◆ シーズン途中に柱谷哲二監督が解任・・・柱谷哲二監督が就任して5年目となる水戸は「6位以内」を目指してシーズンを戦ったが、41節を終了した時点で10勝15敗16分けで勝ち点「46」。19位と不本意なシーズンになっている。序盤戦からなかなか思うような結果を出すことが出来なくて、6月7日に柱谷監督を解任。ヘッドコーチを務めていた西ヶ谷監督に後を託したが、シーズンの終盤まで残留争いに巻き込まれるという非常に苦しいシーズンになった。
41節が終了した時点で横浜FCが15位、京都が18位、大分が21位という順位表を見ると分かるとおり、今シーズンのJ2は上位から下位の力が拮抗しており、ちょっとでも歯車が狂うとJ1経験のあるクラブでも下位に低迷するような状況だった。「戦国J2」と言われたが、水戸の19位というのも信じがたい成績である。41節で札幌に勝利してようやく「J2残留」を確定させたが、期待を大きく裏切ったと言わざる得ない。
「水戸はJ2の中でも弱小クラブの1つ」と言われたのは過去の話である。1試合平均の観客動員数は2007年は2,415人だったが、2014年は4,734人。ほぼ倍になっており、増え続けている観客の声援をバックに戦力も整ってきた。ボランチのMF岩尾、左SBのDF田中雄、アタッカーのMF馬場の3人は「ポジション別で比較するとJ2の中ではトップクラスの選手」と言えるが、個人能力の高さが結果に結びつかなかった。
柱谷監督の後を受けた西ヶ谷監督の去就は現時点では微妙。「退任となる可能性がある。」とも報じられている。2016年の監督が誰になるのか?でオフの補強も変わってくると思うが、最優先課題と言えるのは湘南から期限付き移籍中のMF岩尾の引き止め。MF岩尾はパス数とインターセプト数とタックル数がいずれもリーグ屈指。攻守両面で大きな貢献を見せた軸の選手なので抜けると大きな穴が空く。
水戸としては何としてでも引き留めたいところであるが、このあたりはレンタル元の湘南次第と言える。湘南のボランチの軸であるMF永木に対して鹿島や川崎Fが関心を寄せており、(湘南ではボランチでプレーすることはほとんどないが、)ボランチでもプレーできる日本代表のDF遠藤航に対しては浦和や名古屋や鹿島など多くのクラブが関心を寄せている。彼らが抜けるのであればMF岩尾を呼び戻すのはほぼ間違いない。
「J1でプレーできる。」という点はMF岩尾にとっても魅力的。水戸に勝ち目はなくなる。湘南のときは「ボランチのバックアッパー」という役回りだったが、この1年で大きく成長した。プレイスキッカーとしても優秀なので湘南や水戸以外のクラブが関心を寄せる可能性も十分にあり得ることを考えるとMF岩尾については「抜けること前提」でボランチの即戦力となれる選手を並行して探すのがベターと言えるだろう。