■ 最終節8勝13敗12分けで勝ち点「36」で15位のFC東京が残留をかけて京都サンガと対戦。京都はすでにJ2降格が決定しており、現在7連敗中。しかし、今シーズン最後の試合を有終の美で飾りたい。
ホームの京都は<4-2-2-2>。GK守田。DF渡邉大、郭泰輝、水本、中村太。MF角田、中村充、中山、ドゥトラ。FWディエゴ、柳沢。FW柳沢は今シーズン限りでの退団が決定している。
一方のアウェーのFC東京は<4-2-3-1>。GK権田。DF椋原、今野、森重、中村北。MF徳永、米本、鈴木達、梶山、リカルジーニョ。FW平山。MF石川は怪我のため欠場。FW大黒、MF羽生らはベンチスタートとなった。
■ 京都が勝利勝って自力で残留を決めたいFC東京だったが、序盤から動きが重い。一方の京都は失うものがなく、いい状態で試合を進める。前半34分には左サイドのスローインからDF中村太が絶妙のクロスを入れると、DF中村北に競り合ったMFドゥトラがヘディングで決めて京都が先制する。前半はそのまま1対0で終了する。
16位の神戸が前半を終えてリードしていたため、勝つしかないFC東京は、後半14分にFW大黒を投入し、さらに後半21分にはMF米本に代えてMF大竹を投入。MF梶山を最終ラインに下げて、MF梶山とMF徳永の2バック状態で攻め込んでいく。しかし、京都の最終ラインを崩すことはできない。
1対0のままで進んだ試合は後半終了間際にカウンターから抜け出したMFドゥトラがGK権田に倒されてPKを獲得。FWディエゴが決めてダメ押しをする。結局、2対0で京都が勝利。神戸が4対0で浦和に勝利したため、FC東京は16位に転落。2000年に昇格したから守ってきたJ1から転落した。
■ 意地を見せるここ11試合で2分け9敗。9月11日に神戸に勝利してから未勝利の京都が最終節で2対0の勝利。同じ近畿のチームであるヴィッセル神戸をアシストする形になった。すでに京都は降格が決定しており、FW柳沢の退団も決定しており、モチベーション的には難しい試合だと思われたが、プロフェッショナルな仕事をして見せた。
素晴らしかったのは守備陣であり、ロンドン世代のGK守田は経験不足もあってハイボールの処理ミスが多く不安定であったが、DF水本とDF郭泰輝という日韓コンビがゴール前で壁を作った。特にハイボールに対するDF郭泰輝のパフォーマンスは圧巻で、潜在能力の高さを見せつけた。後半41分にやや不可解な判定で途中出場のFW西野がレッドカードで退場となったが、その後、GK守田のロングスローから追加点をマーク。これで完全にFC東京の息を止めた。
■ 若手の台頭すでに来シーズンを見据えて戦っている京都であるが、ここに来てMF中村充孝のパフォーマンスが目に見えて上がってきており、来シーズン、期待できそうな雰囲気になってきた。ここ最近はボランチで起用されているが、パスセンスだけではなくて、当たりの強さもあるので、守備でも貢献できている。
その少し前からほぼレギュラーに定着しているDF中村太、GK守田に、33節の鹿島戦でゴールを決めたFW宮吉を含めて、この4人はいずれもロンドン世代である。ここ最近はJ2で力を伸ばした選手は非常に多く、彼らもタフなJ2で試合危険を積むと、ワンランクレベルアップすることだろう。早々と降格が決まるなど、散々なシーズンだったが、最後の最後で希望が見えたといえる。
■ 大黒の起用法一方でFC東京は降格が決定してしまった。勝てば文句なしで残留だったが、京都にうまく守られて完封負けを喫した。不可解だったのはFW大黒をスタメンで起用しなかったことであり、チームに加入してからずっとスタメンで起用されていたが、この日はFW平山の1トップで、MF梶山がトップ下に入った。
コンディションの問題等、いろいろと考えた末の結果だったと思うが、相手チームの立場に立ってみると、FC東京の選手で一番怖いのはDF今野で、FW大黒は二番目に相手にとっては嫌な存在のはずである。そのFW大黒がベンチスタートだったことは、京都にとってはありがたかったと思われる。FC東京にとっては、引き分けも、負けも同じであり、前半34分に先制点を奪われた後、すぐFW大黒を投入しても良かったと思うが、ベンチに動きはなかった。
