サッカーコラム J3 Plus+　

■　4回戦

天皇杯の4回戦。鹿島アントラーズとヴィッセル神戸の対戦。

ホームの鹿島は<4-2-2-2>。GK曽ヶ端。DF増田、大岩、伊野波、パク・チュホ。MF中田浩、小笠原、本山、野沢。FW田代、マルキーニョス。DF内田、DF岩政、FW興梠は日本代表のため欠場。

対する神戸は<4-2-2-2>。GK徳重。DF石櫃、小林、北本、河本。MF宮本、田中、ボッティ、古賀。FW岸田、茂木。FW大久保も日本代表のため不在。

■　アントラーズが進出

0対0で折り返した後半早々に神戸がCKのチャンスを獲得。左サイドからのコーナーキックで、そのクリアボールをキッカーだったDF石櫃が右足で決めて先制する。

しかし、前半から試合を支配していた鹿島は、後半10分にMF野沢がFWマルキーニョスのヒールパスンパスを受けてフリーでシュート。これが決まって同点に追い付く。さらに、鹿島は後半43分にMF野沢のアシストからMFダニーロがヘディングシュートで逆転に成功。

2対1で勝利した鹿島は準決勝に進出し、ガンバ大阪と対戦することが決まった。

■　存在感を示した田代

鹿島が勝負強さを見せて逆転勝利を飾った。後半早々に不意を突かれて先制ゴールを奪われたが、選手たちは慌てることなく反撃を開始。MF野沢の飛び出しから同点に追いつくと、途中出場のMFダニーロの決勝ゴールで逆転勝ちした。

日本代表の3人が抜けていたが、代役の選手が活躍。特に、FW興梠に代わってスタメンに出場したFW田代が前半から好プレーを披露。空中戦はほとんどのシーンで勝利しており、制空権を握った。

FW田代は今シーズンのリーグ戦はスタメンゼロ。FWマルキーニョス、FW興梠、FW大迫につぐ4番手になっているが、もともとポテンシャルは高い選手であり、2008年2月に行われた東アジア選手権では日本代表でプレーしている。非常にもったいないという気もするが、鹿島にとっても貴重な戦力であり、終盤戦に向けて貴重なカードとなりそうだ。

■　先制したものの・・・

神戸はいい形で先制したものの、逆転負けでベスト8入りはならず。ACK出場権獲得という夢も幻に終わった。FW大久保が不在のため、2トップはFW茂木とFW岸田というコンビであったが、FW岸田があまり機能せず、攻撃のバリエーションが無かった。

FW大久保が復帰したことと、FW茂木がフォワードで再ブレークしたことでストライカーのポジションは開幕の頃よりはパワーアップしたが、FWマルセウが期待はずれで退団。FW我那覇も本調子ではなく、使えるフォワードの駒が、小柄な選手ばかりになってしまった。ここは大きな補強ポイントになる。

■　代表組不在のカップ戦

この試合の観衆は4,033人。あいにくの雨模様という理由もあったが、土曜日の昼間の試合としては
非常にさびしい数字である。ただ、これは鹿島だけが特別、少ないというわけではなく、瑞穂で行われた名古屋と磐田の試合も6,091人。通常のリーグ戦の半分から1/3の数字である。もともと天皇杯の注目度がリーグ戦に大きく劣るのは事実であったが、それにしても少ない数字である。

今シーズンからJリーグのチームは天皇杯の2回戦から登場することになった。これはアマチュアチームのモチベーションを上げるという意味で大きなことであったが、その一方でJリーグのクラブにとっては日程的に負担となっている。J1は年間34試合ということでまだ「まし」であるが、51試合のJ2は夏場に超過密日程となったが、天皇杯の2回戦や3回戦の日程が違っていれば、夏場の過密日程を少し和らげることも出来た。

おかしなもので、日本代表の活動と天皇杯の重なっていて、この試合も日本代表選手は出場できなかった。ナビスコカップも同じであるが、ここ最近、当たり前のように代表組不在でカップ戦が行われている。普通ではないのは明らかであるが、日本サッカーの上層部は改めようとは考えていないようで問題視していない。前述の観客動員数の伸び悩みや、注目度が上がらないことと代表組不在は無関係ではないだろう。

天皇杯は来シーズンのACLに続いているが、神戸にとってはFW大久保の不在は大きかったし、横浜FMはDF中澤不在の影響が無かったとは言い切れない。別にカップ戦の価値をリーグ戦の価値と同じにしろと考えるわけではない。どのチームもリーグ戦優先となるのは明らかであり、それが普通である。ただ、協会はベストメンバー規定や日程の変更でカップ戦を軽視するクラブは許さないという姿勢を取っている。

特にナビスコの場合はスポンサーの問題もあるので事情が分からないわけでもないが、何とも中途半端な対応ではないかと思われる。中途半端なのは一番良くない。そういえば、単なる親善試合をあたかも公式戦と同様に価値のあるものであるかのように扱っていった結果、肝心の公式戦の価値すら落としてしまったスポーツがあった。




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