■ 2年ぶりのダービージェフ千葉と柏レイソルの千葉ダービーは、雨の中、両チームとも、アグレッシブに戦った結果、1対1の引き分けに終わった。
後半5分に、柏のMF谷沢がドリブルからシュートを決めて先制するが、千葉も後半26分に、右サイドの水野のグラウンダーのクロスを、逆サイドに待ち構えていた、山岸が蹴りこんで同点に追いつく。その後、千葉は、FW青木を投入し、勝ち越しを狙うが、ゴールは生まれなかった。
■ ロック・オン順位こそ低迷しているが、ジェフ千葉の試合内容は、ずっと悪くない。この試合でも、ホームとはいえ、好調の柏を相手に、優勢に試合を進めた。
それにしても、「ロック・オン」されたときの千葉の攻撃は、ホントに鮮やかである。前半の半ばの、ゴール前でダイレクトパスが3本・4本とつながって決定的なチャンスを迎えたシーンや、後半の山岸の得点シーンなどなど・・・。
一種、ブランド化した感のある、「オシム流サッカー」に関しては、現在、J1・J2含めて、何チームかが、このスタイルを取り入れているが、やはり、千葉に一日の長を感じる。
各プレーヤーのイメージが共有化されたときの千葉のサッカーは、ダイナミックで、爽快である。
■ 非決定機での得点人数をかけて攻撃を行う千葉は、チャンスの「質」が非常に高い。ゴールシーンの多くは、完全に相手を崩した末のファインゴールである。
ただ、それは、問題点でもある。統計を取ったわけではないが、おそらく、千葉は、「非得点機での得点」が、リーグでも、最少クラスではないだろうか。
1試合に、そう何度も、決定的なチャンスを作ることはできない。例えば、広島の2トップのように、「あれっ?」という間に、抜け目なく、ゴールを奪うことも、試合を有利に進めるには、必要である。
随分前から、「千葉は、決定力不足である。」といわれ続けているが、ボクは、むしろ、得点機ではない場面でのゴールが少ないことの方が、問題ではないかと思う。
■ 復調が待たれる巻FW巻は、この試合でも、献身的ないいプレーを見せた。前線のターゲットマンとしては、十分なプレー振りだった。ただ、その一方で、物足りなさも残した。
「巻は、得点はなくても、献身的で、チームへの貢献度は高い。」という考え方は、ある一方では正しいし、ある一方では、間違っている。
巻が高く評価されるのは、「献身的だから。」ではなくて、「献身的で、なおかつ、得点力もある。」からである。巻が、昨シーズン前半戦のように、ストライカーとして、らしいプレーを取り戻さない限り、千葉に上位浮上の目は生まれない。
■ 日本最高クラスのDFへ進化する水本千葉の選手の中で、ひときわ目に付くのは、DF水本。今シーズンの水本のパフォーマンスは、まさしく、圧巻である。
8節の川崎戦で、FWジュニーニョを完封した試合がここまでのハイライトになっているが、スピード・高さ・強さと、高次元でバランスが取れていて、危うさがなくなってきた。
また、守備面だけではなく、攻撃面での貢献も見逃せない。左サイドを駆け上がって、チャンスを拡大するシーンが、試合中に、頻繁に見られる。以前の記事で、水本の代表選出に関して、疑問を呈したが、もはや、そんな考えは、微塵もない。
■ 谷澤のテクニック柏では、MF谷沢。FWフランサが怪我のため欠場を余儀なくされていて、その結果、スタメンの機会が増えてきた谷沢。やはり、彼のプレーは、面白い。
谷沢は、現在のJリーガーの中では、かなりの希少価値をもつ、ホンモノのドリブラーである。この試合の先制ゴールのシーンは、彼のよさが、存分に表れていた。スペースがある限り、いつまでもドリブルを続けていきそうな、精粋のドリブラーは、李や菅沼のドリブルとは、また違った色を持つ。
ユース時代から、能力の高さは認められていたものの、安定感のなさで、チャンスを逃し続けてきた歴史がある。谷沢は、殻を破って、プレーヤーとして、進化できるのだろうか?
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