■ クラシコ10勝1敗1分けで勝ち点「31」のFCバルセロナと、10勝2分けで勝ち点「32」のレアル・マドリーが対戦したクラシコ。今季初のクラシコはカタルーニャ州の選挙の影響で月曜日に開催された。
ホームのバルセロナは<4-1-2-3>。GKビクトル・バルデス。DFダニエウ・アウヴェス、ピケ、プジョル、アビダル。MFブスケツ、シャビ、イニエスタ。ダビド・ビジャ、リオネル・メッシ、ペドロ。
対するRマドリーは、GKイケル・カシージャス。DFセルヒオ・ラモス、リカルド・カルヴァーリョ、ペペ、マルセロ。MFサミ・ヘディラ、シャビ・アロンソ、クリスティアーノ・ロナウド、ディ・マリア、エジル。FWベンゼマ。
■ バルサ圧勝試合はホームのバルセロナが圧倒する。まず前半10分に左サイドでボールを持ったMFイニエスタのスルーパスからゴール前に走り込んだMFシャビがうまいトラップからゴールに流し込んで先制すると、さらに前半18分にも左サイドを崩して最後はFWペドロが合わせて2点目を奪う。前半は2対0のバルセロナリードで終了する。
後半もバルセロナの一方的な展開となる。後半10分と後半13分にいずれもFWメッシのスルーパスからFWビジャが裏に抜け出してゴール。試合終了間際には途中出場のFWジェフレンが決めて5対0とリードを広げる。RマドリーはDFセルヒオ・ラモスが後半48分にラフプレーで退場になるなど、イエロー8枚、レッド1枚。内容も、結果も完敗でまさかの敗戦。今シーズン初黒星となった。
■ シャビの先制ゴールともに開幕から好調で、文字通りの頂上対決となったクラシコであるが、まさかの5対0のスコア。アウェーとはいいながら、Rマドリーは手も足も出ない試合で、ほとんど無抵抗のままで90分を終えることになった。モウリーニョ監督を迎えて、手ごたえをつかんでいたはずのRマドリーだったが、思わぬ大敗を喫してしまった。
次元を超えたほどの強さを見せたバルセロナは、FWメッシ、MFイニエスタ、MFシャビの3人が試合を支配。この3人にボールが渡ればほとんどボールを失わないので、やりたい放題のプレーができた。1点目のゴールはMFイニエスタとMFシャビのコンビから生まれたが、MFイニエスタのスルーパスは強さもコースも完璧で、MFシャビのトラップも最高だった。
■ まさかの完敗開始10分で先制ゴールが決まったが、立ち上がりからほとんどの時間でバルセロナが攻め込んでいて、チーム力の差は明らかだった。RマドリーはFWイグアインがコンディション不良でスタメンを外れてフランス代表のFWベンゼマを起用。FWベンゼマのプレーも低調であったが、両チームの差は、FWベンゼマの調子がどうこうというレベルは超えていて、なす術はなかった。
ゴールに近づいたのは、MFクリスティアーノ・ロナウドのミドルシュートとMFディ・マリアの突破くらいであり、単調だった。期待されたドイツ代表のMFエジルはほとんど存在感を示すことなく前半のみで交代。どのポジションでも劣勢で、0対5というスコアも致し方ない出来だった。
■ バルサの強さ90年代には守備的なサッカーが流行し、その後、フィジカル重視のサッカーが幅を広げてきたが、2008年にスペインが欧州チャンピオンになって、さらに2010年の南アフリカW杯も制覇。バルセロナも2008-2009シーズンにUEFAのCLを制しており、ここ数年、「バルサ・サッカー」が猛威を振るっている。
これは世界中のサッカーファンにとっても、日本のサッカーファンにも好ましいことであり、170㎝そこそこのMFシャビ、MFイニエスタ、FWメッシらが世界トップレベルで活躍していることは、体格で不利な日本人にも希望の持てることであるように思える。
バルセロナの強さは、攻撃のときに、何度でもやり直しが出来るということに尽きる。バルセロナは、最終ラインからビルドアップを行って、うまくいかなかったらもう一度、後ろに戻して組み立てのやり直しを行うことができる。日本では、DFラインやGKにボールを戻す「バックパス」は嫌われる傾向にあって、「攻撃では15秒以内にシュートすることが望ましい。」というような意見も根強い。
確かに、一定以上のレベルのチームを相手にしたとき、なかなかボールをつないで崩すことは出来ず、時間がかかって相手の守備が整ったら、ほとんど得点のチャンスはなくなってしまうのが現代サッカーであり、間違ってはいない。よって、普通のチームの場合、セットプレー以外でゴールを奪うためには、攻め急ぐしかないのであるが、バルセロナの場合は、パスワークとドリブルを織り交ぜて、相手の人数が揃っていても崩すことができるので、時間がかかっても、特に問題はない。行き詰ったらバックパスをして、もう一度、やり直しをすればいいので、バックパスすることに躊躇する必要はない。
■ バルサを真似ることバルセロナのサッカーとは反対に、インテルを率いていた当時にバルセロナ戦で見せたモウリーニョ監督の守備重視のサッカーを「アンチ・フットボール」をする向きがある。エンターテイメント性を求めるプロのサッカーの場合、それも一理あるが、どのチームも「バルサ・サッカー」が出来るわけではなく、「バルサ・サッカー」は特別ということを理解しておかないと、話がかみ合わなくなってしまうことがある。
チームスポーツのサッカーで、一番、大事だと思うのは、個々の選手の能力を最大限に生かすことであり、守備に持ち味のある選手がそろっていたら、そこを前面に押し出してチームを作るもの悪くはないし、MFシャビやMFイニエスタ的なタレントがいないのに、バルサのスタイルだけを真似るのも滑稽である。
■ Rマドリーらしさ一方で0対5と思わぬ敗戦を喫したRマドリー。次のホームのサンチャゴ・ベルナベウでの試合は絶対に勝たないといけない試合になった。仮にCLで勝ち進んでも、リーガで首位に立っても、クラシコで連敗するようだとモウリーニョといえども立場は危うくなる。
気になるのは、Rマドリー色が薄れていることである。DFリカルド・カルヴァーリョ、MFケディラ、MFエジルらが入ってきて戦力はアップしているが、GKカシージャスとDFセルヒオ・ラモスを除くとマドリー色が薄い選手が多くて、カンテラ育ちの選手が中心のバルセロナと比べると、物足りなさを感じてしまうのは否めない。
Rマドリーくらいの規模のクラブであれば、世界中から優秀な選手を獲得が可能であるので、「大物を他所から連れてくる。」というのも、間違いなくRマドリーのカラーではあったが、FWラウール、MFグティが抜けて、メンバーは世界選抜といえるほどそろっているが、物足りなさを感じてしまう。
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