■ 第6節J1の第6節。3勝5敗9分けで勝ち点「18」で14位の浦和レッズと、4勝8敗5分けで勝ち点「17」で16位のヴァンフォーレ甲府の対戦。J1はちょうど半分の17試合を消化して折り返しに入ったが、浦和はここ6試合で2勝0敗4分けと、6試合負け無しが続いている。一方の甲府は、第5節はホームでガンバ大阪に4対3と逆転勝ち。この勢いをつなげていきたい。
ホームの浦和は「4-2-3-1」。GK加藤。DF高橋峻、スピラノビッチ、永田、平川。MF鈴木啓、柏木、エスクデロ、マルシオ・リシャルデス、原口。FWデスポトビッチ。セルビア国籍で新外国人のFWデスポトビッチは初スタメン。怪我のため出場が微妙とされていたMF原口もスタメン出場。高卒ルーキーのMF小島がベンチ入り。
対する甲府は「4-2-2-2」。GK荻。DF市川、ダニエル、山本、内山。MF伊東輝、石原、松橋優、阿部。FWハーフナー・マイク、パウリーニョ。新外国人のFWダヴィはベンチスタート。FWハーフナー・マイクはリーグトップタイの9ゴールを挙げている。
■ レッズが完封勝利試合は立ち上がりからホームの浦和がボールを支配して攻め込むが、前半12分に甲府はスローインからFWパウリーニョがDFラインの裏に抜け出してGKと1対1のチャンスを作ると、浦和のGK加藤はペナルティエリア外に飛び出してきて対応。FWパウリーニョはドリブルでかわそうとして、ゴール前でGK加藤に倒されてしまう。このプレーで浦和のGK加藤は一発レッドとなって退場。浦和はMFエスクデロはMFエスクデロを下げて山岸を投入。早々に浦和は10人になってしまう。
数的優位となった甲府は、FWパウリーニョがキレのあるプレーを見せてゴールを脅かすと、前半に2度もゴール前で決定機を作る。しかし、ともにシュートはバー直撃でゴールならず。前半は0対0で折り返す。
後半開始から甲府は、右サイドハーフのMF松橋優に代えてレフティのMF片桐を投入。右サイドでタメができるようになって、厚みのある攻撃を見せるようになるが、後半8分に浦和はMF柏木から左サイドの裏に走ったDF平川に絶妙のスルーパスが通ると、DF平川と甲府のDF山本がペナルティエリアで競り合う。先にボールに触ったDF山本がクリアしようとするが、クリアボールがDF平川の足に当たってゴールに吸い込まれて、ラッキーな形で浦和が先制。DF平川は今シーズン初ゴールとなった。
先制ゴールを許した甲府は、後半15分にMF柏を投入し、さらに後半27分にFWダヴィをピッチに送り込む。3トップ気味になってゴールを奪いにきた甲府だったが、逆に、浦和は後半28分にMF原口のパスを受けたMF柏木が見事なループシュートを決めて2点目を挙げる。MF柏木は2試合連続ゴールとなった。
その後、甲府は、右サイドハーフのMF柏の突破から何度もゴール前にクロスが上がってくるが、ゴール前で合わせる選手はおらずゴールは奪えない。結局、2対0で浦和が勝利。今シーズン4勝目で12位に浮上。一方、甲府は数的優位を生かせずに無得点で敗戦。今シーズン初の連勝はならなかった。
■ MF柏木が活躍前半12分で10人となった浦和は、前半こそ、何度か決定機を作られて危ないシーンもあったが、後半になると「10人」であることを感じさせない動きを見せて甲府を圧倒。先制ゴールを奪った後は、堅い守備を見せて反撃の隙を与えなかった。
78分間も10人で戦うことになったが、特に光っていたのがMF柏木。ボランチで出場しているが、MFエスクデロがベンチに下がって前にスペースができたこともあって、積極的に前に出ていって攻撃に絡んだ。運動量が豊富だったのはもちろんのこと、「キレ」の抜群で、「2人分の働きを見せた」といっても過言ではない動きだった。
