■ 世界で一番、幸せなスタジアムJリーグには、「世界で一番、幸せなスタジアムをつくろうよ。」というスローガンがある。これは、Jリーグ開催時には、試合前やハーフタイムで繰り返し場内アナウンスされているので、Jリーグサポーターで知らない人はいないだろう。
日本のスタジアムは、安全である。海外のスタジアムの事情はあまりよく分からないが、少なくとも日本では、危険を感じながら、スタジアムに通う必要はない。これは、日本サッカー界が誇れる部分である。
■ アルビレックス新潟のケース先日、改めて、「ニイガタ現象」という本を読んでみた。これは、2004年5月に初版が発行されている。つまり、アルビレックス新潟がはじめてJ1に昇格してすぐの頃に発行されたものである。
着眼点はたくさんあるが、改めて感じるのが、順風満帆に見えるアルビレックス新潟にも苦労した時代はあったということである。当初は、数百人レベルでしか観客が集まらなかったし、J2時代は、何度か昇格にも失敗している。
ただ、新潟がJ1に昇格してからしか知らないサポーターの中には、チームは何もかもが順風満帆であって、苦労を感じたことの無いサポーターがいるかもしれない。そこに、ギャップが生まれる。
■ 浦和レッズのケース同じことは、浦和レッズにもいえる。
今では、トップクラブとなった浦和も、Jリーグ開幕当初は非常に苦しんだ。J開幕から、3シーズン連続で順位は最下位だった。観客動員数で苦慮した時代もあった。「リーグのお荷物」と揶揄されたこともあった。
しかしながら、絶え間ない努力を重ねて、リーグのトップになった。以前では考えられなかったことだが、「レッズの強さ」に憧れてレッズのサポーターになる人も少なくないという。新規サポーターも、増え続けていることだろう。そこにも、ギャップが生まれる余地がある。
■ Jリーグの危機の時代3度のワールドカップを経験し、すでにプロスポーツとしての地位を完全に確立したJリーグであるが、危機を迎えた時代もあった。
それは、96年~98年ごろのことである。開幕して2年目の94年には、平均で20000人近かったリーグ戦の観客動員数は、97年には約半分の10000人にまで激減した。Jリーグブームは去ってマスコミから取り上げる回数は激減し、「持ち上げて落とす」というマスコミの習性もあって、理不尽なバッシングに苦しんだ。完全に悪循環に入り込んでおり、98年には「Fの悲劇」が生まれている。ほとんどのクラブは無理な経営で危機に陥った。
例えば、セルジオ氏は、自身のコラムの中で、戦力補強に熱心ではないクラブを非難するが、当時の危機を知っているサポーターが見れば、暴論にも聞こえる。海外のスター選手の来日は大きな話題となったし、彼らから学んだことも多かったが、その一方で、無理な投資は経営を圧迫してしまった。フリューゲルスのサポーターはもちろんのこと、エスパルスのサポーターも「チームがなくなるのではないか?」という不安に襲われた。
仮に、日本代表がフランス行きの切符を失っていれば、今頃、Jリーグ自体が消滅していた可能性はかなり高かったのではないだろうか。
■ 危機を乗り越えて・・・幸いにも、ジョホールバルの戦いでの盛り上がりや日韓共催もあって、Jリーグは復活した。平均観客動員は、過去最高だった94年のレベルに達しており、リーグ消滅に対する危機感はほとんど感じられなくなった。時代も変わって、日本代表ばかりに注目が集まっていたときは過ぎて、クラブチームをメインに応援するサポーターが、大多数になってきた。
その一方、危機感が失われたことの副作用ではあるが、各チームのサポーター間の結びつきや一体感というものは失われつつある。当時の運命共同体のような温かさは、徐々になくなってきている。
■ 失われつつある他クラブに対する敬意最近、「『他クラブ』あるいは『他クラブの選手』に対する敬意を持たないJサポーターが増えてきている。」と感じる人はいないだろうか?他クラブを貶めることで、自分が応援するクラブの地位を相対的に上げてみせようとする言動が目につく。
もちろん、適度なチーム間対立は、リーグを面白くする要素であって、興行的に考えると必要なことではある。また、いつまでも馴れ合いの状態がいいというわけではない。だが、「どのクラブも苦しい時代を経験してきたということ。」、そして、「どのクラブにも苦しい時代は訪れるということ。」を忘れてしまっていたサポーター(あるいは、そのこと自体を知らない新規サポーター)が増えてきている。弱い立場のクラブや苦しい立場にあるクラブを嘲笑することは、もはやデフォルトになってきているかのようである。
横浜ダービーでのイザコザもその一例といえるかもしれない。いつから、「他クラブの不幸は蜜の味」になったのだろうか。出来ることならば、サッカー周辺で不愉快な思いはしたくはないし、また、サッカーによって心の傷を負うサポーターが、1人として生まれて欲しくない。このままでいいのだろうか?
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いじめをする卑怯な人間と同じ論理です。
あなたは面白くても、挑発された側は面白いはずがありません。
「立場が逆転するとも限らない」とおっしゃいますが、浦和と大宮の経営規模から考えて、逆転することは簡単ではありません。あなたの発言には「逆転されるはずが無い」という嫌らしさが透けて見えます。
また実際に逆転された際に、大宮のサポーターから挑発された場合、あなたが「大宮サポーターからの愛」と受け止めるはずが無いと断言することができます。
挑発を愛と感じるような大らかな人間性を持つ人が、他のクラブの苦境を挑発するはずがありません。
あなたは、自身の醜い人間性をネットという公の場で披露したということを自覚するべきです。
サッカーの試合は対戦相手がいなければ成立しません。
対戦相手に対する敬意を持たないことは、サッカーに敬意を持たないことと同意であり、更には応援するクラブに対する敬意を持たないこととも同意であることを認識しましょう。
それが面白いんだと思うけどな。
盛者必衰。いつ大宮と浦和の立場が逆転するとも限らない。ココまでこいよ、っていう浦和サポからの愛情なんだと思うけどな。
昨年の「さいたまダービー」の際、浦和サポの大宮に対する罵詈雑言の凄まじさに絶句しました。
あれは健全な挑発の域にとどまるものではありません。
ACLで勝って以来、「勝てば官軍」式にメディアでも礼賛一色の浦和サポですが、私は、今の彼等には「強者の驕り」があまりにもひど過ぎると感じています。
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