■ 第7節J1の第7節。2007年以来のJ1となるヴァンフォーレ甲府がヴィッセル神戸と対戦。開幕戦は、甲府はジュビロ磐田に0対1で敗戦。神戸は浦和レッズに1対0で勝利している。
ホームの甲府は<4-2-2-2>。GK荻。DF吉田、ダニエル、冨田、内山。MF伊東、養父、石原、永里。FWハーフナー・マイク、松橋優。FWパウリーニョはベンチスタート。元日本代表で清水エスパルスから加入のDF市川は欠場。U-22日本代表のDF吉田豊がスタメン出場。
対するアウェーの神戸は<4-2-2-2>。GK徳重。DF近藤、北本、河本、茂木。MF三原、ボッティ、小川、ホジェリーニョ。FW大久保、吉田。開幕戦で決勝のフリーキックを決めたFWポポはベンチスタートとなった。DF石櫃は怪我のため欠場。
■ 1対1のドロー試合の前半は神戸ペース。前の4人が流動的に動いてチャンスを作る。対する甲府はFW松橋優がゴール前で決定機を作るが、逃してしまう。先制したのは神戸で、前半41分に神戸がMFホジェリーニョのパスを受けたFW大久保が右足でミドルシュートを放つと、相手DFに当たってコースが変わってゴール。前半は1対0と神戸がリードして終了する。
後半開始から甲府はMF養父に代えてFWパウリーニョを投入すると、後半20分にそのFWパウリーニョのプレーからコーナーキックを獲得すると、FWパウリーニョが左足で蹴ったボールをDFダニエルがダイレクトで合わせて同点に追いつく。DFダニエルはJ1で初ゴール。
その後は、甲府がペースを握って惜しいチャンスを作る。神戸も後半42分に都倉を投入すると、そのFW都倉が直後にビッグチャンスを迎えるが、GK荻がファインセーブを見せてゴールならず。結局、試合は1対1のまま終了。両チームが勝ち点「1」をつかんだ。
■ 大久保が先制ゴール豪雨の中での試合で、いつもは、ほぼ満員となる山梨中銀スタジアムに集まった観衆が6893人と寂しいスタンドの入りで始まった試合は、前半は神戸ペース、後半は甲府ペースとなった。神戸は、司令塔のMFボッティが今一つで、なかなかボールに触れられずに持ち味を出せなかったが、FW大久保、FW吉田、MF小川、MFホジェリーニョの4人が自由にポジションを取って、流動的な攻撃を見せた。
いいリズムで攻め込んでいたときに先制ゴールを奪ったのはFW大久保で、昨シーズン後半は怪我のため欠場していたので、2010年7月以来の久々のゴールとなったが、雨でスリッピーなピッチを利用した頭脳的なゴールであった。FW大久保はコンディションがよさそうで、見た目もスリムになっている。ここ数年、体が重そうな時期もあったが、キレを取り戻しているようで、シャープな動きを見せた。
■ DFダニエルのゴールで追いつくトレーニングマッチで思うような結果を残せず、不安な状態で再開を迎えた甲府はドロースタート。ホームということで勝ち点「3」が欲しかった試合であるが、1対1に追いついてから、FWハーフナー・マイクが決定的なシュートを外すなど、精度を欠いて逆転までは至らなかった。
目立ったのは、センターバックのDFダニエルで、守備だけなく攻撃でも存在感を発揮。FWハーフナー・マイクの調子があまり上がっていない中、一番、ゴールの匂いのする選手となっており、ボールを奪ってからの攻め上がりは、今の甲府では、一番の見どころと言える。
これまで、J2時代は存在感を発揮していた選手でも、上のレベルに戸惑って、J1になると思い通りのプレーができない選手は、外国人のセンターバックには多かったが、DFダニエルは大丈夫そうで、攻守両面でチームを引っ張っていくことが期待される。
■ DF吉田も好プレー清水から加入のDF市川が戦列を離れており、代わってU-22代表のDF吉田が右サイドバックで先発したが、持ち味の攻撃力を発揮し、上々のJ1デビューとなった。開幕戦は、DF石原が右サイドバックで起用されたが、本職のDF吉田の方がスムーズにプレーできている。
先日のU-22日本代表の合宿にも呼ばれているが、右サイドバックは激戦のポジションで、アジア大会のメンバーだったDF實藤、DF比嘉、DF鎌田に加えて、J1でも力を見せている浦和のDF岡本、DF高橋峻、新潟のDF酒井に、J2のFC東京のDF椋原と、タレントは豊富なポジションである。持ち前の攻撃力と、左右をこなすユーティリティー性で生き残りたい。
■ 永里源気はJ1でどのくらいできるか?甲府はJ1昇格を果たした内田監督との契約を更新せずに、大宮や札幌でJ1昇格を成し遂げた三浦監督を招へいし、チームをリセットしてシーズンに臨んでいるが、完成度は低く、まだまだといったところである。守備を重視したサッカーであるが、その守備にも隙はあるので、J1レベルで見ると、DFダニエルという存在を除くと、ストロングなところを見つけにくい状況である。
特に、攻撃では、FWハーフナー・マイクが苦しんでいて、J1のディフェンダーに対応できていない。194㎝の長身なので、イーブンの状態でジャンプできると、誰が相手でも競り勝つことができるが、さすがにJ1の舞台となると、簡単にジャンプもさせてもらえず、当たり負けするシーンも多い。
彼がJ1になじんでくることが不可欠であるが、それに加えて、アビスパ福岡から移籍してきたMF永里が初のJ1でどのくらい出来るかもポイントになる。MF永里は2010年は35試合で15ゴールを挙げて福岡のJ1昇格に大きく貢献し、福岡に残っていれば、揺るぎ無いチームの軸としてJ1に挑戦できたが、あえて甲府への移籍を選択して新天地に飛び込んできたが、開幕戦の磐田戦に続いて、持ち味を発揮できなかった。
もともと、三浦俊也監督は、「サイドバック」や「ボランチ」に守備の強い選手を置くことが多いが、失点が増えていくと、さらに、その傾向が強まってくる。甲府も勝ち点を伸ばせないと、同じような状況になることが予想できるが、そうなると、サイドハーフのポジションの選手には、攻守にわたってスーパーな活躍を見せることが求められる。MF永里がJ1でどのくらいできるか?という点は、甲府がJ1に残留できるか、できないかを左右しそうな予感はする。
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