失点差もマイナス。思うような成績を残せなかった。
期待以下のシーズンとなった理由はいくつか考えられるが「怪我人の多さ」というのも理由の1つである。トップ下候補だったMFレアンドロ・ドミンゲスは怪我で開幕から欠場が続いた。さらにアギーレJAPANのときに日本代表に選出されたMF田口も怪我で長期離脱するなど軸となる選手が相次いで戦線を離脱した。スカパー中継で試合前に表示される「欠場者の欄」に表示しきれないほどの怪我人の多さだった。
それもあってメンバーもシステムも固定できず、全体の運動量も少なくて躍動感が感じられない試合が多かった。ただ、ここに来てチームは上り調子。最近の5試合はFW闘莉王をフォワードで起用しているが5試合で3勝1敗1分け。MF田口の完全復活の時期と重なったことも関係して内容自体も良くなっているが、遅きに失した感は否めず。西野監督は今シーズン限りで退任することがすでに発表されている。
後任監督にはOBの小倉隆史氏の就任が確実視されている。小倉氏は指導者としての実績はほぼゼロである。手腕を不安視する声が出てくるのは致し方ないところであるが、経験の乏しい有名人を監督に据えるときはサポート役として豊富な経験を持つ指導者を横に置くのが定石。名古屋はJFLの鹿児島ユナイテッドを率いて「J3昇格の条件となる4位以内」を確定させたばかりの浅野氏のコーチ就任が濃厚となっている。
小倉氏も浅野氏もともに名古屋OB。現アーセナルのベンゲル監督が名古屋を率いていたときの中心選手で小倉氏はストライカー、浅野氏はボランチとして活躍した。ともにベンゲル監督の影響を強く受けているので、当時の名古屋と同じ「4-2-2-2」を採用する可能性が高いか。浅野監督はJ1の福岡を指揮した経験もあるが指導者としての評価も高い。参謀役としては打ってつけの存在と言えるだろう。
◆ 結果は出なかったが若手が出場機会を得て成長中。結局、西野体制の2年間は2014年が10位で、2015年は現時点で9位。ストイコビッチ体制の最終年となる2013年も11位だったので、3年連続で中位に甘んじている。2008年が3位で、2010年がリーグ優勝で、2011年が2位と好成績を残したことを考えると「以前のような強さを取り戻すこと」が新体制に期待されるが幸いにして若手の有望株は多くて年齢バランスも悪くない。難易度の高い状況とは言えないだろう。
経営的な問題も絡んで2013年のオフにMF田中隼とDF増川とMF阿部翔の3人を放出した。3選手とも「あと数年間は名古屋でレギュラーとして活躍できる。」という状態だったので一時的に戦力はダウンした。若手に切り替えざる得ない状況になったが、出場機会を得たDF牟田やDF本多あたりは徐々に成長しており、中盤から前目のポジションもMF田口、MF矢田、FW川又、MF永井謙など脂の乗り切った年齢の選手が多い。
他にもボランチのMF磯村が後半戦はスタメン出場が続いており、高卒2年目のMF小屋松は7月に行われたコスタリカ戦(H)で五輪代表に初選出された。さらに千葉に期限付き移籍中のFW松田力、東京世代を代表するアタッカーである18歳のMF杉森、野洲高校出身でテクニシャンのMF望月、197センチのDFハーフナー・ニッキなども控えている。若手から中堅世代は他クラブが羨むほどのタレントを抱えている。
ストイコビッチ体制のときは経験豊富な選手がほとんどだった。「世代交代の遅れ」が何度も指摘されていたが、若手に切り替えざる得ない状況になったことが功を奏して急速に年齢バランスの悪さが解消された。結果を出すことを求められた西野監督には気の毒な状況でこの2年間はチームとしてなかなか結果を出すことは出来なかったが、怪我の光明で健全なメンバー構成になったのは間違いないところである。
