■ 歴史に残る名勝負今年のルヴァン杯の決勝戦は川崎F vs 札幌という顔合わせになった。両チームの過去の対戦成績は19勝1敗5分けと川崎Fが圧倒している。最近では2018年の等々力での試合で川崎Fが7対0で大勝したことは記憶に新しいが「どちらが勝利するのか?」が最後まで分からない名勝負になった。1996年の清水 vs V川崎や2010年の磐田 vs 広島に匹敵する「ルヴァン杯の決勝史上でも屈指の好ゲームになった。」と言える。
延長戦に入ってからやや厳しい印象のレッドカードでDF谷口彰が退場。数的不利になった川崎Fは直後にDF福森晃のFKで失点して追いかける展開になったが10人になりながら延長戦の後半4分にCKから同点ゴールをゲットした。先日のG大阪戦(A)に続いてスタメンから外れたFW小林悠は途中出場で2ゴールの活躍。神がかり的な活躍を見せてチームを救った。川崎Fはクラブ史上初のカップ戦のタイトル獲得となった。
PK戦も逆転劇が起こった。4人目まで全員が成功した札幌に対して川崎Fは4人目のDF車屋が失敗。後攻の札幌の5人目のDF石川直のPKが成功していたら札幌は初タイトルを手にしていた。あと一歩どころか、ほんの少しのところまで札幌はたどり着いたが、GK新井がビッグセーブでチームを救った。6人もMF長谷川竜也が成功した川崎Fに対して札幌はDF進藤が失敗。2連続でPKを止めたGK新井も主役になった。
■ PKを外した選手への批判の声「こういう試合で最後にPKで決着をつけるのはどうなのか?」という意見は昔からあるが時間的な問題もあるので仕方がない話である。以前、アメリカのMLSでは同点で終わった場合はサドンデス方式の「シュートアウト合戦」を行っていた。『攻撃者はゴールから35メートルの地点からドリブルをして一定の時間内にシュートを放つ。』というルールになるがキーパーと1対1の勝負なのでやり方は異なるが似た感じである。
PK戦もシュートアウト合戦も同じで「誰かが失敗しないと終わらない仕組み」である。2010年の南アフリカW杯の決勝Tの1回戦のパラグアイ戦でPKを失敗したDF駒野は一部の日本国民からバッシングを浴びたが1994年のアメリカW杯の決勝のブラジル戦でPKを外したFWロベルト・バッジオがコメントした通り、「PKを外すことができるのはPKを蹴る勇気を持った者だけ」である。その勇気は称えられるべきである。
今回のPK戦ではDF車屋、DF石川直、DF進藤の3人がPKを失敗している。DF車屋のシュートはバーに直撃して、DF石川直のシュートはセーブされて、DF進藤のシュートはコースが甘かったので相手キーパーにキャッチをされてしまった。三者三様の外し方になるが4人目に登場して失敗したDF車屋の落ち込み具合は相当だった。勝利が決まった後もすぐには気持ちを切り替えることが出来ずにうなだれた様子だった。
勝ったとは言ってもPKを失敗したDF車屋は責任を感じていると思うが負けたチームでPKを失敗した選手になるとなおさらである。特に「決まれば初タイトル」という状況で登場して外してしまったDF石川直は大きな責任を感じていると思うが「決めて当たり前」と思われるPKも成功確率は「75%~80%くらい」である。バスケットボールの試合中のフリースローの成功率と同じくらい。「決めて当たり前」とは言えない。
■ 「なぜ、○○にPKを蹴らせたのか?」の声「5人目のキッカーにDF石川直を選択したこと」を批判する人もいるがナンセンスである。DF福森晃との交代でピッチに登場したが左足のキックの精度が高い選手である。他に5人目のキッカーとして登場する可能性があったのはDF進藤、MFチャナティップ、MF荒野、DFキム・ミンテ、MF中野嘉、GKク・ソンユンの6人になるがキック精度や経験値などを踏まえると彼が選択されるのは決して不思議なことではない。
パラグアイ戦でDF駒野が失敗したときも「なぜ、DF駒野に蹴らせたのか?」と一部で批判をされたが、Jリーグで「延長→PK」のルールが廃止になった2003年以降、選手がPKを蹴る機会は一気に減った。普段からPKの練習をしているのは試合中にPKを獲得したときにPKキッカーを任される可能性がある数名くらいだろう。PKが得意なのは誰なのか?PKが苦手なのは誰なのか?を外部の人間が把握するのは難しい。
よって、「なぜ、○○ではなくて××にPKを蹴らせたのか?」という批判もナンセンスである。残っていた選手の中でMFチャナティップはタイ時代から攻撃の中心として活躍していた選手なので試合中にPKを蹴った経験はあると思うが6人目のキッカーとしても登場しなかったということはPKはあまり得意ではないのだろう。元なでしこのMF澤が代表例に挙げられるが「PKを苦手にしている選手」は少なくない。
PKを蹴る順番に関して「ペトロヴィッチ監督が決めたのか?」、「選手自身で決めたのか?」は定かではないが、プロ入り後、これほどプレッシャーのかかる状況でPKを蹴る機会は皆無に近いことを加味すると「なぜ、○○ではなくて××にPKを蹴らせたのか?」という批判はナンセンスとしか言いようがない。どちらのチームにとっても「PK戦にキッカーとして登場した5人(+1人)がベストなキッカーだった。」と思う。
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