■ 第39節J2の第39節。17勝18敗3分けで勝ち点「54」のコンサドーレ札幌(10位)と、18勝10敗10分けで勝ち点「64」のジェフ千葉(4位)が札幌ドームで対戦した。J2のプレーオフ争いは3位の京都が勝ち点「69」、4位の千葉が勝ち点「64」、5位の長崎と6位の徳島が勝ち点「60」、7位の松本山雅が勝ち点「57」、8位の栃木SCが勝ち点「56」となっていて、千葉は勝つと6位以内が確定して、プレーオフ出場が決まる可能性もある。
ホームの札幌は「4-2-3-1」。GK杉山。DF日高、奈良、チョ・ソンジン、上原。MF河合、宮澤、砂川、前田俊、荒野。FW内村。エースのFW内村は29試合に出場して14ゴールを挙げており、J2の得点ランキングで6位タイに付けている。197センチのFWフェホ、ベトナム代表のMFレ・コン・ビンはともにベンチスタートとなった。FWフェホは12試合で4ゴール、MFレ・コン・ビンは5試合で1ゴールを挙げている。
対するアウェーの千葉は「4-2-3-1」。GK岡本。DF米倉、竹内、山口智、高橋峻。MF山口慶、佐藤健、兵働、町田、田中佑。FWケンペス。エースのFWケンペスはJ2の得点王争いを独走する22ゴールを挙げている。北九州戦(H)、福岡戦(A)、熊本戦(H)でハットトリックを記録している。トップ下に入る大卒2年目のMF町田は4試合連続スタメンとなった。37節の熊本戦(H)で初ゴールを決めた元日本代表のFW森本はベンチスタートとなった。
■ 1対0で札幌が勝利試合の立ち上がりはホームの札幌ペースとなる。積極的にシュートを狙って主導権を握ろうとするが、前半15分あたりを過ぎると互角の展開となる。千葉はここ7試合で8ゴールを挙げている好調のFWケンペスを中心に攻撃を仕掛けて、右SBのDF米倉の攻撃参加からいい形を作るが、決定機には結びつかない。ともに勝ち点「3」の欲しい試合だったが、結局、前半は0対0で終了する。
後半も「どちらが優勢」とも言えない流れで進んでいくが、後半36分にホームの札幌が均衡を破る。千葉の最終ラインがゆっくりとボールを回している中、右SBのDF米倉が後方にパスを出すが、ちょっとずれてしまって、DF竹内はキーパーのGK岡本に任せようとするが、GK岡本の位置から遠くて、FW内村がタックルを仕掛けてルーズボールをマイボールにすると、最後は無人のゴールに流し込んで札幌が先制ゴールを奪う。FW内村は今シーズン15ゴール目となった。
直後に千葉はFW森本を投入。FWケンペスとFW森本の2トップに変更すると、FWケンペスが連続して左足でゴールを狙うが、枠を捉えることはできない。結局、試合は1対0でホームの札幌が勝利してプレーオフ争いに生き残った。1節にフクアリで行われた試合も終了間際にFW内村のゴールが生まれて札幌が1対0で勝利しているので、開幕節と似たような結果となった。敗れた千葉は3連勝でストップ。プレーオフ出場を確定することはできなかった。
■ 悔やまれる失点シーンのミス千葉は失点シーンのミスが悔やまれる。まず、DF米倉の後方へのパスも中途半端で、DF竹内に出したのか、キーパーに戻そうとしたのか、曖昧なパスだった。さらに、DF竹内の判断もまずくて、自分で処理しようとしていたら、何でもないようなシーンだったが、キーパーに任せようとしたことが仇となった。GK岡本の位置も深めで、反応に遅れてしまったところもあるので、シーンに絡んだ選手は3人とも適切なプレーができなかったと言える。
攻撃陣も不発だった。シュートは7本放っているが、札幌のキーパーのGK杉山を脅かすようなシーンというのは、ほとんど作れなかった。最近の3試合は、神戸(H)に2対1、熊本(H)に6対0、横浜FC(A)に2対1で勝利しているが、33節の京都戦(H)で今シーズンのリーグ戦初出場を果たした大卒2年目のMF町田が攻撃のアクセントとなって、攻撃陣は好調だったが、この日は、トップ下のMF町田が生きるようなシーンは無かった。
J2は残りは3試合となったが、40節が長崎(H)、41節が栃木SC(H)、42節が鳥取(A)なので、いずれも目標のあるチームとの対戦となる。特に40節の長崎戦はプレーオフのアドバンテージを獲得するためには、勝たなければならない試合である。2012年のプレーオフは6位の大分が下剋上でJ1昇格を果たしたが、どう考えても、上位チームが有利な制度になっているので、最低でも4位でプレーオフに進みたいところである。
■ 熾烈なプレーオフ争い一方の札幌は38節を終了した時点でプレーオフ圏内の5位の長崎と6位の徳島との差が「6」なので、残り試合で全部勝っても、「逆転できるかどうかは微妙」と言える。よって、瀬戸際まで追い込まれているが、まずは、千葉から勝ち点「3」を奪って望みをつないだ。40節も強豪の神戸と札幌ドームで対戦するので、次の試合も非常に難しい展開になることが予想されるが、ここも勝ち点「3」が欲しい試合である。
札幌は9月以降の7試合で2勝4敗1分けと結果が出ていなかったが、この日は、内容もなかなか良かった。決勝ゴールのシーンが象徴的と言えるが、前線からの守備も機能していた。トップ下で起用されているMF前田俊はそれほど守備で貢献できる選手ではないが、この日はよく頑張っていて、ベテランのMF砂川の精力的なプレーは立ち上がりから目立っていた。この試合で見せた積極的な守備ができれば、次の神戸との試合もいい試合になるだろう。
プレーオフに出場できるかどうかは、ライバルチームの取りこぼしが必要になってくるので、何とも言えないところであるが、GK高原、DF高木純、MF岩沼、MF山本真、FW近藤といったレギュラー格の選手が何人もチームを離れて、20歳前後の若手選手がチームの半数程度を占めるような状態になって、「メンバー的に苦しいのではないか?」と思われていたことを考えると、ここまでプレーオフの可能性を残していることは、評価に値する。
■ リオ世代の有望株の1人15ゴールを挙げているFW内村が攻撃陣をリードしているが、若い選手がレギュラー格として活躍していることも大きい。2012年のJ1では苦労したがリオ世代のDF奈良はCBの定位置を確保し、ユース出身で1年目のMF深井もボランチで18試合に出場しているので1年目としてはまずまずである。また、MF神田、FW榊、MF堀米なども、メンバー枠争いに絡んできているので、ユース上がりの若手にとっては、実りの多いシーズンになっている。
そして、何と言っても、2年目のMF荒野である。プロ1年目の2012年はJ1で3試合の出場にとどまったが、2013年は32試合で4ゴールと飛躍のシーズンになっている。右サイドハーフで起用されることが多くなっているが、技術が高いのはもちろんのこと、非常にクレバーな選手で、味方を使うのが上手である。4ゴールというのも悪くないが、ゴールにつながるラストパスを出すシーンも多いので、チャンスシーンにはよく絡んでいる。
彼もリオ世代の1人であるが、180センチと2列目のアタッカーとしては、サイズにも恵まれている。ボランチも楽にこなすことができると思うが、来シーズン以降の活躍次第では、五輪代表入りあるいは五輪代表でもレギュラー獲得というのも見えてくる。味方を使うプレーだけでなく、味方選手に使われるプレーも巧みで、その両方を高いレベルでこなすという意味では、若い頃のMF清武(ニュルンベルク)とイメージが重なるところもある。
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