■ J1の開幕戦J1の開幕戦。2017年は残留争いに巻き込まれながら何とか15位。ギリギリでJ1残留を果たしたサンフレッチェ広島はホームのエディオンスタジアムでコンサドーレ札幌と対戦した。今オフに広島は「タイの英雄」と言われるFWティーラシンを獲得。札幌にはMFチャナティップがいるので「タイ代表の中心を担っている両雄の激突」に注目が集まった。日本国内よりもタイ国内で大きな注目を集める一戦になった。
ホームの広島は「4-2-2-2」。GK林卓人。DF和田拓、千葉、水本、佐々木翔。MF稲垣、青山敏、川辺、柏。FWティーラシン、パトリック。フォワードのレギュラー争いが注目されていたがFW工藤壮とFW渡はベンチスタート。外国人コンビがスタメンで起用された。DF佐々木翔、MF稲垣、MF柏の3人はいずれも城福監督が甲府を率いていた時に抜擢した選手となる。新加入のDF馬渡はベンチスタートになった。
対するアウェーの札幌は「3-4-2-1」。GKク・ソンユン。DF進藤、キム・ミンテ、福森晃。MF深井一、宮澤裕、駒井、菅大輝、三好、チャナティップ。FWジェイ。注目された2列目は新加入のMF三好とMFチャナティップのコンビがスタメンで起用された。MF小野伸はベンチスタートでWボランチはMF深井一とMF宮澤裕の組み合わせになった。また、最終ラインは右がDF進藤で、真ん中はDFキム・ミンテとなった。
■ FWティーラシンが決勝ゴール「札幌がボールを保持して広島がカウンターやセットプレーからチャンスをうかがう。」という昨シーズンまでとは全く逆の展開になった。前半は広島ペースで進んでいく。流れの中でチャンスを作るシーンは少なかったがセットプレーを獲得したときは高確率でチャンスにつながった。押し気味に試合を進めた広島は前半28分にMF柏のクロスからタイ代表のFWティーラシンがヘディングシュートを決めて先制に成功する。
前半は1対0で広島がリードして折り返す。迎えた後半はビハインドの札幌が押し込む展開になる。後半14分に左WBのMF菅大輝を下げてMF石川直を投入。攻撃的な選手からバランス型の選手への交代策だったがMF石川直がいい形で攻撃に絡んでくる。広島は189センチのFWパトリックの推進力を生かしたカウンターからチャンスを作ろうとするがほとんどチャンスを作れなくなって耐える時間帯が長くなる。
札幌は後半26分にMF深井一とMFチャナティップを下げてMF小野伸とMFヘイスを投入。終盤は引き続いて札幌が押し込んだが決定機はほとんど作れなかった。1対0で逃げ切った広島が白星スタートを切った。2節以降は上位候補との6連戦が待っている広島にとって開幕戦は大きなウエイトを占める試合だったが大きな勝ち点「3」を獲得した。無得点で敗れた札幌は2017年と同様で黒星スタートになった。
■ 白星スタートを切ったサンフレッチェ広島城福監督が就任した広島は巻き返しを図るシーズンになるが大きく変わろうとしている最中なので開幕戦で勝利を手にできたのは大きい。城福監督というと2面性を持った監督である。U-16やU-17の日本代表を率いていた頃は攻撃的なサッカーに取り組んで2006年にはアジア制覇を果たした。FC東京でも攻撃的なサッカーを志向して2009年のナビスコ制覇など結果を出した時期もあるが2度の途中解任を味わった。
一方、2012年~2014年まで甲府を率いた時期は守備を重視した堅いサッカーで「J2優勝→J1残留→J1残留」という申し分ない成績を残している。様々な経験を積んできた監督であり、過大評価するのも過小評価するのも適切ではない。個人的には近年のFC東京は誰がやっても難しい特殊なチームなので(2016年のFC東京での失敗は汚点ではあるが)これを持って評価を大きく下げるのは適切ではないように感じる。
プレシーズンのムアントンU戦、同じくプレシーズンの山口戦、開幕の札幌戦を見る限りでは堅いサッカーになっている。ムアントンU戦が1対0の勝利で、山口戦は2対0の勝利で、札幌との開幕戦は1対0の勝利なので結果も出ている。ボールを持ってアクションを起こしてチャンスを作っているというよりはカウンターやセットプレーが中心なので上位戦は苦労する可能性は高いが仕上がり自体はまずまずと言える。
■ ミシャ式のサッカーで得たもの・失ったものペトロヴィッチ監督を招聘した札幌は大改革の真っ只中と言える。四方田監督の頃から継続的に「3-4-2-1」を採用していたチームなので2012年に浦和の監督に就任したとき直後のような「劇的な変化」とは感じなかったが当然のことながら最終ラインから丁寧にパスを繋ぐサッカーになった。サイズには恵まれていないがテクニックがあって判断が正確な選手が多く抜擢されているので選手選考の基準も変わった。
最終ラインの右で起用されたDF進藤が持ち味である攻撃力を生かして積極的なプレーを見せたのは1つの収穫と言える。攻撃が好きなCBなのでペトロヴィッチ監督のサッカーとの相性は良さそうだ。また、新加入のMF三好はシャドーの位置で起用されて何度も好プレーを見せた。同じく新加入のMF駒井はあまり目立たなかったが左WBで起用された19才のMF菅大輝は積極的に仕掛けてサイドで起点になった。
勝ち点にはつながらなかったものの内容的にはまずまず。結果は出なかったものの「悪くないスタートを切った。」と言えるが高さや強さといった札幌がもともと持っていた大きな武器であり、チームカラーになっていたものが失われている点に関しては一抹の寂しさを感じる。単純に平均身長を比較すると2017年はJ1で最高となる181.16センチだったが開幕戦は178.98センチ。2センチほどダウンしている。
前半は特にセットプレーから何度も危ないシーンを作られたが187センチのDFキム・ミンテ、183センチのDF福森晃あたりは「身長は高いがそこまで空中戦に強いわけではない。」という選手なので札幌の強みだった部分は無くなっている。高さや強さのある選手を集めて高さや強さでごり押しする近年の札幌のサッカーはそれはそれでかなり魅力的だった。うまく両方をミックスできると面白くなるが・・・。
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