■ 生き残りをかけて・・・勝ち点「48」で6位のFC東京と勝ち点「47」で7位のガンバ大阪の対戦。水曜日にACL決勝のアデレード戦を戦ったG大阪は中二日となる。
ホームのG大阪は<4-4-2>の布陣。GK藤ヶ谷。DF加地、山口、明神、安田。MF橋本、遠藤、二川、ルーカス。FW播戸、ロニー。DF中澤がスタメンから外れて、ボランチが本職の明神がセンターバックに入る。MF佐々木、FW山崎がベンチスタート。
対するは、前節に鹿島アントラーズに3対2で勝利し、上昇ムードのFC東京。布陣は<4-3-3>。GK塩田。DF徳永、佐原、茂庭、長友。MF今野、梶山、羽生。FW石川、平山、カボレ。中央にFW平山を置いて、右ウイングにFW石川、左ウイングにFWカボレの3トップ。11ゴールを挙げているFW赤嶺がベンチからのスタート。
■ 2度の逸機から・・・試合の序盤はG大阪ペース。ACLでのハイ・パフォーマンスをそのままに、早い時間帯にFW播戸が2度の決定機をつかむ。しかし、いずれのチャンスもGK塩田の判断のいい飛び出しに防がれてゴールならず。
すると、前半20分にFC東京が先制する。右サイドでボールを保持したFW石川が、左足からのファーサイドへのクロス。そのクロスをFWカボレが豪快に頭に合わせてFC東京が先制する。前半は1対0のFC東京リードで折り返す。先制点で動きの良くなったFC東京は、後半の立ち上がりにも、左奥エリアのDF長友のロングスルーから、ニアサイドのFW平山がつぶれたその裏のスペースにFW石川が走り込んで、右足で決めて2点目を奪う。
押せ押せのFC東京は後半17分にも、右サイドバックのDF徳永のパスをペナルティーエリア中央で受けたFW平山がDF明神を背負った状態からシュートコースを作って自らゴールゲット。3対0とリードを広げた。
G大阪はFWルーカスのゴールで1点を返したが、反撃はそれだけ。3対1でアウェーのFC東京が勝利し、ACL出場圏内の3位以内という目標に近づいた。
■ 消えたナイーブさFC東京はアジア制覇を目前にしているG大阪に対してアウェーで快勝。前半は何度か決定機を作られたが、GK塩田の好守もあって無失点でしのぐと、3トップがそれぞれ1点ずつをマーク。理想的な形で勝利をもぎ取った。
これまでの順位からくる余裕なのか、自分たちのサッカーに対する自信なのか、一昨シーズンや昨シーズンに見せていた、悪い意味で東京らしいナイーブさが消えた。得点を奪った時間帯も効果的で、後半の試合運びも危なげなかった。
■ 左サイドのFWカボレFC東京はFWカボレをセンターフォワードではなく、左サイドに置くようになってから攻撃がスムーズになった。それは、2006年にヴァンフォーレ甲府がFWバレーを3トップの左に置いて効果を発揮したケースと似ている。
左サイドという中央に比べるとマークの緩いエリアで、スペースと自由を与えられて、FWカボレが自由を謳歌する。左サイドで前方にスペースがある状況でFWカボレが相手と1対1になったときの打開力は抜群で、そこから多くのチャンスが生まれる。
したがって、FC東京の攻撃は、「いかにして左サイドで待つFWカボレにいい状態でボールを預けられるか。」が焦点になる。より良い状況でボールを預けることができれば、ゴールの確率はさらに高くなる。
周囲のメンバーはそこから逆算して決められる。その末が、リーグ戦で11ゴールをマークしているFW赤嶺をベンチに置いてまで中央でつぶれ役になったり、ポストで起点になれるFW平山のスタメン抜擢なのだろう。
■ 石川直宏の華麗な復活今シーズンのFC東京を支える上で見逃せないのが、FW石川の存在。2005年9月の横浜FM戦での大怪我の影響もあって、ここ数シーズン、トップコンディションを取り戻せないままでいたが、今シーズン、城福監督の下、復活を遂げた。
この試合も1ゴール1アシストの活躍。怪我する以前は完全なウインガータイプで、サイドでの1対1に抜群の強さを発揮していたが、大怪我の後、コンディションが万全でない状態でも1対1での打開を期待されて、周囲が思うような働きが出来なくなっていた。しかし、城福監督になって、サイドで待ち構えて突破することだけにとらわれる必要がなくなって、それが好成績を生みだしている。
サイドで1対1で仕掛ける回数は減ったが、それでも、今シーズン、ゴールシーンに関与する機会は確実に増えていて、ゴール数もアシスト数も増えてきている。スピードと突破だけにとらわれない新しい自分へのモデルチェンジに成功しつつある。
■ 2ゴール目の平山相太FW平山は天皇杯の仙台戦に続く2試合連続ゴールと首脳陣の期待にこたえた。2点リードはG大阪相手ということもあって、セーフティーリードでは無かったため、試合の行方を左右する大きなゴールとなった。
今シーズン、リーグ戦では2ゴール目。確かに物足りない数字ではあるが、そのプレー内容は、確実に上昇している。「ボールも人も動くサッカー」が基本の城福サッカーとはミスマッチでは無いかという指摘をされることもあるが、ストロングポイントでは無い部分を求められ続けたことで、苦手だった守備や運動量といった部分に改善の跡が見える。
■ 存在感を増すMF梶山陽平今シーズンから背番号「10」を背負うMF梶山のプレーも良かった。誰も真似のできない鮮やかなキープと右足アウトサイドでの予想の難しい展開のパスで試合を作った。FWカボレの突破力を前面に押し出す現在のチームに置いて、相手の裏のスペースに厳しいパスの出せるMF梶山の存在は不可欠となっている。
以前のMF梶山は非常に並の大きい選手であったが、チームの中心として試合に出続けることで、徐々にコンスタント平均点以上のプレーが出来るようになった。最大瞬間風速の揺れの大きいプレーヤーはハイライトVTRを見ると魅力的に映るが、監督にとっては使いづらい。その点で、監督が信頼をおける中心選手になりつつある。
■ 裏目に出た新2トップ一方のG大阪は、前半にFW播戸が決定的なチャンスに確実にネットを揺らしていれば結果は違っただろうが、よもやの完敗となった。ACLのFWルーカスの1トップという布陣から、FWロニーとFW播戸の2トップに変更してきたが、これが完全に裏目に出た。
FW播戸の動きは悪くなかったが、気負い過ぎたのか決定機を外し続けて前半のみで交代。FWロニーも出来は良くなかった。立ち上がりのいい時間帯にゴールが決まっていれば良かったが、決定機を外していくうちに、徐々に流れを失っていった。
[関連リンク]・
ナイーヴさからの脱却・東京戦 (北摂日報編集室さん・ガンバサポーター)
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