■ 連敗ストップ名古屋とFC東京の試合は、2対1でFC東京が勝利して、連敗を6でストップさせた。前半22分に平山のJリーグ初ゴールで先制したFC東京は、後半12分に杉本のゴールで追いつかれたが、後半34分に石川の左足のシュートで勝ち越した。
■ 石川封じのため?この試合のFC東京は、茂庭とジャーンが復帰。4-2-2-2で、2トップは平山の周りを戸田が動き回るのが基本。梶山が中央のトップ下気味に位置し、石川が、右サイドに張り付く形。戸田は、スペースができやすい左サイドのカバーにも回る。名古屋は、3-5-2。こちらも、ヨンセンの周りを、衛星のように杉本が動き回ってかく乱する戦法。トップ下には、須藤が抜擢された。
試合はどちらかというと、名古屋のペース。FW杉本が精力的に左右のスペースに飛び出して、チャンスメークを行う。しかしながら、左SMFの本田の位置が思いのほか低く、なかなか、決定的なチャンスは作れない(本田は、この試合では、左サイドバックでプレーしたと表現してもいいかもしれない)。FC東京の右サイドの石川のケアのために本田のスタートポジションが低かったのかもしれないが、そうであれば、相手を過剰に意識しすぎたかなという印象。ただ、フェルフォーセン監督が、FC東京の攻撃は石川のサイドアタックを封じれば、他は怖くないと考えて、本田の攻撃力を捨てて、相殺させようとしたのなら、納得できる。
■ 組織か個性か名古屋がやろうとしている組織的なサッカーだが、方向性は悪くないように思う。右のウイングバックに中村直志、左のウイングバックに本田、ボランチに藤田俊哉と金、トップ下に須藤という中盤を見ると、本来の位置で起用されているのは金だけだが、中村にしても、藤田にしても、本田にしても、その個性が、完全に消されているとは思わない。組織的な中にも、しっかりと、テクニックを生かすための舞台が用意されている。ただ、3人とも、もっと中央の前目で使ってあげれば、もっと攻撃面で持ち味が出るとは思う。しかしながら、団体競技の中で、みんなの個性を生かすには、現状がベストの選択かなと思う。(須藤の起用の意図とその効果については、よく分からないので省く。)
もっと、ヨンセンの頭を使ってもいいような感じもしたが、この試合では、茂庭とジャーンがうまく対応していたので、なかなか競り勝つシーンもなかったので、仕方ない気もする。杉本に関しては、ここ最近の調子のよさがよく分かった。2トップの相棒のヨンセンとは、補完性もあって、息も合っている。
■ 整理したい目指すサッカースタイルFC東京は、平山の頭に頼りきった新潟戦とは違って、石川と梶山が復帰したことで、攻撃のバリエーションは増えたものの、逆に、どこを中心に攻め込むのかが曖昧になった。オフサイド気味の平山のゴールと、相手のクリアミスからのゴールとラッキーな形でゴールが決まったが、内容的には、それほどよくなかった。
FC東京は、今後、どういうスタイルのサッカーを繰り広げていくつもりなのか、整理する時期に入っている。3・4年前のように、攻撃面でタレントが少ない状況では、限られたスタイルしか選択できなかったが、今は、梶山の成長や平山の加入もあって、どんなスタイルでも対応可能なだけの才能が集まった。今シーズンは、ガーロ監督と倉又監督で失敗したが、まだまだ、建て直しは可能。ただ、あまり猶予の時間もないので、次の監督選びは本当に重要だ。
■ 過小評価されている金名古屋では、ボランチの金がいいプレーを見せた。現役の韓国代表選手なので、このくらい出来て当然といえば当然だが、しっかりとした技術があって展開力もあるし、運動量もあるし、前に飛び出してゴール前で仕事もできる。警告が多すぎるのはマイナスポイントだが、間違いなく、Jリーグで過小評価されている選手のひとり。
■ 石川の復活を願うFC東京では、決勝ゴールを挙げたものの、この試合も石川の出来はいまひとつだった。相手の警戒が厳しいのは理解できるが、思い切りの無いプレーに終始した。ボクは、石川の右サイドからの突破は、国際舞台でも、ストロングポイントになりうるだけの武器だと思っているので、はやく、「何で、石川を代表に選ばないんだ。」という記事を書かせて欲しい。
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