■ 第17節J2の第17節。4勝2敗4分けで勝ち点「16」のFC東京と、5勝2敗3分けで勝ち点「18」の徳島ヴォルティスが対戦。FC東京は、ここ3試合で2勝1分け。6得点で2失点と調子が上がってきた。対する徳島は、ここ3試合で0勝1敗2分けと勝ち点が伸び悩んでいる。
ホームのFC東京は「4-2-2-2」。GK塩田。DF徳永、森重、今野、中村北。MF高橋、梶山、田邉、谷澤。FWロベルト・セザー、羽生。U-22日本代表のためGK権田が欠場で、GK塩田が今シーズン2試合目のスタメンとなった。
対する徳島も「4-2-2-2」。GKオ・ スンフン。DF橋内、エリゼウ、三木、西嶋。MF倉貫、濱田、島田、柿谷。FW津田、ドウグラス。怪我から戻ってきたFW津田は今シーズン2試合目のスタメン。第16節のファジアーノ岡山戦で今シーズン初ゴールを決めている。右サイドバックのDF橋内は2試合連続スタメンとなった。
■ MF梶山が決勝ゴール試合は序盤からホームのFC東京ペースで進む。徳島はボールの奪いどころがはっきりせずに、FC東京にボールを回される展開となる。攻め込みながらも、FC東京は、なかなか先制ゴールが奪えなかったが、前半終了間際にビッグチャンスを迎える。
中央で受けたMF梶山が右サイドのFW羽生へスルーパスを出すと、これは、徳島のDF三木がかろうじてクリアするが、クリアボールが、右サイドでフリーになっていたMF谷澤のところにこぼれる。次の瞬間に、MF谷澤はファーサイドを狙ってクロスを入れると、FWロベルト・セザーがうまく頭で落とし、走り込んできたMF梶山が押し込んでFC東京が先制する。MF梶山はリーグ戦3ゴール目。前半は1対0で終了する。
後半もFC東京ペースで進んでいく。チャンスを作れない徳島は、MF衛藤、FW佐藤を投入。試合の流れを変えようと動いてくると、後半33分に、右サイドのクロスを起点に、ゴール前でFW津田のラストパスを受けたMF柿谷が決定的なチャンスを迎えるが、シュートは枠外でゴールならず。
結局、そのまま1対0でFC東京が勝利。今シーズン5勝目を挙げて、勝ち点「19」。上位陣が勝ち点を伸ばせなかったこともあって、4位に浮上した。一方の徳島は4試合勝利なし。8位に転落した。
■ 4位に浮上怪我人が多く、リーグ戦再開後は苦戦していたFC東京だったが、ここに来て、ようやく調子が上がってきた。上位は混戦なので、あまり順位を気にする段階でもないが、これで4位に浮上。昇格圏内の3位の愛媛FCとの勝ち点差も「1」となって、昇格レースに戻ってきた。
11試合で11得点なので、攻撃陣に爆発力は無くて、なかなか2点目を奪って試合を決められない「もどかしい展開」が続いているが、ロアッソ熊本戦に続いて2試合連続で1対0の勝利。少ない点数を守り切って勝つという「勝ちパターン」が生まれつつある。
■ 別格のプレーを続けるDF今野泰幸日本代表のレギュラーのCBなので、当たり前の話ではあるが、DF今野は、さすがにJ2の中では「別格」といえるパフォーマンスを見せている。ボランチが本職で、CBに本格的にコンバートされたときは、「DF今野の攻撃力が生きなくなるので、もったいないのでは?」とも思われたが、経験を積んできて、もはや、CBが本職といえる選手になった。
DF今野のセンターバックというと、柱谷監督時代のコンサドーレ札幌でボコボコにやられていたシーンが思い出されるので、日本代表でセンターバックのレギュラーをつかんだことも信じられない気もするが、1対1に強くて、パスも出せて、スピードタイプのフォワードにも、高さタイプのフォワードにも対応可能で、隙のないセンターバックになった。
