■ ドルトムントが連覇MF香川、DF内田、MF長谷部、MF岡崎、MF細貝、DF酒井高、MF大津、MF宇佐美などなど、多くの日本人選手が参戦して、日本でも、大きな注目を集めたドイツのブンデスリーガは、ドルトムントが26試合負けなし、という記録を達成するなど、昨年の秋以降、快進撃を見せて、見事にリーグ連覇を達成した。
今シーズンは、バイエルンがオフにGKノイアー、DFラフィーニャ、DFボアテングを獲得し、優勝候補の筆頭と言われた。ドルトムントが序盤で出遅れて、バイエルンが独走態勢に入った時期もあったが、ドルトムントは、直接対決で連勝してバイエルンを突き放した。結局、今年もドルトムントが他チームを圧倒して、マイスターシャーレを獲得することになった。
■ 躍進に貢献したFWロイス優勝チームが決定したことで、日本でも、「今シーズンのMVPにふさわしいのは誰か?」が、話題となっている。MVP候補として名前が挙がって来るのは、ドルトムントの選手以外では、25ゴールを挙げているシャルケのFWフンテラールとバイエルンのFWマリオ・ゴメス、個の力を見せつけたバイエルンのMFロッベンとMFリベリ、大躍進に貢献したボルシアMGのFWロイスといったところである。
特に、今シーズンのFWロイスの活躍は際立つものである。終盤はやや失速したが、30試合に出場して16ゴールを記録して、得点ランキングでも、6位タイに付けている。ボルシアMGというと、昨シーズンは16位に終わって、入れ替え戦に回るという屈辱を味わったが、今シーズンは、4位とジャンプアップして、CLの出場権獲得も濃厚になっている。ドルトムントの選手以外では、FWロイスがもっとも近い存在ということができる。
■ MVP候補は誰か?ただ、ここまで、ドルトムントが2位以下のチームに大きな差を付けて連覇するとなると、ドルトムントの選手から選ぶのが妥当だろう。その候補としては、GKヴァイデンフェラー、DFピズチェク、DFフメルス、MF香川、FWレワンドフスキの5人が考えられる。DFスボティッチ、DFシュメルツァー、MFグロスクロイツ、MFケール、MFギュンドガン、MFベンダーも優勝に貢献したが、MVP候補となると、前述の5人となるだろう。
守護神のGKヴァイデンフェラーは、32試合中、31試合に出場している。チームの失点数「23」は、リーグ最少のバイエルンの「21」に次ぐ成績で、最後尾から、チームを支え続けた。ブンデスリーガは、GKのレベルが高いので、ドイツ代表に呼ばれることはないが、安定感と爆発力を兼ね備えたレベルの高いGKである。バイエルンとの大一番で、終了間際のMFロッベンのPKをストップしたシーンが、今シーズンのハイライトと言えるが、ドルトムントの躍進の功労者の一人である。
昨シーズンの序盤に、怪我のDFオヴォモイェラから右サイドバックのポジションを奪い取ったポーランド代表のDFピズチェクは、今シーズンの活躍によって、ブンデスリーガでもトップクラスの右サイドバックである、と認知されるようになった。もともと、ウイングの選手だったので技術も高いが、運動量も豊富で、右サイドからの攻撃が、ドルトムントのストロングポイントになっている。クロスのアイディアも豊富で、「DFピズチェクのクロスをMF香川がゴール前で合わせる」という形は、ドルトムントの得点パターンの1つとなった。パスの精度が高くて、万能型のサイドバックである。
センターバックのDFフメルスは、攻守両面で存在感を発揮した。エレガントなプレースタイルで、スピードのあるアタッカーと対峙するとき、脆さを見せるときもあるが、空中戦に強くて、カバーリング能力も高い。守備能力もリーグ屈指だが、攻撃的なセンスも備わっており、DFフメルスのフィード力はドルトムントの攻撃のスタート地点で、相手チームは、センターバックのDFフメルスに対して、マンマーク気味の対応をせざる得ないほどである。盟友のDFスボティッチは怪我もあって、安定感を欠くことが多かったので、DFフメルスへの負担は大きかったが、見事に期待に応えたといえる。
■ FWレワンドフスキが最有力か?日本代表のMF香川も、MVPの有力候補である。前半は不調でスタメン落ちを経験したが、MFゲッツェが離脱した後半戦はチームの大黒柱となって、攻撃陣をリードした。後半戦は14試合に出場して9ゴールと、得点を量産しているが、それ以外でも、多くの攻撃がMF香川を経由して生まれている。ドルトムントは、運動量を重視するサッカーで、運動量やスピードが持ち味の選手が多いので、攻撃において違いを出すことができるのは、MF香川とMFゲッツェの二人だけなので、彼らがいないと周囲の選手も生きてこない。そういう意味でも、攻撃においては、もっとも大事な選手の一人である。前半戦の低パフォーマンスはマイナス材料となるが、後半戦でスパークしたことは評価されるだろう。
ただ、現時点で、MVPにもっとも近い存在と言えるのは、ポーランド代表のFWレワンドフスキだろう。大黒柱のFWバリオスがコパ・アメリカの決勝戦で負傷して出遅れてしまったが、その穴を補って余りある活躍を見せた。ここまでのところ、32試合に出場して20ゴールを挙げているが、バイエルンとの大一番で決勝ゴールを決めるなど、いいところでゴールを決めており、エースストライカーとして、大きな存在感を示した。
シーズン当初は、チームにフィットしきれず、パス回しに参加できないケースあったが、リーグ戦でゴールを量産することで自信をつかんで、ポストプレーの精度も著しく向上し、アシストでゴールシーンに絡むプレーも増えていった。GKヴァイデンフェラー、DFピズチェク、DFフメルス、MF香川の4人については、シーズン前から主力としてチームも計算に入れていて、期待通りか、期待を少し上回る活躍を見せたが、FWレワンドフスキの場合は、期待値はそれほど高くなかった。FWバリオスの怪我という大きな穴を埋めてしまった点も評価できるところで、今のところ、FWレワンドフスキの可能性が高いように感じられる。
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