■ 犬飼会長の2年間続投が有力視されていた日本サッカー協会の犬飼会長が退任し、小倉氏が会長に就任することになった。「4年間」が既定路線だっただけに、「解任」と見る向きもある。
犬飼会長は2008年に日本サッカー協会の会長に就任した。「浦和レッズをビッグクラブに押し上げた手腕を発揮すること」が期待されたが、どうにも期待外れに終わった印象が強い。
■ 犬飼会長犬飼会長というと「秋-春制」。不思議なもので、毎年、冬場は沈黙するが、夏場になると「秋-春制移行」の話が出てくる。過去にも「秋-春制」への移行を模索した権力者はいたが、犬飼会長の手法はかなり強引で、多くのチームのサポーターを反感を買うことになった。サッカー批評の47号のインタビューでも、「秋-春制」への移行に強い意欲を示しているが、ピント外れな発言が多い。
もっとも驚かされたのは、
「冬できないよって言うのは、観客も冬は(服を)着ればいいんですよね。夏はね、脱いだってダメなんですよ。」という発言。(インタビュアーには速攻で「着ればいいって問題じゃないんですよ。」と否定されてしまったが・・・。)
そういえば、これと全く同じ内容のことを、ドラえもんの中でのび太くんが話していたことがあったが、犬飼会長はそういったマンガをよく読むのだろうか?ちょっと意外で、自分の中では犬飼会長への好感度が「-84」から「-83」へちょっとだけ上がった。(もし知らずにのび太くんと同じ発言をしたのなら、それはそれで凄いと思うが・・・。)
■ なぜ秋-春制なのかとにかく、「秋-春制」への強い意志は感じるが、そもそも、「なぜ、秋-春制なのか?」、「秋-春制のメリットは何なのか?」という大事なポイントはぼやけたままで、主張としてはかなり独善的なものであると言える。(そもそも、日本リーグ時代の最後の数年間は秋-春制であり、Jリーグ発足とともに「春-秋制」に移行したはず。「また元に戻そうとするのか?」という思いも・・・。)
どちらにしても「メリット」と「デメリット」はある。ただ、犬飼会長の発言だけを見ると、「秋-春制」に移行すると(ほとんど関係無いようなことでさえ)、解決してしまうように感じてしまう。発言はフェアではない。
メリットの面でよく語っているが、
・冬場の試合でパフォーマンスが上がる。
・(代表選手の)過密日程が解消される。の2点は特に分からない部分である。
確かに、「真夏の試合はダレた試合が多くなる。」というのは分かるが、「真冬の試合ならレベルの高い試合が見せられる。」という主張はあまり理解はできない。欧州リーグでも選手たちの吐く息が白い中で試合が行われることがあるが、そういう環境で果たして本当にいいパフォーマンスが出来ているだろうか?かなり疑問である。
また、「現状では、代表選手はほとんどオフが無い。」というのは理解できる。が、それが「秋-春制」に移行したら解決するのだろうか?今のスケジュールでは、天皇杯を勝ち進んだチームの代表選手はほとんどオフが無いままで代表のキャンプをむかえざる得ないが、それは、「秋-春制」とはまた別の問題であり、年間の試合数が同じであれば、(真冬にナイトマッチは不可能なので)、「秋-春制」の方がスケジュールが厳しくなるのは確実である。
■ 「上司」と「部下」三菱時代は「上司」と「部下」という立場であり、犬飼氏が「部下」に何かを要求すれば優秀な三菱の部下が問題を解決してくれたのかもしれないが、「日本サッカー協会の会長」と「各クラブ」、「日本サッカー協会の会長」と「サポーター」は「上」と「下」の関係ではない。この2年間、常に、この部分が引っ掛かっていた。
インタビュー中でも、
「じゃあ暑い地域で夏に試合をやっている時に並んでいるだけで(サポーターが)救急車で運ばれるのを北海道の人は知っていますか?自分たちの都合の悪いことを言って権利ばかりを主張するけれど、暑い方は暑い方で大変な思いをしているんです。」という発言があるが、まさに北海道の人たちを馬鹿にしたような発言である。
■ 設備の問題はクリアできるのか?残念ながら犬飼会長はあまり雪国の状況を知らないようである。そして不幸なことに、(自分が雪国について)全く分かっていないということを(自分自身で)理解していないので、周囲は困ってしまう。
新しい会長の小倉会長は「設備が整えば秋-春制への移行を行う」という趣旨の発言をしている。確かに問題の1つは設備面なので、この問題がクリア出来れば「秋-春制移行」の検討が行われるべきであるが、その莫大な資金はどこから供給されるのか?という疑問は残る。
もちろん、どこかに無限に資金があるのであれば、次々と設備投資を行っていけばオールOKである。しかし、現実はそうではない。例えば、今の段階でスタジアム・ヒーティングに使うお金があるのであれば、もっと別の使い方をした方が効果的である。
■ 現状では不可能発足当初のように10クラブのみの時期であれば、もしかしたら「秋-春制」は可能だったかもしれないが、現在、37クラブに増えている。脆弱な体力でリーグに参加しているクラブも多く、今、「秋-春制」へ移行すれば、間違いなくいくつかのJ2のクラブは体力が持たなくなるだろう。
おそらく、一度でも「雪国」と言われる地域に住んだことがある人は「絶対にムリ」と思うだろう。筆者も同様である。当然、欧州の主流国と同じスケジュールでシーズンが進めばそこから受けるメリットも少なからず存在するが、メリットとデメリットを考えてみても、現状ではうまみが少ない。
将来的な可能性を探るために議論は続けるべきではあるが、「秋-春制」について考えるよりも先に検討すべきものはいくつもある。
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雪降る地帯の選手もサポーターも
夏の暑い時期にサッカーやってサッカー観戦してるわけですよ
その上でイヤですと言ってるわけですよ
犬飼とかいう人は一度として雪降ってるスタジアムに足を運んだ事無いですけどね
>「秋-春制」について考えるよりも先に検討すべきものはいくつもある
例えばこの時期(7-8月)に週に2日とか絶対無理。
暑過ぎる。
14日のヴィッセルの試合に行ったがホント辛そう。
後半はもう動けてない。W杯疲れの大久保とか可哀想なくらい働けない。
サマーブレイクを入れて欲しい。
そうしたら秋ー春制にしなくてもいいと思う。
夏休み収益は下がるだろうけどそれ以上に選手を守るべき。
秋春制の話はいつも
寒い地方「こっちでやってみろ」
暑い地方「こっちでやってみろ」
の水かけ論ばかりでうんざり。
選手のことを一番に考えるべき。
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