■ 水増し問題埼玉スタジアムで行われた浦和レッズ戦で観客動員の水増し疑惑が発覚した大宮アルディージャが、3年前のNACK5スタジアムのこけら落としの試合から、常習的に観客動員を水増ししていたと発表した。その規模は、2007年が4690人、2008年が20試合で25809人、2009年が48610人、2010年が32628人となっていて、合計で11万人ということで事態は深刻になってきている。
Jリーグは1993年の開幕から実数発表を続けていて、アバウトな数字で発表をしていた当時のプロ野球とは異なる方法で注目されたが、それが担当者の間で操作されるとしたら、「どうなっているんだ?」とほとんどの人が疑問を持つだろう。
J2の下位のチームの試合となると、1000人台であったり、2000人台であったりと、条件が悪いと寂しい数字になることも多いが、どのクラブも観客動員を増やそうと奮闘している。そして、アルビレックス新潟や川崎フロンターレのように、後発のクラブの中にも、リーグで上位の観客動員数を誇るようになったクラブも存在する。今回の騒動は、そのまじめに努力している人に対しても申し訳ない事態である。
■ こけら落しからの水増しイメージが悪くなるのは、NACK5スタジアムのこけら落しの試合から水増しをしていたということである。どのスタジアムでも、パッと見れば、だいたい、どのくらいの観衆が集まったかは想像できるが、スタジアムごとに違いもある。たとえば、ヴィッセル神戸のホームズスタジアムや、サンフレッチェ広島のビッグアーチは、バックスタンドがいっぱいに埋まっているように感じても、それほど数字にはあらわれて来なくて、実数が発表されたときに、「思ったよりも少ないな。」と感じることがある。
それぞれのスタジアムで傾向が異なるので、「このスタジアムで、このくらいの埋まり方であれば、このくらいかな?」という風に想像していくが、最初から水増しされると、その常識も通じなくなる。今回、ホーム扱いの埼玉スタジアムで発覚したというのを聞くと、調子に乗りすぎたかな?と感じてしまう。
試合を観に行って、実数で発表されて、ちゃんと「1人」にカウントされたときは嬉しかったりもするものであるし、また、一人で試合を観に行ったときに「17,001人」と発表されたとき、ちょっとした罪悪感を感じたこともあった。とにかく、実数発表だと、より以上に「試合に参加した感」が得られるので、いいシステムだと思っていただけに残念である。
こういう不祥事があると、「大宮アルディージャが」というよりも、「Jリーグが」とか、「サッカーが」という風に取り上げられてしまうので、一般層に対するイメージも悪くなってしまう。大宮のフロントの認識の甘さが、ほかのクラブにも迷惑をかけたことになった。
■ 妥当な処分は?大東チェアマンは「(制裁は)重くなると思う。」と語っているが、規定からは、
・けん責 始末書を取り、将来を戒める。
・制裁金 1件につき1億円以下の制裁金を科す。
・勝点減 リーグ戦の勝点を1件につき15点を限度として減ずる。
・出場権剥奪 リーグカップ戦における違反行為に対する制裁として次年度のリーグカップ戦への出場権を剥奪。
・除名 Jリーグから除名する。
の5つが考えられる。このようなケースはこれまでなかったので前例はない。よって、どの処分が適当なのか分からないが、もちろん「除名」というのは考えられないし、逆にどういうことがあったら「除名」になるのかが知りたいところである。また、(カップ戦でも水増しをしていたのかもしれないが、)リーグ戦に関係していることなので「出場権剥奪」というのも違うだろう。
となると、「けん責」、「制裁金」、「勝点減」が残るが、チェアマンの発言から考えて、「けん責」のみというのも考えづらい。「制裁金」で丸くおさめるという可能性が一番、高いだろうが、「勝点減」となると、残留争いをしている大宮にとっては一大事である。過去に「勝点減」の処分となったチームはJリーグの中では無いが、最大で「15」となると、一大事どころか、イコール降格になってしまう。最大でも「3」程度になるとは思うが、どういう裁定が下るのか注目したい。と同時に、同じような水増しをしているチームが出てこないことを望みたいところである。
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改めて「秋-春制」について考えてみる。
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