■ 多摩川ダービー川崎フロンターレとFC東京の多摩川ダービー。
川崎は、<3-5-2>。MFマギヌンが出場停止で、東京Vから移籍してきたMF大橋が初めてのスタメン出場。東京は、<4-3-3>。ワンチョぺが怪我でスタメンを外れて、平山は、ベンチ外。ルーカスが1トップで、馬場・石川・栗沢が2列目に並ぶ。
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試合は、開始早々、川崎がカウンターから大橋が1人で持ち込んでシュート。この大橋のミドルシュートが、ゴールのすみに決まって先制する。さらに、前半11分にも、カウンターから、FW黒津が豪快に左足で叩きこんで2対0とする。
2対0になったあとは、FC東京も盛り返すが、前半43分に、川崎が絶好の位置からのFKを獲得すると、大橋が鮮やかに決めて3点目。さらに、その直後の前半43分にも、右からのクロスをMF村上がゴールに押し込んで4対0。川崎が大量リードで折り返した。
FC東京は、後半から、MF浅利に代えてMF梶山、FW馬場に代えてFWワンチョペを投入。FC東京は、ワンチョペのキープを軸に、ようやく、厚みのある攻撃ができるようになったが、後半23分に、FWジュニーニョが追加点を挙げて、5対0となった。
その後、FC東京は、ルーカスのPKと、石川のボレーシュートで2点を返すが、完全に、焼け石に水。試合は、5対2で川崎が完勝した。
■ 代役のふたりの活躍川崎は、FW我那覇とMFマギヌンを欠きながら、その代役で入った、FW黒津とMF大橋が大活躍を見せて、その穴を感じさせなかった。
特に、大橋は、キープレーヤーのマギヌンに代わっての活躍で、彼は、マギヌンとは違った魅力をもつため、川崎は、またひとつ、新しいバリエーションを手に入れたことになる。
■ 明確な実力の差試合を見る限り、両チームには、明確な実力差があった。FC東京には、日本代表クラスや五輪代表クラスの選手が揃っており、川崎と比べても、個々の能力には、ほとんど違いはずだが、チーム力の差は、歴然だった。
FC東京側の試合前のプランとしては、前線からプレスをかけて、川崎に攻撃の組み立てをさせない戦法だったが、十分なプレスがかからず、あっさりと失点を重ねた。
■ 「コウゲキ」という掛け声0対4となった後半の開始、FC東京のサポーターからは、「コウゲキ~コウゲキ~ハラト~キョ~」という応援が聞こえてきたが、残念ながら、これが、今のFC東京の現状をよく表しているように思う。
確かに、得点数がリーグ16位と、得点力不足にあえいでいるのは間違いないが、問題点は、「攻撃」よりも、むしろ、「守備」にあるように感じる。この試合でも、1点目・2点目・5点目の失点は、カウンターからの失点である。カウンターに対する備えが十分でないから、腰が引けたサッカーになって、人数をかけた攻撃が出来ずに、攻守ともに中途半端な悪循環に陥っている。
このあたりに関して、原監督からは、最近、失点数が少なくなってきたからなのか、「守備はよくなってきたので、あとは攻撃・・・。」というコメントがよく聞かれるが、サポーターと同様に、原監督も、焦点がぼやけているのではないかと感じる。
■ バランスというキーワードFC東京と比較すると、川崎Fは、攻守にわたって、非常にバランスがいい。過度に攻撃的でもなく、また、過度に守備的でもなく、絶妙のバランスを保っている。
現代サッカーでは、攻撃と守備は、表裏一体であり、どちらか、片方だけを強化すればいいというわけではないし、どちらかに、問題が発生すれば、必ず、もう片方にも、問題が発生するものである。
原監督は、前回の監督時代、「攻撃サッカー」を標榜してはいたが、まず、守備の組織をしっかりと構築し、その上で、攻撃的な部分を繕っていったが、現在のチームは、その土台がないにもかかわらず、攻撃的な部分を押し出しているため、非常に攻守のバランスが悪く、結果にもつながっていない。
■ 同じような失敗を繰り返すFC東京で気になるのは、柔軟性の無さ。攻撃面で、一番、問題なのは、やはり、1トップ気味に構える選手へのサポートの薄さであるが、これは、ワンチョペだろうが、平山だろうが、ルーカスだろうが同じで、サポートが薄い状況では、十分な仕事をこなすのは、難しい。
それならば、単純に、2トップにすればいいように思うが、原監督は、かたくなに、サイドにウイングを置く、システムを採用している。
もうひとつ気になるのは、同じようなやり方で、同じようなやられ方をしている点である。試合中に、同じようなミスから、同じように、やられるケースが目立つ。今野や福西のように、経験があって、ユーティリティ性のある選手がいるのだから、もっと柔軟に、試合を運ぶことが求められる。
■ 試合を支配する中村憲剛最後に、川崎Fの中村憲剛について。怪我で2試合を欠場した中村だが、この試合から復帰。ゴールもアシストもなかったが、存在感は、際立っていた。
彼は、昨シーズンも素晴らしかったが、今シーズンは、また、一段高いレベルでプレーしているように思われる。相手チームのマークは相当だが、常に、ハイレベルのプレーを見せている。
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