■ 歴代2位となる1試合平均の得点数昇格1年目のレノファ山口が快進撃を見せたことは2015年のJリーグ関連のニュースの中で最大級のサプライズだった。2014年はJFLで16勝7敗3分け。1位のHonda FC、2位の佐川印刷京都、3位の鹿児島ユナイテッドFCに次ぐ順位だった。昇格条件をギリギリで満たしてJ3に上がってきた山口がここまでの成績を残すとはサッカーファンはもちろんのこと、当事者の監督や選手でさえ想像することはできなかっただろう。
36試合で25勝8敗3分け。秋以降に負けが込んだため勝敗に関する数字は驚くようなものにはならなかったが、36試合で96得点というのは驚異としか言いようがない。2位で自動昇格を果たした町田が36試合で52得点だったので約1.85倍。下の表3にあるとおり、1試合平均の得点数「2.67」というのはJリーグ史上2番目。FW中山が大爆発した1998年のジュビロ磐田の「3.15」に次ぐ数字だった。
エースのFW岸田は34試合で32ゴール。Jリーグ・アンダー22選抜が36試合で28得点、Y.S.C.C.横浜は36試合で24得点だったので、1人でチームの総ゴール数を上回った。FW岸田だけではなかったのが山口の大きな特徴で、MF福満は35試合で19ゴール、MF島屋は36試合で16ゴール、MF鳥養は35試合で8ゴールを記録。得点ランキングはFW岸田が1位で、MF福満が2位で、MF島屋が3位。上位3つを独占した。
爆発的な攻撃に目が行きがちであるが、36試合で36失点なので守備も堅いチームである。J3の中では18失点の町田、28失点の長野に次ぐ3位タイ。守護神のGK一森、守備の要で終盤はCFの位置でもプレーしたDF宮城を中心に1試合平均「1.00失点」と見事な数字を残した。攻撃陣が爆発して大量リードする試合が多かったので気分的には楽な試合が多かったとは思うが、守備に関しても整備されたチームである。
表1. 年間の1試合平均の得点数(ベスト10)
順位 | クラブ名 | 年度 | 区分 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 1試合平均 | 失点 | 得失点差 |
1 | 磐田 | 1998年 | J1 | 34 | 26 | 0 | 8 | 107 | 3.15 | 39 | 68 |
2 | 山口 | 2015年 | J3 | 36 | 25 | 3 | 8 | 96 | 2.67 | 36 | 60 |
3 | 川崎F | 2006年 | J1 | 34 | 20 | 7 | 7 | 84 | 2.47 | 55 | 29 |
4 | 鹿島 | 1997年 | J1 | 32 | 24 | 0 | 8 | 78 | 2.44 | 38 | 40 |
5 | G大阪 | 2005年 | J1 | 34 | 18 | 6 | 10 | 82 | 2.41 | 58 | 24 |
6 | 磐田 | 2002年 | J1 | 30 | 26 | 1 | 3 | 72 | 2.40 | 30 | 42 |
8 | G大阪 | 2013年 | J2 | 42 | 25 | 12 | 5 | 99 | 2.36 | 46 | 53 |
7 | 川崎F | 2004年 | J2 | 44 | 34 | 3 | 7 | 104 | 2.36 | 38 | 66 |
8 | 広島 | 2008年 | J2 | 42 | 31 | 7 | 4 | 99 | 2.36 | 35 | 64 |
10 | G大阪 | 2006年 | J1 | 34 | 20 | 6 | 8 | 80 | 2.35 | 48 | 32 |