■ Panda Cupに出場中のU-19日本代表中国の成都市で開催されているPanda Cupに出場しているU-19日本代表が初戦でU-19クロアチア代表と対戦した。U-19は1997年1月1日以降に生まれた選手が対象となるのでちょうど2020年の東京五輪の対象となる世代である。2017年のU-20W杯の出場権がかかったU-19アジア選手権を10月に控えているのでチーム作りをする上で大事な活動となる。磐田で監督を務めた経験のある内山監督がチームを率いている。
日本は「4-2-2-2」。GK小島亨(早稲田大)。DF柳(FC東京)、DF大南(磐田)、DF中山雄(柏)、DF浦田樹(千葉)。MF冨安(福岡)、MF坂井大(大分)、MF堂安(G大阪)、MF杉森(名古屋)。FW小川航(磐田)、FW岸本(C大阪)。この中でGK小島亨とDF中山雄とDF浦田樹とMF坂井大の4人が1997年の早生まれとなる。MF堂安とMF冨安は高校3年生でU-19日本代表の中では一番下の学年となるがすでにプロ契約を交わしている。
ベンチスタートになったのはGK廣末(青森山田高)、DF小島雅(仙台)、DF町田(鹿島)、MF長沼(広島)、MF市丸(G大阪)、MF久保田(鹿島)、MF高木彰(G大阪)、FW垣田(鹿島)、FW岩崎(京都橘高)の9名。当初はMF三好(川崎F)が招集されていたが体調不良のため辞退したので代役としてMF長沼が招集された。京都橘高の3年生のFW岩崎はプロ注目の高速アタッカー。G大阪や鹿島や大宮などが獲得に興味を示している。
■ 後半だけで5ゴールを奪って大勝スタート試合の前半はほぼ互角の展開になる。日本は183センチのFW小川航のポストプレーやFW岸本の飛び出しからチャンスを作ろうとする。前半29分にはMF堂安の素晴らしい楔のパスからゴール前に入って来たボランチのMF坂井大がワンタッチでFW小川航にラストパス。FW小川航はキーパーをかわしてから逆サイドにクロスを入れたが流れてしまってファーサイドで待っていた選手には届かず。前半は0対0で折り返す。
迎えた後半10分に日本は左サイドの奥でFW岸本がボールをキープして攻撃参加したDF浦田樹にパスを出すとフリーのDF浦田樹の精度の高いクロスをファーサイドのFW小川航が頭で合わせてようやく先制に成功する。さらに後半14分にはFW岸本の精力的なチェイスからボールを奪って決定機を作るとFW小川航のスルーパスを受けたMF堂安がキーパーもかわしてから無人のゴールに流し込んで2点目を挙げる。
クロアチアに攻め込まれた時間帯もあったが後半35分にCKからMF堂安がつないだボールを名古屋のMF杉森が右足で豪快に決めて3点目を挙げると後半37分と後半39分にはC大阪のFW岸本が連続ゴールを決めて5対0とリードを広げる。結局、後半だけで5ゴールを奪った日本が大勝。無事に白星発進となった。今大会は中1日の3連戦となるが2戦目はチェコ、3戦目は地元の中国と対戦する予定になっている。
■ 2020年の東京五輪のときに主力となる世代10月に開幕するU-19アジア選手権はイエメン・イラン・カタールと同組になった。2022年に自国開催のW杯を控えて若年層の強化が進んでいるカタールと同組になったのは日本にとってはいい話ではない。MF柏木がチームの中心を担った2007年のカナダ大会以来となるU-20W杯出場は簡単なことではないが日本も彼らの世代が2020年の東京五輪のときの主力となるのでこの世代にかかる期待は非常に大きい。
前半はスコアレスで折り返した。難しい試合になるかと思われたが後半に攻撃陣が爆発した。後半35分に3点目を取られた後、クロアチアの選手が意気消沈したことにも助けられたが合計で5ゴール。結果は申し分ないものであり、内容的にもまずまず良かった。すでにJリーグデビューを果たしている選手も何人か含まれているが、柏でレギュラーポジションを確保しつつあるDF中山雄は攻守に渡って存在感があった。
今年度のU-19日本代表は1997年生まれと1998年生まれの選手が中心となるがこの世代のタレント力は「まあまあのレベル」と言える。黄金世代と呼ばれるほどタレントがたくさんいるわけではないが不作の世代というわけでもない。各ポジションにはそれなりに平均してタレントが散らばっている。明確なストロングポイントになるほどタレントが集中しているポジションはない一方で目立った弱点も見当たらない。
悲観的になる必要はないが楽観視できるほどでもないので監督の手腕は大事になってくるが今回は内山監督が任されている。90分を通してみた感じでは前から積極的にプレスをかけて高い位置でボールを奪ってそのままの勢いで攻め込もうとする意図は感じられた。10番を背負っている大分のMF坂井大がボランチで起用されているが彼が良い所でボールを受けることができるとスムーズな攻撃が可能となる。
■ 1ゴール2アシストの活躍を見せたMF堂安律正直なところ、5対0というスコアになるほど相手との実力差はなかったと思うが、先制した後に訪れたピンチの場面を早稲田大のGK小島亨を中心にしのぐことが出来たのは大きかった。GK小島亨は名古屋U18のときから将来を期待されていたが安定感がある。左利きでフィード力も高い。「大学を卒業した後は名古屋に入団する。」という未来になる可能性は高い。40歳になったGK楢崎(名古屋)の後継者候補の1人と言える。
攻撃陣で目立ったのはやはりMF堂安(G大阪)。結局、1ゴール2アシストの活躍だった。MF堂安は高校3年生。この年代での「1学年差」というのはかなり大きいので下の学年の選手が攻撃の中心を担うのはどちらかというと珍しい。J3リーグで目立った活躍を見せているが同世代の選手が相手の試合で随所に違いを見せた。ドリブルもできて、パスも出せて、シュートも正確。攻撃的な資質に恵まれた選手である。
力強いドリブルで局面を打開するシーンが何度もあったのは好印象。相手に囲まれても簡単には潰されないフィジカルを持っているのも大きな武器となる。2020年の東京五輪のときに攻撃の中心になる可能性が(現時点では)最も高い選手だと思うが守備のときの献身性も光った。運動量がそれなりに多い選手であることは知られているがここまでハードワークする姿を見た記憶はなかったので新しい発見だった。
その他では自身の2ゴールを含めて4ゴールに絡んだC大阪のFW岸本も強いインパクトを残した。自身1点目はドリブルからのゴールで、自身2点目はMF堂安のクロスをゴール前で合わせたゴールだったが、先制ゴールの場面では奥のスペースでしっかりと起点になっており、後半14分のMF堂安のゴールの時は精力的なチェイシングでボールを奪ってすかさずヒールでMF堂安にパスを送ったことが決定機につながった。
174センチ/66キロなのでサイズ的には恵まれていないが「強さ」を持っているのでゴリゴリとドリブルで持ち運ぶことが出来るのが特徴の1つ。前半から結構な数のファールを獲得しており、相手がボールを持ったときは激しい寄せで「守備のスイッチ」を入れることが出来る。フォワードとしてのスペック自体はそこまで高くないのかもしれないが実戦的なフォワードで国際試合ではなかなかの確率でゴールを決めている。
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