■ 第10節J1の第10節。4勝2敗3分けで勝ち点「15」のセレッソ大阪と、5勝2敗1分けで勝ち点「16」の浦和レッズが長居スタジアムで対戦した。C大阪は開幕3連勝のあと5試合勝利が無かったが、9節で湘南に3対0で勝利した。一方の浦和は7節は大宮、8節は清水に敗れて2連敗中。1試合消化は少ないが、首位を走る大宮との差は「7」と広がっている。C大阪は中2日で、浦和は中4日となる。
ホームのセレッソ大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、藤本、丸橋。MFシンプリシオ、扇原、山口螢、枝村。FW杉本、柿谷。エースのFW柿谷は8試合で6ゴールを奪っている。新外国人のFWエジノはベンチスタートでロンドン五輪代表のFW杉本が3試合連続スタメンとなった。2列目で起用されているMF山口螢はここまで3ゴールを挙げている。
対するアウェーの浦和は「3-4-2-1」。GK加藤。DF森脇、那須、槙野。MF柏木、鈴木啓、平川、宇賀神、マルシオ・リシャルデス、矢島。FW興梠。ボランチのMF阿部が出場停止のため、MF柏木がボランチに下がって、MFマルシオ・リシャルデスとMF矢島が2列目で起用された。リオ世代のMF矢島は今シーズン初スタメンとなる。大宮との試合で負傷交代したMF原口はベンチスタートとなった。
■ 2対2のドロー試合の前半はアウェーの浦和のペースで進んでいく。C大阪の中盤の守備を上回るパスワークを見せて、立ち上がりからチャンスを作っていく。しかしながら、FW興梠らが決定機に決められない。劣勢のC大阪も前半40分にMF山口螢のクロスからMF枝村がゴール前で決定機を迎えるが、ヘディングシュートはクロスバー直撃で先制ならず。前半は浦和が試合の主導権を握ったが、0対0で終了する。
後半になると、C大阪も攻撃にリズムが出来てきて互角の展開となる。すると後半18分に高い位置でMFシンプリシオがDF槙野からボールを奪って横にいたFW杉本にラストパスを送ると、FW杉本が右足で豪快に決めてC大阪が先制する。FW杉本は今シーズン初ゴールとなった。しかし、後半26分に浦和は途中出場のMF原口がドリブルで独走して、最後は左足でねじ込んで1対1の同点に追い付く。
さらに後半37分にも左CKを獲得すると、MFマルシオ・リシャルデスのボールをニアサイドでDF那須が合わせて浦和が2対1と勝ち越しに成功する。逆転を許したC大阪だったが、後半42分に波状攻撃から最後はMF山口螢が右足でネットを揺らして土壇場で2対2の同点に追い付く。MF山口螢は今シーズン4ゴール目となった。結局、試合は2対2で終了。両チームとも勝ち点「1」を獲得した。
■ エキサイティングな試合GWの最終日ということもあって長居スタジアムには32,378人という大観衆が集まったが、期待どおりかそれ以上の熱戦となった。前半は浦和ペースだったが、後半はC大阪が盛り返して先制に成功。その後、浦和が2対1と逆転に成功するが、後半42分にMF山口螢の同点ゴールが決まった。その後も、双方に決定機があったが、GK加藤とGKキム・ジンヒョンが防いだ。
ともに攻撃的なチームなので、好ゲームになる可能性の高い対戦カードと言えるが、キーパーのファインセーブが何度かあると、試合は盛り上がってくる。浦和はMF原口やDF森脇が積極的にシュートを放って、C大阪もMFシンプリシオやMF山口螢が惜しいシュートを放っているが、ミドルシュートが際どいところに飛んで行って、キーパーが懸命に防ぐシーンはエキサイティングである。
両チームに共通することであるが、マイボールになったあとの動き出しが早くて、キーパーがボールを保持したときもモタモタせず、すぐに次のプレーに移っていくので、プレーが止まっている時間がほとんどない。浦和の1点目のMF原口のゴールは相手のCKをGK加藤がキャッチしてカウンターが始まっているが、キャッチした後、即座にパスを出したGK加藤の素晴らしい判断が同点ゴールにつながった。
■ ワンランク上のプレーを見せる原口元気終了間際に同点に追いつかれた浦和はリーグ戦は3試合勝利なしとなった。ACLはGLで敗退したので、リーグ戦の上位進出が至上命題になって来るが、首位の大宮との差は「9」となった。大宮がこのまま独走して優勝することは考えにくいので、どこかで勢いが衰えると思われるが、埼玉ダービーを境にして、勝ち点差が広がりつつあるので、浦和は正念場の時期を迎えている。
気になるのは、決定機に決められないシーンが目立つことである。この日も、前半に何度かあった決定機を逃したことが、試合を難しくした。1トップなのでFW興梠のところにチャンスボールが集まってくるが、大チャンスに決められないシーンが多い。それ以外のプレーはうまくこなしているので、FW興梠のゴール数が増えてくると、勝ち点につながってくると思うが、決め切れないシーンが目立っている。
浦和は後半18分にFW杉本に先制ゴールを許したが、MF原口の投入が試合の流れを変えるきっかけになった。先のとおり、相手のCKからのカウンターでゴールが生まれたが、GK加藤のスローを受けたMF原口が70メートルをドリブルで運んでネットを揺らした。C大阪の守備にも問題があったが、彼のキャリアのハイライトの1つになるような見事なドリブルシュートだった。
大宮とのダービーで怪我をしたので、しばらくの間、欠場が続いていたが、彼がいるとアクセントになる。2011年はサイドでボールを受けて強引にドリブルをしてチャンスを作るシーンが多くて、2012年は1トップのポジションで迷いながらプレーしていたが、今年は本来の2列目のポジションに戻って、MFマルシオ・リシャルデスやMF柏木以上の存在感を発揮している。
とにかく周りの選手を使うのがうまくなった。2011年は9ゴールを挙げているが、強引なプレーが多くて、非効率的だった。もちろん、「強引さ」というのも彼のいいところで、突破力は脅威になっていたが、今シーズンは強引にいくべきなのか、周りを生かすべきところなのか、その判断が的確になった。したがって、相手にとって、厄介な選手になっている。
■ 気になる得点者の偏り一方のC大阪は前半は浦和のボール回しに翻弄されて、ほとんどいい形を作れなかったが、後半は盛り返した。FW杉本のゴールで先制したので、勝ち点「3」を得るチャンスもあったが、逆転された後、人数をかけて攻め込んで同点ゴールを奪ったことは、この先につながるだろう。これで4試合負けなしとなって、順位も6位とまずまずのところに付けている。
3試合連続でスタメン起用されたFW杉本に初ゴールが生まれたことが、一番の収穫と言えるが、今シーズンは、得点者が偏っているのが気になるところである。10試合を終えて12得点となったが、FW柿谷が6ゴールで、MF山口螢が4ゴールで、MF扇原とFW杉本が1ゴールずつなので、ゴールを決めているのは4人だけということで、かなり偏っている。
しかも、4人とも下部組織出身の選手なので、10試合を終えてユース出身者以外のゴールが無い。これは、C大阪というクラブの育成力の高さを示していると同時に、外国人を含めた補強選手のふがいなさも示しているので、微妙な記録である。こういう記録は早くストップさせる必要があるので、FWエジノ、MF枝村、MF楠神といった選手の活躍が期待される。
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