◆ 基本的なメンバーはあまり変わらない可能性が高い。キーパーのポジションは元日本代表のGK楢崎で安泰。J1出場が600試合を超えた鉄人は来年の4月で大台の40歳となるが、いまだに衰えは見せない。まだ数年はレギュラーとして活躍できるだろう。外国籍選手は「19歳のMFグスタボを除くと総入れ替えになる。」と言われているので、Jリーグでの実績が抜群であるMFレアンドロ・ドミンゲスとFWノヴァコヴィッチとMFダニルソンの3人は退団が確実な情勢となった。
現役のスロベニア代表であるFWノヴァコヴィッチは先日の甲府戦(H)で2ゴールを挙げる活躍を見せたが、縦に速いサッカーをする名古屋のスタイルにフィットしきれず。年齢的な問題と年俸のことを考えると致し方なし。MFレアンドロ・ドミンゲスとMFダニルソンはとにかく怪我に悩まされた。MFダニルソンはピクシー時代の躍進を支えた選手であるが、これだけ怪我が多いと戦力として計算するのは難しくなる。
過去を振り返ってみてもJ1では上位クラスの資金力とブランド力を持ったクラブなので「主力の流出」は少ないクラブであるが、上昇志向が強くて、かつ、終盤戦はスタメン落ちが続いているFW川又、ベルギーでプレーした経験のあるMF永井謙あたりは海外クラブを含めたオファーが届く可能性がある。また、DF闘莉王は過去に何度か母国のブラジルリーグへの移籍話が出ている。そういう話が再浮上する可能性はある。
当然、彼らが抜けると穴を埋めるのは大変であるが、普通に考えると外国籍選手を除くと基本的なメンバー構成はあまり変わらないと考えられる。先のとおり、主力の多くは脂の乗り切った年代の選手で、かつ、有望な若手も少なくない。となると「補強ポイント」はあまり多くないが、敢えて言うと右SBか。今シーズンはDF矢野貴が大半の試合で起用されたが、安心して任せることが出来るのはDF矢野貴くらいだった。
DF矢野貴にアクシデントが発生したときはCBでプレーする機会が多いDF竹内彬が右SBで起用されると思うが、仮にベンゲル監督時代のスタイルを取り入れるのであればサイド攻撃が軸となる。クロスの精度が高い選手を獲得できると戦力アップになる可能性がある。一方の左SBはここ2年間は明確な補強ポイントだったが、このポジションはユニバーシアード代表で明治大のDF高橋諒の加入が決まっている。
◆ 補強ポイントは多くないが・・・。DF本多とポジションを争うことになるが、DF高橋諒は即戦力となる可能性がある。この2年間はほぼライバルが不在だったので、のんびりした性格のDF本多にはいい刺激になるだろう。CBはDF闘莉王が軸で、DF牟田がいて、DF竹内彬がいて、DF大武もいるので、ストロングポイントの1つである。即戦力クラスのCBを獲得して十分な出場機会が得られなかったDF大武を他クラブに修行に出すのも悪くない。
中盤から前目のポジションは質も量も豊富。MFダニルソンとMFレアンドロ・ドミンゲスとFWノヴァコヴィッチが抜けたとしても大きな不安は生じないが、敢えて言うとボランチはやや手薄になるか。MF田口が軸で、MF磯村がいて、さらにMF矢田やMF望月は2列目とボランチの両方をこなすがサイズがあってフィルター役になれる選手が欲しいところ。外国人枠が空くことになるので外国籍選手でもOKである。
攻撃陣はFW川又とMF永井謙という日本代表クラスの選手が中心。当時のベンゲル監督のスタイルを模倣するのであればピクシー役の選手が必要となる。ストイコビッチ体制のときはFW玉田が1.5列目的なポジションで起用されて攻撃の中心になったが、現有戦力の中にはそういうスペシャルな選手はいない。補強ポイントは多くないので、国籍は問わず、1.5列目タイプのビッグネームを補強するのはありかもしれない。
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