■ 首位攻防戦Jリーグディビジョン2の第37節。勝ち点63で並ぶ、横浜FCとヴィッセル神戸の直接対決。横浜FCは、広島から移籍した小村が移籍後すぐにスタメンで出場。神戸も、18歳のガブリエルが初スタメン。フレッシュな新戦力に期待が集まった。
横浜FCは、アウグストのドリブル突破を軸に攻撃を展開。神戸は、右サイドの朴のエリアを基点に攻めた。試合は、神戸が、後半16分、三浦のパスを受けたガブリエルがシュートを決めて先制すると、この1点を守りきって勝利した。
■ ハイレベルな攻防この試合は、非常に内容が良くて、いい試合だった。観衆は6660人だったが、スタジアムの雰囲気もいい感じで、何も知らない外国人が見たら、トップリーグ(=J1)と錯覚したかもしれない。
横浜FCは、アレモン・城の2トップで、アウグスト・内田・山口・吉野が中盤を構成する。京都から加入したFWアレモンは、この試合の前まで、11試合で9ゴールの大活躍をしているが、もともとは、ストライカーというよりは、チャンスメーカー的な役割もこなすことが出来る、幅の広いプレーヤー。そのアレモンと組む城も、オールラウンドなフォワードなので、横浜の攻撃は、決まったパターンがあまりなくて、流動的な攻撃である。
横浜FCの中で光るのは、やはり左MFのアウグスト。左利きで優雅なプレースタイルはレオナルドを思い起こさせるし、柔らかいタッチで密集をすり抜けていくドリブルは、ブラジル代表にデビューしたころのデニウソンを思い起こさせる。(でも、レオナルドともデニウソンとも、少し、違う気がする。誰に例えるのが、一番いいのだろうか?)とにかく、これぞブラジル人という華のあるプレーヤーである。この試合でも、神戸のディフェンスをキリキリまいさせた。
■ コレクティブな神戸のサッカー一方の神戸は、個と組織が融合した、素敵なサッカー。4-3-3で、右ウイングの朴と左ウイングの三浦の能力を最大限に生かしつつ、中盤の選手も、積極的に前に飛び出していく。元チェコ代表のホルビィはタッチ数自体は少ないが、ホルビィにボールが渡ると、停滞していた攻撃も活性化する。
そんな中で、ひときわ目立つのが、MFの田中英雄。昨シーズンは、サイドで起用されることが多かったと思うが、今シーズンは、セントラルミッドフィールダーで起用されていて、必要不可欠な選手になっている。非常に地味なタイプの選手で、華々しいプレーが出来るわけではないが、運動量が豊富で、必要な場所に顔を出して味方のサポートをすることができるし、さらには、前線に飛び出していって、チャンスに絡むことも多い。
もう1人、名前を挙げると、右ウイングの朴康造(パク・カンジョ)が素晴らしかった。昨シーズンも、神戸ので孤軍奮闘していて、よく他チームに引き抜かれなかったと思っていたが、質の高いプレーは相変わらず。運動量が豊富で、テクニックもある。この試合で、横浜FCの左サイドバックに入った、元韓国代表の崔成勇(チェ・ヨンヨン)を圧倒。右に朴、左に三浦を擁する神戸のサイドアタックは、J1を含めても、トップクラス。いいセンターフォワードがいれば、J1でも十分にやっていけるだろうと思う。(ただし、この試合に限っては、平瀬もなかなかいいプレーを見せた。)昨シーズン、あれだけ崩壊したヴィッセル神戸を立て直したバクスター監督は、凄い。バクスター監督は、この試合がラストマッチで、後任は、松田浩氏だが、ベースが出来ているんで、大崩れはしないだろうと思う。
■ 好ゲームを演出したレフェリー最後に、この好ゲームを演出した、影の主役にも触れておかなければならない。とかく評判の良くない柏原丈二氏だが、この試合では、見事なジャッジを見せた。首位攻防ということで接触プレーも多く、熱くなりがちな選手達をうまくコントロールして見せた。
レフェリーは正確なジャッジをすることが当然だと思われているが、彼らも、日本サッカーと同じで、発展途上にある。納得のいかない判定に対してレフェリーを批判をするのは間違ってはいないが、批判をする以上は、彼らがきちんとした仕事をしたときは、それ相応に賞賛できる目を養っておかなければならない。批判するだけなら、某夕刊紙と同じレベルになってしまう。
Jリーグでは、最近、判定にまつわるトラブルが多いが、その原因が、レフェリーの腕だけにあるとは思わない。
注意:明らかなミスジャッジに対する批判は、レフェリーのレベルアップのためには、絶対に必要。意図的な偏向判定は、論外。
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