MF柏木は浦和に来て2年目のシーズンであるが、今シーズンは、チームとしても、個人としても、満足のいく結果を残せておらず、MF柏木自身もスタメンから外れる試合が続いていた。相当に厳しいシーズンになっているが、この日のようなプレーをしていれば、日本代表への復帰も見えてくるだろう。2点目のゴールは、広島時代から得意にしている形のシュートで、鮮やかな軌道を描いてネットに吸い込まれた。守備での貢献も高く、文句なしの出来だった。
■ FWデスポトビッチの先発デビュー試合前から注目を集めていた浦和のFWデスポトビッチは、後半21分までプレー。先日の磐田戦がJリーグのデビュー戦で、この日がホームのデビュー戦となったが、悪くない印象を残した。
浦和では1トップ役を期待されているので「1トップの適性があるのか」という点がもっとも気になるところであるが、185㎝で高さもあって、懐も深いので、相手を背負ったときのプレーも上手そうで、キープ力の高い選手のように見える。身体能力はそれほど高くないようだが、体を張ったプレーもできそうで、十分に戦力となりそうだ。
肝心のゴール前のシーンは少なかったので、ストライカーとしてどのくらいの能力を持っているのかは、まだ分からないが、FWエジミウソンよりも「1トップ」に向いてことは間違いないところで、スペシャルな選手とはいえないが、それなりの活躍はしてくれるのではないだろうか。
■ 数的優位を生かせず一方の甲府は、前半12分から数的優位となって、前半は決定機を作ったが、DF平川のゴールで先制を許すと、その後は、浦和の勢いを止められず。後半はどちらが数的優位なのか分からないくらい動きが重くなった。後半の頭からMF片桐を投入してチャンスができそうになっていたところで、アンラッキーな形で先制を許したのも痛かった。
悔やまれるのは、前半のFWパウリーニョの逸機で、先制ゴールを奪えていれば、全く試合の流れは変わっていたと思われるので痛恨だったが、前半のうちに圧力をかけきれなかったのも事実で、もう少しゴールに向う意識を高めることができたら、状況は変わっていたようにも思える。もう少しアグレッシブに戦えていたら、前半のうちに試合のペースを完全に自分達に引き寄むこともできたように思うが、両サイドバックの消極的で厚みのある攻撃は見えられなかった。
■ FWダヴィは好プレーその甲府の中で、もっとも注目を集めていたのは、久々のJリーグ復帰となったFWダヴィで、後半27分からプレー。「2kgオーバー」の状態ということで、札幌時代や名古屋時代と比べるとちょっと太目になった気もするが、ペナルティエリアに入ったときのプレーはさすがで、思っていた以上に「スピード」も「パワー」も落ちていなかった。
そのFWダヴィは、試合に出場すること自体が数か月ぶりという話だったが、楽しそうにプレーしていたのも印象的で、モチベーションも高そう。しばらくは、スタメン出場するのは難しそうなコンディションだと思われるが、ウエイトオーバーさえ解消されれば、昔のようなプレーも期待できるのかもしれない。そうなると、降格圏の16位に位置する甲府にとってはかなり大きな戦力となる。
気になるのは、FWダヴィという選手が、札幌時代も、名古屋時代も、プレーが独善的なところがあって、チームメイトと協力してプレーするのが得意ではないという点である。
カウンターの場面で、独りでドリブルで持ち込むようなプレーになったとき、最も威力を発揮するタイプであるが、甲府にはFWハーフナー・マイクがいるので、そういったカウンターを見せるシーンは少ない。監督は、札幌時代と同じ三浦監督であるが、今の甲府にはFWハーフナー・マイクがいるので、FWダヴィが生きやすい環境とは言えず、逆にFWダヴィの良さを発揮しやすい環境にすると、FWハーフナー・マイクが生きなくなる可能性が高い。
FWダヴィとFWハーフナー・マイクの2トップとなると、名前だけで相手に大きなプレッシャーをかけることもできるが、うまくバランスが取れるのか。ちょっと時間がかかりそうな気はする。
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