FC東京の守備陣には、DF今野の他にも、日本代表クラスのGK権田、DF森重がいて、この3人が守るディフェンスを崩すことは、J2レベルでは、相当にかなり難しい作業だったが、京都サンガ戦から、ボランチにMF高橋が入るようになってからは、中央の守備が、さらに安定するようになった。
シーズン当初は、相手を圧倒してやろうという色気もあったので、人数をかけて攻め込んでいくシーンもあったが、J2での戦いに慣れてきたのか、あまり無理をしなくなって、バランスも崩れなくなった。もともと、ポゼッション力も高いチームであるが、ボールを持たれたまま、奪い返せないチームも増えてきて、攻略するのは難しくなってきた。
■ フォワードの駒不足メンバーも定まってきて、上向きのFC東京であるが、フォワードだけは不安要素で、FWロベルト・セザーがスタメンに定着し、まずまず頑張っているが、FW平山とFW高松が離脱中で、FWペドロ・ジュニオールも退団が決定した。いちおう、FW羽生はFW登録になっているが、本来は中盤の選手であり、ベンチにもフォワードの選手はいなかったので、結局、フォワード登録は、FWロベルト・セザーのみという苦しい状況である。
この試合は、いい時間帯に先制ゴールを奪えたので、問題にはならなかったが、リードを許す展開で投入できる攻撃的なカードも少なく、仮に、FWロベルト・セザーに、何かアクシデントがあると、本当に、点取り屋がいなくなってしまう。ただでさえ、得点力に不安を抱えているが、FWロベルト・セザーまでいなくなると、非常事態になってしまう。今後、フォワードの補強は不可欠である。
■ ヴォルティスが攻めきれず最近、結果が出ていない徳島は、FC東京のホームの味スタに乗り込んで、勢いを取り戻したかったが、ほとんど決定機も作れないまま。スコアこそ0対1だったが、完敗といえる内容で、力の差を感じさせられる試合となった。
2トップに、FW津田とFWドウグラスを起用し、MF衛藤をベンチスタートとしたが、これもあまりうまくいかなかった。FW津田とFWドウグラスの2トップが、DF今野とDF森重にほぼ完ぺきに封じられてしまったのも誤算で、後半にMF衛藤、FW佐藤、FW杉本と攻撃的なカードを切ってきたが、大きく試合の流れを変えるには至らなかった。
徳島には、FW津田、FWドウグラス、FW佐藤とセンターフォワードタイプの選手が3人いるので、どのように使い分けるのかが注目されるが、つなぎ役として効いていたトップ下のMF衛藤を外して、2トップにすると、攻撃の流動性がなくなってしまって、あまり効果的とはいえない。2トップにすることで、MF島田とMF柿谷のポジションが下がり目になってしまうのもマイナスで、どのようにバランスを取るのか、美濃部監督の腕の見せ所といえる。
■ MF柿谷が決定機を逃す徳島の「唯一の決定機」といえるのが、後半33分のMF柿谷のシュートシーンで、追いつく絶好のチャンスだったが、相手DFに寄せられていたこともあって、シュートは大きく枠を外れてしまった。
ここまでMF柿谷は11試合で2ゴール。開幕戦の鳥取戦、12節の四国ダービーと、注目が集まる試合で決勝ゴールを奪っているものの、ほぼフル出場していることを考えるとゴール数は少なくて、物足りない数字である。シュート自体も、11試合で18本と少な目で、もっとゴールに絡むプレーを期待したいところである。
この試合は、劣勢の展開だったこともあって、何度もスライディングタックルでボールカットを試みるなど、ユニフォームを泥だらけにしながら懸命にプレーしており、その点は好感が持てるが、もっと高い位置でボールを持って仕掛けるプレーを増やしてもらいたいところ。徳島の攻撃陣は停滞気味なので、チームを引っ張るつもりで、アグレッシブにプレーしてほしいところである。
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