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ベトナム代表の三浦俊也監督の発言をまとめてみた。 | | |　

■　ベトナム代表の監督に就任した三浦監督

大宮・札幌・神戸・甲府などでJリーグの監督を務めた経験のある三浦俊也監督が「今年の5月にベトナムのフル代表の監督に就任した。」というニュースは日本でも大きな話題となった。フル代表だけでなく、下のカテゴリーの代表監督も兼任しており、9月の仁川アジア大会のベトナム代表チーム(※ このときは22歳以下の代表チームだった。)も三浦監督が率いたが、先日、スカパーでベトナム代表とミャンマー代表の親善試合の模様が録画中継されて、三浦監督が登場してゲスト解説を務めた。

「ベトナム代表の監督としてのデビュー戦を自分で解説する。」というユニークな試みだったが、なかなか面白かった。この試合はベトナムが大勝して無事にデビュー戦を白星を飾ったが、ベトナム代表についてだけでなく、ベトナムのサッカー事情や東南アジアのサッカー事情について、ベトナム国民の気質について、ベトナムでの生活についてなどなど、普段はなかなか得られない情報が多かった。今回はこのときの三浦俊也監督の発言で気になった点・面白かった点・興味深かった点を箇条書きでまとめてみた。

　・ベトナムも代表チームの人気は高い。
　・国内リーグの人気はそれほどでもない。(このあたりは日本とよく似ている。)
　・監督就任の記者会見のときはたくさんのメディアが集まった。
　・外国人監督に対してはリスペクトの気持ちがある。

　・テクニックのある選手が多い。
　・プレイスキッカーのレベルは非常に高い。(Jリーグと同等かそれ以上。)
　・ボールを回すことは大好き。(日本人以上。)
　・ハードワークはできない。

　・全体的に運動量が乏しい選手が多い。(気候が関係しているかもしれない。)
　・ほとんどのチームが4バックを採用している。
　・SBの攻撃参加は少ない。
　・守備意識は非常に低い。(特に攻撃的なポジションの選手。)
　・「ハードワークできない選手は代表に呼ばない。」と明言している。

　・ベトナムのメディアは基本的にはネガティブ思考。
　・ベトナム国民の気質は穏やかで、ずうずうしくない。(農耕民族なので。)
　・将来のことはあまり考えなくて、楽をしようとする傾向にある。
　・試合中にリードしているとすぐに時間稼ぎをしようとする。

　・欧州でプレーする日本代表の選手は知られている。
　・日本サッカーに対してはリスペクトの気持ちがある。
　・欧州サッカーはプレミアリーグが人気。
　・ライバルとなるのはタイ。ただし、タイの方が少し実力は上。

　・国内リーグよりもベトナム代表の方が優先される。
　・各クラブの力が弱いので、選手を借り受ける際のトラブルは少ない。
　・クラブに招集を拒否されることはほぼ無い。
　・国内リーグの大会組織委員長は元日本代表の田中孝司氏。
　・国内リーグは八百長問題で揺れており、クラブが消滅するケースも珍しくない。

　・サッカー選手の給料はいい。
　・なので、外国のクラブからオファーがあっても移籍を決断しない選手が多い。
　・元札幌のFWレ・コン・ビンはスーパースターで、開放的な性格をしている。
　・彼には日本や韓国のクラブが興味を示している。

　・FWレ・コン・ビンは日本人が代表チームの監督に就任することを歓迎した。
　・FWレ・コン・ビンはフリーになる技術が高くて、シュートが上手である。
　・他のベトナム人選手と同様で守備意識や運動量に課題を抱えている。

　・11月あるいは12月に行われるスズキカップ(東南アジアサッカー選手権)の盛り上がりはすさまじい。
　・インドネシアやフィリピンなどが強力なライバルになる。
　・インドネシアは同格で、フィリピンは帰化選手の加入で強くなった。
　・オートバイの数は非常に多い。

　・北朝鮮やイラクと親善試合を組んでいたが、キャンセルされてしまった。
　・いくら念押しをしても、直前で予定が変わってしまうことがある。
　・日本では考えられないようなことが起こる。
　・できるだけ強い国と強化試合をしたいと考えている。

■　1つの道を切り開くのか否か

Jリーグの創生期は「日本人選手が欧州のトップリーグでプレーする。」ということ自体がなかなか想像できなかったが、今では当たり前のようになっている。FW本田圭、DF長友、MF香川、DF内田篤など日本代表の中心選手だけでなく、代表に選ばれるかどうかギリギリの選手もたくさん海外でプレーしており、フル代表歴が全くない選手にもオファーが届くような状況である。しかしながら、指導者のほとんど全ては国内リーグにとどまっており、他国のリーグで監督として成功をおさめた人はほとんどいない。

昨シーズンまで元日本代表の岡田監督が中国の杭州緑城の監督を任されていたが、これはレアケースである。「日本サッカー界は経験が不足している。」とよく言われるが、現状は明らかに選手の方が国際的なレベルでの経験値を積み上げており、指導者で国際経験を持っている人はごくわずかである。そのこともあって、ベトナムという東南アジアの中ではそれなりに実績のある国の代表監督を任された三浦監督が新しい土地でどれくらいできるのか？は興味深いところである。

三浦監督の話を聞いてちょっと意外に思ったのは「ベトナムの選手は運動量が少ない。」という部分である。「テクニックがあって、ボール回しは上手だが、サイズがないので空中戦でやられてしまう。」というのが東南アジアの代表チームに共通するイメージである。日本と比べてもサイズで大きく見劣りするが、「運動量が少ない。」という部分はこれまではあまり感じなかったことなので、ちょっと新鮮だったが、繰り返し発言していたので、現地で指導をしていて強く感じていることなのだろうと想像する。

どうしても言葉の問題があるので日本人の指導者が海外の代表チームやクラブチームの監督をするというのは大変である。J1で光る活躍を見せた日本人選手に対してはすぐに欧州のクラブのスカウトが飛びついてくるような状況になったが、例えば、2連覇を果たした広島の森保監督に対して海外のクラブが熱視線を送るような状況かというとそういうことは全くない。ただ、日本サッカー界がさらに上に行くためには指導者のレベルアップは不可欠で、三浦監督の挑戦が1つの道を切り開くのか否か注目したい。

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