■ ラトビア戦今年初の国際Aマッチとなるラトビア戦が神戸のホームズスタジアムで開催された。3月26日にW杯のアジア最終予選のヨルダン戦を控えているが、残っているテストマッチは、この日のラトビア戦と、直前に行われるカナダ戦の2試合だけなので、タイトな日程になっているが、1つでも多くの収穫を手にしたい試合である。
日本代表は「4-2-3-1」。GK川島。DF内田、吉田、今野、長友。MF長谷部、細貝、清武、本田圭、香川。FW岡崎。国内でプレーするMF遠藤とFW前田はベンチスタートで、ドイツでプレーするMF細貝とMF清武がスタメンで起用されたので、11人のうち、欧州組が10名で、国内組はDF今野だけとなった。
その他でベンチスタートとなったのは、GK林、GK権田、MF伊野波、DF酒井宏、DF酒井高、DF水本、MF高橋、MF乾、MF大津で、FWハーフナー・マイクは怪我で離脱している。ロンドン五輪で活躍したVVVのMF大津はフル代表は初選出となった。
■ 3対0で快勝!!!磐田のFW前田がベンチスタートとなったので、先日のブラジル戦と同様に、MF本田圭がフォワードの位置に入るかと思われたが、FW岡崎が1トップで起用されて、2列目はMF清武とMF本田圭とMF香川が並ぶ形となったが、前半は、足元へのパスが多くて、ダイナミックが攻撃ができない。
ボールは支配するものの、攻めあぐねていたが、前半40分に右サイドのDF内田のクロスをゴール前のFW岡崎がうまく合わせて日本が先制する。地元での代表マッチとなったFW岡崎は、Aマッチ通算30ゴール目という記念のゴールとなった。前半は1対0と日本がリードして折り返す。
後半開始から、MF清武とMF細貝を下げて、FW前田とMF遠藤を投入。いつものメンバーに戻すと、1トップのFW前田が前線で起点となって攻撃の流れが良くなる。すると、後半15分に左サイドでボールを受けたMF香川のクロスをMF本田圭が得意の左足で鮮やかに決めて2対0とリードを広げる。MF本田圭は日本代表では6月のヨルダン戦以来のゴールとなった。
さらに、その直後にも、FW前田の落としからMF香川がフリーでボールを受けてダイレクトでMF岡崎に絶妙のラストパスを送ると、MF岡崎は相手キーパーをかわして無人のゴールに流し込んで3対0として試合を決めてしまう。MF岡崎は代表通算31ゴール目で、MF香川は2アシスト目となった。
その後、MF乾、DF酒井高らを投入すると、左サイドに入ったMF乾が積極的にシュートを放って、攻撃に勢いをもたらすが、ゴールを決めることはできず。しかしながら、ほとんどピンチの場面もなくて、危なげなく逃げ切って3対0で勝利した。次は3月20日にドーハでカナダ代表と対戦し、3月26日のアウェーのヨルダン戦に臨む予定になっている。
■ 2ゴールを挙げた岡崎国内でプレーするMF遠藤とFW前田を温存して、海外組中心のスタメンとなったが、前半の出来は今一つだった。芝の状態があまり良くなかったので、その影響もあったと思うが、ボールコントロールのミスが多くて、ボールを失うことは少なかったが、思い通りにコントロールできず、次のプレーにつなげることができない場面が多かった。
前半は、ザッケローニ監督になってからは、初めて、FW岡崎を1トップで起用したが、前半30分あたりまでは、FW岡崎を生かすことができず、攻めきれなかったが、前半40分に右サイドを崩して先制ゴールを挙げると、試合の流れをつかむことができた。非常に難しいクロスだったが、FW岡崎らしく泥臭くゴールを奪いとった。
FW岡崎は、昨シーズンは、ブンデスリーガで26試合で7ゴールとまずまずの結果を残したが、今シーズンは、13試合で1ゴールと苦しんでいる。先日のデュッセルドルフ戦は途中出場だったが、動きは良くて、3度ほどチャンスを迎えたが、決められなかった。シュツットガルトのときは、「惜しくも決められない。」というシーンが多いが、日本代表のときは、きっちり決めてくる。
前半は1トップでプレーしたが、その評価は微妙なところである。FW岡崎の1トップというのは、岡田監督のときは、結構多かったと思うが、ザッケローニ監督になってからは試しておらず、今回、FWハーフナー・マイクも離脱したので、このタイミングで一度、試してみるというのは、いいアイディアだったと思うが、やはり2列目の方が生きる選手である。
■ 遠藤のバックアップは?後半になって、いつものメンバーに戻すと、流れが良くなった。MF細貝もボランチとしての能力は高いが、MF遠藤がいる/いないで、大きく変わってくる。MF長谷部も、MF細貝も、MF高橋も、ゲームを作るタイプではないので、やはり、MF遠藤の代わりというのは、鹿島のMF柴崎などの司令塔タイプを起用しないとチームは回らなくなる。
川崎FのMF中村憲は、ザックジャパンでは2列目で起用されることがほとんどなので、ボランチとしては、計算に入っていないと思われる。個人的には、MF遠藤が使えないときは、MF中村憲をボランチで起用してもいいと思うが、ザッケローニ監督の考えは違っているようなので、それならば、発掘作業に取りかかる必要はある。
MF本田圭は、見事なシュートを決めたが、コンディションはあまり良くなかった。もちろん、ロシアリーグはキャンプの時期なので、当たり前のことであり、他の欧州組とは、分けて考える必要はあるが、特に、前半は、軽率なミスがいくつかあって、攻撃の流れを食い止めることが多かった。しかし、そんな中でも、きちんと結果を出したのは、さすがと言える。
一方、MF香川はゴールはならなかったが、2つのゴールをアシストし、それ以外でも、決定的なパスを何度も供給した。この日のプレーは、マンUで任されている役割と似ていて、今まで、日本代表で見せてきたプレーとは違っていたので、プレミアリーグをチェックしていない人は、新鮮に感じたかもしれない。C大阪のときは、味方を使うプレーは上手ではなかったが、ここ1年ほどで、周囲を生かすプレーができるようになった。
■ アピールに成功した乾貴士サブメンバーを長い時間、試すことができたのは、収穫と言えるが、その中でも、MF乾のプレーが光った。30分程度のプレー時間で、シュートを5本か、6本放ったと思うが、得意の形に持ち込んでチャンスに絡んだ。MF香川とのワンツーで抜け出してシーンは、決めなければならないシュートだったが、動きの良さは際立っていた。
MF香川が左サイドでプレーするときは、中央に入ってくることが多い。「サイドに張っていたほうがいい。」、「サイドに張っているべきだ。」という人もいるが、中央に入っていくプレーがチーム内で認められているのであれば、特に問題はない。ただ、前半に関しては、2列目トリオの距離感が今一つで、良くないパターンにハマっていたが、MF乾は左サイドに張ることが多くて、結果として、バランスが良くなった。
代表の2列目は、例の3人が不動のレギュラーで、MF清武が4番手の地位を固めつつあったが、ここに来て、MF乾が猛アピールしており、4番手のMF清武と5番手のMF乾の差は縮まってきている。安定感ではMF清武が上回っているが、爆発力ではMF乾が上回っていて、いい競争が生まれつつある。
ドイツに渡ってから、少し改善されていると思うが、うまくプレーできないとき、イライラして、ドツボにはまることがある。この点は課題と言えるが、運動量があって、ダッシュの本数も多くて、打開力もあるので、ジョーカーとしての適性は、極めて高い選手である。MF乾にとっては、目標の代表定着に向けて、大きなアピールができたと言える。
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