■ J2の21節 開幕から無敗を続けるJ2首位の柏レイソルが21節で東京ヴェルディと対戦。柏は13勝6分け。東京Vは7勝6敗6分け。しかしワールドカップの中断明けは柏が3試合ともに引き分けに終わっているのに対して、東京Vは2勝1分け。20節では2位のヴァンフォーレ甲府を1対0で破っている。
ホームの柏は<4-2-2-2>。GK菅野。DF小林、パク・ドンヒョク、近藤、橋本。MF大谷、栗澤、レアンドロ・ドミンゲス、澤。FW工藤、田中。新加入のFWホジェルがベンチ入り。
対する東京Vは<4-2-3-1>。GK土肥。DF福田、富澤、土屋、吉田。MF佐伯、柴崎、菊岡、河野、高木俊。FW平本。甲府戦で決勝ゴールを決めたFW平本は今シーズン6ゴールを挙げている。
■ 東京Vが1対0で勝利試合は予想外に東京Vペースで進む。前半から流れるようなパスワークで相手をほんろうし、前半15分までに東京Vが放ったシュートは何と8本。一方の柏のシュートはゼロと圧倒する。防戦一方の柏は前半19分という早い時間帯にFW田中に代えてFWホジェルを投入し、ピッチ上の選手に刺激を与えようとするが流れは変えられず。前半24分には東京VのMF河野のドリブルを止めようとしたDFパク・ドンヒョクがレッドカード。10人となる。
勢いの止まらない東京Vは前半26分に左コーナーキックを獲得。MF菊岡の蹴ったボールをDF富澤が高い打点のヘディングシュートを決めて1点を先制する。DF富澤は今シーズン2ゴール目。前半は1対0の東京Vリードで終了する。
後半はビハインドの柏ペース。Jリーグデビュー戦となったFWホジェルのポストプレーが効果的で何度か追い付くチャンスを作るが、東京VがGK土肥を中心に守り切って1対0の勝利。ついに柏の無敗記録はストップした。
■ まさかの快進撃のヴェルディ経営危機の問題が表面化し、チームの存続の危機を迎えている東京V。ひじょうに厳しい事態であるが、ピッチ上の選手たちは結果を出し続けている。2位の甲府に続いて首位の柏も撃破。開幕5試合は1分け4敗と出遅れたものの、その後は15試合は8勝2敗5分け。中断明けも3勝1分け。昇格圏内となる3位のジェフ千葉に勝ち点で6差となる7位にまで上昇してきた。
その原動力は堅い守備。20試合でわずかに15失点であり、最近の15試合では8失点だけ。DF土屋、DF富澤、GK土肥の3人が素晴らしい働きを見せている。昨オフに主力数名が退団し、大幅な戦力ダウンしたはずであるが、予想以上の成績を残している。
甲府、柏に勝利したことを考えると、今のJ2の中でも最も勢いがあって、もっとも相手にすると嫌なチームだろう。ピッチ外でも問題をピッチ上に持ち込まない選手たちは称賛されるべきである。
■ 中心となる河野広貴攻撃陣はロンドン世代のドリブラーMF河野がチームの中心になって来た。ここまでの20試合で18試合にスタメン出場。昨シーズンまではMFレアンドロという助っ人がいたが、そのMFレアンドロも退団し、名実ともに攻撃の軸となって来た。
持ち味はやはりドリブル。細かいステップのドリブルは昨シーズンまでも武器であったが、ドリブルの生かし方がイマイチで試合から消えてしまうことも多かったが、この日はよくボールも集まって来て課題の「運動量」や「守備」も十分なレベルだった。
今のMF河野のプレーからイメージするのはC大阪のプレーするMF家長。チーム内で同じような役割をになっていて、そのドリブルと圧倒的なキープ力を武器に「ゴール数」や「アシスト数」といった記録としては表れない部分で攻撃に大きく貢献している。
プレッシングサッカーが全盛になって、『フィールドの中央でドリブルをするのは危険』ということで、ドリブラーがサイドあるいはベンチに追いやられるケースが世界中で増えてきていたが、MF家長あるいはMF河野のような超絶なドリブラーがチームの中心にいるとほとんどボールを奪われず味方に確実につなぐことも出来るし、相手のマークが緩いと自らドリブルで突き進むことも出来る。変化のある面白いサッカーとなっている。
また、この試合で見せた気の強さの印象的。後半17分に遅延行為でイエローカード受けた時、レフェリーに猛抗議をしたが、制しに入ったDF富澤に対して逆キレを絵にかいたような「逆キレ」で突っかかっていったシーンは、どちらかというと大人しい選手だと思っていた彼に対するイメージを覆すに値するインパクト大のシーンだった。
■ ブレークの香りが漂う高木俊幸東京Vの左サイドMFはU-19日本代表のFW高木がスタメン出場。持ち味の積極的なプレーを見せて、相手にダメージを与えることに成功した。言うまでもなく元プロ野球選手の高木豊氏の長男で、ずっと注目を集めてきたが、今シーズン、ユースからプロに上がって、着実な成長を見せている。
まだ軽率なミスも多いが、仕掛けるときの姿勢が良くて、爆発的なスピードとパンチ力のある右足を持っている。14節のジェフ千葉戦で見せた「無回転フリーキック」は『今シーズンのJ2のベストゴール』と呼ばれるにふさわしい素晴らしいゴールだったが、プレーに華があってスター性を感じさせる選手である。サッカーに限らず、とかく、二世選手は「過大評価」されがちであるが、この選手はむしろ過小評価されているといえるのではないだろうか。
チームの未来が明るいものかどうかは分からないが、この選手の未来は非常に明るいものだと感じる。
■ ホジェルのデビュー戦無敗記録がストップした柏はこれで中断後は4試合で3分け1敗。2位のヴァンフォーレ甲府との差は「2」となったが、3位の千葉との差は「9」あって、まだまだ慌てるような段階ではない。早く1つ勝利して落ち着きたいところである。
明るい話題はFWホジェルの存在。FWフランサが退団し、代わりにチームに加入してきたストライカーであるが、この日は予想以上にいいプレーを見せた。184cmと特別、大きな選手ではないが、がっちりとしていて、ペナルティエリア内でボールを持っても慌てることが無し、相手のプレッシャーに負けることもない。スケールはやや落ちるが、動き自体は東京ヴェルディや浦和レッズでプレーしたFWワシントンを思い出させる。
柏にはゴール前で仕事の出来る本格的なストライカーはいなかったので、これはチームに大きなプラスとなるだろう。
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