■ 首位のアントラーズ15勝5敗5分けで首位とはいいながら、リーグ戦は2連敗中。一気に2位以下との差が縮まってきていて、首位の座が危うくなってきた鹿島アントラーズ。
対するは名古屋グランパス。ACLの準々決勝の第2戦を控えている。中2日とコンディション的には不利であるが、チーム状態は上がってきている。
ホームの鹿島は<4-2-2-2>。GK曽ヶ端。DF内田、岩政、大岩、新井場。MF青木、小笠原、本山、野沢。FW興梠、マルキーニョス。MF本山が7試合ぶりのスタメン復帰。DF伊野波が外れてDF大岩がスタメン。
アウェーの名古屋は<4-2-3-1>。GK広野。DF田中隼、バヤリッツァ、吉田、阿部。MF吉村、三都主、マギヌン、杉本、ブルザノビッチ。FWケネディ。MF中村直とDF増川がベンチ外。MF小川、FW玉田がベンチスタート。過密日程を考慮して、主力の何人かをスタメンから外してきた。
■ 名古屋が圧倒試合は名古屋が圧倒する。
前半5分に右サイドの裏のスペースに抜け出たMFブルザノビッチのシュートをゴール前のFWケネディが押し込んで先制。さらに、後半13分にはバックパスの処理を焦った相手GK曽ヶ端のキックミスを拾ったMFブルザノビッチが無人のゴールに押し込んで追加点。前半は2対0で終了。
後半開始からFWケネディを代えてFW巻を投入。後半8分にもMFマギヌンのアシストからFW杉本がヘッドで決めて3点目。後半29分にFWマルキーニョスのゴールで1点を返されるが、後半38分にもMFブルザノビッチがミドルシュートを決めてダメ押し。MFブルザノビッチは2ゴールの活躍。
結局、4対1でアウェーの名古屋が完勝。鹿島は3連敗となった。
■ ブルザノビッチ2ゴール名古屋は、23日と30日にACLの準々決勝があって、タイトなスケジュールである。日本勢対決のため、移動は楽とはいえ、鹿島と比べるとハード日程になっているが、日程的な不利を感じさせない完勝だった。
主力の数名をスタメンから外してきたが、ターンオーバー制もプラスに作用。前半に2対0とリードを奪ったこともあって、FWケネディは前半だけでお役御免。FW玉田に代わってMFブルザノビッチ、MF中村直に代わってMF三都主、MF小川に代わってMF杉本が入ったが、それぞれ、遜色ないどころか、本来のスタメンであるはずの選手を上回るパフォーマンスを見せた。
来日前は期待の高かったMFブルザノビッチが2ゴール。<3-4-1-2>のトップ下に入った時は不用意なキープと守備意識の低さでチームのウイークポイントになっていたが、フォワードに近い位置で自由を与えられたことで、やっと、前評判に近いプレーを見せることが出来た。
ベストメンバー規定もあって、ターンオーバー制は日本では浸透していないが、スパッとスタメンを代えてきたストイコビッチ監督の采配は的中した。FWケネディを前半だけで替えた采配も、後半にFW巻が奮闘し、試合結果に影響は出なかった。
逆に、水曜日のACLで誰をスタメンに起用していいのか迷うほど、代役の選手がいいプレーを見せた。名将のような的確な選手起用を見せたストイコビッチ監督の決断力が光った。
■ 三都主のボランチこの日はベンチからも外れたMF中村直の代わりにMF三都主がボランチでプレー。鹿島の出来が最悪だったことを割引いても、いい出来だった。
MF三都主はキープ力があるのでボールが落ち着くし、また、際どいパスを前線に送ることが出来るので、前の選手がいい位置でボールを受けることが出来た。懸念の守備面でも破たんも無かった。
名古屋のボランチはMF中村直とMF吉村で不動。二人は横への展開力はあるが縦方向への展開力はそれほどでもない。左サイドバックのDF阿部も調子が上がってきているのでDF三都主がサイドバックで起用される可能性は低いといえるが、試合展開や相手によっては、MF三都主のボランチ起用も面白い。
■ 5ゴール目のケネディFWケネディは9試合で5ゴール目。FWダヴィの代わりのエースストライカーとして、前評判通りの結果を残している。
日本代表対オーストラリア代表という視点から見ると、鹿島の日本代表DF岩政がいいようにやられてしまったのは残念であるが、名古屋にとっては頼もしい選手である。特別、足元の技術があるわけではないが、194cmの高さはゴール前にいるだけで相手にとっては邪魔になる。
また、3点目のアシストを記録したMFマギヌンのパフォーマンスも高かった。ACLの川崎F戦を見ていても調子が上がってきているのは明らかであり、古巣のフロンターレ相手に燃えていることだろう。
■ 吉田麻也のパフォーマンスこの日は、DF増川もベンチからも外れて、DFバヤリッツァがスタメン。そのため、DFバヤリッツァとセンターバックのコンビを組むことになったDF吉田のパフォーマンスも高かった。現役の日本代表のDF岩政がFWケネディとのバトルになす術がなく敗れたのとは対照的に、鹿島の2トップにほとんど仕事をさせなかった。
21歳という年齢ながら落ち着きがあって、元ボランチということもあって、フィードも安定している。昨シーズンは途中からスタメンを外れることも多くなったが、今シーズン、ここに来て充実したプレーを見せている。
■ 王者にいったい何が起こったのか?①鹿島は信じられないようなミスが続出して4失点。雨のため試合が中断している川崎F戦を含めると、ここ4試合で12失点。堅守を誇ったチームが崩壊の危機を迎えている。
連敗ストップのため、試合前からモチベーションも高かったはずであるが、試合の入り方が極端に悪かった。1失点目はFWケネディのマークについていたDF岩政がハイボールに対して十分に競ることが出来ず。さらに、MFブルザノビッチのシュートに対するこぼれ球にも反応していた選手はおらず、FWケネディはドフリー。
2失点目は言うまでもなく、GK曽ヶ端のイージーミス。MFブルザノビッチが諦めずにGKにプレッシャーをかけていたが、明らかなキックミス。3失点目はMFマギヌンのクロスの精度が高かったので防ぎようは無かったが、4失点目はDF内田の不用意な横パスをMFブルザノビッチに奪われてミドルシュートで失点。以前の鹿島では想像できないミスが続出した。
■ 王者にいったい何が起こったのか?②MF本山の代役としてスタメン出場が続いていたMFダニーロの最近のプレーが良くなかったので、MF本山が復帰して、攻撃は活性化するかと思われたが、あまりにも早い時間帯に2失点を喫して、目立った効果は見られなかった。
ミスをするのは仕方がない面もある。「負の連鎖反応」と片付けることも出来るが、何よりも気になるのは、ピッチ上の選手が気迫に欠けているようにみえることである。「勝負強さ」が鹿島の強さの秘密であり、ハードワークの出来る選手が揃っているはずであるが、この日は名古屋の気迫の前に何も出来なかった。
リーグも終盤戦を迎えて、リーグ優勝も、降格の危険性もなくなってしまった中位のチームが、モチベーションを落とすケースが無いわけではないが、リーグの首位を走っているチームがこれだけ急激に失速し、テンションの低い試合を続けているのは、理解しにくい。
MF本山がしばらく怪我でスタメンを外れていたことを除くと怪我人がいるわけでもなく、この日もDF伊野波を除くとベストメンバーである。しかし、メンバーが揃っていながら、別のチームのようなバラバラの試合だった。単にコンディションの問題なのか?何か裏で重大な事が起こっているのか?
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