0対1になってからは、トップ下で先発していたMF梶山を最終ラインに入れるという奇策を見せたが、この采配もどうかな?と思うところであり、攻めるしかない状況になったことは理解できるが、MFドゥトラやFWディエゴと1対1でマッチアップするポジションに入れるのはかなりのリスクであり、ベンチが落ち着かない印象が残った。
■ 降格の原因FC東京には日本代表や五輪代表クラスの選手が揃っており、今シーズンは、「リーグ戦のタイトルも・・・。」と期待されたが、まさかの降格となってしまった。2007年の広島、2009年の柏や大分も、戦力がありながらJ2に降格して驚きを与えたが、今年のFC東京の降格はそれ以上の驚きであり、降格するようなチームには思えなかった。
降格の理由に関しては、いろいろな要素が考えられる。大きかったのはMF米本の離脱であり、中盤の大黒柱の代わりを見つけるために城福監督は試行錯誤を始めたが、チームの「根」の部分までいじってしまったので、結局、立て直しが利かなくなってしまった。資金力の問題もあるので何とも言えないが、FWリカルジーニョを筆頭に外国人枠も有効に使えていなかったので、MF米本の長期離脱が決まった時点で、ボランチを任せることの出来る外国人を取った方が良かったのではないか?
城福監督を引っ張りすぎたのも降格の原因であるといえる。夏場になって勝てなくなってからの城福監督は明らかに普通の状態ではなくなっていた。大熊監督になってから持ち直したことを考えると、もう少し早く決断していたら・・・という気はどうしてもしてしまう。
■ 危機感の欠如残留争いに巻き込まれてから、一番、気になったのは、クラブや選手から危機感があまり感じられなかったことである。この試合は、「勝てば残留」で、「引き分けや負けの場合は、神戸が勝つと降格」というクラブとしての大一番であったが、何としても勝たなければならないという気迫は伝わってこなかった。対戦相手の京都の方が、最後に意地を見せようと戦う姿勢を見せていたくらいである。
通常、降格の危険性が迫ってくると、クラブも選手もナーバスになって、本来のプレーが出来なくなる。それほど厳しい戦いである。そのため、残留争いをしているというプレッシャーを感じずに戦うことが出来たら、それはそれでプラスに働くことがあるが、この試合のFC東京の選手からは、「負けたダメ」という切羽詰まった感は感じられず、後半25分頃までは淡々と試合が進んでいった。おそらく、本当の意味での危機感が芽生えたのは、ラストの15分ほどだったのだろう。それは、あまりにも遅すぎた。
FW平山、MF梶山といった25歳くらいの選手が中心のチームであり、若さが1つの魅力ではあったが、チームを引っ張っていけるような選手は最後まで見当たらなかった。「チームが一丸になっていなかった。」とは言わないが、いい選手が集まっていただけに残念な結果に終わった。開幕前に、「優勝を狙える」と思われたチームでも降格してしまう。Jリーグの恐さを思い知らされるシーズンとなった。
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JEFサポです。
一昨年の最終戦を思い出しました。あの時は、初めてサッカーの試合で涙を流しました。
いま思えばあれが良かったのか、悪かったのか。
来年からは、F東も同じJ2と。
今年JEFは、フロントも選手もサポもJ2をなめていました。GW前頃から反省の日々を送りました。
いまのF東は、今年のスタート時のJEFとまるで同じ臭いがします。J2、思いっきりなめきって、痛い思いしないように気をつけましょう。
F東もメンタルがアレみたいなので。
私はFC東京のサポーターです。
選手たちに危機感が欠如していた訳ではないと思いますが、そのように感じられたのは
真の意味でのリーダーが居なかった為ではないかと思います。
今野、梶山、平山、羽生など、リーダーとなりうる人間はいましたが
何故か自分がリーダーをやるといった感はあまり感じられませんでした(羽生は負傷気味だったのもあります)。
そのために逆に若さが出て、自分たちのサッカーを行えばよいものを
わざわざ自分たちのサッカーを捨ててしまったと感じました。
「降格の原因」についてはほぼ同意いたします。
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